第16戦日本GP:アルコバがスリックを選択し4位、佐々木は21位
Yamaha VR46 Master Camp TeamのJ・アルコバは、ウエット・レースでスリック・タイヤを履き4位獲得の大健闘。チームメイトの佐々木歩夢はレイン・タイヤで21位となった。
ドライ・コンディションでスタートしたレースは、直後に雨が降り出し赤旗中断。その後ウエット・レースが宣言され、12ラップに減算して再スタートすることとなった。ここでアルコバはリスクを冒してスリック・タイヤを選択。他に5名が同様の決断をしていたが、サイティング・ラップを終えた時点でA・アレナスはピットに戻りウエット・タイヤに戻している。
レースが始まると、まもなく雨が止み、22番グリッドからスタートしたアルコバが着々とポジションアップ。5ラップ目には早くも3番手まで浮上する大活躍を見せた。1ラップ後には同じくスリック・タイヤを履くF・サラックに抜かれたものの、その後は最後までポジションを守り切り、表彰台にコンマ1秒と迫る4位でチェッカー。苦戦が続いていた今大会を成功裏に締めくくった。
一方の佐々木は、他の多くのライダーと同様にウエット・タイヤに履き替えて2度目のスタートに臨んだ。レース運びは順調でペースも悪くなかったが、タイヤの選択が結果に影響して21位に留まった。長く厳しいレースを終えた佐々木は、1週間、日本に滞在したあと次回の開催地、オーストラリアへ向かう。
Yamaha VR46 Master Camp Team
J・アルコバ選手(4位)
「正しい判断ができたことが、とてもうれしいです。リスクを冒してスリック・タイヤを選択したのは私を含めて5名で、その選択が当たっていたというわけです。日本での最後のレースになるかもしれないので、良い思い出を残したいと思っていました。ライダーは皆、場所よりもコースのほうをよく覚えているものですからね。レッドフラッグのあとピットに戻ってきたときは路面がかなり濡れていて、タイヤの選択には不安がありました。でも最終的にチーム全員で決断し、彼らが素早くスリックに交換してくれました。とくに最後に背中を押してくれたニエトには本当に感謝しています。だからこそ私はすべてをかけて戦いましたし、自分で思っている以上に頑張れたと思います。3番手のライダーが見えてきて、表彰台に上れると思ったので懸命にプッシュしました。でも燃料タンクが重かったことやブレーキングに手間取ったことなどで、3位には手が届きませんでした。表彰台は可能だったかもしれないし、そうなっていれば大きな励みになったと思いますが、今日の4位には満足しています。ハッピーな気持ちのまま日本を離れることができます」
佐々木歩夢選手談(21位)
「天気が変わりやすく、難しいコンディションでした。最初のスタートはとてもうまくいって何台かパスすることができたのですが、赤旗が出されて中断となってしまいました。再スタートではウエット・タイヤが正しい選択だと考えましたが、雨はすぐに止んでしまいました。残念ながら判断が間違っていたのです。そのあとはドライ・コンディションの12ラップをウエット・タイヤで走ることになりました。ただ走り続け、少しでも上を目指すことしかできませんでした。今日のことはとてもいい勉強になりました。次回また同じようなことがあれば、より良い判断をしたいと思います」
G・ニエト(スポーツ・ディレクター)
「12ラップはとても短く、このようなレースではいつも素早い判断が求められます。私たちは最後の最後でスリック・タイヤで行くことを決めました。不安はいろいろありましたが、ジェレミー(アルコバ)は私のアドバイスを聞いてくれて、結果的にそれがうまくいったのです。私を信頼してくれたジェレミーに感謝しています。表彰台に上れなかったことは少し残念ですが、わずかコンマ1秒差で4位を獲得できたことをうれしく思っています。次のオーストラリアも楽しみです。
歩夢はスリックのリスクを望まず、ウエットを選択しました。他の多くのライダーと同じ決断をしたのです。結果として長く厳しいレースになってしまいましたが、彼はその状況をしっかりとコントロールしていました。彼のホームGPだったので、本当はもっと活躍出来たら良かったのですが…。このあとはオーストラリアでまたお会いします」