レポート
第20戦ソリダリティGP:Yamaha VR46 Master Camp Team、3年間に渡る活動を終了
Rd.20
バレンシア
VR46ジュニアチーム.S.R.L.の協力を得て2017年に設立。第2回Master Campに参加し高い可能性を見せたタイのアピワット・ウォンタナノンを抜擢しFIM CEV Moto3(ジュニアワールドチャンピオンシップ)で、その一歩を踏み出した。
2018年はFIM CEV Moto3にウォンタナノンが継続参戦したが、2019年からはFIM CEV Moto2(ヨーロピアンチャンピオンシップ)にステップアップ。ケミン・クボ(タイ)、アニュパブ・サームーン(タイ)、ピラポン・ブーンレット(タイ)、マッキンリー・カイル・パス(フィリピン)が参戦してきた。
そして2022年、才能あふれるヤマハライダーたちに世界選手権レベルでスキルを磨く機会の提供と、継続的なトップライダーの育成を目指し、参戦カテゴリーをMoto2世界選手権に変更。VR46ジュニアチーム.S.R.Lが運営を担当し、スポーツ・ディレクターにはヘレテ・ニエトを迎え、Moto2におけるヤマハ発動機初のオフィシャルチームとして活動を開始した。
そのシーズンは、bLU cRU活動を通じて成長を見せたクボと、スーパースポーツ世界選手権でランキング3位などの実績を持つマニュエル・ゴンザレス(スペイン)を起用。2023年は、ゴンザレスと全日本選手権JSB1000でチャンピオン経験者の野左根航汰が参戦。ゴンザレスがチーム初の表彰台(3位)を獲得し、チームとしても大きな成長を見せた。
2024年は、チームの成長を受けてラインアップを一新。昨年のMoto3でチャンピオン争いを演じランキング2位となった佐々木歩夢と、Moto2で2年連続ランキング18位のジェレミー・アルコバを起用。上位進出、表彰台獲得で、さらなるチームのプレゼンス向上を図り、MotoGPへのブリッジとなるチームへの進化を目指す。
#22
生年月日 | 2000年10月4日 |
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国籍 | 日本 |
2016年、マレーシアGPでMoto3にデビュー。1年後、2017年にSepang Racing TeamからMoto3にレギュラー参戦を開始し、ルーキーながら8度のポイント獲得でランキング20位となりルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。
2018年もMoto3に参戦して再び8度のポイント獲得でランキング20位。Sepang Racing Teamで3シーズン目となった2019年は、ポイント獲得11回、トップ10フィニッシュ5回と成長を見せたが、ランキングは3年連続となる20位にとどまった。
2020年は、アラゴンGPでトップから0.051秒差の2位としMoto3初表彰台に立つなどランキングは16位。2021年はさらにジャンプアップを果たして、再びアラゴンで3位表彰台に立つなど、120ポイントを獲得してランキング9位とし、トップ10圏内に進出した。続く2022年は、オランダGPとオーストリアGPでの2勝を含む9回の表彰台に立ち、238ポイントを獲得してランキング4位と大躍進を遂げた。
2023年もMoto3に参戦すると、チャンピオン争いを繰り広げた末、6ポイント差でランキング2位。それでも優勝1回を含む11回の表彰台獲得しトップライダーとして、2024年からMoto2へとステップアップ。ルーキーイヤーから表彰台の獲得などさらなる飛躍を目指す。
2017年 | 世界選手権Moto3 ランキング 20位 |
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2018年 | 世界選手権Moto3 ランキング 20位 |
2019年 | 世界選手権Moto3 ランキング 20位 |
2020年 | 世界選手権Moto3 ランキング 16位 |
2021年 | 世界選手権Moto3 ランキング 9位 |
2022年 | 世界選手権Moto3 ランキング 4位 |
2023年 | 世界選手権Moto3 ランキング 2位 |
#52
生年月日 | 2001年11月15日 |
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国籍 | スペイン |
2019年にJuniorGP世界チャンピオンを獲得。また、このシーズンにMoto3世界選手権に負傷したライダーの代役としてデビューすると、2020年はMoto3へのフル参戦が決定した。
すぐにMoto3に適応したアルコバは、シーズン最初の4戦中3戦で7位と活躍。その後のトップ10の常連となり、最終戦を前にしたバレンシアGPでルーキー・オブ・ザ・イヤーが決定。さらに最終戦のポルトガルGPでは初の表彰台を獲得してデビューイヤーを締め括り、ランキング11位となった。2021年はアップダウンがありながら2度の表彰台を獲得してランキング12位とし、2022年はMoto2への昇格を果たした。
Moto2の1年目は、毎戦のようにポイント圏内を走行し、3回の6位フィニッシュなど健闘しランキングは18位。2023年にはMoto2の初表彰台を目指し、第3戦アメリカズと第16戦オーストラリアで4位と、目標に近づいたが一歩及ばず、ランキングも18位でシーズンを終えた。
Moto2参戦3年目となる2024年は、2年連続ランキング18位から脱却すべく、コンスタントにポイントを積み上げながら、念願の初表彰台を獲得することが目標となる。
2020年 | 世界選手権Moto3 ランキング 11位 |
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2021年 | 世界選手権Moto3 ランキング 12位 |
2022年 | 世界選手権Moto3 ランキング 18位 |
2023年 | 世界選手権Moto3 ランキング 18位 |
それまでのロードレース世界選手権250ccクラスに替わり、2010年からMoto2はスタートした。MotoGPを最高峰とする3つのクラスの内の一つで、250cc 単気筒4ストロークエンジンを使用するMoto3の上位クラスとなる。
エンジンは1社のみの供給で、現在はトライアンフ社製の直列3気筒765ccエンジンが使用され、タイヤ、ECUに関しても共通だが、シャシーについては、複数のビルダーがMoto2専用シャシーを販売しており、各チームがこれを選択して使用する。参戦できるライダーは、以前16歳以上という年齢制限があったが、2023年からは18歳以上に引き上げられている。
このように、各メーカーが独自のマシンを開発するMotoGPと違い、Moto2ではマシンのパフォーマンスの違いをある程度制限することで、ライダーの実力を見極められる状況が作られている。だからこそ、優秀な成績を収めたライダーには、MotoGPへとステップアップするチャンスが高い確率で巡ってくることとなる。