第16戦オーストリアGP決勝は激しい風雨に見舞われてサバイバルレースとなり、9ラップ目に赤旗中断。天候回復は見込めず、そのまま終了となった。慎重な走行を続けたCorreos Prepago Yamaha VR46 Master Camp TeamのM・ゴンザレスと野左根航太は、それぞれ13位と16位を獲得している。
ゴンザレスは10番グリッドから絶好のスタートを切るも、集団のなかで思うようにペースを上げられず、少しずつ下げて序盤で23番手まで後退。それでも雨や寒さによる厳しいコンディションのなかで複数台が転倒したためポジションを上げていき、4ラップ目には小椋藍をとらえてポイント圏内の15番手まで挽回した。このオーバーテイクがイエローフラッグ提示中であったため1ポジションダウンとなったが、その後、C・ヴィエッティの転倒により15番手を取り戻した。
このあともコンディションは悪化する一方だったが、ゴンザレスは懸命に走行を続けて、もう一度小椋をパス。さらに8ラップ目にはA・アレナスもとらえて13番手に浮上した。しかし、このあと天候悪化により赤旗が提示されてレースは中断。しばらくコンディションの回復を待ったが、まもなく中止が決定した。赤旗提示時点の順位が最終結果となり、ゴンザレスは13位。トップは9ラップを終了していたが、予定周回数の3分の2に満たないことから、ポイントは通常の半分となっている。
一方、25番グリッドからスタートした野左根は、すぐさま20番手へ浮上。序盤の混乱のなかで少し下げたものの、順位が落ち着いてくるとゴンザレスに続く18番手を確保した。そのまま後方に続いて行きたいところだったが、強風と路面コンディションの悪化に苦戦し、思うようにオーバーテイクができなかった。最終結果は今季自己ベストの16位となっている。
この結果、ゴンザレスは合計116.5ポイントでランキング7位。Corros Prepago Yamaha VR46 Master Camp Teamは同じく116.5ポイントでチーム・ランキング8位をキープしている。
Correos Prepago Yamaha VR46 Master Camp
M・ゴンザレス選手談(13位)
「非常に難しいレースでした。コンディションが昨日までとまったく異なり、風が強くて危険な状態でした。そのなかでレースが行われたのです。ウォームアップでは、速いライダーたちについて行こうとして1ラップ目に転倒してしまいました。決勝はとにかく完走を目指しました。1ラップ目は遅かったのですが、少しずつ自信がついてきて、最後のほうはかなりうまく乗れていました。1.5ポイントを獲得して、次のタイGPに照準を合わせています。午前中のセッションのあと、素早くマシンを修復してくれたチームのみんなに感謝しています」
野左根航汰選手談(16位)
「ウォームアップ・セッションの2ラップ目に、ハイスピードで転倒してしまいました。チームに申し訳ないと同時に、短時間で完璧に直してくれた彼らにとても感謝しています。決勝はとても難しいコンディションでした。まったくグリップしてくれず、強風にも苦しめられました。ベストを尽くしましたが、コース上にいることだけでも難しいような状況だったのです。転倒車も続出し、最後の3ラップはかなり危険な状態で、ストレートで3メートルくらいラインから外れてしまいました。レースの中止は正しい判断だったと思います。ポイント圏内に一歩、届かなかったのが残念ですが、来週のタイGPでまた頑張ります」
G・ニエト(スポーツ・ディレクター)談
「非常に難しい一日でした。ウォームアップではふたりとも転倒してしまい、ゴンザレス選手は激しいハイサイドでした。怪我がなかったのは幸いです。決勝も完全なウエットで、雨と風が激しく、ゴンザレス選手は序盤、なかなか自信をつかめませんでしたが、数ラップ後にはかなりペースが上がってきました。野左根選手は好スタートを決めてポジションを上げました。マシンのフィーリングも悪くなかったようですが、コンディションが厳し過ぎました。レースを中断し、その後、再スタートしないというレース・ディレクションによる判断に完全に賛同します。今日の風は本当に恐ろしく、再スタートを望む人はひとりもいませんでした」