MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.20 11月6日 バレンシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第20戦バレンシアGP
■開催日:2022年11月6日(日)決勝結果
■開催地:バレンシア/スペイン(4.005km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:27度 ■路面温度:32度
■PP:J・マルティン(1分29秒621/ドゥカティ)
■FL:B・ビンダー(1分31秒192/KTM)
REPORT
クアルタラロ、2022シーズンをランキング2位で終える
Monster Energy Yamaha MotoGPのクアルタラロは、非常に難しいミッションに向き合い果敢な走りを披露した。ライバルと正面からぶつかり合い、4位を獲得してランキング2位を手中にした。チームメイトのF・モルビデリは終盤でチャージをかけ、10位まで挽回して貴重なポイントを獲得している。
4番グリッドからスタートしたクアルタラロだが、第1コーナー進入では一斉に飛び込んでくる集団のなかに飲み込まれてしまう。そこから何とか6番手で抜け出したあとはファクトリー・ドゥカティの2台と激しく競り合い、ときには接触する場面もあった。とくにF・バニャイアとの5位争いでは、序盤から何度も順位を入れ替える熾烈なバトルが展開され、大観衆が客席から身を乗り出すように、勝負の行方をかたずをのんで見守った。
3ラップ後には、軽快な特性を発揮するYZR-M1とクアルタラロとのコンビネーションで5番手を確保。ここからさらにペースを上げ、トップ4台との1.6秒差を縮めにかかった。10ラップ目にはM・マルケス(ホンダ)が転倒したため一旦4番手に浮上するも、後方から追い上げたB・ビンダー(KTM)に先行されて再び5番手。やがて2位争いの集団が膨れ上がるなかで、クアルタラロは勝負に出ることができないまま終盤を迎えることとなった。そして残り5ラップでは前方を走るJ・ミラー(ドゥカティ)が転倒。クアルタラロは最後まで全力でプッシュしたが表彰台にはわずかに届かず、トップから1.911秒差の4位でチェッカーを受けた。
一方、16番グリッドからスタートしたモルビデリは第1コーナーでいつもの混乱に巻き込まれたが、うまく対処して15番手でオープニングラップを終了。前方のライダーのリタイアもあり13番手に上げたあとM・ベゼッキ(ドゥカティ)を数ラップにわたり追跡し、13ラップ目に勝負をかけて12番手につけた。
前方集団との間に1.5秒ほどの差があったが、終盤で2台が転倒したため10番手に浮上。ここからは前を行くバニャイアにハイペースで近づき、残り2ラップでは0.2秒差まで迫っていた。そしてVR46 Academyの仲間であり、クアルタラロのライバルでもあるバニャイアに最後までプレッシャーをかけ続けたが届かず。トップから14.676秒差の10位でチェッカーを受けた。
この結果、クアルタラロは合計248ポイントを獲得し、トップから17ポイント差でランキング2位。モルビデリは合計42ポイントでランキング19位となった。ヤマハは合計256ポイントでコンストラクターズ・ランキング2位、Monster Energy Yamaha MotoGPは合計290ポイントでチーム・ランキング5位で2022シーズンを終えた。
同チームはバニャイアの初タイトル獲得を祝福する。またヤマハは、クアルタラロとモルビデリ、チームメンバー、ヤマハ・エンジニアの多大な努力に心から感謝する。難しいチャレンジに立ち向かい、ランキング2位を獲得したことを大きな励みとし、2023シーズンに向けて準備を進めていく。
2日後の火曜日には、ここリカルド・トルモにおいて2023シーズンの公式IRTAテストが予定されている。
不運な最終戦、ビンダーとクラッチローがともに転倒
2022シーズン最終戦に臨んだWithU Yamaha RNF MotoGP Team。D・ビンダーとC・クラッチローはともに転倒したが、クラッチローは再スタートして16位でチェッカーを受けた。
17番グリッドからスタートしたクラッチローは、そのポジションをキープしてオープニングラップを終了。しかしそのあとは思うようにペースを上げることができず、4ラップ目にひとつ後退した。それでも懸命に戦い続けて一時はポイント圏内まで挽回したものの、7ラップ目に転倒。すぐさま再スタートを図り、20番手でコースに復帰すると前のライダーとの50秒以上の差を追う展開となった。その後、前方での転倒もあり16番手まで上がり、同チームから出場した6戦目を走り終えた。
一方のビンダーはウイークを通じて苦戦が続き、度重なる転倒で自信を失っていた。それでも決勝では序盤から果敢にプッシュ。4ラップ目まで23番手をキープしていたが、5ラップ目に転倒して、そのままリタイアとなった。
WithU Yamaha RNF MotoGP Teamは、ヤマハ、パートナー、ファンのサポートに報いるため、最終戦を好成績で締めくくることを願っていた。2022シーズンは最終的に、「素晴らしい旅」となった。チームを信頼し、サポートし続けてくれたすべての方々に感謝する。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手談(4位)
「非常に厳しい戦いでした。タイヤの左側に多くの負担がかかるなかでも100%を注ぎ続けましたが、表彰台や優勝にはまだ足りませんでした。今日はこれまでの数日よりも気温が高くなったので、フロントタイヤの左側が非常に柔らかくなっていました。それが勝てなかった原因です。少し残念な気持ちがありますが、バニャイア選手のタイトル獲得を祝福します。今は、早く新しいマシンを試してみたい気持ちでいっぱいです。でもその前に、今夜はまずお祝いをしなければなりません。そして火曜日、2023シーズンに向けた非常に重要なテストが行われます。私たちの将来のマシンに関することなので、本当に楽しみにしています」
F・モルビデリ選手談(10位)
「いいレースだったと思います。しっかり挽回することができました。懸命に戦い、何度もオーバーテイクを試みて序盤の遅れを取り戻すことができました。シーズンを振り返ると、支えてくれたクルーとチームに"ありがとう"と言わなければなりません。彼らは最後まで耐え続けてくれました。私がマシンのポテンシャルを十分に引き出せないとわかっていても、常にそばにいて支えていてくれたのです。彼らは私を信じてくれましたし、私もいつも彼らを信頼していました。マシンの問題を解決するためにハードワークに取り組み、それを続けてくれました。私たちは、いつも一緒にいます。ようやくマシンのスピードを引き出せるようになり、スムースなライダーからアグレッシブなライダーになれたことをうれしく思っています。また、このチームの雰囲気も大好きです。苦しいシーズンでしたが、ハッピーエンドになりました」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)談
「とても長いシーズンでした。多くのアップダウンを経験しながらも最終戦までチャンピオン争いを戦い続けましたが、結局、タイトル防衛を果たせなかったことは非常に残念です。とはいえ、多くの問題があったなかで最後までタイトル争いの候補者であり続けることができました。このこと自体がチームの強さを物語るものだと考えています。私たちチームは、一丸となって闘ってきました。2022シーズンの戦いに貢献してくれたひとりひとりにお礼を言います。しかしながら、私たちに休む時間はありません。火曜日には2023シーズンのテストがあり、タイトル奪回の計画がスタートするのです」
WithU Yamaha RNF MotoGP TeamがMotoGP
C・クラッチロー選手談(16位)
「この6戦の成果に満足しています。当初、想像していたよりも、ずっといいフィーリングを得ることができました。今回は厳しい戦いでしたが、私は好成績を信じていました。問題はおそらく、スタート時のタイヤ圧です。そしてそれが大幅に高まったことで転倒してしまったのです。再スタート後は単独走行となり、良いペースで走ることができました。あとはひたすら完走を目指し、できればチームのためにポイントを獲得したいと思っていました。総合的に決して悪くないウイークでした。ペースは問題なく、特別なこともありませんでした。私たちはヤマハとRNF MotoGP Teamのために自分たちの仕事を遂行し、満足して家に帰ることができます」
D・ビンダー選手談(DNF)
「最後のMotoGPをこのような形で終えることなり、非常に落胆しています。今回は本当に厳しい状況で、ウイークを通じてマシンのフィーリングに苦戦し、何度も転倒してしまいました。決勝はグリッド後方からスタートし、十分にプッシュすることもできず、フィーリングも良くなかったので、ただ自分の力を引き出して、1周ずつ積み重ねていくことだけを考えていました。そして結局、第2コーナーでまた転倒してしまったのです。今シーズンのなかでも、おそらく最悪のウイークだったと思います。シーズンを通して貴重な経験をさせてもらい、MotoGPマシンに乗るあらゆる瞬間をエンジョイしてきました。このような素晴らしいチャンスに感謝し、私と一緒に戦ってくれた人たちには、どれほど感謝しても、しきれない気持ちです。素晴らしいチームに恵まれ、最後まで支えてもらいました。彼らに心から感謝しています。これからは新しい冒険に向かっていきます」
R・ラザリ(チーム創設者・代表)談
「期待したような最終戦にはなりませんでしたが、チームとして1年目を終えたことに満足し、誇りに思っています。ビンダー選手は残念ながら転倒しましたが、クラッチロー選手はポイント獲得の希望を持ち続けて戦ってくれました。いろいろな意味で、記憶に残る週末になりました。私たちはダリンにお別れを言い、アンドレア・ドビツィオーゾに代わって加わったカルにお礼を言います。そして2019年からサポートしてくれたヤマハと、この冒険をともに旅してくれたパートナーにも感謝しています」
W・ズィーレンベルグ(チーム・マネジャー)談
「最終戦が終わりました。素晴らしいシーズンを戦い終えてタイトルを獲得したフランチェスコ・バニャイア選手を祝福します。私たちはウイーク初日から厳しい状況で、マシンにトラブルが発生したり、転倒が続いたりと苦戦しました。そして決勝でも、気温が低いなかでビンダー選手が転倒してリタイアに終わってしまいました。フロントタイヤのフィーリングをつかむことができず、何度もトラブルに見舞われました。
クラッチロー選手は基本的に好調で、トップ10まで挽回していましたが11ラップ目に転倒してしまいました。小さい転倒だったのですぐに立ち上がり、そのあとは良いリズムを保って最後まで走り切りました。転倒がなければ好成績を獲得できていたでしょう。いずれにしても、ふたりとも無事だったので安心しました。火曜日にはアプリリアでテストを行い、来シーズンの立ち位置を知ることができるので楽しみにしています」