MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.16 9月25日 日本
RACE DATA
■大会名称:MotoGP 第16戦日本GP
■開催日:2022年9月25日(日)決勝結果
■周回数:24周(115.224 km)
■開催地:もてぎ/日本(4.801km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:22度 ■路面温度:38度
■PP:M・マルケス(1分55秒214/ホンダ)
■FL:J・ミラー(1分45秒198/ドゥカティ)
REPORT
クアルタラロ、チャンピオンシップ・ポイントのリードを拡大
Monster Energy Yamaha MotoGPのF・クアルタラロは厳しい戦いを懸命に走り抜いた。チャンピオン争いの最大のライバルによるプレッシャーに耐えながら、すべてのタイトル候補を抑えて8位を獲得。チャンピオンシップのリードを18ポイントに拡大した。チームメイトのF・モルビデリはグリッド14番手からスタート後、単独走行となり、そのポジションを維持して2ポイントを加算している。
グリッド9番手からスタートしたクアルタラロは、オープニングラップの混乱のなかでポジションをキープ。A・エスパルガロ(アプリリア)がマシン・トラブルによりピットレーンからのスタートとなるなど、すべての主要ライバルを抑えたことで、その後は戦略的にレースを進めていった。前半はL・マリーニ(ドゥカティ)と8番手争いを展開。6ラップ目にはJ・ザルコ(ドゥカティ)がコーナーではらむ間に、2台そろって、ひとつずつポジションを上げた。さらにM・ビニャーレス(アプリリア)を追って行ったが、なかなか前に出ることができない。残り3ラップではタイトル争いのライバル、F・バニャイア(ドゥカティ)が背後に迫り、クアルタラロは攻めと守りを同時進行。しかし最後まで決して譲らず、8位を守り切ってチェッカーを受けた。その一方でバニャイアは最終ラップで転倒リタイアとなっている。
一方のモルビデリはグリッド14番手からスタート後、できるだけワイドに走りオープニングラップを15番手で終了。その後しばらくは周辺のライダーとバトルを展開していたが、転倒車が出るなかで集団は早々に分散して単独走行となった。しかしその後もプッシュを止めることはなく、好タイムを継続的に記録しながら最後まで走り切り、トップから19.012秒差の14位でゴールした。
この結果、クアルタラロはチャンピオンシップのリードを18ポイントに拡大し、合計219ポイントでランキング・トップをキープ。モルビデリは合計28ポイントでランキング19位を維持している。ヤマハは合計221ポイントでコンストラクターズ・ランキング3位、Monster Energy Yamaha MotoGPは合計247ポイントでチーム・ランキング5位となっている。
クラッチローがポイント獲得
WithU Yamaha RNF MotoGP TeamのC・クラッチローが15位獲得。D・ビンダーは転倒リタイアとなった。
第16戦日本GPは初日から最終日まで、さまざまな出来事があった。ドライ・コンディションのフリープラクティスは金曜日の1回のみ、激しい雨に見舞われた土曜日はプラクティスが中止となり、日曜日の決勝は一転、好天に恵まれて多くのサプライズが起きた。
同チームから2戦目の出場となったクラッチローは素晴らしいパフォーマンス。グリッド23番手からスタートしたあとオープニングラップでふたつ上げ、前半でさらにいくつか順位を挽回した。レース後半に入ると表彰台争いのペースにも迫る力強い走りを見せ、さらにポジションを上げて15位でチェッカー。チャンピオンシップの1ポイントを獲得した。
一方のビンダーは、この日も絶好のスタート。グリッド24番手から17番手まで上げてオープニングラップを終了し、そのまま数ラップにわたりポジションをキープした。全24ラップの中盤では18番手を走行しながら、前を行くクラッチローに迫ろうという展開。しかし14ラップ目に転倒し、再スタートを図るも、うまくいかず、ピットに戻ってリタイアした。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手(8位)
「ウイーク中のさまざまな状況のなかで、これまでに起こったあらゆることを考えると、8ポイントを獲得できたことは間違いなく良かったと思います。良かった半面、もっと前のほうで戦えるだけのポテンシャルがあると思っていたので悔しさも感じています。しかしながら、マーベリック(ビニャーレス)をパスすることはできませんでした。私は他のライダーたちとは異なる走り方をしていて、セクター2とセクター3でタイムをかせぎ、セクター4とセクター1では遅れてしまいます。タイヤ・チョイスを間違えたと思っていますが、そのなかでもよくコントロールできていました。ペッコ(バニャイア)のことは見ていませんでした。でも転倒した音は聞こえたので、それほど離れていなかったのだろうと思います。彼が追い上げてくることは予想していました。マーベリックのペースは良かったのですが、彼の後ろについてしまったために難しい戦いになりました」
F・モルビデリ選手(14位)
「序盤でアレックス・リンスと絡んで大きく遅れてしまいました。彼はマシンに問題を抱えているようでしたが、それでもパスを仕掛けてきて、前に出てははらみ、また前に出てははらみました。そのあとは10番手から15番手あたりの集団に追いかけ、最後にようやく追いつくことができましたが、それ以上はどうすることもできませんでした」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)談
「前回に続き、波瀾に富んだレースになりました。今回は、アラゴンGPで失ったポイントを奪い返すことができました。もともとは、より高いところを目指して臨んでいましたが、混戦となる中段グループからのスタートとなってしまったため、期待値を少し下げなければならないことはわかっていました。ファビオ(クアルタラロ)は8位獲得のために懸命にプッシュしなければなりませんでした。終盤はバニャイアからのプレッシャーによく耐えました。こうした状況に対応する能力が彼の成熟ぶりを証明しており、今回の8ポイントはチャンピオンシップにおいて非常に重要なものとなります。フランキー(モルビデリ)も同じような状況にありました。中段グループから追い上げるのは簡単ではなく、グリッド・ポジションが結果に響いてしまったのです。最終結果には満足できませんが、最後にはチャンピオンシップのリードを広げることができました。来週はトリプル・ヘッダーの最後となるタイGPに臨み、今週以上の成績を目指します」
WithU Yamaha RNF MotoGP Team
C・クラッチロー選手談(15位)
「正直に話すと、スターティング・コントロール・デバイスを押し忘れてしまったため最悪のスタートになってしまいました。今日は、我慢のレースになりました。そして長い道のりを経て、このポジションまで上がって来たのです。レース運びには満足しており、これ以上のことはできませんでした。とくにレース中盤はかなりペース良く走れていたと思います。スタートがうまくいっていたら、また予選がもう少し良かったなら、トップ10も楽に獲得できたはずです。そのことを考えれば残念な結果ですが、今日の走り自体には満足しています」
D・ビンダー選手談(DNF)
「14ラップ目に転倒して悔しい結果に終わりました。好スタートを決め、リズム良く走っていました。カル(クラッチロー)に抜かれたあと、彼のペースがとても良かったので、ついて行こうとしたのですが、14ラップ目で転倒してレースが終わってしまいました。フリープラクティスが中止になるなど走行時間が短縮されたなかで、転倒するまでは、いい走りができていました。次のブリーラムでもう一度、トライします」
R・ラザリ(チーム創設者・代表者)談
「カル・クラッチローはアジア・ラウンド初戦の日本で1ポイント獲得と活躍しました。昨日の予選セッションではイエローフラッグに阻まれて順位を上げることができませんでしたが、もしも、もっと前のほうからスタートしていたらトップ10に入っていたでしょう。ペースは素晴らしく、彼自身も好感触をつかんでいたので、チームとしては、この1ポイントに満足できます。
ダリン(ビンダー)は見事なスタートで7つもポジションを上げました。そのあとは残念ながらペースが落ちてしまいましたが、カルの後ろの位置をキープしていました。しかし14ラップ目にミスをして転倒してしまったのです。来週はタイのブリーラムですが、数日休んでからまたスタートします」
W・ズィーレンベルグ(チーム・マネジャー)談
「昨日までの2日間とはまったく違うコンディションになりました。気温は金曜日よりずっと高くなりましたし、土曜日は雨だったので、タイヤ・チョイスには誰もが不安を抱えていました。多くがリアにハード・コンパウンドを選択し、ヤマハ勢は誰もそれを試しませんでしたが、それが小さな間違いだったのかもしれません。いずれにしてもカルは今回もまた素晴らしいレース見せてくれましたし、トップに19秒差まで近づき、1ポイントを獲得できたことは良かったと思います。スタートではスタート・コントロールの設定を忘れ、またスターティング・デバイスを作動できなかったために出遅れてしまいましたが、それ以外は、素晴らしい結果でした。
ダリンは最初の8ラップは素晴らしく、ペースもとても良かったのですが、カルに抜かれて少し離されたあとは、第8コーナー立ち上がりでやや手間取りました。おそらくウイリーとパワーが強すぎたのでしょう。第9コーナーに進入し、マシンが安定したところでフロントをとられて転倒してしまいました。怪我はなく、すぐにマシンを起こしてレースを続けましたが、最後まで走り切ることはできませんでした。彼は非常に落ち込んでいますが、たくさんのことを学びました。走行時間が十分ではなかったので、彼にとってはとても難しい状況でした。次はブリーラムへ向かいます。天候が安定し、通常通りのプラクティスができるよう願うばかりです」