MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.12 8月7日 イギリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第12戦イギリスGP
■開催日:2022年8月7日(日)決勝結果
■開催地:シルバーストン/イギリス(5.902km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:22度 ■路面温度:43度
■PP:J・ザルコ(1分57秒767/ドゥカティ)
■FL:A・リンス(1分59秒364/スズキ)
REPORT
F・クアルタラロ8位、モルビデリ15位
Monster Energy Yamaha MotoGPのF・クアルタラロは、難しい状況のなかで最大限の収穫。絶好のスタート後、ロングラップ・ペナルティをスムースに完了し、ポジション・キープのためにマシンを大胆に使い切って8位でゴールした。チームメイトのF・モルビデリはグリッド20番手から15位まで上げてチェッカー。この結果、Monster Energy Yamaha MotoGPはイギリスGPで合計9ポイントを獲得。
クアルタラロはグリッド4番手の位置から見事なスタートを決めて2番手に浮上。トップを行くJ・ザルコ(ドゥカティ)の背後につけて最初の3ラップを走行した。ロングラップ・ペナルティは4ラップ目に完ぺきな形で実行されたが、3つポジションを下げてF・バニャイア(ドゥカティ)の後ろで本来のコースに復帰した。
真のレースがここから始まった。やがてザルコが転倒して自動的に4番手に上がったものの、依然として難しい状況が続く。トップ3台がバトルを展開する一方で集団が徐々に膨れ上がり、クアルタラロはそのなかでポジションを守ろうと懸命の走り。コーナースピードの優位性を利用して、ラインを可能な限りワイドにすることで応戦し、最終的にはトップから3.819秒差の8位でゴールした。
一方のモルビデリはグリッド20番手からスタート後、すぐさま身体を伏せてペースアップ。オープニングラップを16番手で終え、その後も安定したペースを守りながら少しずつ順位を上げていった。
レースの3分の1ほどが経過した時点で13番手まで浮上し、VR46 AcademyチームのM・ベッツェッキとL・マリーニ(ともにドゥカティ)に挟まれた格好で、3台でバトルを展開した。このバトルには敗れたものの、前方の転倒により13番手をキープ。そのまま好調な走りを続けていたが、終盤ではタイヤの消耗もあり、最終的に15位に後退してチェッカーを受けている。トップとの差は16.359秒。
この結果、クアルタラロはチャンピオンシップ・ポイントを合計180ポイントに伸ばし、リードを22ポイントに拡大。モルビデリは合計26ポイントでランキング19位を守っている。ヤマハは合計180ポイントでコンストラクターズ・ランキング2位を維持し、Monster Energy Yamaha MotoGPは合計206ポイントでチーム・ランキング3位となっている。
ドビツィオーゾとビンダー、最大限のポテンシャルを発揮
好天の下で行われた第12戦イギリスGP決勝。WithU Yamaha RNF MotoGP TeamのA・ドビツィオーゾとD・ビンダーはグリッド最後列からスタートし、それぞれ16位と20位を獲得した。
ドビツィオーゾはグリッド24番手からスタート後、1周目の第1セクターで3つポジション・アップ。レース後半になるとさらにペースを上げ、上位グループとも同等のスピードに近づいていた。まもなくチームメイトのビンダーをパスして19番手に上がり、残り5ラップでは18番手、さらに3ラップ後には17番手へと浮上。そして最終ラップではA・マルケス(ホンダ)をとらえ、16番手に上げてチェッカーを受けた。ポイントにはあと一歩、届かなかった。
一方、MotoGPルーキーのビンダーは厳しい戦いを強いられた。グリッド23番手から好スタートを切り、1ラップ目を終える時点で18番手まで浮上。しかし数ラップ後にはひとつ後退し、さらにドビツィオーゾに抜かれたあとも、そのペースについて行くことができなかった。その後は20番手をキープしてゴールした。
RACE RESULT
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手談(8位)
「今日の自分自身のレースには満足していません。非常に苦戦し、楽しんで走ることはできませんでした。リアのミディアム・コンパウンドが大きな問題になりました。ロングラップ・ペナルティを終えたあと5位に後退し、追い上げようとするなかでタイヤがオーバーヒートしてしまったのです。あっという間にグリップが低下し、そのあとはどうすることもできませんでした。あの時点で私たちの戦いは終わっていたのです。そのあとはただ苦しく、最後までその状況が続きました」
F・モルビデリ選手談(15位)
「この週末は、ある程度の進化が見られました。とくに決勝は良かったと思います。好スタートを切り、そのあともハイペースをキープすることができました。タイヤ・チョイスは正しくなかったのですが、そのことは気にしないようにしました。それよりも私自身のライディングとセッティングに集中していました。フロントが最後までもたないこと、そしてリアは決勝に適したものであることはわかってしました。そのなかでプラクティス・セッションと同じようにあらゆることを維持しようと、ひたすら周回を重ね、トライし続けました。タイヤが新しかったときはペースが良く、特別に素晴らしいというわけではなくても好ポジションを維持することができました。つまり一歩、前進したのだと思っています」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)談
「もう少し上を期待していました。ファビオ(クアルタラロ)は完ぺきに計画を遂行し、グリッド2列目から絶好のスタートを決め、2番手を維持してロングラップ・ペナルティを行いました。しかしこのペナルティは明らかにレースに大きな影響を与えました。彼はこの間にポジションを3つ下げ、しかも集団が非常に接近しているときと重なってしまったことは不運でした。あのあと急激にリアタイヤのグリップが落ちてしまったのです。フリープラクティスのなかでは、このような経験をしたことはなく、今にして思えば、リアにはハードコンパウンドを選択しておくべきだったということになります。しかしこのように苦しい状況のなかでも、ファビオは最大限の収穫をもぎ取っています。
フランキー(モルビデリ)は絶好のスタートから順位を上げ、最終的にポイント獲得につなげることができました。終盤でリアのミディアム・コンパウンドが消耗し、2台に抜かれてしまったことは残念でしたが、それでも今回は一定の前進が見られました。2週間後のオーストリアに向けて、また集中を高めていきます」
WithU Yamaha RNF MotoGP Team
A・ドビツィオーゾ選手談(16位)
「決勝ではちょっとした賭けに出ました。リアタイヤに今まで一度も試したことのないハード・コンパウンドを選択したのです。ところが、これが当たったのです。初めて使うタイヤに序盤は少し苦労し、思うようにペースが上がらず、レースの前半はマシンのポテンシャルを十分に引き出すことができませんでした。それでも終盤になるとタイヤをセーブし、それがうまく機能して最終ラップまでコンスタントに走り切ることができたのです。おかげで最後にいくつかポジションを上げることもできました。残念ながら、目標にしていたポジション獲得には届きませんでしたが、非常に近いところまで迫ることができました。グリッド24番手からのスタートは難しい状況で、そのなかで16位まで上がり、トップに20秒差まで近づけたことは一歩、前進だと思っています」
D・ビンダー選手談(20位)
「シーズン後半戦の最初のレースで無事にチェッカーフラッグをくぐることができてうれしいです。午前中のウォームアップ・セッションを終えたあと、決勝では終盤が厳しい戦いになると気づきました。金曜日のフリープラクティス第2セッションではリアタイヤにハード・コンパウンドを試しましたが、十分に暖めることができず、フィーリングも良くなかったので、今日はミディアムを選択していました。常に序盤から、できるだけ多くポジションを上げていこうとするのが私のスタイルで、今日も初めはとてもペースが良かったのですが、最後の5ラップはリアタイヤがグリップせず非常に苦しい戦いになりました。ここをスターティング・ポイントとして、後半戦のなかでさらに成長できるようがんばります」
R・ラザリ(チーム創設者・代表者)談
「難しいレースでした。しかしアンドレア(ドビツィオーゾ)は素晴らしい追い上げを見せ、フランキー(モルビデリ)のすぐ後ろの16位でチェッカーを受けました。一方のダリン(ビンダー)はアンドレア以上に苦戦し、ウイークを通して厳しい戦いを強いられました。それらを総合的に考えると、ドビ(ドビツィオーゾ)にとっては引退の発表後に良いレースができたと思います。私たちはこれからも前進を続け、次のオーストリアに臨みます」
W・ズィーレンベルグ(チーム・マネジャー)談
「シーズン後半戦の最初のレースが終わりました。結果的に、ふたりとも完走を果たしましたが、楽なレースではありませんでした。アンドレアはリアタイヤにハード・コンパウンドを履いてスタートしました。プラクティスでは使ったことがありませんでしたが、実際には非常に気に入ったようです。序盤はかなり遅いペースでしたが、後半は速く走れるようになり、終盤のマシンの挙動にも満足できていました。そしてタイヤを消耗してからも、私たちの予想以上に上位に近づくことができたのです。ダリンについては、最後まで走り切ることが最も重要な課題でした。前回は決勝中に何度も転倒してしまいましたが、彼にとっては決勝のなかでより多く学ぶことが大切なのです。彼は今日もハードにプッシュしていきました。彼の強みは前半戦にありますが、そのリズムを最後まで維持することがなかなかできません。マシンは良く走ってくれましたが、やがてリアタイヤがまったくグリップしなくなりました。そのあとはただマシンをゴールまで持ち帰ることしかできないような状態でしたが、彼はそれをやり遂げました。次のレースを楽しみにしています。これから荷物をまとめ、オーストリアを目指します」