MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.06 5月1日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第6戦スペインGP
■開催日:2022年5月1日(日)決勝結果
■開催地:ヘレス/スペイン(4.423km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:27度 ■路面温度:44度
■PP:F・バニャイア(1分36秒170/ドゥカティ)
■FL:F・バニャイア(1分37秒669/ドゥカティ)
REPORT
クアルタラロ、2位獲得でポイント・リードを拡大
Monster Energy Yamaha MotoGPのF・クアルタラロが第6戦スペインGPで2位を獲得し、チャンピオンシップ・ポイントで7ポイントのリードを築いた。チームメイトのF・モルビデリは終盤でチャージし、15位に入って1ポイントを獲得している。
クアルタラロはグリッド2位から好スタート。ポジションを守り、F・バニャイア(ドゥカティ)に続いていく。序盤から逃げ切りを図るバニャイアに全力で食らいつき、トップ2台は徐々に後続を引き離していった。
この2台だけが1分38秒台を切るハイペース。5ラップ目には1分37秒6を記録し、なおも激しい首位争いが続く。クアルタラロは毎ラップで限界までプッシュし、ぴったりと背後につけてチャンスを窺いながらプレッシャーをかけ続けた。最終ラップでの逆転を狙い、ときには危ういくらいにまで近づく場面もあったが、最終的には届かず0.285秒差の2位でチェッカー。しかし同時にチャンピオンシップ・ポイントではリードを拡大した。
一方のモルビデリは16番グリッドから好スタートを切って一時はひとつ上げていたが、再び16番手へ後退。ここからポイント獲得を目指してペースアップを図るも、タイヤの空気圧の問題に悩まされて思うような走りができなかった。
そのなかでもプッシュを続けたモルビデリはA・リンス(スズキ)のコースアウトやJ・ザルコ(ドゥカティ)の転倒もあり着実にポジションをキープ。懸命にプッシュしながらもタイヤを温存し、残り5ラップでは多くのセクターで自己ベストを更新した。そしてついにはL・マリーニ(ドゥカティ)をとらえて15番手に浮上し、最終ラップではM・ビニャーレス(アプリリア)にも仕掛けていったが届かず、トップから27.519秒差の15位でチェッカーを受け、1ポイントを手中にしている。
この結果、クアルタラロは合計89ポイントでランキングトップをキープし、モルビデリは合計18ポイントでランキング16位につけた。ヤマハは合計89ポイントでコンストラクターズ・ランキング2位に浮上。Monster Energy Yamaha MotoGPは合計86ポイントでチーム・ランキング3位を維持している。
チームは決勝翌日の月曜日、同サーキットで公式IRTAテストに臨む。
ドビツィオーゾ17位、ビンダーはリタイア
WithU Yamaha RNF MotoGP TeamのA・ドビツィオーゾは25ラップのレースを17位で終え、チームメイトのD・ビンダーはポジションアップを図りながら転倒リタイアとなった。
23番グリッドからスタートしたドビツィオーゾは21番手に上げてオープニングラップを終了。序盤はなかなかリズムがつかめなかったが、中盤から自己ベストを記録するなどペースを上げて20番手、さらに17番手まで浮上した。最後の10ラップではややペースが落ちたものの、懸命にポジションを守ってチェッカーを受けた。
一方のビンダーは25番グリッドからロケット・スタート。1ラップ目で18番手まで上がり、5ラップ目にはもうひとつ上げてポイント圏内にも近づいていた。しかし、その後、転倒。今季開幕以来、決勝中の転倒はこれが初めてだった。幸い怪我はなく、ルーキー・ランキングの2位も維持。次回ル・マンでも再び好調なパフォーマンスを発揮するため、翌日のIRTAテストで成果を目指す。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手談(2位)
「非常にタフなレースでした。後ろについているとフロント・タイヤがきつくなってくることがわかっていたので、1ラップ目でバニャイア選手をパスしたいと思っていました。全力でトライしましたが、彼は本当に速く、今日の私たちの戦いは、まさに異常なほどのペースだったのです。結局フロント・タイヤは非常に熱くなってしまい、大きな負担がかかっていました。そのためハードブレーキングができなくなり、彼のペースについていくことができませんでした。後続との距離がかなり大きく開いていたので、私たちは本当に速かったのだと思います。バニャイア選手の健闘を祝福します。結局、一度もオーバーテイクができなかったので本当のバトルとは言えませんが、非常に接近した激しいレースでした。私も彼も、大いにエンジョイしました」
F・モルビデリ選手談(15位)
「今日の私のように、グリッドの遥か後方からスタートしてオーバーテイクが難しい場合、フロントの空気圧がとてつもなく高くなり、ライディングもままならないような状態になってしまいます。そのため最初から最後までプッシュするのは基本的に無理なのです。私がプッシュしたのは、残り3ラップでマリーニ選手をパスしたときだけでした。実際のところ終盤のラップタイムは決して悪くなかったのですが、グリッドが後ろだとこのようなことになってしまいます。明日はテストがあるので、あらゆる個所に磨きをかけて一歩、前進を目指します」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)談
「今日の目標は、できるだけ多くのポイントを獲得することでした。いいレースができるコースだと考えていましたが、優勝は簡単ではないということもわかっていました。そのなかでの20ポイントは、クアルタラロ選手にとって非常に重要なものです。彼は勝利を目指してトライし、一時は十分に接近しましたが、ある時点で、この状況を考え直さなければならないことを理解しました。彼はきっと、この2位と、素晴らしいペースに満足していると思います。モルビデリ選手は午前中のウォームアップでようやく、マシンにごたえ手応えを感じられるようになりました。フィーリングがとても良かったのです。この新しいセッティングによって、2週間後のル・マンから彼のシーズンが本格的にスタートするだろうと考えています。今日はそれに間に合わず残念でした。グリッド6列目からのスタートでは難しかったのです。フロント・タイヤの空気圧が高まって非常に乗りにくくなっていましたが、彼は最後までしっかりコントロールしていました。まったく違う展開も可能だったかもしれないことを知りながら、できることをすべてやり通したのです。これは非常に素晴らしい兆候です。明日はテストもありますし、自信を持って臨めるル・マンをとても楽しみにしています」
WithU Yamaha RNF MotoGP TeamがMotoGP
A・ドビツィオーゾ選手談(11位)
「正直なところ、好レースは期待していませんでした。フロント・グリップが十分ではなく、周りのライダーたちも皆、それには悩まされているようでした。コーナー途中のブレーキングを誰も行わず、非常に難しい状況で、ここヘレスでは以前にも何度か同様のことがありました。しかしながらトップグループのラップタイムには驚きです。グリップがなければ、本来とても無理だからです。私ももっとプッシュしていくつもりでしたが、1ラップ目からそれは不可能だったので、あとはひたすら最後まで走り切ることだけを目指しました」
D・ビンダー選手談(17位)
「転倒してしまったことを非常に残念に思っています。それでも正直なところ、前回のポルティマオよりは満足しています。最後尾を走るよりも、ライバルたちと競り合って転倒するほうが良いということです。少なくとも最初の数ラップはライバルとバトルをして、私のほうが速いと感じることもできました。第9コーナーではマリーニ選手をうまくパスし、モルビデリの後ろについたときには少し興奮しました。第2コーナー進入で、何も変わったことはしていなかったのに、わずかにリアに挙動がありました。あと数ラップでも頑張ってモルビデリについて行きたかったのですが、結果はこのようなことになりました。ウォームアップでもグリップがかなり低かったのですが、うまくパワーをかけ、序盤で多くをパスし、とても順調だと感じていました。終わってみれば、今は今後の課題が非常に明らかになりました。明日のテストですべてを試し、それらのポイントに集中し、方向性を定めて進んでいきたいと思っています」
R・ラザリ(チーム創設者・代表)談
「今回もまた、ふたりにとって難しい戦いになってしまいました。そして残念ながら、私たちは1ポイントも獲得できずに終わりました。ウイーク初日から厳しい状況で、ふたりはリズムをつかめず苦戦しました。しかしながら、決勝ではビンダー選手がバトルを展開し、一時はモルビデリ選手の後ろの17番手まで上がり、38秒台のハイペースも見せてくれました。もちろん完走を望んでいましたが、今回も多くを学び、M1をより深く理解することができたことをうれしく思います。今日の成果は明日のテストにもつなげることができるでしょう。ドビツィオーゾ選手はスタートで出遅れてほぼ最後方まで下げてしまいましたが、そのあと17位まで挽回しました。依然として、気持ちよく乗れる状態ではありませんでしたが、ライディング・スタイルの修正を含めて明日のテストで改善を目指していきます」
W・ズィーレンベルグ(チーム・マネジャー)談
「第6戦ヘレスは非常に熱いレースになりました。ビンダー選手は多くのライダーをパスし、スピードも乗って来て良い仕事をしたと思います。プラクティスではリズムをつかめずにいましたが、決勝で見つけ、とくに加速時の対応や、マシンにどう乗るべきかについて、ヒントを得ることができたのだと思います。マリーニ選手をパスしたあとは熱くなりすぎてしまいましたが、これがまさに学びの段階なのです。
ドビツィオーゾ選手はフロント・グリップに悩んでいました。他のライダーたちがどの程度、感じているか本当のところはわかりませんが、彼にとっては大きな負担となりました。何度も転倒しそうになり、リズムをつかむことができませんでした。ふたりがより良い状態で乗れるよう、明日のテストのなかで改善を目指します」