MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.04 4月10日 アメリカズ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第4戦アメリカズGP
■開催日:2022年4月10日(日)決勝結果
■開催地:オースティン/アメリカ(5.513km)
■周回数:20周(110.26km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:26度 ■路面温度:37度
■PP:J・マルティン(2'02.039/ドゥカティ)
■FL:E・バスティアニーニ(2'03.521/ドゥカティ)
REPORT
クアルタラロが果敢な走りで7位獲得
強風に見舞われ、難しいコンディションのなかで行われた第4戦アメリカズGPで、Monster Energy Yamaha MotoGPのF・クアルタラロは持ち前の粘り強さとファイティング・スピリットを発揮し、7位でチェッカーを受けて9ポイントを獲得した。チームメイトのF・モルビデリは終盤までタイヤを温存して3台をパスしたが、最終ラップでコースリミット越えのペナルティによりひとつ下げ、16位となっている。
WithU Yamaha RNF MotoGP TeamのA・ドビツィオーゾとD・ビンダーともに20ラップを走り切り、それぞれ15位と22位を獲得している。
Monster Energy Yamaha MotoGPのクアルタラロが7位、モルビデリ16位
クアルタラロはグリッド6番手から絶好のスタート。5番手に上がってトップグループの背後につけた。しかし序盤の激しい競り合いのなかで少しずつ後退し、5ラップ目には8番手まで下げてしまう。
中盤になると、スタートで出遅れていたM・マルケス(ホンダ)が猛追。クアルタラロはYZR-M1のコーナースピードを最大限に引き出して応戦し、まずJ・ザルコ(ドゥカティ)をパスして7番手に浮上。しかしそのあとすぐにマルケスに先行を許し、再び8番手に後退した。このあとはマルケスの後方についてチャンスを窺いながら、他のライダーともバトルを展開。初めにJ・マルティン(ドゥカティ)がその相手となったが、すでに決意を固めていたクアルタラロはリスクを冒して攻め切り、これを抑え込んだ。最後の2ラップでは再びマルケスにプレッシャーをかけていき、マルケスが第6コーナーでミスする間に一瞬、前へ。この混乱のなかで辛うじて接触を避けたクアルタラロは、素早く体勢を立て直して第2セクターでもう一度トライ。しかしわずかに届かず、マルケスに続く7位でチェッカーを受けた。トップとの差は6.760秒だった。
一方、ウイーク初日から苦戦が続いていたモルビデリは決勝も難しい展開。グリッド19番手からスタート後、ひとつ上げてからすぐ20番手に後退し、その後は終盤での挽回に賭けてタイヤを温存する走りに徹していた。
7ラップまでにリズムをつかみ、R・ガードナー(KTM)パスしたあとは18番手をキープして単独走行。残り3ラップになると期待通りにタイヤの優位性が現れ始め、M・オリベイラ(KTM)、A・ドビツィオーゾ、L・マリーニ(ドゥカティ)を次々にパスして15番手まで浮上した。そのままポジションをキープしてゴールまで走り切ったが、レース後にコースリミット越えのペナルティが課されて16位となった。
この結果、クアルタラロとモルビデリは、それぞれ合計44ポイントと14ポイントでランキング5位と15位。ヤマハは合計44ポイントでコンストラクターズ・ランキング5位、Monster Energy Yamaha MotoGPは合計58ポイントでチーム・ランキング6位となっている。
WithU Yamaha RNF MotoGP Teamのドビツィオーゾがポイント獲得
グリッド15番手からスタートしたドビツィオーゾは1ラップ目を16番手で終了。懸命にペース・キープを試みるも、なかなかリズムをつかめず、9ラップ目にはもうひとつ下げて17番手に後退した。それでも終盤を迎えると徐々にラップタイムを短縮。残り2ラップでは再び16番手に上がり、さらにモルビデリを追って15番手争いを展開した。結局、届かず16番手でゴールしたが、モルビデリがペナルティを受けたため、ひとつ上げて15位となった。
一方のビンダーは、グリッド最後尾からのスタートと厳しい状況。そのなかでも、どんなチャンスも逃すまいと、全20ラップのレースを通して着実に経験を重ね、多くを学んだ。スタート直後にひとつ上げ、レース中盤では20番手に浮上。残り4ラップまで他のルーキー勢とバトルを展開していたが、電子制御システムの不具合が発生したため一旦、ピットへ。その後、再スタートして22位でチェッカーを受けた。
RACE RESULT
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手談(7位)
「レース序盤はアルゼンチンGPと同様の問題が少し出ていました。そのためライバルたちと比べるとグリップが不足していましたが、何とか乗り切ることができたと思います。序盤は大勢が接近しているのでポジションをキープするのは大変です。それでもいいレースができましたし、走りをエンジョイできたのでハッピーです。バトルは非常に激しく、たとえ6位争いであろうとマルクとの競り合いは楽しいものでした。ウイークを通してあまり調子は良くありませんでしたが、今回はとても価値あるものになったと思っています。勝利したレースよりも、今日のようなレースのほうが学ぶことが多いものです。今日はたくさんのことを学べたので満足しています。このあとはヨーロッパ・ラウンドに入りますが、そこではヤマハに優位なコースもたくさんあります。私はただ、いつも通りにベストを尽くすだけです」
F・モルビデリ選手談(16位)
「ウォームアップ・セッションでセッティング変更を決定し、テストをしないまま決勝に臨むことになりました。実際のところフィーリングは悪くなかったのですが、やはり調整は必要ですし、決勝を走りながら乗り方を探っていく状態だったのです。ですから少しずつ、1ラップ1ラップ学んでいきました。終盤でオーバーテイクできたのは良い成果だったと思っています。引き続きハードワークに励み、課題を理解し、また上位で戦えるよう頑張ります」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)談
「厳しいレースは始めから予想していました。そのなかでふたりとも全力を尽くしてくれました。ファビオ(クアルタラロ)は守備も攻撃も怠らず、常に100%で走るライダーですが、今日はそこにさらに10%を加算していました。フランキー(モルビデリ)はグリッド19番手スタートですから、より一層、厳しい戦いになりました。しかし周回が進むにつれて調子が上がり、新しいセッティングにも慣れてきてオーバーテイクを成功させています。ペナルティによってポイント獲得のチャンスを失ってしまったことは残念です。ここまでの4戦、私たちは決して満足していません。ヨーロッパ・ラウンドが楽しみです」
WithU Yamaha RNF MotoGP Team
A・ドビツィオーゾ選手談(15位)
「もっと上を目指していたので、正直、とてもがっかりしています。前との差を詰めようとがんばったのですが、マシンのフィーリングがあまり良くなくて、思うような走りができなかったのが残念です。安定した走りを目指していましたが、走行中にリラックスできていないとエネルギーを使い過ぎてしまいます。私はプラクティスのなかでほぼ使い果たし、決勝では十分な力が残っていない感じでした。マリーニ、オリベイラ、モルビデリとバトルしましたが、あまり速くなかったし、フィーリングも良くありませんでした。最終的に1ポイントを獲得できたことは良かったと思いますが、29秒という大差をしっかり確認し、分析しなければなりません。今日は速く走れる感じがしなかったので、とても残念です」
D・ビンダー選手談(22位)
「すべてにおいて、とても難しい状況にありました。私は何度も転倒し、レースへの自信を失っていたのです。それでもスタートし、序盤でミスをして何台か遅れてしまいました。ここから挽回を図り、ルーキー勢とバトルすることもできましたが、その矢先に技術的なトラブルが発生し、残り3ラップでピットに戻らなければならなくなりました。今回もまた、たくさんのことを学んだ感じがしています。体力的にも非常に厳しく、このマシンでこのコースを走るのは本当に大変でした。ただ多くの周回数を走れたことには満足していて、今後もっと強くなり、身体を整え、次のポルティマオに向けて準備するための課題も明確になってきました」
R・ラザリ(チーム創設者・チーム代表)談
「アンドレア(ドビツィオーゾ)とダリン(ビンダー)にとって非常に厳しいウイークになりました。しかしながら、そのなかでもアンドレアが1ポイントを獲得できたことは良かったと思っています。ダリンのほうは、ここCOTAでのMotoGPマシンの感触を理解しようと努力を続けましたが、最後まで苦戦を強いられました。前回のアルゼンチンから2週連続のレースで大変でしたが、貴重なデータを得ることができたので今後に活かしていきたいと思います。次回、ポルトガルで仕事を再開するのを楽しみにしています」
W・ズィーレンベルグ(チーム・マネジャー)談
「厳しいコースで厳しいレースを強いられました。ふたりとも非常にがっかりしています。アンドレアは1ポイントを獲得しましたが、トップから29秒という大差に明らかに不満を持っています。それでもベストを尽くし、最後まで戦い続け、1ポイントを持ち帰ってくれました。ダリンはプラクティスでの転倒もあり非常に苦労しましたが、決勝ではやるべきことをしっかりやり遂げたと思っています。集団について行き、終盤まで懸命にポジションを維持していましたが、電子制御システムの不具合でペースが落ち、ピットに戻らなければならなくなってしまいました。実際にはそのまま続行したわけですが、安全を考えて戻って来たのはいい判断でした。決勝中にまたも問題が起きてしまったことは非常に残念です。たとえ後方を走っていたとしても、状況変化の可能性もあるわけですから、このようなことは避けなければなりません。原因究明に努めます」