スーパーバイク世界選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。
Rd.12 10月12-13日 アルゼンチン
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権第12戦アルゼンチン大会
■開催地:アルゼンチン/エル・ビリカム(1周 4.276km)
■周回数:
レース1:21周(89,796km)
スーパーポール・スプリントレース:10周(42.760km)
レース2:21周(89,796km)
レース1
■開催日:2019年10月12日(土)
■コースコンディション:ドライ
■気温:31度
■路面温度:45度
■PP:A・バウティスタ(Ducati/1分40秒771)
■FL:A・バウティスタ(Ducati/1分40秒919)
スーパーポール・スプリントレース
■開催日:2019年10月13日(日)
■コースコンディション:ドライ
■気温:19度
■路面温度:32度
■PP:A・バウティスタ(Ducati/1分40秒771)
■FL:J・レイ(Kawasaki/1分37秒462)
レース2
■開催日:2019年10月13日(日)
■コースコンディション:ドライ
■気温:21度
■路面温度:37度
■PP:A・バウティスタ(Ducati/1分40秒771)
■FL:J・レイ(Kawasaki/1分38秒034)
REPORT
レース1:Pata Yamaha Teamの2台がトップ5入り
Pata Yamaha Teamは好調を維持し、M・ファン・デル・マークが4位、A・ローズが5位を獲得。この結果、シリーズポイントではファン・デル・マークがローズとの差を3ポイントに詰めてランキング3位争いを続けている。
一方、GRT Yamaha Supported TeamのS・コルテセとM・メランドリは、路面の悪コンディションを指摘し、安全性を確保できないとして欠場。同様の理由で合計6人が出場を取り止めたため、決勝は全12台で競われた。
路面および新たに舗装された部分のコンディションについては、当初から議論が続いていた。ウイーク・スタート前日の木曜日の午後にはサーキット・スタッフが清掃作業を行ったものの、適切な状態まで回復するのは難しく、路面の汚れと新舗装による浸潤のためグリップ不足が発生し、気温が上がるとさらに悪化した。
金曜日にフリープラクティス全セッションを終えるとクリーンな部分が拡大したため、土曜日にはフリープラクティス最終セッションと予選を行うことができたが、もしもミスやライバルによってラインから押し出されてしまうとグリップは大幅に低下する。路面の状態は世界選手権基準に遠く及ばず、2日間をかけて行った走行やメンテナンスによっても効果をあげることはできなかった。
このような問題にもかかわらず第1レースは予定通りの周回数で行われ、ペースは予想より遅かったもののひとつのアクシデントもなく無事に終了。出場した12名全員がポイントを獲得する結果となった。明日は好天と気温低下が予想されており、路面コンディションの向上が期待されている。
レース2:Pata Yamaha Team、好成績で第2レースを終了
Pata Yamaha TeamのM・ファン・デル・マークは、第1レースで1位となったA・バウティスタを残り4ラップでとらえて4位獲得。チームメイトのA・ローズも6位獲得と健闘した。この結果、シリーズポイントではふたりの差がさらに縮まり、ローズが1ポイント差で3位をキープしている。
ローズとファン・デル・マークは、午前中に行われたスーパーポール・スプリント・レースでそれぞれ5位と6位を獲得。第2レースはともにグリッド2列目から好スタートを切り、すぐさまリズムをつかんで表彰台争いを目指していった。
しかしローズはその後ペースが上がらず、ファン・デル・マークに離されて単独6位。ファン・デル・マークは終盤でバウティスタとの差を詰めて4位を獲得した。
GRT Yamaha Supported TeamのS・コルテセは午後のスーパーポールでトップ10を獲得。第2レースでは賭けに出たタイヤチョイスが功を奏さず、7ラップ目からグリップに苦しみ15位に留まった。
コルテセのチームメイトのM・メランドリは依然として、独自のライディング・スタイルをマシンに適応させることができずに苦戦。チームとともに懸命の努力を続けているが、なかなか効果があらわれず、午前中のスーパーポール・レースで15位、第2レースは14位で終えた。
WSBK RESULT Race.1
WSBK RESULT Superpole Race
WSBK RESULT Race.2
RIDERS RANKING WSBK
CONSTRUCTORS RANKING WSBK
COMMENT
レース1
Pata Yamaha Team
M・ファン・デル・マーク選手談(4位)
「今日もコンディションは理想的とは言えず、タフなレースになりましたが、すべては予想できたことです。予選で2位を獲得してフロントローから好スタートを切り、4台でいいバトルができました。そのあと早々に抜け出して引き離したのですが、7ラップ目くらいからリア・グリップが落ちてきてトップグループについて行くことができなくなってしまいました。今日のレースは本当のレースというよりサバイバル・レースのようなものでしたが、高ポイントを獲得できましたし、明日への課題を見つけることができたので良かったと思います」
A・ローズ選手談(5位)
「ペースを十分に上げることができませんでした。初めはトップグループの後方についていたのですが、ブレーキングとコーナー進入が思い通りにできず苦戦することになりました。1分42秒台をコンスタントにキープできることはわかっていたので、最後まで維持することに集中。レオン・ハスラムが迫ってきているのはわかっていましたが、それ以上にペースを上げることができなかったので、ミスをしないことだけを考えて走り切りました。それでも何度かラインをわずかに外れてしまうこともあって悔しい思いもしましたが、なんとか5位でゴールし、多くのデータを収集できたことはとても良かったと思っています。総合的に悪くない結果と言えます。今は明日の表彰台争いだけに気持ちを集中しています」
GRT Yamaha Supported Team
S・コルテセ選手談(NS)
「ファンのみなさんをはじめ、今日のために努力してくれたチーム、スポンサー、チーム・クルーのみなさんには大変、申し訳なく思っています。欠場を選択したマルコと私には批判もあると思いますが、路面状態が安全でないことは明白であり、自分の決断を信じています。明日、より良いコンディションのもとで2レースを行うなどの問題解決策を提案していましたが、それは拒絶されてしまいました。コースに出てレースをするのは私たちライダーです。問題が起きれば、私たちの安全が脅かされるのです。今日のことは本当に残念です」
M・メランドリ選手談(NS)
「この美しいコースでレースができなかったことはとても残念です。しかしスーパーポールで目撃したとおり、気温が上がると新舗装からの浸潤がひどくなって安全性を確保することができなくなってしまうのです。私の考えでは、このような危険な状況のなかでレースをするのはナンセンスと言わなければなりません。明日は気温が11度~12度も低くなるという予報が出ており、明日2レースを行うという選択肢もあります。そしてそのほうがずっとファンの皆さんに喜んでいただけるはずなのに、アイディアは却下されてしまいました。今日のことは誰にとっても残念なことだったと思いますが、安全性は常に最優先されなければなりません」
レース2
Pata Yamaha Team
M・ファン・デル・マーク選手談(4位)
「リザルトだけを見れば、それほど悪くないかもしれません。実際、今回のレースは誰にとっても非常に難しいものだったので、昨日の4位は良いスタートだったと思います。今日の午前中のスーパーポール・レースではマシンのフィーリングがつかめず苦労しましたが、第2レースの前に大幅な変更を行った結果、スタートから強さを発揮できるようになりました。もちろん、もっとうまくできたかもしれないと思うところもありますが、昨年は大いに苦しめられたこのコースで4位を獲得できたことを喜ぶべきだと思います。今は次のカタールに照準を合わせています。また表彰台争いを目指していきます」
A・ローズ選手談(6位)
「第2レースのスタートで1速へのシフトに手間取ってしまいました。さらにオープニングラップでサンドロ(コルテセ)のスリップストリームに付きましたが、おそらく少し速過ぎて、またシフトがうまくいきませんでした。ここで遅れてしまったことで、ポジションを挽回するのが難しくなったことがとても残念です。ペース自体は良かったのですが、どうしても追いつくことができませんでした。マイケル(ファン・デル・マーク)もスーパーポール・レースでは同じような問題を抱えていて、ペースはほぼ同等でしたが、私を追い抜けるほどではありませんでした。私自身、今日はよく乗れていましたし、ミスもなく、レースをエンジョイできていたので6位には悔しい気持ちがありますが、今はもう、次のカタールへ目を向けなければなりません。ランキング3位を守れるように頑張ります」
GRT Yamaha Supported Team
M・メランドリ選手談(14位)
「今回もまた、非常に苦戦させられました。私のこのライディング・スタイルが本来は私の強みなのですが、それがマシンとうまく合っていないようです。そしてハードプッシュをするたびにミスをして遅れてしまうのです。まるで私とマシンとが正反対の方向へ行こうとしているかのようです。問題を解決するためにチームとともにたくさんのことを試しましたが、結果が示すように、問題は未だそのままです」
S・コルテセ選手談(15位)
「午前中のスーパーポール・レースでは好スタートからとてもいいレースができました。第2レースも期待を持って、もう一度、好スタートを決めたのですが、タイヤチョイスのギャンブルが外れてしまい7ラップ後にはリアタイヤが完全にだめになってしまいました。そのあとどうやってゴールまでたどり着いたのか、はっきりとはわからないほどです。今日は好成績を獲得できると思っていただけに非常に残念。せっかく与えられたチャンスをつかむことができなかったのですから、今日は本当に悔しい一日です」
A・ドソリ、ヤマハ・モーター・ヨーロッパ・ロードレーシング・マネジャー談
「このアルゼンチン大会は、誰にとっても非常に難しいチャレンジになりました。私たちにはどうすることもできない状況が、ライダーとチームにいつも以上のプレッシャーを与えていました。そのなかで彼らが集中力を保ち、困難を克服してきたことをとてもうれしく思います。マイケル(ファン・デル・マーク)とアレックス(ローズ)はこの状況で考え得る最高の成績を残してくれました。マルコ(メランドリ)とサンドロ(コルテセ)のほうは、それ以上に苦しみ、残念ながら彼ら自身が望んでいた成績には届きませんでした。様々な困難のなかでも、終わってみればすべてのレースで安全が保たれました。学ぶべき教訓はありますが、レースに関わる全員が集まり、チャンピオンシップのために困難を克服しようとする姿を見ることができて良かったと思います」