スーパーバイク世界選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。
Rd.05 5月11-12日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権第5戦イタリア大会
■開催地:イタリア/イモラ(1周4,936km)
■周回数:
レース1:19周(93.784km)
スーパーポール・スプリントレース:10周(49.360km)
レース2:中止
レース1
■開催日:2019年5月11日(土)
■コースコンディション:ドライ
■気温:21度
■路面温度:28度
■PP:C・デイビス(Ducati/1分45秒180)
■FL:J・レイ(Ducati/1分46秒023)
スーパーポール・スプリントレース
■開催日:2019年5月12日(日)
■コースコンディション:ドライ
■気温:13度
■路面温度:16度
■PP:C・デイビス(Ducati/1分45秒180)
■FL:C・デイビス(Ducati/1分45秒727)
REPORT
レース1:ファン・デル・マークが表彰台争い
Pata Yamaha TeamのM・ファン・デル・マークが、イモラ・サーキットでイタリア大会の第1レースで4位を獲得。終盤でT・ラズガトリオグルと表彰台を競り合ったが、わずかに届かなかった。チームメイトのA・ローズはウイークの前半で胃痛に悩まされて厳しい状況だったが、決勝では果敢に攻め切り7位獲得と健闘した。
GRT Yamaha Supported TeamのM・メランドリは前日までセッティングに苦しんだが、これを克服して6位。チームメイトのS・コルテセはレース終盤の第12コーナーで転倒し、今季初めてのリタイアを喫した。
スーパーポールで実力を出し切れずグリッド8位に並ぶこととなったファン・デル・マーク。得意のスタートダッシュを決めるとオープニングラップで4位に浮上し、そのすぐ後ろにはチームメイトのローズがつける展開。2台のPata Yamahaはそのあとフォーメーションを組んで走行し、3ラップ目にローズが一旦前に出るも、体調不良の影響から少しずつ順位を下げていった。
再び前に出たファン・デル・マークはレース中盤、T・サイクスのリタイアにより3位に浮上。その後、ラズガトリオグル、L・ハスラムとの表彰台争いになると、11ラップ目の第2コーナー進入でラズガトリオグルに先行を許して4位に後退した。最後の2ラップではペースを上げて懸命に逆転を目指すが届かず、そのままの順位でチェッカー。走り終えたファン・デル・マークはラズガトリオグルの3位獲得を祝福し、激しいが互いにフェアだった終盤のバトルを喜んだ。
ローズはこのペースについて行くことができず、周回を重ねるうちに徐々に後退。初めにハスラム、次にメランドリに追い上げられて最終的には7位でゴールした。マシンの状態はとても好調なので、病気が治って体力が回復すれば、明日の第2レースでは表彰台を狙えるとしている。
メランドリはフリープラクティスと予選で多くのトラブルに遭遇。決勝までにいくらか改善されたことで6位を獲得し、母国のファンを喜ばせた。
一方のコルテセはフリープラクティス第2セッションでフロントにハード・コンパウンドを選んで転倒。決勝では序盤はトップ10につけていたが、残り3ラップで転倒してそのままリタイアとなった。
明日は現地時間の午前11時から10ラップのスーパーポール・レースが行われ、午後2時に第2レースがスタートする。
レース2:スプリント・レースでファン・デル・マークとローズが好調。第2レースは悪天候のためキャンセル
Pata Yamaha TeamのM・ファン・デル・マークとA・ローズは、スーパーポール・スプリント・レースでペースを上げ、それぞれ4位と5位を獲得。GRT Yamaha Supported Teamは力を出し切れず、S・コルテセが13位、M・メランドリはセッティング・ミスで17位に留まっている。午後は雨に見舞われ、安全性を考慮して第2レースは中止となった。
セッティング変更を行ってスーパーポールに臨んだファン・デル・マーク。これが功を奏して前日よりもペースが上がり、序盤でしばらくバトルしたあと少しずつ5位集団を引き離しにかかった。しかしこの頃すでにトップグループとの差は大きく、残りの周回数ではパスすることができずに、そのまま4位でチェッカーとなった。
一方、ウイーク初日から激しい胃痛に悩まされているチームメイトのローズ。スーパーポールではスタート直後から5位争いを展開し、懸命の走りで集団の先頭まで上がったものの、ファン・デル・マークのようにアドバンテージを広げることはできなかった。
コルテセはマシンと路面のフィーリングをつかめないまま13位。メランドリは天候変化を予想してウエット用セッティングを選択していたが、スーパーポールの10ラップの間はドライ・コンディションが続いたためペースを上げることができず17位に留まった。
WSBK RESULT Race.1
WSBK RESULT Superpole Race
WSBK RESULT Race.2
RIDERS RANKING WSBK
CONSTRUCTORS RANKING WSBK
COMMENT
レース1
Pata Yamaha Team
M・ファン・デル・マーク選手談(4位)
「予選で力を出し切れず、グリッド8位からのスタートとなりました。でも決勝は好スタートを決めることができ、序盤から4位争いに加わりました。マシンのフィーリングが完璧ではなかったにもかかわらずペースは上々。私よりも速いライダーが何人かいましたが、自分のやるべきことに集中して、序盤で何度かいいバトルができました。でも後半になるとトプラック(ラズガトリオグル)が追い上げてきて、ついにはパスされてしまいました。私はそのあとも全力でついて行き、終盤で彼のペースが落ちて来たら抜き返そうと思っていましたが、結局そうはなりませんでした。この間に何度かパスを試みましたが、そのたびに彼がうまく守り、前へ出るチャンスを与えてくれませんでした。イモラの表彰台は最高だと思いますが、4位にもとても満足しています。明日までにさらにマシンを磨き上げ、スーパーポールと第2レースに臨みます」
A・ローズ選手談(7位)
「身体の状況を考えれば、トップ10に入り貴重な9ポイントを獲得できたことにほっとしています。というのも、予選のあとはとくに最悪の状態だったのです。決勝のスタートが近づいても一向によくならなかったので、どこかでエネルギーを使い果たしてしまうだろうと思っていたのですが、なんとレース中はまったく不調を感じることがなかったのです。難しい状況のなかでベストを尽くすことができたので、この9ポイントはおそらく、今までで最高の9ポイントになると思います。今はとてもハッピーです。明日はもっとよくなって、トップ争いを目指したいと追います」
GRT Yamaha Supported Team
M・メランドリ選手談(6位)
「予選ほどではなかったけれど、今日もかなり厳しい戦いになりました。決勝に向けてセッティングを変更して、少しは改善できていたのですが、それでもまだ十分ではありませんでした。マシンのフィーリングがベストの状態ではないため、今は自分のライディングの強みを生かし切れていません。簡単なことではありませんが、改善を目指して根気よく仕事を続けるだけです」
S・コルテセ選手談(DNF)
「とても厳しいレースでした。昨日から苦戦が続いていますが、今日はとくに状況が悪く、結局、転倒に終わってしまいました。原因を探るべくデータ分析を続けている段階ですが、なんとか明日の2レースに間に合わせたいと思っています。きっとうまくいくと信じており、明日を楽しみしています」
レース2
Pata Yamaha Team
M・ファン・デル・マーク選手談(4位)
「スーパーポール・レースのために大幅にセッティングを変更。するとすぐさま好調に気づきました。とくに昨日の第1レースで苦労した部分が改善されていたのです。これによって自信を持って走ることができ、ペースも格段に良くなりました。好スタートを切り、序盤は少しバトルしましたが、その間にアルバロ(バウティスタ)に逃げられ、残り周回数のなかでは追いつくことができませんでした。後続には十分な差をつけていたので、非常にエキサイティングなレースというわけではありませんでしたが、マシンのフィーリングにもペースにも満足しており今はとてもハッピーです。第2レースは天候悪化のためキャンセルとなり、今日のこの好調を生かすことができなかったことは残念です。またレースを見に来てくれたファンのみなさんにも申し訳なく思っています。でも路面には大量の水が出ており安全を維持することが難しい状況でした」
A・ローズ選手談(5位)
「スーパーポールではマシンのフィーリングがとても良く、序盤でレオン(ハスラム)やトプラック(ラズガトリオグル)と好バトルを展開し、そのあと少しずつアドバンテージを広げることもできました。ベストラップは終盤になって出ているので、もしも早めにリードを広げていたらマイケル(ファン・デル・マーク)に追いつくこともできたかもしれません。いずれにしても、この難しい状況のなかでチームとして4位と5位を獲得できたのですから大きな収穫です。昨年は最も苦戦したこのコースで良い戦いができて自信になりましたし、個人的には体調不良に打ち勝ちポイントを獲得できたことにも満足しています。サーキットに足を運んでくれた多くのファンの皆様に心から感謝します。第2レースはキャンセルとなってしまいましたが、スーパーポールと、スリリングなレースを見ていただくことができて良かったです。短時間で大量の雨が降ったため、コースは水浸しの状態。3速や4速の高速コーナーが多く、そこに大量の水がたまっていたため、他のライダーたちに囲まれながらスピードを上げるのはとても危険な状況でした」
GRT Yamaha Supported Team
S・コルテセ選手談(13位)
「WorldSBKで最もタフなウイークになってしまいました。初日からセッティングに苦戦し、修正できないまま転倒も経験しました。1度目はオイルに乗って、2度目はテクニカル・トラブルによって、そして3度目は第1レースのなかで自分のミスが原因でした。でも、これがレースというもので、ときに非常に厳しい状況に追い込まれることがあるのです。それでも、すべての問題がこの1回に集約されるほうが良いと思います。この経験を糧に次に臨むことができるからです。今は、このあとのミサノ・テストと次回ヘレス大会を楽しみにしています。ここイモラは非常に難しいコースでしたが、ヘレスはよく知りつくした大好きなコースです。第2レースが中止になったのは残念。雨のなかで待ち続けてくれたファンの皆様に申し訳なく思っています。私たちライダーは全員がレースを望んでしましたが、路面状況を見れば、キャンセルの判断は正しかったと思います」
M・メランドリ選手談(17位)
「スーパーポールは非常に悔しい結果になりました。ウエットになると予想してセッティングを変更したのですが、ドライのままスタートとなり、セッティングを戻す時間がありませんでした。また、その他にもいくつか問題があって、序盤でトラブルが出たと勘違いしてプッシュできなかったのです。しばらくしてからペースを上げようと試みましたが、その頃には昨日以上に難しい状態になっていました。第2レースについては、もしも他のコースでこの雨に降られたとしたら、レースが可能だっただろうと思います。イモラは雨でもグリップに大きな問題はありませんが、コースレイアウトの特徴やセーフティー・ウォールの距離に不安があります。視界が悪いなかでのレースは危険すぎるのです。グリッドへ向かう前のサイティング・ラップはフィーリングが良かっただけに残念な気持ちもありますが、やはり中止の判断は正しかったと思います。雨のなかで応援してくれたファンの皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいです」
A・ドソリ、Yamaha Motor Europe Road Racing Manager談
「ふたつのチームが明暗を分ける形になりました。マイケルとアレックスは、過去にはあまり良いところがなかったこのコースで好調ぶりを見せてくれました。マイケルは昨日の第1レースで惜しくも表彰台を逃しましたが、今日のスーパーポールでのハイペースを見れば、第2レースでは表彰台獲得を現実的な目標にすることができたと思います。アレックスのほうは体調不良に苦しみ、かなり厳しい状況だったにもかかわらず、ふたつのレースで好成績を実現しました。ここイモラでのふたりの活躍はR1の着実な進化を証明するもので、以前は苦戦を強いられたコースでも良い戦いができることを確信させてくれました。サンドロとマルコは、それぞれ別の理由で苦しんでいました。サンドロは金曜日の転倒で走行時間が減ってしまった結果、マシンとコースのフィーリングをつかめないまま決勝を迎えてしまいました。一方のマルコはタイ大会からずっと同じ問題で悩んでおり、未だに本来のポテンシャルを発揮できていません。チームとしては、今月末にミサノ・サーキットで予定されているテストのなかで解決を目指し、次回ヘレスではマルコの活躍が見られることを期待しています」