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スーパーバイク世界選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。

Rd.04 4月17日 オランダ

RACE DATA

■大会名称:スーパーバイク世界選手権第4戦オランダ大会
■開催地:オランダ/TTアッセン(1周 4.542km)
■周回数:21周(95,382km)×2

レース1
■開催日:2016年4月16日(土)
■コースコンディション:ドライ
■気温:12度 ■路面温度:19度
■PP:T・サイクス(カワサキ/ 1分35秒440)
■FL:C・デイビス(ドゥカティ/1分36秒486)

レース2
■開催日:2016年4月17日(日)
■コースコンディション:ドライ
■気温:9度 ■路面温度:16度
■PP:T・サイクス(カワサキ/ 1分35秒440)
■FL:J・レイ(カワサキ/ 1分37秒706)

REPORT

【レース1】
天候に翻弄され、ポテンシャルを発揮できないままレースを終了

アッセンTTサーキットは変わりやすい天候。Pata Yamaha Official WorldSBKのA・ローズとS・ギュントーリは、本来の実力を発揮することができず悔しい結果に終わった。金曜日のフリー走行は激しい雨に見舞われたが、土曜日は一転してドライ・コンディションへ。そのため初めて試すセッティングで第1レースをスタート。ローズは8位でゴールしたが、ギュントーリは5ラップ目の第3コーナーで転倒、リタイアとなった。

予選でアクシデントがあったローズは、グリッド12位から決意の好スタート。前方の集団を素早くすり抜けると2ラップ目で7位へ浮上し、レース中盤までにさらに2つポジションを上げた。しかし終盤になると、路面のグリップ低下と難しいコンディションに悩まされてペースが上がらなくなってしまった。その後は転倒のリスクを避けるために無理なプッシュを止め、着実なポイントゲットに目標を切り替えて完走。これによって8ポイントを獲得し、ライダー・ランキングは11位に浮上した。第2レースでの挽回を狙う。

チームメイトのギュントーリは、午前中に行われたスーパーポール・セッションで1分36秒073の好タイムを記録して2位を獲得。初めてのドライ・コンディションとなった決勝をフロントロウからスタートした。予選での好調をそのままに、序盤からトップグループに加わり4位を走行していたが、強風と路面のグリップ不足に苦しみ5ラップ目で転倒。早々にレースを終了することとなった。第2レースは、現地時間の日曜日、午後1時にスタート。

 

【レース2】
雹、雨、晴天と、ひとつのレースにあらゆるコンディション

Pata Yamaha Official WorldSBK Teamは、タイヤチョイスでの賭けとピットストップの作戦で勝負。日曜日のアッセンTTサーキットは明るい太陽に恵まれたが、出場ライダーたちがグリッドに並ぶ直前、短時間ながらも激しい雨がコースを見舞った。そのため、路面はウエット、しかしすぐまた乾いてゆく難しいコンディションのもとでスタートし、A・ローズとS・ギュントーリは、それぞれ7位と11位でチェッカーを受けた。

路面が乾くスピードは未知。しかも再び雨が降る可能性も考慮しながら、ローズはフルウエットのセッティングでスタートを切った。素早くグリッドポジションの12位につけ、コースの知識と難しいコンディションを自らのアドバンテージとしてペースを上げてゆく。そして10ラップ目までに5位に浮上し、そこでタイヤ交換を決断した。スリックタイヤに履き替えてコースに戻ったローズは、6位争いを展開したあと7位でチェッカー。シリーズポイントでは9ポイントを加算し、ランキングは10位に上がった。次回は2週間後、イタリアのイモラ・サーキットで行われる。

アッセンでのこれまでのケースを念頭に、路面は急激に乾いてゆくと判断したギュントーリは、リアタイヤにインターミディエイトをチョイス。しかし不運にも予想ははずれ、そのなかでタイヤがなかなか暖まらず、十分なグリップを得ることができなかった。こうしてスタートで出遅れたことで、ピットストップの有効なタイミングも逃したギュントーリ。それでも中盤からペースを上げて11位へ浮上。5ポイントを加算し、ランキング8位につけている。

WSBK RESULT Race.1

WSBK RESULT Race.2

RIDERS RANKING WSBK

CONSTRUCTORS RANKING WSBK

COMMENT

A・ローズ選手談(レース1:8位)

「ウイークのほとんどで雨に見舞われ、プラクティスはウエット・コンディションばかり。ドライでのデータがまったくなかったので、今日は振り出しに戻ってしまったような感じだった。もちろんヤマハYZF-R1がここでレースをしたことはあるけれど、そのときはワールド・スーパーバイク仕様ではなかったし、電子制御システムも今のものとは違う。だからたった2ラップのデータだけで決勝に出てしまうのは大きなリスクなんだ。スタートは悪くなかったし、序盤は順調にペースを上げることもできたが、そのあとはフロントのグリップに悩まされて苦しい展開。昨日までは、難しいコンディションのなかでもうまく走れていただけに、このような結果になりとても残念だよ。明日はもっと上を目指していきたい」 

S・ギュントーリ選手談(レース1:DNF)

「第1レースは非常に残念な結果。トップグループについて行くために懸命にプッシュしていて、実際、ジョナサンとトムをとらえようとしていたんだ。強風が吹いていて、とくに第3コーナーでは激しくマシンを持ち上げようとする。僕はあのとき、いつもよりもちょっと速いスピードでコーナーに進入してしまい、フロントを滑らせて転倒。そして戦いはあまりにも早く終わってしまったんだ。懸命にがんばってきたけれども、今回は実を結ばなかった。でもこれからもプッシュし続け、トライし続けて上位を目指していきたい。予選はうまくいったので、できるだけトップグループについて行っていろいろ学びたかった。レースではこういうことが起こるものなので、今はただ、明日の再挑戦に向けて全力を尽くすだけ」 

P・デニング、チーム代表談

「シルバンの予選はとても素晴らしかった。しかし決勝では不運にも序盤で転倒してしまい、結果的には、前回のアラゴンと比較して決勝距離での進化ができたのかどうかを検証することができなくなってしまった。幸い怪我がなかったので、明日また挑戦だ!

アレックスのほうは、予選のアクシデントで12位となったが、好スタートを切って素早く前へ出て、みるみるうちに6位までポジションを上げた。しかし数周のうちにフロントのグリップ不足を感じるようになり、マシン全体の安定性も低下したようだった。そのためリスクを避け、慎重な走りに切り替えて完走を目指したというわけだ。

初めて走るコースでの経験不足とデータ不足に加え、天候の変化によって今日の予選が初めてのドライ走行になり苦労した。明日もドライ・コンディションになると仮定して、今日の結果を見ればどうしてもセッティング変更が必要だ。前進するためにベストを尽くす」

 

A・ローズ選手談(レース2:7位)

「とにかく難しいレースだったよ。天気がどうなっていくのか、またその変化に路面がどう反応するのか、誰にも予想がつかなかったからね。僕はリスクをおかさない範囲でできる限りYZF-R1をプッシュしながら、ピットストップのベスト・チャンスを狙っていた。そのなかでまずまずの成績とポイントを獲得することができたと思うけれど、目指していた場所には届かなかった。だからこれからも引き続き仕事に励み、改良、開発に取り組んでいく。次のイモラでの可能性に駆けたい」

S・ギュントーリ選手談(レース2:11位)

「コンディションがとても変わりやすく、翻弄されてしまった。このコースはいつも急速に路面が乾いていくので、僕は今回もそうなると予想していたんだ。だから1ラップ目はインターミディエイトが効果を発揮してくれると判断した。ところが予想がはずれ、そのあとは本当に苦しかったよ。作戦では、スタートはインターミディエイトで優位に立ち、そのあとスリックに履き替える予定だった。ところが最初の5分間で大幅に出遅れてしまい、リアタイヤもまったく暖めることができなかったんだ。これでピットストップの絶好のタイミングも逃してしまったため、作戦を変更せざるを得なくなった。タイヤチョイスの賭けが実を結ばず、とても苦しいレースになってしまった」

P・デニング、チーム代表談

「チームにとってもライダーたちにとっても、非常に厳しいチャレンジになった。でもワールドスパーバイク・ファンにとっては見ごたえある素晴らしいレースだったに違いない! 作戦として何ができたのか、何がベストの選択だったのかは今も明確に示すことができない。なぜなら、スターティング・グリッドに並んだときには彼らの頭上に黒い雲が広がっていて、コースは十分に濡れていて、それでも今までの例に倣い、路面は乾いていくと判断してスタートすることだけで非常に勇敢な行為なのだ。

アレックスはスタート直後、タイヤを温存するためにペースを抑えた。最後までしっかり走り切るために、あそこで十分に慎重になっていたのだ。しかしそれでも、金曜日の走行と同様に、このようなコンディションのなかで強さを発揮。チームもこれに応えてピットストップを最大限に有効に使い、絶好のタイミングでスリックに交換した。しかしウエット用のセッティングにスリックタイヤを履いたのだから、いつものように乗りこなすのは簡単ではなかった。この先、また同じようなコンディションに遭遇したら、そのときは今日のことを教訓にして、スタートの時点でできるだけセッティングの妥協点を見つけておきたい。アレックスにとっては今回もまた貴重な経験になったはずだ。

シルバンのほうは、グリッド上でのギャンブルが実を結ばなかったということ。終わってみれば、ピレリ製インターミディエイトのリアタイヤはウエット・スタートには正しい選択ではなかったし、路面が乾き始めてからそのアドバンテージを活用しようとしたときには、フロントのウエット・タイヤを消耗してしまっていた。あとは完走を目指すだけで精いっぱいで、彼は懸命にそれを達成し、ポイントを獲得した。

一言で言えば今回もまた厳しい戦いになったわけだが、シーズンの早い段階でこのようになることは誰もが想定していた。ヤマハ、チーム、このプロジェクトにかかわるすべての人が今回のことから学び、次の戦いでは修正していきたい」

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