ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.03 5月5日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第3戦スペインGP
■開催日:2013年5月5日(日)決勝結果
■開催地:スペイン/ヘレスサーキット(4.423km)
■周回数:27周(119.421km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:27度 ■路面温度:47度
■PP:J・ロレンソ(1分38秒673/ヤマハ)
■FL:J・ロレンソ(1分39秒565)
REPORT
ロレンソは3位、ロッシ4位、クラッチロー5位でゴール
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソが3位、チームメイトのV・ロッシは4位、モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・クラッチローは5位、チームメイトのB・スミスは10位でゴールし、ヤマハライダー全員がポイントを獲得した。ロレンソは最終ラップまで2位を守っていたが、最終コーナーでM・マルケス(ホンダ)のラインと交錯・接触しての3位フィニッシュだった。
ポール発進のロレンソ。ホールショットこそD・ペドロサ(ホンダ)に譲るも、続くコーナーでトップに立ちレースをリード。3周目の順は、ロレンソ、ペドロサ、マルケス、ロッシ、クラッチローとつづく。首位を守っていたロレンソだったが、タイヤのグリップが急激に低下し、6周目には再びペドロサに先行され2番手に。その数周後には、マルケスがロレンソのすぐ後方まで追い上げ2人のテールツーノーズがしばらく続く。ここでブロックラインをトレースするロレンソの先では、ペドロサがリードを広げていき、10周目には1.6秒差がついてしまう。一方ロレンソとマルケスの2番手争いは、中盤には1秒差のこう着状態となり、ロレンソが単独2番手をキープ。
上位3人の順位が安定した15周目頃、順位を挽回してきたのがクラッチローだった。A・バウティスタ(ホンダ)のすぐ後方につくと、17周目にこれを交わして5番手に復帰、ロッシの後を追っていく。
おなじ頃、16周目にロレンソはマルケスに1秒差をキープし後半に臨んでいた。しかし19周目に差は0.4秒まで詰まってくる。その差は終盤少しずつ詰まり、ラスト2周で約0.4秒差、最終ラップに入るときの2人の差は0.3秒。ロレンソが2位キープのまま最終コーナーに入るが、ここでマルケスが再びチャージ。最終コーナーでインをさしたマルケスとロレンソのラインが交錯。2台のカウルが接触した弾みで、ロレンソはアウト側に膨らみ後退して3位でのゴールとなった。
グリッド2列目発進のロッシ。レース開始直後はロレンソ、ペドロサに続く3番手に浮上したが、直後にマルケスに先行されて4番手に。懸命な追い上げを見せるも、決勝用セッティングが十分に煮詰まっていなかったことから、トップ3のペースについていくことができなくなり徐々に差をつけられ、4位ゴールとなった。
スミスも見事なレース展開で注目を集めた。スミスは全27ラップのほとんどの時間帯でA・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)、A・エスパルガロ(ART)、M・ピロ(ドゥカティ)らと8位争いを展開。24ラップ目にピロをパスして10位に浮上し、さらに前を行くエスパルガロとの差を詰めていく。最終的に9位には届かなかったが、初めてのトップ10入りを果たした。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 45'17.632 |
2 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | +2.487 |
3 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | +5.089 |
4 | V・ロッシ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | +8.914 |
5 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +12.663 |
6 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | +15.094 |
7 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | +25.632 |
8 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | +41.881 |
9 | A・エスパルガロ | Power Electronics Aspar | ART | +43.812 |
10 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +44.461 |
11 | M・ピロ | Ducati Test Team | Ducati | +45.974 |
12 | H・バルベラ | Avintia Blusens | FTR | +59.859 |
13 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | +1'09.743 |
14 | D・ペトルッチ | Came IodaRacing Project | Ioda-Suter | +1'17.813 |
15 | C・エドワーズ | NGM Mobile Forward Racing | FTR Kawasaki | +1'18.177 |
16 | B・スターリング | GO&FUN Honda Gresini | FTR-Honda | +1'18.928 |
17 | C・コルティ | NGM Mobile Forward Racing | FTR Kawasaki | +1'19.307 |
18 | 青山博一 | Avintia Blusens | FTR | +1'19.457 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Honda | 61 |
2 | D・ペドロサ | Honda | 58 |
3 | J・ロレンソ | Yamaha | 57 |
4 | V・ロッシ | Yamaha | 43 |
5 | C・クラッチロー | Yamaha | 35 |
6 | A・バウティスタ | Honda | 28 |
12 | B・スミス | Yamaha | 10 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 66 |
2 | Yamaha | 57 |
3 | Ducati | 27 |
4 | ART | 17 |
5 | FTR | 7 |
6 | PBM | 3 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(3位)
「僕はいつだってポジティブだから、今日もポジティブに受け止めているよ。16ポイントの結果を獲得できたのだから素晴らしいと思う。でもずっと2位をキープしていながら最終コーナーで逆転されてしまったのだから、完璧なレースはできなかったということ。完璧なレースができたなら優勝。それがだめなら2位。そしてその次が3位。今日は3位を獲得できて、また表彰台に上ることができた。しかもトップから大きく離されたわけではないのだから悪くないよ。でもその一方で、マシンの改善は必要だと思っている。今日はふたつのミスをした。ひとつめがスタート。もうひとつは最終ラップの最終コーナーだ。マルケスはもっとずっと後ろにいると思っていたので、ディフェンシブなラインをとっていなかったんだ。これは完全に僕のミス…」
V・ロッシ選手談(4位)
「難しいレースだった。コンディションにも悩まされ、最大限の努力はしたつもりだけれど、やっぱりこれ以上は無理だったんだ。決勝前にセッティングを調整し、好スタートを切ることができた。これでトップグループに入ることができたんだけれど、そのままついて行くにはスピードが不十分だった。ラップを重ねるごとに差が広がってしまうんだ。ここヘレスではライバル勢より速く走れるはずだと思っていたんだけれど、結果を見れば彼らのほうが上。僕らはもっとマシンを改良していかなければならない。明日はここでテストを行うので、最適なバランスを見つけるために努力したい。ランキングではトップから大きく離されたわけじゃないし、今日も大切なポイントを獲得することができた。表彰台に上れたらもっと良かったけれど、残念ながらそれは不可能だったんだ。次回に賭けるよ」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「状況が変わり、非常に厳しい戦いになった。最初から最後まで、マシン・コントロールに悩まされてしまった。でもそのなかで最終的に表彰台を獲得できたことはとても重要だ。わずか5周でグリップが大きく低下し、ホルヘはその良いところを使いきれなかった。そんな状況のなかで最後まで走り切り、マシンを無事に持って帰ってきてくれた。そこに大きな意味があるのだ」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「非常に苦しいレース・ウイークになった。タイヤの耐久性を高めるために懸命に努力してきたが、結局、求めていたものを手に入れることはできなかった。残りのシーズンのためにも、明日のテストでこの問題の解決に取り組んでいく。その一方で、順位やポイントは悪くなく、トップから大きく離されてはいない。シーズンは長いし、バトルには敗れたが、これは戦争ではないんだ! ふたりとも精一杯、頑張ってくれて、スタートからゴールまで100%の力でプッシュし続けた。その意味で総合的には、いいレースだったと言っていいだろう」
C・クラッチロー選手談(5位)
「ウイーク前半はとても調子が良かったのに、昨日の予選では2回も転倒してしまった。そのことを考えれば、5位獲得という結果は決して悪くないだろう。レースのなかではフロントエンドの感触をつかみきれず苦労した。今回はヤマハ勢の全員がこれに悩まされていたようだ。とくにレース序盤は燃料が満タンでブレーキが効きづらく、グリップもままならない状態だったけれど、レース中盤になるとペースが上がってきてプッシュできるようになったんだ。体力的には問題なかったけれど、腰の痛みは少し残っていた。このようにいろいろな面で難しいレースだったので、5位には満足している。去年の僕ならおそらく、最後まで走り切ることができなかっただろう。その分、確かに成長していると思えるんだ」
B・スミス選手談(10位)
「初めてのトップ10入り。とくに昨日までとはコンディションが変わったなかで、このような結果を得ることができてとてもうれしいよ! ラップタイムが比較的遅く、気温のせいでグリップも落ちていた。こうした状況が貴重な経験を与えてくれたんだ。グリップが少ない状況でモトGPマシンを走らせなければならなかったので、序盤は少し手間取ってしまった。中盤頃から少しずつ手ごたえを感じられるようになって、気持ち良く走れるようになってきたんだ。エスパルガロにまた負けてしまったのは悔しいけれど、前回よりは距離が縮まったのは良かったよ。終盤で一気に差を詰めていったけれど、途中で時間切れになってしまった。前回のオースティンではトップから50秒の差があったが、今回は44秒まで近づいた。これは間違いなく良いことなので、これからも差を縮め続けることを目標にしていくことになるだろう。
明日のテストがとても楽しみ。僕にとってはまた新しいことを学べるチャンスだからね。レースを終えたばかりのコースで、しかもフィーリングが良くなってきたところでテストできるのがいい。明日はいくつかのパーツをテストし、どれが良くてどれが良くないかを判断していくことが課題になるだろう。今回もまた、走るたびに前進することができた。全体的にとても順調なウイークだったと思う」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム、チームマネジャー談
「カルはウイークを通して素晴らしかった。昨日は2回の転倒があり厳しいレースになったが、見事なファイティング・スピリットを見せてくれた。そして序盤はバレンティーノと、そのあとはバウティスタと見応えあるバトルを展開。ついにはバウティスタをつかまえて、ロッシの後ろに続いて行ったが、すでに2、3秒の差があったことは残念だった。4位争いの力を確かに持っていたのだ。ランキングも5位をキープしており、バレンティーノとの差もわずか。この事実が大きな励みになっている。ブラッドリーのほうも、今回もまた走るたびに成長し、今日はついにトップ10入りを果たした。ハードなレースのなかでアンドレア、ピロと見応えあるバトルを展開。そして最終的にはピロをパスして、さらにドビツィオーゾに近づいてフィニッシュした。このような頑張りを通して手ごたえをつかみ、大きな自信を得ることができたはずだ。次回ル・マンは、我々にとって非常に重要となるホームレース。チームの全員が今から心待ちにしている」
津谷晃司、MS開発部 モトGPプロジェクトリーダー談
「ここヘレスサーキットは、旋回性とブレーキ安定性の高次元でのバランスが要求される非常にテクニカルなコースです。今週は天候に恵まれましたが、午前と午後のセッションで路面温度が30℃以上も異なり、レース時には50℃を越す難しいコンディションとなりました。いかにタイヤの性能を引き出し続けられるかが勝負の鍵でしたが、ロレンソ選手はレース中のファステストタイムを記録しながら走行し、タイヤのグリップ低下をマネージしつつ表彰台を獲得。ロッシ選手も粘りの走りで4位、昨日の転倒で腰を痛めたクラッチロー選手も痛みをこらえながらサテライトチーム最上位の5位でフィニッシュしました。今回の結果は、明日のテストでしっかり分析し、次戦ルマンで巻き返しを図れるように早速準備を始めています。皆様の応援が我々の原動力ですので、今後も変わらぬご声援をよろしくお願いします」