ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.16 10月21日 マレーシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第16戦マレーシアGP
■開催日:2012年10月21日(日)決勝結果
■開催地:マレーシア/セパン(5.548km)
■周回数:13周(72.124 km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:25度 ■路面温度:31度
■PP:J・ロレンソ(2分00秒334/Yamaha)
■FL:D・ペドロサ(2分14秒670/Honda)
REPORT
J・ロレンソが2位獲得
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソが、ウエット・コンディションで2位を獲得。ロレンソはポールポジションの位置からホールショットを奪い、D・ペドロサ(ホンダ)が僅差の2位で追う展開。しかし9ラップ目の最終コーナーでペドロサに先行を許し、トップ2の順位が入れ替わった。この頃から雨が激しさを増し、ライディング自体が難しい状況になるなかで、ロレンソも第15コーナーで危うく転倒しそうになっているが、13ラップ目、転倒者続出のためレッド・フラッグが提示されてレースは終了した。
ロレンソのチームメイトのB・スピースは、スタートで他のライダーのスピンを避けようとして3台に抜かれ、9番手で第1コーナーへ進入。3ラップ目にはさらにひとつ下げて10位となった。その後は徐々にペースをつかんでラップタイムを上げてきたが、ここから挽回という矢先の8ラップ目、他の多くのライダー同様、雨に足元をすくわれて転倒した。これでノーポイントとなったスピースは、シリーズポイントの合計88ポイントでランキング10位。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのA・ドビツィオーゾとC・クラッチローは、今週になって初めのウエット・コンディションのなか積極的に攻めていったが、いずれもトップ5を目指して走行中に転倒を喫した。ドビツィオーゾは再スタートして13位。クラッチローはリタイアとなった。
今季7度目の表彰台を狙うドビツィオーゾは、ディフェンディング・チャンピオンのC・ストーナーに続く4番手につけ、果敢な走りでパスするチャンスをうかがっていた。しかし10ラップ目、雨が激しくなり路面コンディションも悪化するなかで転倒。幸いダメージがなかったため再スタートし、14位でコースに復帰した。そして14ラップ目、コース上の水かさが増したためレッド・フラッグが提示されてレースは中断。この時点であと7ラップが残っており、リスタートが予定されていたが、コンディションの回復が見込まれないと判断されて、そのままレース終了となった。この結果、ドビツィオーゾは13位を獲得して貴重な3ポイントを手にした。
一方のクラッチローは、難しいコンディションのなかで慎重にレースをスタート。大きなリスクをおかすことなく、10位から5位まで着実にポジションを上げていったが、11ラップ目、N・ヘイデンとS・ブラドルをパスした直後に転倒。そのままリタイアとなった。この結果、ランキング5位獲得は難しい状況となってしまったが、依然として、次のフィリップ・アイランドではまた表彰台獲得を目指す意気込み。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 29'29.049 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | +3.774 |
3 | C・ストーナー | Repsol Honda Team | Honda | +7.144 |
4 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | +10.518 |
5 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | +16.759 |
6 | A・バウティスタ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +17.276 |
7 | H・バルベラ | Pramac Racing Team | Ducati | +50.282 |
8 | A・エスパルガロ | Power Electronics Aspar | ART | +51.585 |
9 | J・エリソン | Paul Bird Motorsport | ART | +56.676 |
10 | K・アブラハム | Pramac Racing Team | Ducati | +57.622 |
11 | D・ペトルッチ | Came IodaRacing Project | Ioda | +1'02.805 |
12 | M・ピロ | San Carlo Honda Gresini | FTR | +1'02.891 |
13 | A・ドビツィオーゾ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +1'28.989 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha | 330 |
2 | D・ペドロサ | Honda | 307 |
3 | C・ストーナー | Honda | 213 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Yamaha | 195 |
5 | A・バウティスタ | Honda | 154 |
6 | V・ロッシ | Ducati | 148 |
7 | C・クラッチロー | Yamaha | 135 |
10 | B・スピース | Yamaha | 88 |
24 | 中須賀克行 | Yamaha | 7 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 362 |
2 | Yamaha | 346 |
3 | Ducati | 174 |
4 | ART | 87 |
5 | BQR | 31 |
6 | FTR | 30 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(2位)
「時速20kmで走っていいなら楽なんだけど、今日のような最悪のコンディションのなかで限界を追求しようとするのはとても無理だよ。あのまま行っていたら僕も転倒していただろうから、あそこでレースをストップしてくれてとても助かったし、それが正しい判断だったと思う。ダニとケイシーはリア・タイヤにハード・コンパウンドのものを使っていたんだけれど、僕はソフトを選んでいた。もしもコンディションが悪くなければ、彼らはタイヤのセンターを温存することになるんだけれど、このようにひどい雨のなかでは全体を十分に使えていたようだ」
B・スピース選手談(DNF)
「何てショッキングなレース!コース上は、まさに水びたしだったよ。ニッキーに接触してしまったことは、大変申し訳なく思っている。十分なスペースがあると思ったんだけれど、ブレーキングで予想外についてしまったんだ。彼を巻き込まずに済んで本当に良かった。それにスタートもかなり危なかったんだ。ドビツィオーゾがグリッド上でスピンして、危うくぶつかりそうになったけれど、何とか避けることができたよ。今日は、僕のこれまでのキャリアのなかでも最悪のコンディションのひとつ。転倒で肩を打ってしまい、今はまだかなり痛むんだけれど、大事には至らなかったので来週は走れそうだ」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「最悪のウエット・コンディション!そのなかでホルヘは本当にいい走りをしたよ。初めは逃げ切りを図ろうとしていたが、状況を見て、それよりも転倒しないことを重視して慎重な走りに切り替えた。その結果、2位を得たことは、チャンピオンシップの面でとても良かったと思う。残りは2戦。次のフィリップ・アイランドに向けての準備はすでに整っている」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング、チームディレクター談
「コンディションは最悪。ライダーの安全を保証しなければならないので、レース中断は正しい判断だった。ホルヘは2位を獲得し、依然として23ポイントのリードを保ってランキング・トップを守っている。それが今日の収穫だ。ベンのほうは、何とか残りの2戦で好成績を残してもらいたい。幸い、大きな怪我はなかったので、来週のレースは問題ないだろう。次回もまた、2位を目標にするつもりはない」
A・ドビツィオーゾ選手談(13位)
「決勝が雨になってしまい、本当に残念。フリープラクティスはドライ・コンディションで、第1セッションから絶好調。それなのに今日はこのような最悪のコンディションになり、まったくアンラッキーだ。暑さのなかでのハード・レースに照準を合わせ準備を整えていたので、ドライならば間違いなく表彰台争いを展開できたと思う。天候ばかりはどうすることもできないけれど、やはりウエットでドライと同様の好感触を得るのは不可能だった。今週は今日まで一度もウエットがなかったので、決勝でいきなりというのは非常に難しい。それでスタートでは激しくスライドして、いくつか順位を下げてしまったけれど、そのあとすぐにリズムを取り戻してペースも上がってきたんだ。ただリア・グリップが不十分だったので、コーナー立ち上がりは苦労したよ。ケイシーをパスしたくて一生懸命、頑張ったんだけれど、フルバンクで走行中にフロントが流れてしまった。何とか再スタートして、わずかなポイントを獲得することができたけれど、もっとたくさん欲しかったから悔しいよ。来週のオーストラリアに期待してね」
C・クラッチロー選手談(DNF)
「悔しい気持ちでいっぱいだよ。今回のノーポイントで、ランキング5位獲得の夢がかなり遠のいてしまったからね。バレンティーノとアルバロは僕の後ろを走っていただけに残念な結果だ。雨がいよいよ激しくなっていたので、マシンを立ててブレーキングしたのに転倒してしまった。深い水たまりにはまってしまったらしく、どうすることもできなかったんだ。今回はフリープラクティス中も、なかなかセッティングが決まらず、ドライ・コンディションでもリア・グリップが思うように効いてくれなかった。それがなぜかウエットでも同じ状況だったので、今後のために原因を探り出さなければならない。すべてをブレーキングに賭けなければならず、懸命にプッシュして、そして転倒してしまったんだ。フィリップ・アイランドは大好きなコースなので、2戦連続の悔しさを晴らせるよう期待しているよ」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム談
「アンドレアがフロントロウを獲得していたため、昨日の時点で我々は自信にあふれていた。彼自身も表彰台争いに前向きで、ダニやホルヘを追い詰めて行けるという確信があったんだ。ところが天候が、すべてを狂わせてしまった。アンドレアとカルはしかし、このようなコンディションのなかでも、とても素晴らしい仕事をしてくれたと思っている。アンドレアはハードにプッシュし、わずか2ラップで4位まで上がり、さらに表彰台を目指した。ケイシーにプレッシャーをかけていこうというところでの転倒は非常に残念なことだった。カルについても状況は同じ。レースの最も大事なところでコンディションが悪化し、とうとう転倒してしまった。それでも我々にとって幸いだったのは、ふたりに怪我がなく、次のフィリップ・アイランドに出場できるだろうということ。チャンピオンシップを考えれば残念な結果には違いないが、カルは今日もトップ5を走っていたのだ。レース中断のタイミングが良かったかどうかは誰にもわからないこと。今、言えることは、来週は天候に恵まれ、ふたりがともに表彰台を目指せるコンディションを期待しているということ」
辻 幸一、MS開発部 モトGPグループリーダー談
「昨日の予選ではロレンソ選手ががモテギGPに引続き、スーパー・ラップを見せ、コースレコードでポールポジションを獲得。マシンのポテンシャルの高さを見せました。本日の決勝レースは14時前からの雨の影響でウエットコンディションでのレースとなりました。ポールポジションからスタートしたロレンソ選手が9ラップまでトップを快走しましたが、ライバルのペドロサ選手に抜かれてからは我慢のレースとなりました。7ラップを残し雨脚が激しくなり赤旗中断。そのままレース成立となりました。
次回は次週オーストラリア/フィリップアイランドでの第17戦となります。引続き皆様のご声援を宜しくお願いします」