ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.13 9月16日 サンマリノ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第13戦サンマリノGP
■開催日:2012年9月16日(日)決勝結果
■開催地:イタリア/ミサノサーキット(4.226km)
■周回数:27周(114.102km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:23度 ■路面温度:36度
■PP:D・ペドロサ(1分33秒857/ホンダ)
■FL:J・ロレンソ(1分34秒398/ヤマハ)
REPORT
ロレンソ今季6勝目!
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソが独走で今季6勝目。チームメイトのB・スピースは5位。モンスター・ヤマハ・テック3チームのA・ドビツィオーゾは表彰台から0.003秒差で届かず4位。C・クラッチローは転倒リタイアした。
決勝スタートは、K・アブラハム(ドゥカティ)がグリッド上でエンジンをストールさせてイエロー・フラッグが提示されたが、スタート・シグナルは続行されたため混乱が起こり、やり直しとなる。やり直しのスタートでは、予選2位スタートのロレンソが、好スタートでレースをリード。一方、ポールシッターのD・ペドロサは、グリッドでの再スタートを待つ間にトラブルが発生し、グリッドからピットロードに回避したため最後尾からのスタート。1周目から追い上げていったが、後続車に接触され転倒リタイアした。そうした中、ロレンソは2番手以下を少しずつ引き離して独走した。
ロレンソの後方で展開された2番手争い。ここではV・ロッシ(ドゥカティ)を先頭に、S・ブラドル(ホンダ)、ドビツィオーゾ、クラッチロー、スピース、A・バウティスタ(ホンダ)が続く展開。まもなくクラッチローが転倒、再スタートするがハンドルが曲がっていたのでリタイアする。
ドビツィオーゾは、ブラドルの後を追って3位争いを続けるが、終盤に入るとブラドルが後退し、変わってバウティスタが追い上げ3位に。ドビツィオーゾはその後にピタリとつけ、0.493秒差で最終ラップを迎えると一気に加速。コースの終盤で追い上げを見せ、最終コーナーでついにバウティスタをとらえて3位に浮上。ところがその立ち上がりではらみ、ほとんど同時にゴールラインを通過。僅差でドビツィオーゾは4位。ふたりの差はわずか1000分の3秒だった。6番手を走っていたスピースは、終盤ブラドルをパスして5番手に、3位争いの後方について力走するが、ドビツィオーゾに約1.5秒遅れの5位となった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 42'49.836 |
2 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | +4.398 |
3 | A・バウティスタ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +6.055 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +6.058 |
5 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | +7.543 |
6 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | +13.272 |
7 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | +40.907 |
8 | J・レイ | Repsol Honda Team | Honda | +43.162 |
9 | R・ド・ピュニエ | Power Electronics Aspar | ART | +1'09.627 |
10 | M・ピロ | San Carlo Honda Gresini | FTR | +1'13.605 |
11 | C・エドワーズ | NGM Mobile Forward Racing | Suter | +1'16.695 |
12 | Y・エルナンデス | Avintia Blusens | BQR-FTR | +1'19.073 |
13 | J・エリソン | Paul Bird Motorsport | ART | +1'19.408 |
14 | D・ペトルッチ | Came IodaRacing Project | Ioda | -1Lap |
15 | D・サロン | Avintia Blusens | BQR | -1Lap |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha | 270 |
2 | D・ペドロサ | Honda | 232 |
3 | C・ストーナー | Honda | 186 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Yamaha | 163 |
5 | C・クラッチロー | Yamaha | 122 |
6 | V・ロッシ | Ducati | 120 |
10 | B・スピース | Yamaha | 77 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 287 |
2 | Yamaha | 286 |
3 | Ducati | 144 |
4 | ART | 69 |
5 | BQR | 28 |
6 | FTR | 24 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(優勝)
「昨日の予選も今日の朝のウォームアップも、ダニと非常に接近していて激しい戦いになった。ところが決勝では、ダニがバッドラックに見舞われてしまった。まずやり直しのスタート。その後、ヘクターに巻き込まれて転倒してしまったようだ。これは彼にとっては本当に不運なこと。オランダでは僕が、そして今日は彼がこのようなことになって、レースでは何が起こるかまったくわからない。僕らのほうは、僕の今日の成績を喜ぶべきだろう。ポイント争いでもアドバンテージを広げることができた。そして確かに、レース前よりも今のほうが気持ちがとても落ち着いているんだ!今回はドライ・セッションが1回しかなかったので、セッティングの時間が足りなかった。シャシー、制御関係、すべてのことをやり終えるのは誰にも不可能だったと思う。さらに今日は気温が高くなってグリップ感が不十分だった。第1コーナーでは僕も転倒しそうになったが、何とか持ちこたえたんだ」
B・スピース選手談(5位)
「表彰台には届かなかったけれど、今回はようやく、普通のレースができた。それがうれしいんだ。ラップタイムでは表彰台ペースに届かない周回も何度かあったが、レース終盤はしっかり攻めていくことができたと思う。そのなかでもいくつか問題はあって、とくにフロントタイヤのフィーリングがあまり良くなかった。セッティングが完璧でなかったなかで難しい戦いになってしまったけれど、何とかうまく、最後まで走り切ることができた。これまでの8週間は大変なことばかりが続いたので、今日の5位は表彰台くらいにうれしいよ!」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「非常に見ごたえあるレース。そしてとても重要な勝利となった。もちろん、ダニに対しては気の毒に思う。全18戦をまったく問題なく走り切れるとしたら非常に素晴らしいが、それは不可能なことなのだ。我々のほうは今、あと5レースを残して38ポイントのリード。これからも最後まで気を抜かず、プレッシャーをかけ続けていかなければならない」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「ホルヘの優勝は見事だった。しかもそれを、ヤマハのスペシャル・イベントの一環である‘レース・ブルー'のカラーリングで成し遂げたのはとても良かった。ダニのほうは残念なことに、アッセンでの我々と同様のことが起こってしまった。チャンピオン争いでは我々が有利な位置に立っているが、ここから最後まで、安定性をキープして走り切らなければならない。ベンのほうは残念ながら、フロントタイヤのフィーリングがつかめず、なかなかポジションが上がらなかった。でも難しかったこのレースウイークを振り返れば、5位は決して悪くない。そして正しい方向へと進んでいることも間違いない」
A・ドビツィオーゾ選手談(4位)
「ホームレースだったのに、表彰台をほんの僅かの差で逃してしまったのはとても残念。僕はこのミサノで、何としても3位以内に入りたいと思っていたからね。フロントに問題があって、プラクティスのときのようなハードなブレーキングやコーナー進入ができず、レースは最初から難しい状況。その対処でラインを変更しなければならず、思うようにペースが上がらずバレンティーノをとらえることができなかったんだ。
あとは、とにかくスムースに走ることだけを考えていたが、終盤になると少しずつフィーリングが良くなってきて、表彰台のチャンスも見えてきた。でも最終コーナーの立ち上がりではらんでしまい、結局はバウティスタを抜くことはできなかった。3位を逃したことは残念だけれど、ベストを尽くしたことは間違いないし、難しいレース展開のなかでも最後まで表彰台争いを展開することができたことは良かったと思う。マシンのフィーリングが良くなれば、次のアラゴンではまた表彰台に上ることができるはず」
C・クラッチロー選手談(リタイア)
「フロントロウだったのに最悪のスタートになってしまい、一気に順位を下げてしまった。実際にはシグナルを見落としたのではなくて、クラッチレバーを放しても、何も動きがなかったんだ。それが僕のミス。それでも5番手に留まったのはラッキーで、そのあとはアンドレアを追っていこうとしたが結局は届かなかった。4ラップ目には少し近づいた感じもしたけれど、今日の彼はブレーキングが素晴らしく、その一方で僕のほうは満タン時に、ブレーキングがうまくいかなかった。
その次のラップの第1コーナーで抜こうとしたが、コーナー中盤に差し掛かったところでフロントから転倒。左脚を打ったので怪我をしたと思ったけれど、すぐに感覚が戻ったのでレースに復帰した。ところが右側のハンドルバーがひどく曲がっていてスロットルが動かなくなってしまっていた。それでリタイアを決めた。見えかけていた表彰台の可能性を失ってしまい、とても悔しかったよ。ポイント争いでは、ロッシとブラドルが追い上げてきた。だから次のアラゴンでは、しっかりコースに戻ってランキング5位をキープしなければならない」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム・チームマネジャー談
「カルが序盤で転倒してしまったことは、非常に残念だった。これで表彰台獲得のチャンスを失ってしまったからだ。3位以内に入るだけのペースを明らかに持っていたのに、こんなに早々にリタイアすることになってしまうとは...。昨日の予選も絶好調で、今回もフロントロウを獲得。ブルノに続いて表彰台に上れると確信していただけに悔しい結果だ。アンドレアのほうも、ほんのわずかの差で表彰台を逃すことになり残念だ。マシンのフィーリングが思うようにつかめず厳しい状況だったが、そのなかで見事な走りを見せて最後まで表彰台を争った。ブラドルをパスするまでに時間をかけすぎてしまったため、バウティスタをとらえるチャンスを逃してしまったのだろう。このようなタイトなコースでのオーバーテイクは非常に難しいことだが、アンドレアはモンスター・ヤマハ・テック3チームにもうひとつ表彰台をもたらすためにベストを尽くしてくれた。写真判定の結果、ほんのわずかなアドバンテージがアルバロのほうにあった。だから次の同じようなシチュエーションでは、きっと我々のほうが前に来るだろう。最後に一言、チャンピオン争いのために非常に重要な優勝を果たしたヤマハとホルヘに祝福を贈りたい」
辻 幸一、MS開発部 モトGPグループリーダー談
「今回のロレンソ選手の優勝は素直に嬉しいです。ここ3戦優勝から遠ざかっていたため、喜びもひとしおです。それ以上に相棒のスピース選手がトラブルなく5位完走を果たしてくれたことで安堵の気持ちで一杯です。今回のYZR-M1マシンは"ICONIC BLUE"というスペシャルカラーリングを纏ってのレースでしたが、見事に華を飾ってくれました。ライバルが戦線を離脱したことでチャンピオンシップポイントは有利になったものの決して気を緩めることなく次のレースを戦いたいと思います。次回はスペイン・アラゴンサーキットでの第14戦となります。第12戦ブルノGP後にアラゴンサーキットにて2日間のテストを行い手ごたえのある結果を得ているため、この成果を本番でも活かせるようチームスタッフ一同全力を尽くします。引続き皆さまのご声援をよろしくお願いいたします」