ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.18 11月7日 バレンシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第18戦バレンシアGP
■開催日:2010年11月6日(土)予選結果
■開催地:スペイン/リカルド・トルモサーキット(4.005 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:22度 ■路面温度:31度
■PP:C・スト―ナー(1分31秒799/ドゥカティ)
REPORT
ロレンソ、今季17回目のフロントロウ発進
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソが予選2位となり、今季17回目のフロントロウ獲得。チームメイトのV・ロッシは4回のフリープラクティスを通じて調子が上がらなかったが、公式予選の終盤でタイムを更新して4位に入った。
クリスタルをちりばめた特注ヘルメットで登場したロレンソ。午前中のセッションで3位となったあと、公式予選の前半までセッティングに取り組みながら2位をキープ。そして後半になるとトップに浮上して、コンスタントにハイペースをキープしながら、さらに何度かタイムを更新していった。しかし残り6分でC・ストーナーがこれを上回り、ロレンソは0.331秒差で2位となった。ロレンソは今シーズン、予選でも最高成績をあげており、その賞品として自動車を受け取ることになっている。
一方、セッティングに悩んできたロッシは大幅な変更を行ったものの、あまり効果が現れずに午前中のセッションでは10位。公式予選も前半はいいところがなく、残り5分まで10位以下に留まっていた。しかし最後に行った変更によってフィーリングが良くなり、最終ラップには第3セクションまで2位のペースをキープしてフロントロウさえ視野に入ってきた。最終セクションではコンマ数秒遅れたため4位に後退したが、3位のM・シモンチェリとの差はわずか0.086秒。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのB・スピースとC・エドワーズは、それぞれ6位と7位。スピースは先週のエストリルで足首を脱臼しているが、その痛みや違和感を払いのけて1分32秒566を記録して見事6位を獲得。チームクルーとともにリアの安定性向上に努めた結果、フロントロウまでわずかコンマ3秒と迫る健闘を見せた。これからさらにセッティング変更を行って改良を進め、明日はN・ヘイデンとランキング6位をかけて戦うことになる。ちょうど1年前、スピースはこのコースでYZR-M1でのデビューを飾っており、そのときの7位獲得は、2010シーズンのこの活躍を予感させるものだった。スピースとヘイデンはともに163ポイントで並んでおり、今日の予選タイムでは、ヘイデンが0.144秒上回っている。
スピースからわずか0.013秒差で、ひとつ後ろの7位となったエドワーズ。昨日の大幅なセッティング変更に続いて、さらにいくつかモディファイを加えてコーナリング性能が向上。これによってセッション前半までは3位につけていた。最終的には1分32秒579で7位となったが、マシンの状態が良いことから明日は表彰台を狙っていく。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'31.799 |
2 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'32.130 |
3 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'32.244 |
4 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'32.330 |
5 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'32.422 |
6 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'32.566 |
7 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'32.579 |
8 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'32.603 |
9 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'32.886 |
10 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'32.917 |
11 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'32.925 |
12 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'33.085 |
13 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | 1'33.170 |
14 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'33.339 |
15 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | 1'33.343 |
16 | C・チェカ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'33.499 |
17 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'33.515 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(予選2位/1分32秒130/18周)
「スペインの観衆の前で、フロントロウに並ぶことができたことに興奮しているし誇りに思っているよ。とくにこのコースで行われる最終戦はいつも、とても特別なもので、誰もがいいレースをしたいと思っているんだ。何とかポールポジションを獲得しいと思って頑張ったけれど、今日はケイシーがすごく速くてかなわなかったよ。決勝で彼にしっかりついて行くことができればチャンスが出てくるだろうね。
もちろん、いつものようにベストを尽くすよ。X-Liteが特別にこのヘルメットを作ってくれたんだけれど、とても光栄に思うよ。太陽に照らされて、まるでダイヤモンドがきらきら光っているみたいなんだ!僕を支えてくれるすべての人に感謝。そして明日はいいレースができるよう頑張るよ」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「2位に満足している。なぜなら今日のケイシーは、明らかにどこかが違っているから。ホルヘはフィーリングも良く問題は何もない。ペースもラップタイムも上々で、とても安定している。あとは決勝用のタイヤを決めなければならないが、リアのほうはどちらも良さそうなので、明日の天気がどうなるかを待ちたい。決め手は気温で、暑ければこちら、寒ければもう一方ということになる。マシンは午前中のセッションでさらに前進しているのでフィーリングは非常に良い。今の状況に満足している」
V・ロッシ選手談(予選4位/1分32秒330/23周)
「厳しい状況だったけれど、最後の最後でセッティングがうまく仕上がった。これでグリップ感が少し良くなったので、好タイムを目指してプッシュしていくことができるようになったんだ。ここまでのプラクティスの過程を考えれば、4位は悪くないと思う。とは言え、依然として完璧というわけではないし、ライバルたちがかなり速いから、明日は大変な戦いになるだろう。それでも僕らがもうちょっと良くなってくれば、必ずチャレンジするチャンスが出てくると思うんだ。このコースは、パスが難しすぎるというほどではないから、ペースさえあればグリッド2列目は問題にはならない。ストーナーは確かに速く、まるで別のスポーツをしているみたい。でも僕にとってはこれがヤマハで最後のレースになるのだから、表彰台に上るためにできることはすべてやるつもりだよ」
D・ブリビオ、チーム監督談
「午前中のセッションでジオメトリーとセッティングを変更し、午後はその方向性を守って進めてきた。しかし依然として完璧ではなく、グリップに関しては問題が残っている。セッションを少し早めに切り上げたのは、こうした状況をしっかりと把握するためだった。これからデータを詳しく分析し、明日に向けて正しいやり方を見つけていきたい。そしてバレンティーノが欲しがっているマシンを作ってあげたいと思っている」
B・スピース選手談(予選6位/1分32秒566/24周)
「マシンがもう少しうまく走ってくれることを期待していたから、ちょっと残念。でも表彰台争いに近づいていることは良かったと思う。このコースはリアグリップがあまり大きくなので、安定性に問題が出てしまう。リアがもっと安定するように明日までに何とかしたいと思っているよ。ヤマハとテック3のみんながアイディアを出し合って、明日までに必ず良いマシンを作り上げてくれると信じている。足首の状態は決して良くはないけれど、それによってタイムが落ちてしまうということはないよ。体調が完璧じゃないからコンマ5秒遅れるなんて、そんなことは言えないからね。マシンの上で、自在に動くことができないことは確か。でも決勝は45分間だけだから何とかなるさ。何としてもランキング6位を獲得したい。いつものレースと同じようにコースに出て、そしてニッキーに勝てるように頑張りたい。プライドがかかっているんだけれど、6位獲得のためなら誰にでも勝ちたい。だからその相手が今回はニッキーだということで、それ以外はいつもと何も変わらないよ」
C・エドワーズ選手談(予選7位/1分32秒579/23周)
「新しいセッティングにしてからずっと好調。これもモンスター・ヤマハ・テック3のみんなのおかげだよ。セッティング変更が明らかにうまくいって、リア部分を信頼することができるようになった。今はコーナリングがずっと良くなって、はらんでしまうこともなくなったし、リアのグリップ性が上がったと同時に耐久性も上がっているようだ。ハードタイヤではとても順調だけれど、ソフトタイヤは昨日の午前中から使っていないので、確かなポテンシャルはよくわからない。最初のタイヤでは1秒近く速くなり、2本目を履いたら何だか少し違和感があった。最後の1本はフィーリングも良かったしラップタイムにも満足しているけれど、上位はとても接近しているから、コンマ数秒の差がポジションでは大きな違いになってしまうんだ。7位は希望していたものとは違うけれど、みんなとても速い。予選3位から9位までは、誰もが表彰台を狙っていけると思うよ。もちろん僕もそのなかのひとり。このコースでは、バトルが一気に広がるようなので、もしそうなった場合は、その一番先頭の部分にいられるといいね」