ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.18 11月7日 バレンシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第18戦バレンシアGP
■開催日:2010年11月5日(金)初日総合結果
■開催地:スペイン/リカルド・トルモサーキット(4.005 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:20度 ■路面温度:26度
REPORT
ロレンソがフリー走行トップタイム
シーズン最終戦のフリープラクティス初日、フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソは第2セッションの最終ラップで好タイムを記録してトップ。チームメイトのV・ロッシはグリップに悩んで9位に留まった。
前回、前々回の悪天候に代わって、このバレンシアは太陽に恵まれ、パドック内の士気も上がる。ロレンソは午前中のセッションでC・ストーナーに続く2位。そして午後からの第2セッションでは、最終ラップで1分32秒に入れてストーナーをコンマ2秒上回った。
一方のロッシは午前中のセッションで5位につけたが、午後はグリップ不足などいくつかの問題が出てセッティングを詰めきることができず、マシンとタイヤのフルポテンシャルを引き出せないまま終了。午前中のタイムをコンマ1秒更新するに留まった。ロッシとチームクルーは、明日までにデータを分析して新たな方向性を見つけたいとしている。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズが3位獲得。チームメイトのB・スピースも6位と健闘した。午前中のセッションでは11位に留まっていたエドワーズだが、いくつかのモディファイを加えてマシンの旋回性が向上。さらにブリヂストン製ハードコンパウンドのリアタイヤのデータを収集し、最終的には1分33秒466のベストタイムを記録して3位まで浮上した。
一方、先週のポルトガルGPで左足首を脱臼したスピース。未だに腫れが引かない状態だが、決意を持ってフリープラクティスに臨み、果敢な走りを見せた。午前中のセッションでは第2コーナーで転倒して出鼻をくじかれる格好となったが、午後の第2セッション終盤ではそれを埋め合わせて見事復活。足首の腫れによってスムースなシフトチェンジが難しくなってはいるものの、午前中のタイムをコンマ4秒更新する1分33秒528を記録して総合6位を獲得した。上位のタイムは非常に接近しており、スピースとエドワーズの差はわずか0.062秒。またトップから10位までが1秒以内の差。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'32.690 |
2 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'32.897 |
3 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'33.466 |
4 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'33.468 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'33.470 |
6 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'33.528 |
7 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'33.535 |
8 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'33.568 |
9 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'33.661 |
10 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'33.684 |
11 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | 1'33.782 |
12 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'33.927 |
13 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'33.954 |
14 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | 1'34.154 |
15 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'34.248 |
16 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'34.296 |
17 | C・チェカ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'34.636 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(フリー走行1番手/1分32秒690/39周)
「今日はいい一日になったよ。初めから好調にスタートすることができて、気持ちよく、自信を持って走ることができた。それに加えてマシンもとても順調。明日もこの調子をキープしながら、セッティング面でさらに前進したい。こうしてまた母国で走ることができてとてもうれしい。しかも今回は世界チャンピオンとして、スペインのファンのみんなの前にいるのだから格別だよ。明日もいい走りができるように!スペシャル・ヘルメットも用意してるんだ!」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「プラクティスは順調。ラップタイムもポジションも非常に良かった。ホルヘはマシンにとても良い感触を得ているようだ。ただ気温がかなり低いので、リアのグリップに注意しなければならない。いつもはコーナー進入でいくらか問題があるのだが、今回はその部分は良好。その代わりにコーナー立ち上がりのほうでグリップが不足しているのだ。明日はここを中心に取り組んでいくことになるだろう。今日は2台を使用して少し異なるセッティングを試してみたが、その結果、一方がとても良いということがわかった。我々が考えていたとおりだったので安心することができた。シーズン最後のレースに備えて、そして2011年に備えて、正しい方向性が見えた」
V・ロッシ選手談(フリー走行9番手/1分33秒661/35周)
「午前中のセッションはそんなに悪くなかったんだけれど、午後はだめだったね...。セッティングを向上させることができなくて、問題もいくつか出てしまったんだ。グリップが不十分で乗りにくい状態だから、明日までにこれを解決しなければならない。タイムはとても接近しているので、何とか順位を上げていきたいと思っているよ。これからデータを分析して何ができるかを考える。いいところを走りたいと思ったら、どうしてもグリップ性を向上させていかなければならないからね。今回は僕にとってヤマハで最後のレース。とても大切な週末なんだ。だから何としても全力を出し切りたいんだ」
D・ブリビオ、チーム監督談
「午前中のセッションでは幾通りかのジオメトリーやセッティングを試し、午後はそのなかのひとつを採用した。しかしグリップの面で問題が残っており、さらに作業が必要だということが明らかになった。それでこの状況を考慮して、セッション終了を待たずに早めに切り上げることにしたのだ。これからデータを詳しく分析して、明日までに良い方向性を見つけ出し、バレンティーノにとって乗りやすいマシンを作り上げたいと思っている」
C・エドワーズ選手談(フリー走行3番手/1分33秒466/42周)
「好調なスタートを切ることができてとてもうれしいよ。午前中は11位だったけれど、チームのスタッフたちが必ず何とかしてくれると信じていたんだ。そしてその通り、午後からは、すごく乗りやすくなった。しかもマシンが曲がりにくいとか、コーナー出口ではらんでしまうとか、今シーズンずっと悩んできた問題が、すべてなくなってしまったんだ。コーナー進入はハードブレーキングで飛び込んでいくことができるし、コーナリング中は大きくマシンを傾けることができるし、立ち上がりではただスロットルを開けるだけでうまくコーナーを抜けていってくれる。ここまで来るのが遅すぎたことは残念だけれど、大きなリスクをおかすことなくコンマ6秒近くも短縮することができたのはとても良かったと思う。毎ラップ、33秒4から33秒6をキープしたので、去年と比較するとコンスタントにコンマ5秒以上速くなっていることになる。またタイヤについては、セッションを通じてひとつのハードタイヤで走り、20ラップ目にベストタイムが出ているので、その性能には満足している。シーズン最後の週末を好調のまま走りきることができると確信しているよ」
B・スピース選手談(フリー走行6番手/1分33秒528/49周)
「6番手となったけれど、3番手のコーリンにとても近いタイムが出ているからハッピーだよ。午前中のセッションも、転倒するまではとても調子が良かったんだ。フロントにソフトタイヤを履いていたんだけれど、あまり気に入っていなくて、これでセッションを走り切ることができればいいとは思っていたけれども、結局激しく攻めすぎてしまった。それで第2コーナー進入でフロントから転倒してしまった。プライドをおさえてペースを落とすとか、またハードタイヤに履き替える対応をしていれば、このようなことは起こらなかっただろう。でも足首の怪我を悪化させなかっただけでも良かったよ。実際、状態は日一日と良くなっているんだ。
今週前半はまだ痛みがひどくて、シフトチェンジのときに少し支障があったんだけれど、決勝までには問題もなくなるだろう。でも今も治療はしっかり行っていて、マシンに乗っていないときには氷で冷やしているよ。エストリルのクラッシュに続いて今日の午前中もこのようなことになったので、午後からは何としてもいい走りがしたかった。そして自信を取り戻さなければならなかったんだ。最終的にはその目標がかなったし、今日のベストラップは25周目、リアにハードコンパウンドを履いているときに記録したものだから満足している。決勝用のセッティングが十分に煮詰まってきているということだからね。変更を加えるたびに効果をあげてきたので、今晩さらにいくつか工夫して、もっと強くなりたい」