ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.16 10月17日 オーストラリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第16戦オーストラリアGP
■開催日:2010年10月15日(金)初日結果
■開催地:オーストラリア/フィリップアイランド(4.445km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:10度 ■路面温度:10度
REPORT
激しい風雨に見舞われた初日をJ・ロレンソ&YZR-M1が制す
フリープラクティス初日は激しい風と雨に見舞われ、コース上の水たまりを除去する作業のために開始時刻が2時間遅れた。このようなコンディションのなかでもフィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソは、すぐにリズムをつかんでトップタイムを記録。チームメイトのV・ロッシは7位でセッションを終えた。5日前に世界チャンピオンになったばかりのロレンソ。プレッシャーから解放された今、再び戦いの場に戻ることを楽しみにしている。セッション前半は完全なウエット・コンディションだったが、わずか3ラップほどでトップに立ち、後半になってコースが乾き始めてからも、その座を明け渡すことはなかった。
一方、前回のマレーシアで優勝を果たして完全復活をアピールしたロッシ。今日のフリープラクティスでは、難しいコンディションに慎重さを見せた。マシンのベースセッティングはすでにできているものの、さらに改善すべきところも残っており、明日以降の挽回に期待がかかる。しかし明日は今日以上の雨が予想されているため、セッティングの作業もウエット・コンディションに備えるものとなりそうだ。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズは8位。B・スピースはフィリップアイランド特有の激しい風と雨に悩まされて、実力を出し切れないままセッションを終了した。先週のマレーシアの高温多湿から一転、南半球のオーストラリアは気温10度の寒さ。
エドワーズはこのコンディションを利用してウエット用のセッティングに取り組み、1分43秒013のタイムで8位を獲得。一方のスピースは、プラクティス開始から15分ほど経ってようやくコースインしたが、3ラップ走っただけで再びピットに戻り、そのまま走行を終了した。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1’41.146 |
2 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1’41.480 |
3 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1’41.631 |
4 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1’41.881 |
5 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1’41.982 |
6 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1’42.271 |
7 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1’42.626 |
8 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1’43.013 |
9 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1’43.476 |
10 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1’43.984 |
11 | M・カリオ | Pramac Racing Team | Ducati | 1’44.179 |
12 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | 1’44.704 |
13 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | 1’45.695 |
14 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1’46.160 |
15 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | 1’48.127 |
16 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1’512.10 |
17 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1’58.613 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(フリー走行1番手/1分41秒146/20周)
「タイトルを獲得してから初めての走行だけど、今もやっぱりハッピーな気分が続いている。でも、ここで止まるわけにはいかないんだ。今まで通り全力で走り続けて、未来のためにも最高のやり方でシーズンを終えなければならない。それにしても、今日のコンディションは本当に最悪。濡れて、寒くて、風も強かったんだからね。そのなかでトップに立てたことには満足しているんだけれど、あす以降も厳しい戦いになることは間違いないから、しっかり準備をしていかないとね。もちろん、ドライ・コンディションで走りたいよ。でもこればかりは、状況を見守ることしかできないからね」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「ひどい雨と寒さ。決して理想的なコンディションではないけれど、ホルヘはそのなかでもとてもいいペースで走り、ほんの数ラップでトップに立った。そして時間が経つうちにコースが少しずつ乾いてきたにもかかわらず、誰もそのタイムを更新することができなかったのだ。このようなどしゃ降りのコンディションでも好調をキープできたことは、とても良かったし、我々にとっては重要なプラクティスになったと思う。セッティングについてもたくさんの成果があったので、今は非常に満足している」
V・ロッシ選手談(フリー走行7番手/1分42秒626/22周)
「本当にひどいコンディション!モーターサイクルのレースをするには、これが限界ぎりぎりだよ。しかも昨日は素晴らしい天気だったんだから、なおさら信じられない!明日は回復してくれることを祈っているけれど、あまり期待はできそうもないね...。ウエットのセッティングは悪くないし、マシンの乗った感覚もとてもいいんだけれど、今日みたいなコンディションのなかでハードにプッシュする気になれなかったんだ。本当ならもっと速く走れるはずだけれど、それも明日の天候を見てみないとね。太陽に出てきて欲しいね」
D・ブリビオ、チーム監督談
「マシンのフィーリングはまずまずだが、このような難しいコンディションでは、セッティングのためにもう少し時間が必要だ。今日もたくさんのトライをしたが、それでもまだ足りない感じ。もっと気持ちよく乗れるようにしてやれるはずなのだ。路面は大量の雨で水浸しだったが、明日はこれがさらにひどくなるようだ。しかし前進を止めることなく努力を続け、少しでもタイムを短縮していきたい」
C・エドワーズ選手談(フリー走行8番手/1分43秒013/19周)
「考え得るなかで最悪のコンディション。路面はひどく濡れているし、凍えるように寒いし、そこに強い風が吹いてくるんだからね。それでも、時間は遅くなったとは言え、少しでもコースに出ることができたことは良かったと思う。風はまったく予測不可能で、1コーナーの進入などはものすごい状況。ゴールラインを越えた途端に右側から吹き付けられ、直線を走っているというのに、風と戦うためにハンドルを回さなければならないんだ。そしてコーナー進入のブレーキングではそれを元に戻す。このようなことがハイスピードで起こっているのだから、まったく尋常じゃないよ。こんなときにはタイムなど重要じゃないから、僕らは今日の走行を、ウエット・コンディションに対処するためのテストに充てることにしたんだ。それでできることはすべてやったよ。おかげで最悪のコンディションのなかでも今後のためにいくつかのことを学ぶことができた。とくにマシン・バランスについては成果があったと思うよ」
B・スピース選手談(フリー走行17番手/1分58秒613/3周)
「今日はほとんど収穫がなかったよ。数周だけ走ってみたけれど、僕にとって雨や寒さは問題ではなくて、それよりも危なかったのが、まったく予測できない強風だったんだ。ラインを守ってブレーキをかけることができないから、走りは限界ぎりぎり。この状態では得られるものは何もなくて、リスクをおかすだけの価値はなかった。もしもこれが土曜日の午前中で、1日中そのようなコンディションが続くとしたら、どうしたってフルセッションを走らなければならないだろうけれど、こんな最悪の状況で何かを学ぶことなどできないと思ったんだ。怪我をしたり、あるいはマシンを損傷したりするリスクはおかしたくない。難しいコンディションをわかっていながら僕がミスをして、そのことでメカニックたちにもう一度マシンを作らせるようなことはしたくなかったんだ。明日は天候が回復してくれることを願うよ。このコースが大好きだし、今回もまたいいレースができると確信しているからね」