ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.14 10月3日 日本
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第14戦日本GP
■開催日:2010年10月1日(金)初日結果
■開催地:もてぎ/日本(4.801km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:26度 ■路面温度:41度
REPORT
ロッシがフリー走行トップ
日本GP初日はフィアット・ヤマハ・チームのふたりが絶好調。V・ロッシがトップ、J・ロレンソが3位を獲得した。肩の怪我が完治していないロッシにとっては不利なコースと思われていたが、前回のアラゴンに比べて痛みは少なく、走りも非常に力強くなっている。初めて使用した新型エンジンのフィーリングも好調で、とくに高めのギアでの走りに改善が見られている。セッションのスタートからすぐに速さを発揮しており、最終ラップでさらに素晴らしいタイムを記録してトップを獲得。2位のA・ドビツィオーゾに(ホンダ)コンマ2秒差をつけた。
一方、昨年の勝者、ロレンソも好調に1日目をスタート。エンジンは以前のものを使っているが、終始、安定して好タイムをキープした。ロレンソが使用できるエンジンは、すでにロッシよりも1台少なくなっているため、ニューエンジンの投入はおそらく、明日以降になると見られている。今日、課題となったのはリア・トラクションで、明日はチームスタッフと協力してこの部分の改善に努めることになるだろう。しかし全体的には既にとても良い状態にあり、ロッシからコンマ3秒差で3位を獲得することができた。チャンピオン争いの唯一のライバル、ダニ・ペドロサは、転倒して鎖骨を骨折。明日、手術が行われる予定。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのB・スピースとC・エドワーズも順調な滑り出しで、それぞれ5位と7位につけた。ツインリンクもてぎは、スピースにとっては初めて走るコース。そのストップ&ゴーが多い特徴のため、ブレーキングの安定性と加速性とが要求されるが、スピースはこれに素早く慣れ、順調なライディングを見せた。フロントタイヤにソフトコンパウンドのものを試していたとき、第3コーナーで低速からの転倒があったものの、その後またタイムを更新して1分49秒302のベストタイムで5位を獲得した。
一方のエドワーズも好調ぶりを発揮し、1分49秒377を記録して7位。マシン・セッティングでは荷重配分を変更して臨み、これによってコーナー立ち上がりの加速性が向上した。日曜日の決勝では6位入賞を目指す。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'48.174 |
2 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'48.387 |
3 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'48.474 |
4 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'48.481 |
5 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'49.302 |
6 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | 1'49.357 |
7 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'49.377 |
8 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | 1'49.544 |
9 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'49.568 |
10 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'49.581 |
11 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'49.620 |
12 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'49.644 |
13 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'49.882 |
14 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'49.957 |
15 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'50.158 |
16 | M・カリオ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'51.105 |
17 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 2'00.131 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(フリー走行1番手/1分48秒174/27周)
「今日はとってもうれしいよ!正直に言えば、1位なんて僕にとっても驚きなんだ!このコースはハードブレーキングのコーナーがたくさんあるから、肩への負担が大きいだろうと予想していたんだけれど、実は思っていたより真っ直ぐだったみたい。だからこうして問題なく走ることができたよ。マシンに乗った感じは初めからとても良くて、セッティング作業もここまで順調に進んでいる。エンジンが新しくなって、それもとても好調。4速と5速がとくにいい感じで、すべてがうまく仕上がってきている。まだ金曜日だということはよくわかっているけれど、トップに立ったのは本当に久しぶりだから、この"甘美な感覚"を十分に味わいたいね!明日以降は雨になる可能性もあるみたいだから残念だけれど、そうなったとしてもベストを尽くすよ。ダニは気の毒なことだった。かなり離れたところから見ていたけれど、あれはアンラッキーだった。ひどい怪我になっていないといいけれど」
D・ブリビオ、チーム監督談
「トップでセッションを終了することができたのは本当に久しぶりのこと。プラクティスは非常に良い出来だった。第一にトップになれた。そしてそれよりももっと重要なことが、バレンティーノが初めから速さを見せてくれたことだ。マシンのベース・セッティングが、このコースでしっかり機能してくれている。初めて使ったニューエンジンもとてもいい。この好調が明日も続くよう願っている」
J・ロレンソ選手談(フリー走行3番手/1分48秒474/ 27周)
「前回のアラゴンに比べたらずっと調子がいい。正直、ほっとしたよ!僕はバレンティーノと違って、まだニューエンジンを使っていないんだけれど、それでも前回よりもストレートで遅れることが少ないし、コーナー立ち上がりの加速も良くなっている。あとはコースの何箇所かで、もうちょっとトラクションが欲しいところがあるけれど、全体的に見たら今日はいい出来だったと思う。バレンティーノからもそんなに大きく離されているわけではないからね。この調子をキープしてさらに前進するためにも、明日は晴れてほしいね。ダニの状態が僕にとってどんな影響を与えるのか、そういうことは今は考えたくない。ただ彼には気の毒なことだったと思っている。シーズンのこの段階で怪我をしてしまうというのは、とても不運なことだ」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「何よりもまず、我々チームのみんながダニのことを残念に思っており、彼の回復を心から願っていることを伝えたい。今日は2種類のセッティングを試してみたが、ホルヘはどちらに乗っても好調だったので、明日も引き続きこの方法でベストのものを探していきたい。バレンティーノはニューエンジンを使用して、とても調子が良さそうなので、我々もできるだけ早く使ってみたいと思っている。明日はリア・グリップをもう少し向上できたらいいと思っているが、すでに十分にリズムが良く、ホルヘはマシンに対して好感触を得ている」
B・スピース選手談(フリー走行5番手/1分49秒302/27周)
「見るのも初めてというこのコースで5位になれたのだから、今日はとてもいいスタートになったと思うよ。超テクニカルなコースというわけではなく、ストップ&ゴーの繰り返しの部分でのスピードで、やや遅れてしまうようだ。コース攻略は簡単じゃないね。特にいくつかのコーナーでは、自信を持って飛び込んでいくのが難しくなってしまうんだ。セッション序盤は、フロントにソフトコンパウンドのものを履いたが、とても気に入ったという感じではなかったんだ。それでハードタイヤに換えようと思ってピットに戻ってきたんだけれど、チームとしてはもうちょっと試して欲しかったらしく、そのまま走り出したら2ラップ目の第3コーナーで突っ込みすぎてしまった。
何とか持ちこたえるためにはブレーキを離さなければならなかったんだけれど、昨日の雨で汚れているグラベルにはまりたくなくて、何とかコースに留まろうと頑張った。そうしているうちにコースの端まで行ってしまい、その途端にフロントが切れ込んで転倒した。かなり低速だったんだけれど、おそらく10km/hくらい。それでも縁石に激しく左ひじをぶつけてしまったよ。でも痛みはひどくないし、マシンにもダメージはないはず。このことでフロントのソフトタイヤはあまり合っていないことがわかった。そしてスペアマシンではハードタイヤのフィーリングが良くて、残りの周回はとても順調に走ることができたというわけなんだ」
C・エドワーズ選手談(フリー走行7番手/1分49秒377/24周)
「とてもいいウイークのスタートが切れた。このコースではいつもウイリーに悩まされてしまうんだけれど、今日は新しいセッティングを試してみたら、それが解決できたからね。低速ギアからのハードな加速がたくさんあるので、今まではその部分でウイリーをコントロールするのが難しかった。去年のことを思い出してみても、ウイーク中ずっと、そのことに振り回されていた。だから今回はフロントにたくさん荷重を置くことにしたら、フィーリングがすっかり良くなった。今はコーナー立ち上がりの加速で、しっかりと前へ進んでくれる。この方法は他のサーキットでも役に立ってくれるだろうね。ウイリーの問題に振り回されずに済むようになったら、加速のほうに気持ちを集中できるようになった。6位との差はわずかだし、ベンからもそんなに離されていないから、明日以降もきっと好調をキープできると信じている」