ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.16 10月20日 オーストラリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第16戦オーストラリアGP
■開催日:2013年10月19日(土)予選結果
■開催地:オーストラリア/フィリップアイランド(4.448 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度 ■路面温度:39度
■PP:J・ロレンソ(1分27秒899/ヤマハ)
REPORT
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのロレンソとロッシが1位と3位
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソが、フィリップ・アイランドのラップレコードを更新してポールポジションを獲得。いつものように真っ先にコースインしたロレンソ。‘ラッキー・ハイツ’に差し掛かったところでかもめと激突するハプニングがあったが、ペースが衰えることはなく1分28秒681をマーク。2008年にC・ストーナーが記録したポール・レコードを塗り替えて暫定ポールにつけた。その後、ライバルのM・マルケスが上回り2位に後退したロレンソは、残り8分で1度目のタイヤ交換のためにピットイン。そして、ほとんどのライダーがコースに復帰したあと、残り4分でコースに戻ると、その2ラップ目、残り1分となったところでついに1分28秒台の壁を破り1分27秒889。フィリップ・アイランドで最速タイムの記録を更新してポールポジションを獲得した。
チームメイトのV・ロッシも好調をキープして3位を獲得。前回に続き2度目のフロントロウ・スタートが決定した。クリア・ラップのチャンスを待って、ロレンソとは逆に1番最後にピットを離れたロッシ。ソフト・コンパウンドのタイヤが功を奏して、スタート後まもなく4位まで浮上。この時点で暫定ポールに0.817秒差と近づいていた。そして残り8分でピットに戻りタイヤ交換を行ったあとは一気にペースを上げ、1分28秒647を記録して3位を手中にした。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・クラッチローとB・スミスは、それぞれ6位と7位を獲得。クラッチローは、あとコンマ2秒で今季8度目のフロントロウに手が届くところ。スミスもクラッチローに0.132秒差まで迫る健闘だ。新しい舗装路面でグリップ性が上がったことで、ラップタイムは大幅に短縮。しかしコーナーではリア・タイヤの消耗が激しくなっている。
クラッチローとスミスは、ストーナーによる2008年のポール・レコードにわずかに届かなかった。クラッチローのベストラップは1分28秒809で、マレーシアGPのウイナー、D・ペドロサまで0.061秒。スミスは1分28秒941だった。例年にない暑さと新しい路面の影響から、すべてのタイヤ・オプションにおいて耐久性の問題が浮上しており、ふたりのライダー、チーム・クルー、ブリヂストンの技術者が意見を出し合って、明日までにベスト・チョイスを探る。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'27.899 |
2 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 1'28.120 |
3 | V・ロッシ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'28.647 |
4 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 1'28.713 |
5 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'28.748 |
6 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'28.809 |
7 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'28.941 |
8 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | 1'29.295 |
9 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 1'29.660 |
10 | A・イアンノーネ | Energy T.I. Pramac Racing Team | Ducati | 1'29.756 |
11 | C・エドワーズ | NGM Mobile Forward Racing | FTR Kawasaki | 1'30.264 |
12 | R・ド・ピュニエ | Power Electronics Aspar | ART | 1'30.735 |
13 | A・エスパルガロ | Power Electronics Aspar | ART | 1'30.081 |
14 | C・コルティ | NGM Mobile Forward Racing | FTR Kawasaki | 1'30.530 |
15 | Y・エルナンデス | Paul Bird Motorsport | ART | 1'30.641 |
16 | 青山博一 | Avintia Blusens | FTR | 1'30.733 |
17 | D・ペトルッチ | Came IodaRacing Project | Ioda-Suter | 1'30.894 |
18 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'30.979 |
19 | H・バルベラ | Avintia Blusens | FTR | 1'31.061 |
20 | L・スカッサ | Cardion AB Motoracing | ART | 1'31.093 |
21 | B・スターリング | GO&FUN Honda Gresini | FTR-Honda | 1'31.775 |
22 | L・ペセック | Came IodaRacing Project | Ioda-Suter | 1'32.474 |
23 | D・カドリン | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'33.007 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談J(予選1位/1分27秒899/7周)
「セッション・スタート早々にかもめにぶつかってしまったが、幸いその影響はなく、再度アタックすることができた。むしろ彼のおかげでちょっと速くなって、こうしてポールポジションを獲得できたのかもしれないよ。タイムアタックのために限界まで攻め、その結果がしっかり出たのだと思う。新しいアスファルトの表面がざらざらしているため、タイヤに負担がかかっている。ドルナやブリヂストンが、このことについて何らかの解決策を出してくれるか状況を見守っている。決勝では、スタートがうまくいったら、そのまま逃げ切りを狙いたい」
V・ロッシ選手談(予選3位/1分28秒647/9周)
「路面が新しくなったフィリップ・アイランドを、この好天と気温のもと、M1で走ることができて最高にうれしい。ソフト・コンパウンドのフロント・タイヤで100%プッシュしていけるのが、最高に気持ちいいんだ! 結果は前回に続いて2度目のフロントロウ。3位のポジションに十分に満足しているよ。シーズン序盤はいろいろ苦労したけれど、このところ、とくに予選でいい走りができるようになってきた。とは言え、本当の勝負はこれから。マルク、ホルヘ、ダニがかなり手強いライバルになることはわかっているけれど、そのなかでも全力を尽くし、さらにセッティングを磨いて表彰台を目指したい」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談:
「見事な走りっぷりと、信じられないくらいの好タイム。今日の出来には非常に満足している。しかし、決勝になればもちろん事情は変わる。1ラップの速さよりも重要なものがあるのだ。タイヤの選択についてはまだ答が出ておらず、チームもライダーたちも未だに心のなかで考えている最中だ。それ以外のセッティングについては、すべての準備が整っている」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「素晴らしい結果。ふたりが揃ってフロントロウに並び、好スタートのチャンスを手に入れることができた。チームもよく頑張って、マシンは序盤から絶好調。そして予選セッションではさらに調子を上げることができたようだ。タイヤについては課題が残ってしまったので、今後の判断を待って解決策を探っていきたい」
C・クラッチロー選手談(予選6位/1分28秒809/9周)
「もっと上を狙っていたから、今日の結果には悔いが残る。ラップタイムでは、フロントロウから大きく離されたわけじゃない。つまり3位のバレンティーノにはかなり近づくことができたんだけれど、ポールのホルヘとの差は非常に大きく、本当ならこの差をもっともっと近づけたかったんだ。リアのグリップが不十分で、思いきりプッシュすることができなかったことが原因のひとつ。マシンも僕自身も、もっと頑張れるはずなんだ。フリープラクティスの第4セッションではブリヂストンのアドバイスをもらってエクストラ・ハードのタイヤを履いたけれど、決勝ではどうなるか疑問。何を履くかはブリヂストンの助言を聞かなければならないが、いずれにしても、僕の走りは6位より上だと確信している」
B・スミス選手談(予選7位/1分28秒941/9周)
「決勝では使う可能性がないのに、プラクティスや予選では必要となるソフト・コンパウンドのタイヤに振り回された感じ。でもマシン自体はとても好調で満足できた。フィーリングも格段によくなっていて、動き方が気に入っている。予選ではタイムアタックの1ラップをしっかり走り切ることに気持ちを集中。その結果、28.9秒を記録することができて本当にうれしかったよ。だって昨日までは、29秒台さえはっきりとは見えていなかったんだからね。フロントロウからも大きく離されたわけじゃない。その意味では、いい仕事ができたと思う。タイヤ・チョイスについてはわからないことがたくさんあるけれど、状況を見守るしかない。それでも、もちろんレースは楽しみ。目標はカルやバウティスタとバトルすること!」