ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.13 9月15日 サンマリノ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第13戦サンマリノGP
■開催日:2013年9月15日(日)決勝結果
■開催地:イタリア/ミサノサーキット(4.226km)
■観客:50,949人
■周回数:28周(118.328km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:24度 ■路面温度:31度
■PP:M・マルケス(1分32秒915/ホンダ)
■FL:M・マルケス(1分33秒935)
REPORT
ロレンソ、独走で今季5勝目を飾る
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソが独走で今季5勝目を飾った。チームメイトのV・ロッシは4位。モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・クラッチローは6位、 B・スミスは11位だった。
予選2番手から発進のロレンソは、閃光のごとくスタートを決め、真っ先に第1コーナーへ飛び込んだ。その強さは圧倒的で、オープニングラップですでに1秒以上のアドバンテージ。3周目にはD・ペドロサ(ホンダ)以下2番手グループに2秒以上の差をつけ た。その後も徐々に差は拡大。18周目、ペドロサをかわしたM・マルケス(ホンダ)が2番手に上ってくるが、この時すでに2.9秒に差を広げていた。その後、マルケスとペドロサが激しい2位争いを見せている間に、さらに差は広がって23周目には4.3秒の差。終盤もペースを緩めることなくトップを走りきったロレンソがトップでゴールした。
一方ロッシは予選3番手フロントロウ発進。スタートで5位まで後退したものの、1周目にA・エスパロガロ(ART)を捉えて4位。さらにマルケスのテールに迫り、5周目、前を行くマルケスが少しオーバーランしたとき、間髪をいれずパスして 3番手に。それからペドロサを追っていくが、しかしブレーキングでペースが上がらず、13周目にマルケスに抜き返され4番手に後退。中盤以降挽回を図るも、差を詰めることは出来ず4位のままゴー ルした。
ロレンソは今日の活躍でシリーズポイントを219に伸ばし、ペドロサと並んでランキング2位。トップのマルケスを34ポイント差で追うこととなった。一方のロッシは合計169ポイントでランキング4位をキープ。5位のC・クラッチローとの差は23ポイント。
ホームレースのシルバーストーンでは厳しい展開を強いられたクラッチロー。その雪辱を果たすべく決意を持って臨んだ今回は、予選5番手2列目発進。トップグループにはついて行けなかったが、序盤から5番手につける安定した走り。後ろからS・ブラドル(ホンダ)が追いかけてくる中、インを固く守って終盤まで5番手をキープ。ブラドルの激しいチャージを抑えて、クラッチローはブラドルに0・1秒差で最終ラップに入るが、第8コーナーで最後のアタックをしかけられてついに6位に後退した。その後も再度逆転を狙ったが届かず、0.07秒差の6位でチェッカー。今季9度目のトップ6入りを果たしたクラッチローは、シリーズポイントを合計146に伸ばし、サテライト・チームのトップの座をキープ。またチームランキングでも、モンスター・ヤマハ・テック3チームが3位をキープした。
一方のスミスは、トップ10までわずか0.2秒。A・ドビツィオーゾ、N・ヘイデン、M・ピロ(いずれもドゥカティ)と長時間のバトルを展開し、最終ラップにはベストラップを記録するスピードでピロにアタックを試みたが届かなかった。シリーズポイントでは合計71ポイントでエスパロガロと並び、ランキング10位に復帰。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 44'05.522 |
2 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | +3.379 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | +7.368 |
4 | V・ロッシ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | +15.062 |
5 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | +22.355 |
6 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +22.599 |
7 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | +31.059 |
8 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | +42.702 |
9 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | +44.858 |
10 | M・ピロ | Ignite Pramac Racing Team | Ducati | +47.818 |
11 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +48.011 |
12 | C・エドワーズ | NGM Mobile Forward Racing | FTR Kawasaki | +1'03.154 |
13 | A・エスパルガロ | Power Electronics Aspar | ART | +1'07.600 |
14 | 青山博一 | Avintia Blusens | FTR | +1'15.528 |
15 | D・ペトルッチ | Came IodaRacing Project | Ioda-Suter | +1'17.907 |
16 | C・コルティ | NGM Mobile Forward Racing | FTR Kawasaki | +1'29.655 |
17 | R・ド・ピュニエ | Power Electronics Aspar | ART | +1'33.990 |
18 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | +1'36.860 |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Honda | 253 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha | 219 |
3 | D・ペドロサ | Honda | 219 |
4 | V・ロッシ | Yamaha | 169 |
5 | C・クラッチロー | Yamaha | 146 |
6 | S・ブラドル | Honda | 124 |
11 | B・スミス | Yamaha | 71 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 291 |
2 | Yamaha | 270 |
3 | Ducati | 115 |
4 | ART | 73 |
5 | FTR | 33 |
6 | FTR Kawasaki | 31 |
7 | Ioda-Suter | 23 |
8 | PBM | 3 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(優勝)
「ウォームアップでマシンが大幅に改善されたんだ。とくにブレーキングが良くなったので、ラップタイムもペースも上がってきた。ここ何戦かと同様、最初から逃げる作戦を実行。そして今回は、ようやくそれが成功した。最初の2周で大きなアドバンテージができたので、あとはその距離をキープすることに集中。ライバルたちも決してあきらめようとせず、追いかけてきたので、僕も必死でプッシュし続けたよ。今日の優勝で5ポイントを取り戻すことができた。マルクとの差を詰めることができたんだ。これからも集中力を切らさず、安定性を保って優勝を狙っていきたい」
V・ロッシ選手談(4位)
「今回はウイークを通して良いパフォーマンスができた。常にトップ3に加わり、僕自身のレベルも上がったと思う。とくに予選では、ニュータイヤで力強くプッシュすることができて、その結果、フロントロウをゲット。それだけに決勝への期待はとても高くなっていたんだ。スタート直後、上位陣はいつも通りとても速かったけれど、僕のファステストラップも彼らに近づくものになっていた。でも残念ながら、数ラップ後からブレーキングがうまくいかなってしまい、とくにハードブレーキングでは何度かミスをしてはらんだりした。その間にライバルたちは少しずつ逃げていってしまったんだ。第7コーナーでのミスで2秒も遅れてしまい、その差を取り戻せないまま終わってしまった。ミサノのファンの前で表彰台に上りたいと思っていたので、それが実現しなかったことはとても残念。明日はここでニューパーツを試す予定なので、好天が続いてくれるよう願っている」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「ミサノ3日目。素晴らしいレースになった。シームレス・ギアボックスでの今季初勝利というわけだ。昨日の時点では、このような結果は考えられなかったが、今朝のウォームアップで大きく改善。ホルヘもそれを実感し、それによって彼のモチベーションが高まった。最初の4、5ラップは見事なペースでアドバンテージを拡大。ここでの差がレース終盤まで生きたのだと思う」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「ホルヘとそのチームが素晴らしい仕事を成し遂げた。ウイーク初日はトラブルを抱えていたが、走るたびに少しずつ改善されていった。そして今朝のウォームアップで最良の解決策を見つけ出し、ついに好感触が戻ってきた。それでホルヘがあのような見事な走りを実現したのだ。彼はわずか2ラップで1.5秒のアドバンテージを構築。その後も安定したペースをキープして他を圧倒した。一方、バレンティーノのほうは表彰台を獲得できず残念な思いだ。予選終了後にはふたり揃っての表彰台を期待したが、これは実現しなかった。明日は、ブルノでできなかった重要なテストを予定している」
C・クラッチロー選手談(6位)
「最終ラップで5位の座を失ってしまったことは非常に残念。でも、今回はここまでとても苦しかったので、そのなかでこのような成績を残せたことには満足しているよ。6位という順位は目指していたものとは違うけれど、ウイーク初日からずっとマシンに好感触を得られなかったなか、最後に力強いバトルができたことに大きな意味があると思うんだ。オープニングラップからラストラップまで、ステファンが僕のテールにぴったりつけていた。そしてその終盤でついに、彼はチャンスを見つけたというわけ。僕も再度逆転を狙ってベストを尽くしたんだけれど、残念ながらそれは実現しなかった。でも今回もまた、モンスター・ヤマハ・テック3チームはその強さを証明することができたと思う。メカニックたちは決してあきらめなかったし、僕に自信を取り戻させようと懸命に努力してくれた。彼らのサポートに感謝している」
B・スミス選手談(11位)
「予期した通りのレースになった。ドゥカティ勢について行き、バトルを展開したんだ。スタートは絶好。おかげで彼らのグループについて行くことができたが、残念ながら最後までペースをキープすることはできなかった。つまり、自分で考えていたほどには速く走れなかったし、とくに燃料タンクがいっぱいの序盤は簡単にはいかない。それでも今回も、とくに決勝では本当に多くのことを学ぶことができて良かったと思う。明日はここでいくつかのことを試す予定で、今からとても楽しみにしている。マシンのセッティングは順調だけれど、僕のライディング・ポジションを改善することはできる。ライバルたちから大きく離されているわけではないが、決勝では、ちょっとの差が大きな違いを生みだしてしまうんだ」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム、チームマネジャー談
「前回のシルバーストーンではカルもブラッドリーも非常に苦しい経験をしたばかり。今回もまた厳しい展開が予想された。6位は望んでいた順位ではないし、またカルの本当のポテンシャルを表すものでもない。しかし彼が、苦しいなかでも真のファイターであり続けたことは評価したい。最後にステファンに抜かれてしまったのは残念だった。終盤の戦いは非常に激しく、しかもマシンが完璧な状態ではなかったにもかかわらず、決してあきらめず、すべての力を出し切ってくれたカルに感謝している。
ブラッドリーのほうも非常に苦しいウイークを戦い抜いた。このコースはドゥカティ勢がたびたびテストを行っていることもあり、彼らが手強い存在になることは始めからわかっていたが、それでもブラッドリーは果敢に挑んでいった。そして最終ラップにファステストラップを記録。このことは、さらに成長するためのマージンが残っているということの証明だ。今回もチームの全員が素晴しいファイティング・スピリットを見せてくれた。彼らを心から誇りに思っている。
最後になったが、ホルヘとヤマハの活躍を祝福したい。ホルヘはもはや、並み外れた才能の持ち主だと言っていいだろう。タイトル争いがまだ終わっていないことをアピールしているのだ。ヤマハYZR-M1の新型シームレス・ギアボックスがウイニング・デビューを飾ったことは非常に喜ばしい。幸先よいスタートだ」
津谷晃司、MS開発部 モトGPプロジェクトリーダー談
「前戦シルバーストーンに続き今週もウィークを通して天候に恵まれ、本日も雲が多めながら気温25℃・路面温度32℃と良好なコンディションでの決勝となりました。ロレンソ選手は昨日から今日にかけての安定性とグリップ改善を狙ったセッティング変更が奏功しレースペースを大きく改善、午前中のウォームアップセッションからトップタイムをマークしました。決勝も2番グリッドからホールショットを奪った後は2位以降を徐々に引き離し、最後まで危なげない走りで前戦シルバーストーンに続き2連勝、今季5勝目を挙げることができました。
ロッシ選手は序盤2位争いを展開、地元開催レースでの表彰台は逃しましたが中盤以降上位と離されながらも最後までペースを落とさず走ってくれたことにあらためて彼の強さを感じるとともに、5戦連続の4位と安定した走りを取り戻しつつあります。
マシンのセットアップに終わりはありませんが、限られた時間と状況の中でチームとしてやるべきことをやり尽くし、戦闘力を高めたマシンをライダーに託すことが出来たと思います。そしてロレンソ選手らしいライディングで、見事その期待に応えてくれました。
今回はライダー、チームスタッフ、開発陣の頑張りで皆が納得のいくレースができました。次戦は2010年の開催開始からまだ勝てていないアラゴンGPですが、今年は6月の事前テストでも良いタイムを刻める仕様を見つけることができており、勝利にこだわって全力を尽くしますので、応援よろしくお願いします」