ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.01 4月7日 カタール
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第1戦カタールGP
■開催日:2013年4月7日(日)予選結果
■開催地:カタール/ロサイル・サーキット(5.380km)
■周回数22周(118.36km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:21度 ■路面温度:23度
■PP:J・ロレンソ(1分54秒714/ヤマハ)
■FL:M・マルケス(1分55秒445/ホンダ)
REPORT
ロレンソ、ロッシがワンツーフィニッシュ
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソが、優勝。チームメイトのV・ロッシが2位表彰台。モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・クラッチローは5位、モトGP初参戦のチームメイト、B・スミスは転倒リタイアした。
ロレンソは好スタートでレースをリード。22周のレースの折り返し点では後続に4秒以上の差をつける独走。トップの座を譲ることなくゴール。昨年の開幕戦に続くカタールでの連勝となった。
予選7番手3列目発進のロッシ。好スタートで序盤は4番手に浮上するも、激しい接近戦の中で7番手に後退。しかしジリジリ追い上げて8周目にはS・ブラドル(ホンダ)を抜いて5番手に。この時点での注目は、首位ロレンソと5番手ロッシの間で2番手争いを展開するD・ペドロサ、M・マルケスのホンダ勢とクラッチローの3選手だった。残り数周のところで、ロッシとクラッチローは第1コーナーでの進入争いを見せ、クラッチローがオーバーランで後退。ロッシは4番手に上ると、前を行く2人を追っていく。ラスト4周のところでロッシはまずペドロサをパスし3番手に。ラスト3周でマルケスをパスして2番手へ。その後マルケスも激しい追い上げを見せてロッシを抜き返す走りを見せるが、ロッシは再び抜き返す。テールツーノーズで迎えた最終ラップもロッシはマルケスの追撃を抑え2位ゴール。ヤマハの1-2フィニッシュとなった。
クラッチローのチームメイトのB・スミスはモトGPデビュー戦で好スタートを切り、マルケスを抑えて6番手で第1コーナーに進入。その後は序盤の激しい接近戦のなかで少しずつリズムをつかみ、10位以内をキープして安定走行に入っていた。しかし5ラップ目の第7コーナーで転倒。そのままリタイアしてノーポイントに終わった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 42'39.802 |
2 | V・ロッシ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | +5.990 |
3 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | +6.201 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | +9.473 |
5 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +18.764 |
6 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | +22.148 |
7 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | +24.355 |
8 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | +24.920 |
9 | A・イアンノーネ | Energy T.I. Pramac Racing Team | Ducati | +37.124 |
10 | B・スピース | Ignite Pramac Racing Team | Ducati | +44.908 |
11 | A・エスパルガロ | Power Electronics Aspar | ART | +49.809 |
12 | R・ド・ピュニエ | Power Electronics Aspar | ART | +56.495 |
13 | H・バルベラ | Avintia Blusens | FTR | +1'09.599 |
14 | Y・エルナンデス | Paul Bird Motorsport | ART | +1'10.742 |
15 | 青山博一 | Avintia Blusens | FTR | +1'13.600 |
16 | C・コルティ | NGM Mobile Forward Racing | FTR Kawasaki | +1'29.444 |
17 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | +1'34.341 |
18 | L・ペセック | Came IodaRacing Project | Ioda-Suter | +1'34.683 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha | 25 |
2 | V・ロッシ | Yamaha | 20 |
3 | M・マルケス | Honda | 16 |
4 | D・ペドロサ | Honda | 13 |
5 | C・クラッチロー | Yamaha | 11 |
6 | A・バウティスタ | Honda | 10 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 25 |
2 | Honda | 16 |
3 | Ducati | 9 |
4 | ART | 5 |
5 | FTR | 3 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(優勝)
「スタート前の30分は少しナーバスになってしまっていたので、グリッドについてからはしっかり集中し、気持ちをリラックスさせようと考えていた。アドバンテージを広げるのが難しいことはわかっていたけれど、とにかく頑張ってみるしかなかったんだ。スタートが成功して、そのあとは全力以上でプッシュ。序盤はペドロサが懸命について来て、なかなか逃げられなかったが、6周目あたりからは少しずつ差が開き始めたので、自信を持って自分のペースを維持できるようになった。バレンティーノの2位も本当にうれしい。ここまで2年以上も苦しい戦いをしてきた彼が、ついに復活したんだ。これはヤマハにとっても、とてもハッピーな出来事」
V・ロッシ選手談(2位)
「僕にとってはハッピー以上! ヤマハ復帰は夢だったから本当にうれしいよ! そしてその最初のレースで表彰台。これは去年の11月から目標していたことで、そのためにここまでずっと努力を重ねてきたんだ。ロサイルに入ってからは厳しい状況が続いた。とくに昨日の公式予選は最悪だった。でも僕もマシンもいいペースを持っていることはわかっていたので、レース序盤で挽回しようと懸命に頑張ったよ。そのあとミスをして遅れてしまい、もう一度はじめからやり直さなければならなくなってしまったんだけれど、後半はまたペースを取り戻し、少しずつ順位を上げていくことができた。終盤にはマルク(マルケス)と好バトルを展開してついに2位獲得。僕もチームも友人たちも最高にハッピー。そして苦しかった2年間、ずっと支え続けてくれたファンのためにもうれしいプレゼントになったと思う。またシーズン開幕戦を1-2フィニッシュで飾ることができたヤマハにとっても悪くないね!」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「何という見事な開幕戦。我々は当然ながら、この結果に非常に満足している。シーズンはあと17戦あるわけだが、この1戦を終えて明るい展望が開けた。きっと素晴らしい1年になるだろう。シーズン開幕戦では、少しでもアドバンテージを築いて良いフィーリングを得ることが大切。今年はここでホルヘが優勝、バレンティーノが2位になったのだから、チームにとってはまさに最高の形だ。これからの長い戦いに向けて、チームの士気を高め、発展を後押しする起爆剤になるだろう。このあとは、前回のテストで苦労したオースティンへ向かう。でもマシンはすでに改良されているので、遅れを取り戻してまた好レースをお見せすることができるだろう」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「このレースウイークは、良い形で始まり最高の形で終わったと言うことができるだろう。ホルヘは大差で優勝。バレンティーノも見事なカムバックを果たした。まさに予想を超えた結果と言うしかない。そしてチームも本当に素晴らしい仕事をしてくれた。そのおかげでセパンでの第1回テスト以来、マシンは日に日に改良され、今日のこの成功につながったのだと思う。チームの全員が大変な努力をして得た結果。心から感謝する。こうして最高の形でシーズンをスタートすることができたので、これからも決してあきらめることなく最後まで全力で戦っていく」
C・クラッチロー選手談(5位)
「長い冬が終わり、ついに新しいシーズンがスタートしたことはとてもうれしい。でも今回のフリー・プラクティス、予選、決勝の状況にはちょっと悔しい思いをしているんだ…。ペースは十分に出ているので表彰台獲得が可能なはず。でもストレートでのスピードが不足していることは明らかで、その差を埋めるためにコーナーでプッシュしなければならない。これさえ解決できれば、もっとしっかりと上位陣に戦いを仕掛けることができるはずなんだ。そのなかでもダニやマルクには追いつき追い越すところまで近づき、いいバトルができたと思う。
そして何より圧巻は、後方から追ってきたバレンティーノだ。始めは3秒以上も離れていたのに、あっという間に差を詰めて抜いていった。彼の走りは見事としか言いようがなく、心から敬服する。それと同様に素晴らしかったのがホルヘ。早くもチャンピオン候補に名乗りを上げたということだろう。このようにヤマハにとっては最良の1日になったわけだけれど、我々モンスター・ヤマハ・テック3チームも表彰台を狙える存在だっていうことをアピールできたと思う。僕の前の4人は、ベストライダーとベストマシンの組み合わせ。そんな彼らを全力で追っていくことができたことには満足。そのすぐ後ろにつけたことはうれしいし、次のオースティンでもまた上位を狙っていきたい」
B・スミス選手談(DNF)
「僕にとって初めてのモトGPで、早々に転倒してしまったことは本当に残念。本来ならここで、もっと多くの経験を積まなければならなかったのだからね…。決勝を前にセッティングを変更し、コーナー進入はかなり楽になっていた。ところが不運にも第7コーナーでフロントを滑らせてしまったんだ。後で考えれば何度か兆候はあった。今後は、このような兆候が出たときには限界に近づいているんだと気づくことができるだろう。転倒、ノーポイントは残念な結果だが、やはり、失ったものよりも得たもののほうが多かったのだと思う。でも、目標にしていたトップ10獲得が実現していたとしたら、そのほうがずっと良かったに決まっているよ。次のオースティンではまた、経験を重ね、マシンを学ぶことを目標に全力を尽くす」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム、チームマネジャー談
「シーズンを良い形でスタートすることができた。カルはプラクティス、予選、決勝を通じて懸命に頑張ってくれて、オフシーズンの間に築いた成果をしっかりとアピールすることができたと思う。終盤まで表彰台争いをしながら5位という結果に終わったことは少し残念だが、それ以外のところで多くの収穫があった。何より、彼が唯一、ファクトリー勢に戦いを挑めるライダーであることが明らかになったのだ。彼がサテライト勢のトップになったことで、モンスター・ヤマハ・テック3チームが今シーズンも高い競争力を持っていることを証明できたと思う。
一方、ブラッドリーのほうは非常に残念な結果になった。本来なら、経験を通してたくさんの重要な情報を得ることができたはずだからだ。しかしレースのなかでは、このようなことが起こるもの。この転倒によって昨日までの成果がすべて失われるわけではないし、彼の将来のために必ず役立つものとなっているはずだ。これからの成長に期待している。常にトップ10入りを目指すライダーになることは間違いない。最後になったが、ヤマハの見事なシーズンのスタートに心から敬意を表する。ホルヘはチャンピオンたる所以を見せつけ、バレンティーノも最後の5ラップで今シーズンを予感させる素晴らしい走りを見せてくれた」
津谷晃司、MS開発部 モトGPプロジェクトリーダー談
「2013年シーズンを最高の形でスタートでき、素晴らしい走りを披露してくれたライダー達を祝福するとともに、短い期間の中で高い戦闘力を有したマシンを仕上げてくれたチームスタッフ、開発陣に心から感謝したいと思います。夜間の急激な温度低下と、強風で砂漠の砂がコース上に積もる不安定なコンディションとなりましたが、ロレンソ、ロッシともに限界までレースをコントロールしてくれました。またクラッチローもアグレッシブな走りでファクトリー勢に次ぐ5位、残念ながら転倒リタイヤとなったスミスもウィーク中は安定した走りができており、次に繋がる結果を残してくれました。初戦のナイトレースでスタッフの疲労も限界の状態でしたが、昨シーズンに続きカタールでの開幕勝利は、今シーズンを占う上でも大きな弾みになります。次戦の米テキサスGPも厳しい戦いが予想されますが、皆さまのご期待に応えられるよう頑張りますので、引続きご支援・ご声援をよろしくお願いします」