ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.15 10月14日 日本
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第15戦日本GP
■開催日:2012年10月12日(金)初日総合結果
■開催地:もてぎ/日本(4.801km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:23度 ■路面温度:40度
REPORT
コンニチハ、モテギ!
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソとB・スピースは、日本GPのフリープラクティスを好発進。チャンピオンシップ・リーダーのロレンソは、午前中の第1セッションで開始早々からトップに立ち、最後まで一度も脅かされずにポジションを守り切った。一方のスピースも素早くペースを上げてロレンソに続く2番手につけたが、その後、徐々に後退して5位。トップとの差は0.7秒だった。
午後から行われた第2セッションでも、ロレンソが序盤からトップをキープ。しかし終盤でD・ペドロサが0.102秒上回り、ロレンソは2位となった。チームメイトのスピースもセッティングで改良を図ると、ラップタイムをコンマ5秒近く短縮。最終的には1分46秒912で総合6位となった。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのA・ドビツィオーゾが、フリープラクティス初日の両セッションで3位を獲得。ツインリンクもてぎのストップ&ゴーの特徴が、ドビツィオーゾのハード・ブレーキングを得意とするスタイルにぴったりマッチした。午前中の第1セッションは1分46秒919のタイムでロレンソ、ペドロサに続く3位。第2セッションはこれを0.7秒近く更新し、1分46秒282を記録した。この結果、2位のロレンソに0.092秒差、トップのペドロサに0.194秒差まで迫っている。
一方、チームメイトのC・クラッチローにとっては厳しいスタート。もてぎのコース・レイアウトが、クラッチローのブレーキングやコーナリングのスタイルにはベスト・マッチしなかったようだ。今日はおもに、ハード・ブレーキング・ゾーンでのフィーリング向上を追求したが、快適なセッティングが得られず総合9位に留まった。しかしラップタイムではトップ6にコンマ1秒も離されておらず、明日の巻き返しに期待がかかる。
ヤマハ・YSP・レーシング・チームからワイルドカード枠にて出場している中須賀克行は総合11位。
ヤマハ・YSP・レーシング・チームとしては、二輪車ロードレースの最高峰MotoGPクラスへの参戦が初めてとなる今戦、中須賀は先週末の全日本ロードレース第8戦岡山大会で今季4勝目を飾った勢いそのままに、午前の第1セッションから着実な走りを見せ11番手。午後の第2セッションでも、午前のベストタイムを早々と更新し、最終的には0.5秒近く縮める1分47秒801で初日を終えた。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'46.088 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'46.190 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'46.282 |
4 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'46.428 |
5 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | 1'46.687 |
6 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'46.912 |
7 | C・ストーナー | Repsol Honda Team | Honda | 1'46.978 |
8 | A・バウティスタ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'46.983 |
9 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'46.984 |
10 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | 1'47.551 |
11 | 中須賀克行 | Yamaha YSP Racing Team | Yamaha | 1'47.801 |
12 | H・バルベラ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'48.232 |
13 | A・エスパルガロ | Power Electronics Aspar | ART | 1'48.470 |
14 | K・アブラハム | Pramac Racing Team | Ducati | 1'48.757 |
15 | R・ド・ピュニエ | Power Electronics Aspar | ART | 1'48.770 |
16 | C・エドワーズ | NGM Mobile Forward Racing | Suter | 1'49.53 |
17 | J・エリソン | Paul Bird Motorsport | ART | 1'49.652 |
18 | M・ピロ | San Carlo Honda Gresini | FTR | 1'49.770 |
19 | R・ロルホ | Speed Master | ART | 1'50.292 |
20 | Y・エルナンデス | Avintia Blusens | BQR-FTR | 1'50.333 |
21 | I・シルバ | Avintia Blusens | BQR-FTR | 1'50.924 |
22 | D・ペトルッチ | Came IodaRacing Project | Ioda-Suter | 1'51.270 |
COMMENT
ホルヘ・ロレンソ選手(初日総合2番手/ 1分46秒190/ 33周)
「とても順調にウイークをスタートすることができた。前回のアラゴンではリア・タイヤの耐久性に苦しんだが、あの時と比べると今回はずっといいよ。始めからいいペースだったんだけれど、さらに電装系にちょっとした変更を行ったら、また速くなったんだ。タイヤについてはハード・コンパウンドを試して十分に速かったと思う。でも僕の印象としては、やっぱりソフトにはかなわなかったかな...。だから明日の予選はソフト・コンパウンドのほうが良さそうだ。このコースはホンダ勢が強いけれど、僕らのマシンもとてもいい調子。決勝では彼らに挑んでいけると思う」
ベン・スピース選手(初日総合6番手/ 1分46秒912/ 27周)
「悪くなかったよ。第2セッションは序盤でなかなかペースが上がらなったが、最後にはかなりいいところまで来ていたからね。今日はリアにソフト・コンパウンドを試さず、決勝のことを考えてハード・タイヤに専念してセッティングに取り組んだ。セッション終盤で僕らより速くなったライダーたちは、ソフト・タイヤを装着していたので、ハードでコンマ8秒遅れなら悪くないと思う。ソフト・コンパウンドを履けば、僕らの本当の順位やマシン性能が見えてくるはず」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「両セッションとも非常に順調だった。ホルヘは第1セッションでトップ。午後は2位に下げたものの、ダニとの差はわずかだった。マシンのフィーリングはかなり良いようだが、あともう少し改善していきたいところ。でも総合的には上出来の初日。明日以降は路面の状態も良くなっていくはずなので期待したい」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「好調なスタート。マシンのバランス面など、もう少し改善したいところもあるが、セッティング自体はかなりいいところまで来ている。タイヤについてもフロントはすでに良いものが見つかったので、明日はできれば、決勝用のリア・タイヤを決定したい。ホルヘはハードでもソフトでも、コンスタントに好タイムをキープできている。とくにソフトのほうは、かなり周回数を重ねたものだったことを考えれば、彼の好調は間違いない」
A・ドビツィオーゾ選手談(初日総合3番手/ 1分46秒282/ 34周)
「今日のベストラップはハード・タイヤを装着して出したもの。決勝でもおそらくこれを履くことになると思うので、ウイーク初日から非常に順調と言っていいんじゃないかな。それに僕自身がすでに絶好調まで来ているからね。マシンについては、コーナー進入のフィーリングなどまだ改善できそうなところもあるんだけれど、仮に100%満足とはいかないとしても、かなりハードに攻めて行けるよ。前の2台との差も大きくないので、決勝ではダニやホルヘに食らいついて行く。それが今週末の目標になるだろう。彼らから勝利を奪うのは簡単じゃないだろうけど、大好きなこのサーキットで表彰台を目指して戦いたい」
C・クラッチロー選手談(初日総合9番手/ 1分46秒984/ 36周)
「懸命にマシンに取り組んだが、結局、最後まで気に入ったセッティングを見つけることができなかった。その結果、ラップタイムの順位はかなり後ろのほうになってしまって、同じマシン、同じタイヤを使っているアンドレアからもかなり離された。だから明日までにやるべき仕事が山ほどあるんだ。今日は何をやっても成果をあげることができなくて、良いフィーリングはまったく得られなかった。決勝で履くことになるはずのハード・コンパウンドのタイヤで、もっと速く走れるようにならなければならない。苦労しているのは一か所だけじゃなくて、いろいろあるんだけれど、とにかく今夜、モンスター・ヤマハ・テック3のスタッフたちとよく話し合って、どうやって解決していくかを考えたい」
中須賀克行選手(初日総合11番手/ 1分47秒801)
「先週の日曜日に岡山国際サーキットで全日本JSB1000のレースがあり、そこで優勝することができましたが、今日は、そのJSB1000マシンのヤマハYZF-R1から、今回のMotoGPマシンのヤマハYZR-M1への乗り換えに、少し時間がかかりました。しかし、フリー走行2回目では、マシンに対する要望やタイムの詰めどころが見えてきたので、明日の予選に向けてスタッフとミーティングし、きっちりとマシンを仕上げたい。予選では、1分46秒台を狙っています。
約1年ぶりのMotoGP参戦ですが、いつもYZR-M1を開発しているスタッフと一緒だし、サーキットも走り慣れたツインリンクもてぎなので、昨年の参戦時よりもリラックスしています」
津谷晃司 ヤマハ・YSP・レーシング・チーム スーパーバイザー
「先週、中須賀選手は全日本ロードレースに出場していて、その疲れも残っているとは思いますが、初日の結果として、十分なパフォーマンスを発揮してくれました。テストパーツを比較しながらの走行でしたが、落ち着いてマシンを走らせてくれています。明日も、このペースを崩すことなく、各セッションをきっちりと走ってほしいです」