ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.11 8月19日 インディアナポリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第11戦インディアナポリスGP
■開催日:2012年8月19日(日)決勝結果
■開催地:インディアナ州/インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(4.216km)
■周回数:28周(118.048km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度 ■路面温度:39度
■PP:D・ペドロサ(1分38秒813/ホンダ)
■FL:D・ペドロサ(1分39秒088)
REPORT
ロレンソ2位、ドビツィオーゾが3位
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソが2位。チームメイトのB・スピースは2番手走行中、トラブルが発生してリタイアした。モンスター・ヤマハ・テック3チームのA・ドビツィオーゾは3位。チームメイトのC・クラッチローは転倒リタイアだった。優勝はD・ペドロサだった。
ポール発進のペドロサを交わして1周目からトップに立ったのはスピースだった。スピースは序盤からトップを快走、5周目に入ったところでペドロサに先行を許すがそのまま2番手をキープしていく。しかし直後の6周目、エンジントラブルが発生しリタイアに終わった。
ロレンソはスタート直後、4番手につけ上位をうかがう展開。まずドビツィオーゾを抜いて3番手にあがり、スピースの後退で2番手に上がると、その後はトップのペドロサを追っていく。その差は一時3秒以内に詰まるシーンもあったが、後半は差が広がる。終盤は周回遅れを慎重にパスするなどで差を広げられ、そのまま2位でゴールした。
スピースのリタイアによって、序盤の3番手争いグループはドビツィオーゾ、C・ストーナーを含め5台の争いとなっていた。この中でストーナーとドビツィオーゾは接戦を展開。10ラップ目、ストーナーが前に出て逃げ切りを図るが、ドビツィオーゾはストーナーを視界にとらえたまま終盤を迎え、22ラップ目になって再び抜き返して3位獲得、今季5度目の表彰台に上った。
この3番手争いグループの最後尾、7番手につけていたクラッチローは、10ラップ目、第4コーナーで勝負をかけたところでフロントが流れ転倒リタイアとなった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 46'39.631 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | +10.823 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +17.310 |
4 | C・ストーナー | Repsol Honda Team | Honda | +19.803 |
5 | A・バウティスタ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +22.556 |
6 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | +30.072 |
7 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | +57.614 |
8 | K・アブラハム | Pramac Racing Team | Ducati | +1'08.442 |
9 | Y・エルナンデス | Avintia Blusens | BQR-FTR | +1'11.106 |
10 | A・エスパルガロ | Power Electronics Aspar | ART | +1'14.079 |
11 | T・エリアス | Pramac Racing Team | Ducati | +1'26.305 |
12 | I・シルバ | Avintia Blusens | BQR-FTR | +1'40.274 |
13 | C・エドワーズ | NGM Mobile Forward Racing | Suter | -1Lap |
14 | J・エリソン | Paul Bird Motorsport | ART | -1Lap |
15 | S・ラップ | USA Attack Performance | APR | -1Lap |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha | 225 |
2 | D・ペドロサ | Honda | 207 |
3 | C・ストーナー | Honda | 186 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Yamaha | 137 |
5 | C・クラッチロー | Yamaha | 106 |
6 | S・ブラドル | Honda | 94 |
10 | B・スピース | Yamaha | 66 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 246 |
2 | Yamaha | 241 |
3 | Ducati | 115 |
4 | ART | 54 |
5 | BQR | 20 |
6 | FTR | 16 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(2位)
「ソフト・タイヤのほうがしっかりと走り切れると思ったんだ。だからリスクをおかしても、その選択をした。序盤は悪くなくて、ベンやダニについていくことができた。そのあとベンがエンジンの問題でリタイア。おかげで僕のほうはポジションが上がったけれど、彼のことを考えれば残念なことだった。ダニは全体的に一歩、抜きん出ていたし、終盤でタイヤのアドバンテージが効いた。いずれにしても、2位は今日の僕にできる最高の結果。チャンピオンシップを考えても、とても良かったと思っている」
B・スピース選手談(リタイア)
「またしても運に見放された。昨日は大転倒もあったので、今日は100%の状態で乗れるかどうか不安だったんだ。でも昨日はよく眠ったし、ドクターたちも僕のために、とても頑張ってくれたよ。スタートはうまくいって、感触はとても良かった。ダニに抜かれたときに、彼が僕よりもリアタイヤを多く使っていることがわかったので、まずは先に行かせることにしたんだ。最大3秒差までと決めて、そのあと少しずつ縮めていく作戦だった。ところがその矢先、マシンのスピードが落ち始めたんだ。何が起こったのかまったくわからず、そのまま突然にエンジンが止まった。仕方がないので、急いでラインから外れたよ。あのまま順調に行っていれば、2位は間違いなかったと思うし、優勝の可能性もあっただろう。自分のことだけじゃなく、チームにとっても残念なことだった」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「今日の2位には非常に満足している。昨日の午後になって初めて何とか前進が見られたものの、それまでの3回のフリープラクティスは、とても厳しい状況だった。そのことを考えれば、ダニに続く2位という結果は十分に素晴らしいものだし、次につながる意味あるものだったと思う。ブルノは相性の良い場所でもあるので、初日から問題なく、順調にスタートしたい」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「またしても、苦しいレース。これ以外に言葉が見つからない。しっかりと原因を調査するつもりだ。この瞬間から、グッドラックをスタートさせなければならない。残りのシーズンは、必ずや、ベンに好成績をもたらしてくれるだろう。彼はこれ以上、何もアピールする必要はない。我々は彼のスピードと才能をよく知っているからだ。次のブルノこそ、彼にとって素晴らしい場所になるだろうことを期待している。ホルヘのほうは、いつものように冷静なレース運びでミスもなかった。今日の20ポイントはチャンピオン争いに重要なものとなるだろう。ここでできる、最高の仕事をしたと思う」
A・ドビツィオーゾ選手談(3位)
「今回の3位獲得は、我々チームの素晴らしい仕事ぶりを再確認するものだ。モンスター・ヤマハ・テック3チームのすべてのスタッフの支えを誇りに思う。表彰台獲得は僕らにとって、まさに優勝にも匹敵するもの。だから、もちろんすごく嬉しいんだけれど、もしかしたら、もっとやれるんじゃないかとも思うんだ。
序盤は残念ながら思い通りにプッシュしできなくて遅れてしまい、トップグループについていくことができなかった。そのあとベンのエンジンが壊れたときには、ストレートの半分くらいまでの間、煙を通して状況を確かめた。タイヤにオイルがついているかもしれないからね。ここで貴重なコンマ数秒を失ってしまったんだ。いずれにしろ最終的にポジションを上げることは難しかったとしても、ダニやホルヘとの差を縮めることはできたんじゃないかな。
安定性の面では十分に満足というわけにはいかなかったけれど、表彰台はチーム全員のハードワークの賜物と思えば気分は最高。それから今日はケイシーの見事なパフォーマンスに敬意を表したい。体調面ではベストの状態ではなかったはずだけれど、それでも誰も彼を止めることはできなかった。このあとは自信を持って次のブルノに臨む。表彰台が現実的な目標になってきているよ」
C・クラッチロー選手談(リタイア)
「リタイアは今シーズンになって初めてのこと。ここまではすべてのレースで10位以内に入っていたのに本当に残念。昨日の午前中のフリープラクティスでも、まったく同様の転倒をしているので言い訳は何もない。僕のつまらないミスだ。もちろん路面状況を責めるわけにはいかない。あそこはアスファルトが古い個所で、ずっと悩まされていたところ。そこでスロットルを開けたらフロントが流れてしまったんだ。僕自身はペースも良かったし、表彰台を目指すグループの後方につこうと頑張っていたところだった。
それだけにこの転倒は悔しいし、モンスター・ヤマハ・テック3チームにも申し訳ない気持ちでいっぱい。転倒さえなければ、好成績が期待できたわけだからね。その一方で、ひとつ良かったことは、昨年よりも1.2秒も速くなっていたこと。それにこのクラスで10戦連続10位以内という成績も決して悪くはないよね。次のブルノでは、順調をキープしてチャンスをつかみたい。そして最高成績を目指せるようベストを尽くす」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム・チームマネジャー談
「アンドレアの活躍を、どのように表現すればいいかわからない。とにかく素晴らしい。見事な表彰台獲得だ。表彰台はこれで5度目となったが、これは我々チームの最大の野望さえ超えるものだ。正直なところ、今回はそこまで期待していなかったのだが、アンドレアとモンスター・ヤマハ・テック3チームのみんなが、それを成し遂げてしまった。レースは最初から最後まで厳しい戦いで、とくにケイシーには敬意を表さなければならない。世界チャンピオンの意味をアピールする見事な走りだった。アンドレアも最大限の力でプッシュしなければならなかったわけだが、次回以降もこのような素晴らしい戦いが続くことを期待したい。一方で、カルの転倒は本当に残念だった。集団の後ろにつけて、勝負のチャンスを窺っていた矢先だったのだから。ちょっとしたミスだったが、ここまでずっと速さと安定性を維持してきたことを考えれば、我々としてあまり責めるわけにはいかない。彼の決意はわかっている。それが実現できるよう、我々も100%のサポート体制で次のレースに臨みたい」
辻 幸一、MS開発部 モトGPグループリーダー談
「インディアナポリスサーキットは四輪の世界では有名なINDY500マイルレースが行われるサーキットですが、モトGPでは四輪のオーバルコースを一部含むインフィールドを多用したテクニカルなコースレイアウトを有しております。例年初日から路面グリップの低さに翻弄されますが今年も我々は走り出しから思う用にタイムを出せない中、スピース選手が母国の意地を見せつけてたおかげでセッティングの方向性を見い出すことが出来たため、ヤマハ勢は予選2位から4位に入ることが出来ました。
決勝では前日の転倒の影響で肩に痛みが残るスピース選手が一時トップを走るも序盤でエンジントラブルによりリタイヤとなりましたがロレンソ選手が2位を獲得。サテライトのドビツィオーゾ選手が3位表彰台を獲得することができました。次回は翌週チェコ/ブルノサーキットで第12戦が開催されます。引続き皆様のご支援、ご声援を宜しくお願いします」