ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.05 6月3日 カタルニア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第5戦カタルニアGP
■開催日:2012年6月3日(日)決勝結果
■開催地:スペイン/カタルニア(4.727km)
■周回数:25周(118.175 km)
■観客数:79,351人
■コースコンディション:ドライ
■気温:27度 ■路面温度:40度
■PP:C・ストーナー(1分41秒295/ホンダ)
■FL:J・ロレンソ(1分42秒642/ヤマハ)
REPORT
ロレンソが連勝で今季3勝目。ドビツィオーゾが今季初の3位表彰台
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソが2連勝で今季3勝目を飾った。チームメイトのB・スピースは10位。モンスター・ヤマハ・テック3チームのA・ドビツィオーゾが3位表彰台。C・クラッチローが5位だった。
予選2位からスタートしたロレンソは、チームメイトのB・スピースに続く3番手で第1コーナーに進入。2ラップ目にスピースがミスする間に2位に上がり、トップのD・ペドロサに迫っていった。ロレンソとペドロサはともにスペイン人。地元のヒーローふたりが互いに何度も順位を入れ替えながら、レース終盤まで激しいトップ争いを繰り広げる展開となったが、残り6ラップで勝負をかけたロレンソが前に出ると、一気に突き放してそのまま優勝を飾った。最終的に2位のペドロサに5秒以上の大差をつけての圧倒的な勝利だった。この優勝によって、シリーズポイントではランキング2位のC・ストーナーとの差を20ポイントに拡大。マニュファクチャラー・ランキングでも、ヤマハがホンダに9ポイント差をつけてトップに立っている。
一方のスピースは、グリッド2列目、4位の位置から絶好のスタートを切ってペドロサに続く2位で第1コーナーに進入。その後2ラップは2位をキープしていたが、ペドロサに仕掛けようとしたところでコーナーを回り切れず転倒してしまった。最後尾でレースに復帰して10人をパス、10位でゴールラインを通過した。これによって6ポイントを加算し、ランキングは11位。チームはこのあともカタルニア・サーキットに残り、月曜日にはマシン・テストを実施。その後アラゴンへ移動し、水曜日にもう一度テストを行う予定。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのA・ドビツィオーゾの3位獲得は、チームにとっては、ほぼ1年ぶりとなる表彰台。ドビツィオーゾは序盤からその技術と決意を表現し、3ラップ目で3位に浮上。その後も前を行くロレンソとペドロサを懸命に追いかけていたが、14ラップ目で小さなミスをおかして距離をあけられてしまった。それでも3位をキープしてレース後半を迎え、後方から激しいチャージをかけるチームメイトのC・クラッチローとストーナーを抑えきってチェッカー。最終ラップではストーナーが最後の力を振り絞ってドビツィオーゾにプレッシャーをかけていったが、それにも集中力を切らさず冷静に対処した。ドビツィオーゾにとってはヤマハ加入後初めての表彰台獲得。これによってモンスター・ヤマハ・テック3チームは、約1年前のイギリスGPでC・エドワーズが3位を獲得して以来の表彰台を実現することとなった。
一方のクラッチローも表彰台獲得を目指してフロントロウからスタートし、残念ながら目標は達成できなかったものの5位獲得と健闘した。終始、ストーナーのテールについてプレッシャーをかけ続けたが、最後までパスのチャンスはめぐってこなかった。クラッチローはランキング5位をキープして、次回は6月7日、シルバーストーンでホームグランプリに臨む。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 43'07.681 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | +5.003 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +9.361 |
4 | C・ストーナー | Repsol Honda Team | Honda | +9.544 |
5 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +12.506 |
6 | A・バウティスタ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +13.948 |
7 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | +17.555 |
8 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | +23.478 |
9 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | +30.410 |
10 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | +32.897 |
11 | H・バルベラ | Pramac Racing Team | Ducati | +36.144 |
12 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Ducati | +56.229 |
13 | A・エスパルガロ | Power Electronics Aspar | ART | +1'08.054 |
14 | M・ピロ | San Carlo Honda Gresini | FTR | +1'08.775 |
15 | R・ド・ピュニエ | Power Electronics Aspar | ART | +1'10.483 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha | 115 |
2 | C・ストーナー | Honda | 95 |
3 | D・ペドロサ | Honda | 85 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Yamaha | 60 |
5 | C・クラッチロー | Yamaha | 56 |
6 | V・ロッシ | Ducati | 51 |
11 | B・スピース | Yamaha | 24 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 115 |
2 | Honda | 106 |
3 | Ducati | 56 |
4 | ART | 19 |
5 | FTR | 6 |
6 | Suter | 4 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(優勝)
「ここまでとても苦労しただけに、今日の優勝は本当にうれしい。昨日の予選は暑さもあってかなり厳しかったが、今日は格段にいい走りができたよ。今朝は雨が降って、そのあとの路面のグリップはあまり良くなかったので、序盤でベンやダニを追っていたときはミスをしやすい状態。ブレーキングで接触してしまうことも考えられたから、そこでは勝負をかけず、落ち着いてチャンスがめぐって来るのを待つことにしたんだ。そしてベンがミスをしたところでひとつ前進。次はダニについて行き、彼の走りを観察していると、ペースが落ちて、ついにミスをしたので一気に勝負をかけた。そしてフル・スロットルで逃げ切ったんだ。このように素晴らしいマシンを作ってくれたヤマハとチームに心から感謝しているよ」
B・スピース選手談(10位)
「自分のことよりも、チームのみんなに本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。だってマシンは絶好調で、間違いなく表彰台を狙える状態にあったんだ。それなのに僕のミスで、そのチャンスを逃してしまった。序盤は好調だったが、僕はダニに我慢しきれなくなった。彼が僕を抑え込んでいてなかなかパスできなかったので、ブレーキングで飛び込んだら行き過ぎてコースの端まで行ってしまったんだ。再スタートしたあともマシンは順調に走ってくれてペースも良かったけれど、残念ながら上位まで挽回するには時間がたりなかった...」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「これで3回目の優勝。ホルヘにとって母国での勝利は大きな意味があるし、ここまでの5戦を振り返っても、優勝3回、2位2回という見事な成績だ。マシンがとても良く仕上がっていることを証明しているが、我々はさらに前進するために、明日はまた新しいものをテストすることにしている。ホルヘの走りは素晴らしかった。そしてチームのほうもこの勝利のために、懸命にハードワークを続けていたのだ」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「ホルヘは、これ以上ないほどの最高の走りを見せてくれた。本当に素晴らしいレースだった。彼はチャンスがめぐってくるまでダニをコントロールし、時が来て一気に勝負をかけると、そのままどんどん突き放してしまった。ベンのほうもスタートは好調で、その後2ラップは素晴らしいファイティング・スピリットを見せていたが、不運にも転倒してしまった。しかし重要なことは、彼が自信を取り戻して本来の実力を発揮できるようになったことだと思っている。明日はまた新しいものをテストする予定で、そのなかのいくつかは、マシンの競争力をさらに引き上げるものとして期待している。次のシルバーストーンも楽しみだ」
A・ドビツィオーゾ選手談(3位)
「ヤマハで初めての表彰台を獲得することができて、今はとってもハッピーな気持ち!これはすべて、モンスター・ヤマハ・テック3チームのスタッフみんなのおかげ。僕がここに加入して以来の、彼らの懸命な努力とサポートに対して恩返しすることができたと思う。ここまで来るには少し時間がかかったけれど、サテライト・チームのマシンでモトGPの上位を走ることができたことは本当に素晴らしい。こんなことは誰も予想していなかったと思うよ。
レースは楽じゃなかった。グリップがあまり良くなかったから厳しい状況だったんだけれど、このコースを得意としているロレンソやペドロサとバトルできたことがうれしいんだ。タイムでもコンマ1秒か2秒しか遅れていないのだから自分でもすごいと思うし、ミスさえしなかったら、もっとついて行って優勝争いだってできたはず...。終盤になってケイシーとカルに追い上げられたときも、僕はもう表彰台獲得を心に決めていた。ケイシーのマシンが迫ってくる音が聞こえてきてパスをしかけられていることもわかったけれど、全力を振り絞って、ミスをせず、懸命に3位を守りきって表彰台を獲得したんだ。これで自信を持って、次のシルバーストーンに臨むことができるよ」
C・クラッチロー選手談(5位)
「表彰台争いに加わりたかった。ケイシーをパスすることができていたら、アンドレアにもついていくことができたはずなのに...。コースのなかでは、僕が得意なところとケイシーが得意なところがあって、僕が追い上げていくと、また次に離されてしまうという繰り返し。結局、それ以上どうすることもできなかったが、世界チャンピオンの彼にここまで近づけたことには満足しているよ。
終盤はリアのグリップが落ちてきて、ペースも落ちてしまった。でも今回は予選でフロントロウ、決勝で5位を獲得することができたので、とても大きな成果だったと思う。次はホームレースのシルバーストーンなので、母国のファンの前で今度こそ表彰台を目指して挑みたい」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム・チームマネジャー談
「エキサイティングなレースで、モトGPに多くの人々の注目を集める素晴らしい大会になった。モンスター・ヤマハ・テック3チームにとってももちろん、表彰台獲得という非常にうれしい結果がもたらされた。今シーズンはこれまでにも何度も、そのチャンスをむかえていたが、ケイシー、ダニ、ホルヘら実力者が顔をそろえるなかでトップ3を実現するのは容易なことではない。しかし今日は自信があった。なぜならアンドレアもカルもウイークを通じて上位をキープしていて、チームはタイヤのセッティング管理を集中的に行って準備を整えていた。その結果、ふたりとも好スタートを切ってトップグループに加わり、アンドレアはダニとホルヘにしっかりついて行くことができたのだ。小さなミスをしたときには我々をヒヤッとさせたが、すぐに持ち直してケイシーとカルの先行を許さなかった。最終ラップではケイシーが激しくプッシュしてきて緊張がピークに達したが、本人はプレッシャーのなかでもいたって冷静で、ついには表彰台をその手にしっかりとつかんでいた。ドライ・コンディションでこの好成績は、見事としか言いようがなく、彼は今日の3位獲得によって、その才能を存分にアピールできたと思う。これからも、また何度でも表彰台を目指してほしい。
カルのほうも、とてもいい走りを見せてくれた。いつも表彰台獲得を目標にプッシュすることで、我々チームの強さをアピールしている。長年、トップライダーのポジションをキープしているケイシーにここまで迫っただけで、すでに大きな成功と言え、ホームレースとなる次のシルバーストーンではまたトップ3入りをかけた激しいバトルを見せてくれることだろう。ホルヘとヤマハに"おめでとう!" YZR-M1は高い競争力を持ったマシンで、それを提供してくれるヤマハの、我々へのサポートに心から感謝している。そのおかげでこうして、毎回、フロントロウや表彰台を目指すことができるのだから」
辻 幸一、MS開発部 モトGPグループリーダー談
「ロレンソ選手の地元でもあるカタルニアで、表彰台の真中に立つべく初日からライダーも気合が入っており、その気合に応えるようにマシンも良く機能ししてくれたおかげで優勝を飾ることができました。テック3のドビツィオーゾ選手も3位表彰台を飾り大変満足のいくレースができたと思います。スピース選手も決勝ではトップを狙うべく果敢に攻めた結果転倒してしまったものの確実に復調したと言ってよいと思いますので、これからに期待です。テック3ののカル選手も見応えのあるバトルを繰広げ価値ある5位であったと思います。連勝を飾ったとはいえまだ13戦を残しており、チャレンジャーであることを忘れず、攻めの姿勢を忘れないようこれからも戦って行きます。次回は6月17日、イギリス/シルバーストーンでの第6戦となります。引続き皆様のご支援、ご声援を宜しくお願いします」