ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.01 4月8日 カタール
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第1戦カタールGP
■開催日:2012年4月7日(土)予選結果
■開催地:カタール/ロサイル・サーキット(5.380km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:26度 ■路面温度:27度
■PP:J・ロレンソ(1分54秒634/ヤマハ)
REPORT
ロレンソがポールポジション 、クラッチローはフロントロウ
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソが、2012シーズン開幕戦のカタールGPでポールポジションを獲得。2010年度チャンピオンのロレンソは絶好調で、YZR-M1を限界ぎりぎりまでプッシュしてブリヂストン製ソフト・コンパウンド・タイヤの優位性を十分に引き出し、2位のC・ストーナーに0.221秒差をつけてトップに立った。3位にはモンスター・ヤマハ・テック3チームのC・クラッチローが入った。
ロレンソのチームメイトのB・スピースもソフト・コンパウンド・タイヤを装着してからラップタイムを更新し、フロントロウ獲得を目指して順調に走行していたが、セッション終盤で転倒して4位に留まった。ベストタイムは1分55秒512でトップとの差は0.878秒。幸い怪我はなかった。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・クラッチローはフロントロウを獲得した。昨日のフリープラクティスでも2位を獲得して好調のクラッチローは、予選終盤、ポールポジションを目指したタイムアタックで見事な走りを披露した。それまではブリヂストン製ハード・コンパウンドのリアタイヤを装着して安定した走りを続けていたが、ラスト20分でソフト・コンパウンドに履きかえてアタックを開始。そして1分55秒505を記録すると2位に浮上し、この時点でトップのストーナーに0.090秒差と迫った。このあとロレンソとストーナーがペースを上げたため3位に後退したが、タイムをさらに上げて1分55秒022。4位のスピースにはコンマ5秒差をつけ、ポールポジションのロレンソからはわずか0.388秒差だった。クラッチローのこれまでの自己ベストは2011年に記録した6位だった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'54.634 |
2 | C・ストーナー | Repsol Honda Team | Honda | 1'54.855 |
3 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'55.022 |
4 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'55.512 |
5 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | 1'55.637 |
6 | A・ドビツィオーゾ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'55.858 |
7 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'55.905 |
8 | H・バルベラ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'55.983 |
9 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'56.063 |
10 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Ducati | 1'56.198 |
11 | A・バウティスタ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'56.521 |
12 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | 1'56.813 |
13 | C・エドワーズ | NGM Mobile Forward Racing | Suter | 1'57.644 |
14 | R・ド・ピュニエ | Power Electronics Aspar | ART | 1'58.266 |
15 | A・エスパルガロ | Power Electronics Aspar | ART | 1'58.520 |
16 | Y・エルナンデス | Avintia Blusens | BQR-FTR | 1'58.795 |
17 | M・ピロ | San Carlo Honda Gresini | FTR | 1'59.085 |
18 | M・パッシーニ | Speed Master | ART | 1'59.195 |
19 | D・ペトルッチ | Came IodaRacing Project | Ioda | 1'59.664 |
20 | I・シルバ | Avintia Blusens | BQR-FTR | 2'00.493 |
21 | J・エリソン | Paul Bird Motorsport | ART | 2'00.757 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(予選1位/1分56秒634/23周))
「今日の予選結果には非常に満足している。ポールポジションを獲得するためには100%以上を出し切らなければならなかったけれど、限界までしっかり攻めて、ついに完璧なラップがとれたんだ。ストレートでのパワーと最高速がもう少し欲しいところだけれど、そのほかの場所ではマシンがとてもよく走ってくれている。こんなに素晴らしいマシンを用意してくれたヤマハと我がチームにお礼を言いたい。明日はタフなレースになるだろう。とくにタイヤが重要な鍵になると思う」
B・スピース選手談(予選4位/1分55秒512/20周))
「転倒するまではラップタイムも良くて非常に順調だったのに、フロントが流れてしまった。この2、3日ずっと、フロントのフィーリングに違和感があって、なかなか僕の好みのものにならなかったんだ。このマシンから離れようとしたんだけれど、スライドして何かにぶつかって一緒に行ってしまった感じ。しばらくフロントホイールを見ていて、離れられないときにはまたマシンに戻ることを考えたよ。これからマシンをもっと良いものにしていきたい。問題が解決すれば必ず上位につくことができるんだ。M1はハイペースで順調にコースを回ってくれる。フロントのフィーリングを除けばとても素晴らしい。明日のウォームアップで試したいことがいくつかあるので、そこに期待している」
W・ズィーレンベルグ、ファクトリー・ヤマハ・レーシング・チームマネジャー談
「素晴らしいシーズンのスタートになった。昨年は予選で好位置につけるためにかなり苦労したからね。ホルヘは今日、ケイシーにコンマ2秒以上も差をつけてポールポジションを獲得した。チームとしても、とてもいい感じを持っていて明日の決勝を楽しみにしている」
M・メレガリ、ファクトリー・ヤマハ・レーシング・チームディレクター談
「シーズンのスタートとして、ポールポジションに勝るものはない。ホルヘの走りは見事で、ラップタイムも素晴らしかった。ベンのほうも転倒はあったものの4位につけることができたのだから、決して悪くはないのだが、明日までに気になっているフロント部分を改善し、ウォームアップで少しでも良いフィーリングをつかみたい。それらがすべて揃えば、万全の状態で決勝に臨める」
C・クラッチロー選手談(予選3位/1分55秒022/22周)
「予選結果に満足している。今はとってもハッピーな気分。明日は自信を持って決勝に臨めるよ。誰もが速さを認めているケイシーやホルヘとともにフロントロウに並べるなんて最高。こんな日が来るのを長い間夢見ていたけれど、実際にそうなってみて、これはいつも一生懸命に頑張ってくれるモンスター・ヤマハ・テック3チームのスタッフへの恩返しなのだと思う。彼らは僕をいろいろな面で支えてくれて、モトGPでの戦い方を教えてくれた。それが今日やっと、実になったということだからね。
今日は僕自身の走りにも満足することができたけれど、ホルヘのパフォーマンスも本当に素晴らしかった。ソフトタイヤに履き換えた後、するべきことは決まっているけれど、フロントロウにはいつも名人がいたんだ。今日はフロントロウ獲得の他にも大きな収穫があって、決勝用セッティングでも6位以内を目指せるだけの十分な速さがあった。僕の最終目標は決勝での6位以内獲得だからね。このマシンから最高のパフォーマンスを引き出せるよう、明日はベストを尽くして頑張る。ラップタイムではケイシーやホルヘからコンマ3、4秒は遅れているけれど、それも去年に比べればずっと良くなっているんだ」
A・ドビツィオーゾ選手談(予選6位/1分55秒858/25周)
「期待通りというわけにはいかなかったけれど、これから将来に向けてさらに進化するために必要な勉強の過程だと思う。だから6位は決して悪くないんだ。でも今日はちょっとアンラッキーな部分もあって、予選セッション終盤の激しいタイムアタックのときのマシンの感触に、まだ慣れていなかったと思う。このあたりはチームと僕との間で共通の理解を深めていかなければいけない。これはとても当たり前のことで、必ず少しずつ良くなってくるものなんだ。
マシンは昨日のものから少し調整を加えたが、とくにソフト・コンパウンドを履いた時に期待したような効果が上がらなかった。でもセッティングを昨日のものに戻せば、決勝ではもっと速く走ることができるはずだから不安はない。ハードタイヤではロレンソのペースからも、それほど大きく離されているわけではないので自信は失っていないよ。ただレースでは、タイヤのグリップが落ちていくので、スタートでトップに少しでも近づいておかないといけないね。大事なことは、スムースなライディングを心がけてタイヤを温存すること。それで最後にどうなっているかを見守るだけ」