ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.16 10月16日 オーストラリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第16戦オーストラリアGP
■開催日:2011年10月16日(日)決勝結果
■開催地:オーストラリア/フィリップアイランド(4.448km)
■周回数:27周(120.096 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:14度 ■路面温度:26度
■PP:C・スト―ナー(1分29秒975/ホンダ)
■FL:C・スト―ナー(1分30秒629)
REPORT
エドワーズが5位フィニッシュ
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソ、B・スピースはともに決勝を欠場。モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズは5位、C・クラッチローは転倒リタイアだった。C・ストーナー(ホンダ)が優勝し2011年のシリーズチャンピオンを決めた。
ロレンソは予選2番手を獲得し、フロントロウからスタートする予定だったが、決勝日、午前中のフリー走行で転倒、左手薬指を負傷。検査の結果、決勝出場は不可能と診断され、欠場を余儀なくされた。メルボルンの病院で手術を受ける予定。スピースは土曜の予選中に250km/h以上の高速でスライドさせて転倒、午前のセッションでは数ラップ走行を試みたものの、集中力が低下した状態でのレースは本人ばかりでなく他のライダーにも影響を及ぼす可能性があるとして、グリッドは7番手を獲得していたが、チームスタッフと話し合いの末に欠場を決めた。
エドワーズは予選9番手だったがこの2人の欠場でグリッドを2つあげ、3列目の最前列発進となった。序盤は8番手につけ、突然の強風にも適切に対処しながら、コンスタントにハイペースをキープしていたが、前をゆくV・ロッシ(ドゥカティ)の転倒で順位を上げる。さらに終盤は、コースの一部区間に急に雨が降りはじめる中、マシン交替でピットインするライダーを尻目に5番手に浮上。そのままゴールした。
クラッチローは、K・アブラハム(ドゥカティ)、青山博一(ホンダ)、R・ド・ピュニエ(ドゥカティ)と8位争いを展開。しかし不運にも、終盤の天候変化の餌食になってしまい、転倒、リタイアに終わった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Repsol Honda Team | Honda | 42'02.425 |
2 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +2.210 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | +2.454 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | +13.160 |
5 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +30.886 |
6 | R・ド・ピュニエ | Pramac Racing Team | Ducati | +48.800 |
7 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | +1'16.314 |
8 | T・エリアス | LCR Honda MotoGP | Honda | +1Lap |
9 | L・カピロッシ | Pramac Racing Team | Ducati | +1Lap |
10 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Ducati | +2Laps |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Honda | 325 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha | 260 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 212 |
4 | D・ペドロサ | Honda | 208 |
5 | B・スピース | Yamaha | 156 |
6 | M・シモンチェリ | Honda | 139 |
9 | C・エドワーズ | Yamaha | 109 |
13 | C・クラッチロー | Yamaha | 57 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 380 |
2 | Yamaha | 305 |
3 | Ducati | 172 |
4 | Suzuki | 73 |
COMMENT
C・エドワーズ選手談(5位)
「テレビ画面では素晴らしい天気のように見えただろうけれど、実際には激しい風が吹いていて最悪のコンディションだったんだ。だから今日のレースはサバイバル・ゲームそのものだよ。このコースではいつも風が問題になることがわかっているけれど、今日は特別ひどくて、いつ、どこから吹き飛ばされてしまうか、まったく予想がつかなかった。
序盤から何とかリズムをつかむことができて、コンスタントなペースをキープして8位につけていたときは自分でも満足できていたんだ。ところがそのあと、コースは大混乱になってしまった。スリックタイヤを履いて走行中に、シールドに雨粒がつくのを見るのは、とてもいやなもの。でもそれが、コースのほんの一部だけの出来事だったんだ。白旗が出され“フラッグ・トゥ・フラッグ”の状況であることは分かっていたけれど、でも僕はレインタイヤに交換することなど、まったく考えなかった。ただひたすら、できるだけハードに、そしてできるだけ安全に、最後まで走りきったよ。その結果の5位はとてもうれしい。
ケイシーはシーズンを通してずっと強かった。確かに世界チャンピオンに値するよ。仲間のひとりとして、彼の活躍を称賛したい。おめでとう!」
C・クラッチロー選手談(DNF)
「ウイーク初日から苦しんできたので、もしもトップ10を獲得できれば納得の結果だと思っていたんだ。それがこのようなことになって本当に悔しい。アブラハム、青山、ド・ピュニエといいバトルをしていて、その時点では少なくとも8位に入れると考えていた。ルーキー・ハイツに差し掛かったところでは、まだ雨は降っていなかったのに、次の瞬間には転倒してしまった。青山が同じ水たまりにはまって目の前で転倒しているので、まるで‘シンクロナイズド・クラッシング’。何で転んでしまったのか自分ではまったくわからなくて、あとで聞いたところによると急に雨が降り出し、一瞬で止んだということだった。それが好成績の可能性をつぶしてしまったのかと思うと残念でたまらないけれど、この雪辱を次のセパンで果たしたい。セパンは冬のテストで2回走っているし、あれからたくさんの経験も積んできたのだから、必ず力強い、いい走りができるはずだ」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム、チームマネジャー談
「コーリンは、非常に難しいコンディションのなかで本当によくやってくれた。ヘレスやシルバーストーンなど、チームが厳しい状況になったときには、いつもコーリンが助けてくれた。5位は素晴らしい成績で、しかもこれによって、ノン・ファクトリー勢最高のポジションを獲得する可能性がまた高まった。
その一方でカルのほうは残念な結果になった。このコースは彼にとっても初めてではないので、他のコースよりはずっと良い走りができるはずだと思っていた。ところが初日からずっと、なかなかペースを上げることができなかった。しかし私は彼を信頼すべきだと思っている。なぜなら彼は決してあきらめることなく、今日もドラマティックなレースを見せてくれたのだから。スタート直前のグリッドでエンジンが止まってしまったときにも、まったく戸惑った様子を見せず、レースでは経験豊富なライダーたちと懸命に戦った。何もなければ6位獲得の可能性もあったと思っているが、結局は雨につかまってしまった。よくあることだよ。この悔しさをばねに、次のセパンではひとまわり大きくなった彼を見たい。
最後になったが、ケイシーに祝福の言葉を贈ろう。彼は今シーズン、その並はずれた才能を見せて世界チャンピオンになった。それからホルヘ・ロレンソも本当に素晴らしかった。ヤマハのマシンの競争力の高さを証明し、ここまでずっと、ケイシーにプレッシャーをかけ続けてきたのだから」
辻 幸一、MS開発部 モトGPグループリーダー談
「ここフィリップアイランドGPは毎年変わりやすい天候に翻弄されるため、着実にセッティングすることが重要です。そういう意味ではロレンソ選手は初日から上手くセッティングを進めることが出来ました。予選も2番手を獲得したものの、朝のウォーム・アップ走行で転倒。左手にダメージを負ったためレース出場は見合わせました。相棒のベン選手も昨日の転倒の影響でフィジカルに問題を抱えていたため出場は見合わせることとしました。
ファクトリーライダー2名が欠場する中、波乱のレースではありましたが、サテライトのテック3チームのコーリン選手が5位に入る素晴らしい走りを見せてくれたのが幸いでした。残念ながら2011年のチャンピオンを獲得するに至りませんでしたが、残り2戦はヤマハとYZR-M1の底力をお見せできるようスタッフ一同頑張ります。引続きご声援の程宜しくお願いします」