ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.14 9月18日 アラゴン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第14戦アラゴンGP
■開催日:2011年9月18日(日)決勝結果
■開催地:スペイン/モーターランド・ アラゴン(5.078km)
■コースコンディション:ドライ
■PP:C・スト―ナー(1分48秒451/ホンダ)
REPORT
ロレンソは3位、スピース5位
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソが3位。チームメイトのB・スピースは5位となった。モンスター・ヤマハ・チームのC・クラッチローとC・エドワーズは、それぞれ9位と13位でフィニッシュした。
予選4番手・2列目グリッドからスタートしたロレンソは、序盤はC・ストーナー、D・ペドロサ(いずれもホンダ)、スピース、M・シモンチェリ(ホンダ)に先行され5番手につけていたが、10周目、シモンチェリのミスで順位を上げ4番手に上がる。そして先をゆくスピースを追う展開。2人のデッドヒートがしばらく続いたが、14周目に3番手に立つとトップを追っていく。しかしこの段階で既にトップから10秒近く離されており、追い上げならず3位のままチェッカー。アラゴンで初の表彰台にのぼった。
予選3番手・フロントロウ発進のB・スピースは巧みなスタートダッシュで1コーナーをトップ通過。1周目はしばらくトップを守っていたが、ストーナー、ペドロサにパスされ1周目終了時は3番手。それでも4周目にはレース全体のなかで3番目に速い1分49秒593を記録するなど好調をキープ。4位以下に十分な差をつけて走行を続けていた。ところが6周目になって突然グリップが落ちたためペースも下がり、ロレンソとシモンチェリに先行され、少しずつ後退してしまい5位でゴールした。
クラッチローはスタート直後の第1コーナー進入でやや遅れたものの、その後は着実にペースを上げて挽回開始。4周目にエドワーズをパスして11位に上がると、さらにその前の青山博一とT・エリアスを追って行き、6ラップ目にはふたりを捉えて9位に浮上した。しかし7周目には後方から追い上げてきたV・ロッシに抜かれて再び10位に後退。ここからレース終了まで、クラッチローはロッシ、青山と激しい9位争いを展開。3台は1秒以内の差で順位を入れ替えながらバトルを繰り広げ、18周目にはついに、クラッチローがロッシと青山を追い詰めた。経験豊富なふたりのライダーを捉えたクラッチローは、6月初旬のカタルニア以来のベストリザルトを獲得。この結果、貴重な7ポイントを手中にし、ランキングではふたつ上げて13位。ルーキー・オブ・ザ・イヤーのライバル、K・アブラハムの前に出ることとなった。
一方、エドワーズはリアのグリップ不足に悩まされて、いつものような激しいプッシュができなかった。スタート前にはマシンの荷重配分を変更するなどで対処を試みたが、期待したような効果が得られず、最終的には不本意な13位に留まった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Repsol Honda Team | Honda | 42'17.427 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | +8.162 |
3 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | +14.209 |
4 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +20.646 |
5 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | +27.739 |
6 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | +30.373 |
7 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | +34.288 |
8 | H・バルベラ | Mapfre Aspar Team MotoGP | Ducati | +37.305 |
9 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +39.652 |
10 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | +39.832 |
11 | 青山博一 | San Carlo Honda Gresini | Honda | +39.997 |
12 | R・ド・ピュニエ | Pramac Racing Team | Ducati | +54.717 |
13 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +58.430 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Honda | 284 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha | 240 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 185 |
4 | D・ペドロサ | Honda | 170 |
5 | B・スピース | Yamaha | 146 |
6 | V・ロッシ | Ducati | 139 |
9 | C・エドワーズ | Yamaha | 90 |
13 | C・クラッチロー | Yamaha | 52 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 330 |
2 | Yamaha | 274 |
3 | Ducati | 153 |
4 | Suzuki | 73 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(3位)
「スタート直後からあまり調子が上がらず、順位を下げてしまったけれど、そのあとは何とか、少しずつリカバーしていくことができた。でも今回は表彰台がやっと。それ以上は無理だったんだ。だから最高の出来と言っていいと思うよ!リアまわりに自信がなくてダニを捉えることができなかった。残念だけれど、少なくとも去年は獲得できなかった表彰台を獲得したんだ。チャンピオン争いはまだ続いているので、そちらのほうが重要。次のもてぎに希望を繋ぐことができて良かったよ」
B・スピース選手談(5位)
「スタートで前へ出たあとも、ケイシーやダニをずっと抑え続けられないことは初めからわかっていた。でも僕自身は序盤、とても好調で、4、5ラップ目に入ってからも4位以下との差は広がっていたんだ。その時点でとても気持ちよく乗れていたので、今日は表彰台を狙えると思っていたよ。ところが6ラップ目か7ラップ目にタイヤのグリップが急に下がり、その後もどんどん下降を続けていった。いつもなら一旦、急激に落ちたあと、また安定してくれるんだけれどね。だから今日はリアに自信が持てず、グリップもなくなってしまった。それまでとても好調で、マシンもとてもよく走ってくれていただけに悔しくてしかたがないよ」
ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「ホルヘにとって今日の3位獲得は、最もダメージの少ない結果だったと思っている。午前中の段階でも、3位が精一杯だろうと皆で話し合っていたところだから、我々としてはこの結果に満足している。しかもレース終盤になると予選タイムをコンマ5秒上回るペースで走れていたので、本人もこの表彰台に満足していい。その一方でベンのほうは非常に残念だった。グリップが落ちてしまったら、ライダーとしてはどうすることもできない。ホルヘのほうにその問題が出なかったことはラッキーだったのだ。序盤はややグリップ不足があって49秒台に届かなかったが、50秒台前半をコンスタントにキープすることができた。それが3位を獲得できた唯一の理由だったと考えている。チームは今回もウイークを通してずっと懸命に働きき、ホルヘに最高のマシンを届けてくれた。彼らに感謝している」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「午後になって気温が下がったことで、今朝までの好調なセッティングに影響してしまったのだろう。スタートから数ラップでリアタイヤの状態が悪くなってしまったのだから、ベンもどうすることもできなかった。ホルヘのほうはできる限りの最高の結果を得た。このことはとても素晴らしいことで、チャンピオン争いのことを考えても今日の3位はとても良い結果だ。これからも厳しい戦いが続くが、最後までベストを尽くして頑張っていく」
C・クラッチロー選手談(9位)
「今日のレース展開にはとても満足。だって、また10位以内に入ることができたし、グランプリでたくさんの成功をおさめてきたふたりの素晴らしいライダーとバトルができたのだからね。でもそう思うと、第1コーナーで順位を下げてしまったことが悔やまれる。あれさえなければバウティスタやヘイデンと戦っていたかもしれないよ。あの時はイン側の路面が汚れたところに入ってしまって、ブレーキをかけたらフロントがロック。危うく転倒してしまうところだったんだ。
ストレートではスピードがやや足りなかったけれど、その分をコーナーで取り戻すことができたのはとても良かったと思う。何しろヤマハのマシンのコーナリング性能は抜群だからね。それでもバレンティーノやヒロシを抑え切るのは本当に大変だったよ。もしも最終ラップのストレートで彼らの後ろにいたとしたら、スリップストリームに入るのは難しかっただろうね。今回はとても多くのことを学ぶことができた。9位を獲得して今まで見たことがなかった景色が見えたし、僕よりずっと経験豊富なふたりに打ち勝つことができた。とくにバレンティーノとのバトルは素晴らしい経験になったので、今後に向けて大きな自信になったよ」
C・エドワーズ選手談(13位)
「150回目のモトGPは残念な形で終わってしまった。ここまで何とかマシンをうまく仕上げたいと頑張ってきたけれど、結局、最後まで自分のしっぽを追い回してしまった感じ。ストレートのスピードを補うためにもリアのグリップ向上を目指し、決勝ではまた荷重配分を変更。リアの荷重を増やしてみたけれど効果は上がらなかった。そして5ラップ目くらいから早くもグリップが落ち始めて、そのあとはペースをキープすることができなくなって、どんどん順位を下げてしまった。前回に続いて今回は非常に厳しい戦いになった。これからみんなで顔を付き合わせ、次のもてぎまでに何らかの解決策を見つけ出したい。そして本来あるべき、10位以内に戻りたいんだ」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム、チームマネジャー談
「カルがトップ10に戻ってきたことは非常にうれしい。ようやく、シーズン序盤に見せてくれた自信あふれる走りが戻ってきた。いやそれどころか、シーズン最高のパフォーマンスだったと思っている。最終結果よりも、そこまでの展開と彼の走りが素晴らしかったのだ。スタート直後はちょっと手間取ったが、彼はあきらめずにバレンティーノや青山とバトルを挑み、そこから今回は本当に多くのことを学んだことだろう。何しろ9つのタイトルを持つ偉大なライダーと戦ったのだから、未来につながる大きな自信になったに違いない。しかも彼らと戦っただけでなく、彼らに勝ったということに私は非常に満足している。もしもスタートがうまくいっていたとしたら、バウティスタやヘイデンに追いつくことも、決して非現実的なことではない。いずれにしろ9位獲得は本当に素晴らしかった。
一方コーリンのほうは残念な結果になった。モトGP150回目という記念のレースをこのような形で終えることは誰も望んでいなかった。彼はセッティング変更に賭け、タイヤもフロントにソフト・コンパウンドを選択した。しかしそれが、不運にも効果をあげなかったのだ。彼としては完走するだけで精一杯だった。今日のことは早く忘れていつもの走りを取り戻してくれることを期待している」
辻幸一、MS開発部 モトGPグループリーダー談
「ここアラゴンサーキットはスペインのバルセロナから約200km南西の内陸部にあり、昨年からレースカレンダーに加わりました。昨年は良い成績を収めることができず苦戦したサーキットの1つです。今年は何とか攻略すべく各種のトライを行った結果、ベストではありませんが、ロレンソ選手が3位表彰台を獲得しました。また相棒のベン選手もすばらしいスタートでホールショットを奪った後、上位を快走するも中盤以降グリップ不足により順位を維持することが困難になり最終的に5位でチェッカーを受けました。ヤマハにとっては昨年に引続き表彰台の真中に立てませんでしたが、マシンへの理解を深める良い機会でありました。
次回はいよいよ日本GPとなります。ここでの経験を有効に生かして皆様の期待に応えるようがんばります。また50周年記念イベントとして往年のライダーによるヤマハチャンピオンマシンのデモランを行います。ぜひともこの機会にツインリンクもてぎに足を運んでいただき、モトGPの感動と興奮を味わってください」