ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.15 10月10日 マレーシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第15戦マレーシアGP
■開催日:2010年10月9日(土)予選結果
■開催地:マレーシア/セパン(5.548km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:34度 ■路面温度:52度
■PP:J・ロレンソ(2分01秒537/ヤマハ)
REPORT
J・ロレンソが今季6度目のポール獲得
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソが、今季6度目のポールポジションを獲得。明日の決勝でチャンピオンを決定するための完璧な準備を整えた。チームメイトのV・ロッシもフロントロウを目指していたが、セッション終盤でタイムを更新することができず、6位に留まった。
気温は30度代後半に達し、ライダーたちにとっては非常に厳しいコンディションのなかで行われた予選セッション。ロレンソはもてぎの公式予選以来、使っていなかったニュースペックのエンジンを採用し、セッションを通じて圧倒的な強さを発揮した。残り10分の時点でトップをキープしていたロレンソを止めるものは、もはや現れないかに見えたが、残り4分でN・ヘイデン(ドゥカティ)が逆転トップに浮上。何とかトップを奪い返したいロレンソが懸命の走行を続けるも、最終ラップが4分の3ほど過ぎた時点で、まだわずかに届かない。そして、このまま2位に終わるかに見えた頃、さらにタイムを更新してポールポジションを勝ち取ることに成功した。明日の決勝で7ポイントを獲得すればタイトルが決定する。
一方、昨日はトップタイムを記録したロッシ。今日の予選も序盤は常に3位以内をキープして安定した走りを見せていたが、終盤になってライバルたちがタイムを更新するなかで、ロッシはコンマ数秒が詰めきれず6位に後退した。終盤のタイムアタックではソフト・タイヤの効果が表れるものと期待していたが、アドバンテージは得られず、逆にグリップ不足に悩まされてハードなプッシュができなかった。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのB・スピースとC・エドワーズは、それぞれ4位と7位。スピースは7回連続で6位以内。フロントロウまで0.164秒の僅差で、非ファクトリー・ライダーのトップとなっている。
プラクティス初日はグリップ不足に悩んでいたスピース。今日は過酷な暑さと戦いながら、前後グリップ向上に取り組み成果をあげた。また、いくらか気温の低かった午前中のセッションではロングランも行い、決勝の周回数に1ラップ足りないだけの19ラップを順調に走り切って、マシンとタイヤのデータを収集した。タイムアタックでは、残り15分の時点でスピースが真っ先に2分02秒を下回り、2分01秒993を記録してトップに浮上。しかしその後はタイムを更新することができず、最終コーナーのハードブレーキングでミスをしたこともあり、僅差で3位フロントロウとはならなかった。
一方のエドワーズは、前後トラクションの向上に成功したものの、0.067秒差で2列目を逃した。路面のグリップ性は前日より格段に良くなっており、エドワーズはわずか6ラップで2分02秒台を記録。その後も終始、安定したペースで走り切り、2分02秒097のベストラップで7位となった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 2'01.537 |
2 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 2'01.637 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 2'01.829 |
4 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 2'01.993 |
5 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 2'02.023 |
6 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 2'02.030 |
7 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 2'02.097 |
8 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 2'02.394 |
9 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 2'02.522 |
10 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 2'02.624 |
11 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 2'02.690 |
12 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | 2'02.723 |
13 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 2'02.775 |
14 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | 2'02.778 |
15 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | 2'02.928 |
16 | M・カリオ | Pramac Racing Team | Ducati | 2'04.167 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(予選 1位/2分1秒537/25周)
「今日はどうしてもポールポジションが欲しかったんだ。だって明日の決勝は必ず厳しいものになるし、優勝を目指すのはとても難しいからね。セッションを通じて強さをキープして、最後の1ラップは本当に素晴らしい走りができた。ポールポジションに戻ってくることができたことが、すごくうれしいんだ。そして、いよいよ時間が迫ってきた。僕のレース人生のなかでもとっても重要な1日。明日が待ちきれないよ。良い状態でここまで来ることができたので、あとは結果を待つだけ。心を静かにして、集中していくよ!」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「ホルヘはよく頑張ってくれた! とても安定していたし、ラグナセカ以来のポールポジション復帰は非常にうれしいよ。あの頃の彼は、必ずしもシーズン序盤のように自由に走れていたわけではなかった。でも今日は彼のベストの状態だ。マシンもとても好調。ニューエンジンもよく機能したので、明日もこれを使うことになるだろう。誰もがそうであるように、彼は今、確かにナーバスになっている。レース展開を予想するのは難しいが、今日は緊張が走りに影響するようなことはなかったのだから、明日もきっとしっかりやってくれると信じている。あとは見守るだけだ」
V・ロッシ選手談(予選 6位/2分2秒031/24周)
「グリップが不十分でマシンの挙動が大きく、コントロールがとても難しかった。それでもハード・タイヤを履いたときは、決して悪くなかったんだ。ところがソフト・タイヤに履き替えると挙動がさらに大きくなり、ソフトコンパウンドのアドバンテージを生かすこともできなかった。そういうわけで明日は2列目からのスタートということになってしまったんだ。それに加えて気温も信じられないくらいに高いから、かなり厳しいレースになるだろう。おそらくシーズンで最もハードな戦いだ。でも僕らはいつものようにベストを尽くす。好スタートを期待するよ」
D・ブリビオ、チーム監督談
「もっと上を目指していたし、本当のポテンシャルはもっと高い。それだけに今日は残念な結果になった。決勝用セッティングでのタイヤグリップをもっと向上させなければならない。今日はいくつかのコンビネーションを試したので、明日のウォームアップでどれを選択するか決定する。セッション終盤でソフト・タイヤのアドバンテージを生かしたかったが、それができなかったのは残念。今日は2列目に留まったが、決勝ではもっと上を目指していく」
B・スピース選手談(予選 4位/2分1秒993/26周)
「フロントロウにここまで近づけてうれしいよ。決勝に向けて自信もついたし、4位からのスタートならレース展開にも有利になるだろう。午前中には決勝のシミュレーションをしたので、少なくとも決勝用セッティングでのマシンの状態はわかっているし、パフォーマンスには満足できた。午前中だから気温は少し低めなので、ただ感触を確かめただけだけどね。そのときのフィーリングはとても良くて、それが予選の好結果にもつながったと思う。公式予選で初めてソフト・タイヤを履いたけれど、すべてが順調で好タイムを記録。さらに最終ラップで更新しようとしたけれど、最終コーナーでミスをしてしまったんだ。あのとき僕はコーリンを追っていて、実は彼がバックストレートで僕を引っ張ってくれようとしたんだ。でも予想よりも離れてしまっていたから、やっと追いついたときにはブレーキングに入ってしまった。そこで僕はブレーキポイントを誤ってはらんでしまったんだ。あれがうまくいっていれば、間違いなくフロントロウに並ぶことができただろう。でも、今レースをすれば5位以内に入る自信があるよ。それが僕の目標だ」
C・エドワーズ選手談(予選 7位/2分2秒097/23周)
「今日は本当に暑くて、ピットに戻るたびに全身から汗が噴き出していたよ。だから明日も間違いなくとても厳しいレースになるだろう。もっと速く走れたはずだと言いたいところだけど、できる限りのことはやって、もうほとんど残っていなかったんだ。マシンのフィーリングはとても良くて、チームのおかげでグリップ感が昨日よりもかなり上がっていた。先週の日本は路面のグリップが素晴らしかったから、ここでも同じようなことを期待していたところがあったかもしれないんだけれど、結局、マシンのセッティングをすべて変更してようやくグリップを得ることができたんだ。マシンは間違いなく良くなっているから決勝には自信があるよ。
ベンのことだけど、あの時僕はピットに入ろうとして、第4コーナー出口で後ろを振り返ったんだ。すると彼が後ろについているのが見えた。だから僕が少しペースを上げれば、バックストレートで彼を引っ張ってやれるかもしれないと考えた。そうすればフロントロウ、いやポールだって不可能じゃないってね。でも最終コーナーに近づいたところで、彼がブレーキング・ポイントをミスしてしまったことがわかったんだ。でも依然として、ふたりともいい位置につけているから、明日の決勝を楽しみにしているよ」