ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.11 8月29日 インディアナポリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第11戦インディアナポリスGP
■開催日:2010年8月28日(土)予選結果
■開催地:インディアナ州/インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(4.216km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:33度 ■路面温度:54度
■PP:B・スピース(1分40秒105/ヤマハ)
REPORT
スピースが初のポール、ロレンソも2番手と2台のYZR-M1がフロントロウ獲得
モンスター・ヤマハ・テック3のB・スピースが、母国アメリカのインディアナポリス・モーター・スピードウエイでモトGP初めてのポールポジションを獲得。テック3チームにとっては、2008年の中国GP以来のポールポジションとなった。
スピースはセッションのほとんどを決勝用セッティングで走行。しかし終盤になってリアタイヤをソフトコンパウンドに換えてタイムアタックを開始すると、一気にペースが上がって1分40秒465を記録。それまでの9位からいきなりトップに躍り出た。その後、ロレンソとヘイデンがこれを上回り、スピースは一時、3位に後退したが、最終的には1分40秒105に更新してポールポジションを確実にした。2位のロレンソとの差は0.22秒。前回のブルノではポールポジションに届かなかったが、今回は圧倒的な強さを見せた。ポールタイムから0.5秒以内に入ったのはロレンソ、ヘイデン、A・ドビジオーゾの3人だけ。
一方、チームメイトのC・エドワーズは9位。昨日までは決勝用のハードコンパウンドのタイヤで好調ぶりを見せていたエドワーズだが、タイムアタックのために履いたソフトコンパウンドでは思うようにペースを上げることができなかった。
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソは予選2位で、連続11回目のフロントロウ獲得。チームメイトのV・ロッシはセッション終盤で転倒し、7位となった。
昨日に引き続き暑い1日。路面温度は50度を超えた。そのなかでロレンソは好調をキープし、終盤では決勝用セッティングからタイムアタックに切り替えると、すぐにトップに躍り出た。しかしその後、モンスター・ヤマハ・テック3のB・スピースがコンマ2秒上回ってポールポジションを獲得。ロレンソは2位となった。3位にはN・ヘイデン(ドゥカティ)が入り、ロレンソはふたりのアメリカ人ライダーに挟まれることとなった。
一方、ロッシはセッティングに悩んでペースが上がらず、午前中のフリープラクティスではコースアウトもあって9位。午後からの公式予選では大幅なセッティング変更を行い、ペースは上がったもののグリップ不足は依然として解消されないままだった。そしてセッション終盤、ソフトコンパウンドのタイヤに履きかえてタイムアタックに臨んだが、路面の凹凸にタイヤを取られて転倒。再スタートの時間は残されておらず、7位で終了することとなった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'40.105 |
2 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'40.325 |
3 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'40.336 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'40.559 |
5 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'40.637 |
6 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'40.664 |
7 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'41.005 |
8 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'41.092 |
9 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'41.232 |
10 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'41.512 |
11 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'41.534 |
12 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'41.623 |
13 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | 1'41.631 |
14 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'41.649 |
15 | M・カリオ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'41.856 |
16 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | 1'41.896 |
17 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'41.923 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(予選2位/1分40秒325/28周)
「すごく暑かったから、路面が滑りやすくて大変だったよ。何が起きるか予測がつかないんだ。そんななかでも僕は好タイムが出て2位を獲得できたからラッキーだったけどね。それにしてもベンは素晴らしかったよ。明日の決勝ではスタートが肝心。速いライダーが後ろに大勢いるから、誰にとっても厳しい戦いになると思うんだ。セッティングはうまくいっているし、タイヤもいいものが見つかった。あとは僕がベストを尽くし、結果を待つだけ」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「今日の暑さはひどいもので、グリップ力が落ちてしまって多くのライダーが苦労したようだ。そんななかでホルヘは幸運にも好調をキープし、良い結果を得ることができた。マシンの調子も非常にいいし、タイヤもすでに決まっている。しかもフロントロウからのスタートなので、きっと上位を目指していい戦いができるだろう。ベン・スピースのポールポジション獲得は素晴らしかった。ホームGPで、見事なタイムを記録したね」
V・ロッシ選手談(予選7位/1分41秒005/23周)
「フィーリングを何とか取り戻そうと懸命に頑張った結果、少し状況が改善された。でも運の悪いことに、セッションの一番大事なところで転倒してしまったんだ。ソフトタイヤに履き換え、まさにタイムアタックを始めようとしたところだったし、そのあとはもうほとんど時間が残っていなかったからね。でも、もっと悪い結果も考えられた。7位よりもずっと後ろに下がってしまうかもしれないと心配していたから、まだいいほうだったと思うよ。このコースは非常にバンピーなので、これに対処する何らかの方法を考えなければだめだと思う。1日に2回も転倒したのは何年も前、90年代にあったかもしれない。でも体にはまったくダメージがなかったから幸運だったよ。明日はかなりおもしろいレースになるだろうね。だって僕もペドロサもストーナーも2列目以降なんだから、いつもとはまったく違う展開になると思うよ!」
D・ブリビオ、チーム監督談
「最高の週末というわけにはいかなかったが、今日はいくらか改善も見られて、ペースも悪くはなかった。バレンティーノがセッションの終盤で転倒してしまったのはアンラッキーで、あのあとスペアマシンに乗り換えてもう一度出ていくには時間が足りなかったんだ。このような状況を考えれば、3列目に残っただけ良かったのだと思う。それに何よりも、怪我がなかったことが幸運だった。明日までの課題が残されたので、今晩これに取り組み、明日の決勝に照準を合わせていきたい。あとはどんな展開になるのか見守るだけだ」
B・スピース談(予選1位/1分40秒105/28周)
「モトGPで初めてのポールポジション獲得。それをこのインディアナポリスで、アメリカのファンの前で実現することができて、僕にとってはより一層、特別なものになった。モンスター・ヤマハ・テック3チームのためにも、いい恩返しができたと思っているよ。 チームが僕をここまで押し上げてくれて、僕もそれに応えようと最大限の努力をしてきた。そして今日の予選も限界ぎりぎりまで頑張った、と堂々と言うことができるよ。ブルノで惜しいところで逃してしまったあとは、何としても母国の地で初ポールポジションを実現したいと思っていたんだ。そしてこうして、同じアメリカ人のニッキーと一緒にフロントロウに並ぶことになったこともうれしいよ。ウイークが始まったばかりの頃には、このような結果は予想することができなかった。でも頑張ってきた甲斐があってここまで来ることができたのだから、あとは明日の決勝でスタートに集中し、すべてを賭けて戦い抜くしかない。母国での表彰台、自己ベストの成績はもちろん欲しいけれど、自分の能力を超えるつもりはない。でも今は、とにかく楽しめているよ!」
C・エドワーズ選手談(予選9位/1分41秒232/27周)
「正直に言えば、午前中の段階ではもっと上に行けると思っていたんだ。タイムだって40秒台中盤まで出せるはずで、そうすれば2列目には並べていたんだけれど…。ところが今日は本当に暑くて、そのせいで路面がかなり滑りやすくなっていた。通常、ソフトタイヤに履き換えればタイムが上がると考えるところだけれど、今日はまったくそれができなかったんだ。普通ならコンマ6、7秒は上がるのに、暑さのせいでまったくグリップしてくれなくて…。でも決勝用のハードタイヤではセッティングもうまくいっているから、明日については不安はない。金曜日からずっと好調だったのだから、6位以内、自己ベストも不可能じゃないと思っているよ。それにしてもベンのパフォーマンスは素晴らしかったね。モンスター・ヤマハ・テック3チームにとっても、とてもうれしい結果になったよ」