ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.11 8月29日 インディアナポリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第11戦インディアナポリスGP
■開催日:2010年8月29日(日)決勝結果
■開催地:インディアナ州/インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(4.216km)
■周回数:28周(118.048 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:35度 ■路面温度:56度
■PP:B・スピース(1分40秒105/ヤマハ)
■FL:D・ペドロサ(1分40秒896/ホンダ)
REPORT
スピース2位、ロレンソ3位、ロッシ4位
モンスター・ヤマハ・テック3チームのB・スピースが2位を獲得。フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソとV・ロッシは、それぞれ3位と4位だった。優勝はD・ペドロサ。
ロレンソはスタートで出遅れて順位を下げ、1周目を5番手で終了。3ラップ目にはN・ヘイデンを捉えて4位に上がり、8ラップ目で3位A・ドビツィオーゾのテールに追いついた。しかしパスするまでには時間がかかり、12周目の1コーナー進入でようやく3位に浮上することができた。この時、2位のスピースはすでにリードを広げており追撃は不可能。そこでロレンソは3位を確実にするために走り切り、貴重な16ポイントを獲得した。
一方のロッシは予選7位の位置から好スタート。前日まではグリップ不足に悩んでいたが、決勝の走りは非常に好調に見えた。そして4ラップ目にヘイデンをパスして5位に上がり、ロレンソとドビツィオーゾのバトルからコンマ2、3秒後方を確保した。ロレンソがドビツィオーゾをパスしたあとは、ドビツィオーゾとの差を詰めていき、残り8ラップでこれをパスして4位に浮上。さらにポジションアップを狙いたいところだったが、この頃には怪我の影響から体力が落ちてきていたため、そのまま4位でチェッカーを受けた。ロレンソとの差は6秒ほどに開いていた。
ロレンソはランキングトップをキープしており、2位のペドロサとの差は68ポイント。ロッシは5位で、4位のC・ストーナーとの差を5ポイントとした。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのB・スピースは、自己ベストとなる2位。MotoGPで初めてのポールポジションを獲得していたスピースは、好スタートを切ってレースをリード。そのままハイペースをキープして順調に走行を続け、3ラップ後には約1秒のアドバンテージを築いた。しかし2番手につけていたペドロサが少しずつ差を詰めてくるようになり、7ラップ目でついに捉えられてしまう。空気がまとわりつくような暑さのなかで、スピースは懸命についていってプレッシャーをかけ続けたが届かず、終盤はペースを落として安全に走り切って2位を手中にした。ヤマハ勢トップとなったスピースに地元ファンが盛大な拍手を贈っていた。
一方、チームメイトのC・エドワーズにとっては厳しい戦い。気温と湿度の高さを考慮してリアタイヤに最も硬いコンパウンドを選択し、その後半でのアドバンテージを期待していたが、11周目にソフトコンパウンドに変更。これによってタイムは上がったものの、17ラップ目でリタイアした。
次回第12戦は再びヨーロッパに戻り、イタリアはミザノ・サーキットで開催される。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 47'31.615 |
2 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +3.575 |
3 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | +6.812 |
4 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | +12.633 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | +21.885 |
6 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | +35.138 |
7 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +36.740 |
8 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | +36.825 |
9 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | +44.905 |
10 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | +51.368 |
11 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | +55.386 |
12 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | +57.903 |
13 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | +1'04.139 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha | 251 |
2 | D・ペドロサ | Honda | 183 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 126 |
4 | C・ストーナー | Ducati | 119 |
5 | V・ロッシ | Yamaha | 114 |
6 | B・スピース | Yamaha | 110 |
11 | C・エドワーズ | Yamaha | 57 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 260 |
2 | Honda | 220 |
3 | Ducati | 159 |
4 | Suzuki | 56 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(3位)
「3位という結果にがっかりするべきじゃないと思うんだ。でも今日の自分の走りには納得がいかない。スタートがうまくできなかったし、そのあともすべてを出し切ることができなかった。今日は今までにも増して暑さが厳しくて、ハードにプッシュしたり、プラクティスと同等のタイムを出したりするだけの体力がなかったんだ。まるでマレーシアGPのような厳しさだったよ。しかも路面がとても滑りやすかったので、タイヤを思い通りに使いこなすことができない。そんなわけだから、3位で完走できただけでもラッキーだったと思っているくらいなんだ。良かったことは少しでもポイントを獲れたこと。次のミザノまであまり時間がないから、調子を取り戻すべく集中していくよ」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「ライダーたちにとっては相当、厳しいコンディションだったようだ。そのなかで3位を獲得できたことを喜ばなければならない。このような暑さのなかではミスをおかしやすいので、レース前にホルヘにかけた言葉は、“ふたつのタイヤを立たせたまま戻ってくるだけでいい”ということだった。ところが不運にもスタートを失敗してしまったために、追い上げの使命が課せられてしまった。だからこの状況のなかでの3位は、これまでの7回の優勝と同じくらいにうれしいことなのだ」
V・ロッシ選手談(4位)
「昨日までに比べて、今日はいい走りができたよ。このようなコンディションのなかで4位に入れたのだから悪くないと思う。そして何よりも、レースのリズムをしっかりつかみ、気持ちよくマシンに乗ることができるようになったことが大きな収穫だった。好タイムも何度か出ていて、他のヤマハ勢からもそんなに離されてはいなかったんだけれど、残念ながらこの暑さに体力を奪われてしまったんだ。そして最後にはすっかり力がなくなって、プッシュすることもできなくなってしまった。でも、セッティングが戻り、うまく乗れるようになったことには満足しているよ。今週は3回も転倒してしまったことを考えれば、4位は悪くないよね。次はホームレースのミザノだから、楽しみにしているよ!」
D・ブリビオ、チーム監督談
「我々にとっては非常にいいレースになった。バレンティーノが上位と同等のペースで走れることがわかったからだ。ただ体力的にはまだ完全には戻っていないため、暑さのせいもあって、最後までその速さをキープし続けることができなかった。それでもトップに非常に近いところに留まり、復活を証明してくれた。このことはセッティングの面でも自信になった。プラクティスまではとても苦しかったが、みんなのおかげでそれを脱することができたのだ」
B・スピース選手談(2位)
「母国アメリカの大勢のファンの前で、またこの由緒あるインディアナポリスで、モトGPベストリザルトを獲得することができてとてもうれしい。ホームレースでベストリザルトを実現したいということは、今まで何度も話してきたので、そのミッションが達成されたということなんだ。ポールポジションから好スタートを切って、モトGPで初めてトップを走ることができた。でも悔しいことに、ダニのペースにはどうしてもかなわなかったんだ。優勝はできなかったけれど、ミスはほとんどなかったし、最後までコンスタントに走り切ることができたことには満足しているよ。ダニに抜かれたときすでに、ついて行くことは不可能だとわかっていたんだ。だから彼を先に行かせて、そのあとは3位で追ってくるホルヘとの差に注意しながらゴールを目指していった。充実したレースウイークになったし、母国で2位を獲得してヤマハ勢のトップに立つことができたのだからこれ以上、望むことはない。来週のミザノもまた楽しんで走りたい」
C・エドワーズ選手談(リタイヤ)
「金曜日にハードタイヤを試したときに41.6秒が出ていて、フィーリングもとても良かったからそれをチョイスしたんだ。ソフトタイヤではレース距離を走り切ることはできなかったし、8周か9周くらいでもう問題が出てきていたからね。しかも今日は気温も湿度も上がっていたので、ハードタイヤを使いたいと思ったんだ。ところが走りだしてみるとグリップがいまいちで、コーナリングがうまくできない。ベストを尽くして限界ぎりぎりまで攻めているのに、どうしてもペースが上がっていかなかったから、ピットに戻ってソフトタイヤに交換することにしたんだ。そうしたらすぐにタイムが上がったよ…。つまりタイヤチョイスが失敗の原因だ。その一方でベンの走りはすばらしかった。モトGPでの2位という成績は誇れるものだよ。おめでとう、ベン!」
H・ポンシャラル、チーム監督談
「ベンはアメリカのファンに見事なレースを見せて、素晴らしい週末をプレゼントした。我々チームとしても最高の喜びで、我々がなぜ、彼のヤマハファクトリーへの移籍にこんなにも悲しい思いをしているかがわかっていただけのではないかと思う。でももちろん、彼のためには良いことに違いない。ファクトリーチームに入れば、トップ4を約束されたも同然だからだ。今回は激しい戦いのなかでポールポジションを獲得。決勝でもスタートをしっかり決めて、とくに序盤は力強さを見せた。ダニが唯一、追いついてきて抜かれてしまったわけだが、ベンの正確な走りは変わらず、ホルヘの追撃を許すことはなかった。その一方で、コーリンのほうは期待通りのレースができなかった。ハードタイヤを選択したことがその原因だ。コンディションは確かに厳しかったが、ソフトコンパウンドに換えてからのペースは、実際とても良かったのだ…これなら今季ベストも不可能ではなかったはずだ」
MS開発部 MotoGPグループリーダー 中島雅彦談
「レースウイークは好天に恵まれ、路面温度が予想以上に高くなり、グリップ不足とうねった路面に悩まされましたが、ベン、ホルヘ、バレンティーノの3人が2位から4位を占めたことで、YZR-M1のパフォーマンスは出し切れたと思います。今日のペドロサ選手は素晴らしい走りで、独走を許す結果となりましたが、きちんと敗因を分析し、今後のレースにつなげていきたいと思います。ホルヘが安定した強さと精神力を身に着けてきたこと、ベンが確実に成長して来たことは頼もしい限りですが、バレンティーノが以前のようにトップ争いが出来る状態に戻りつつあることも大きな喜びです。残念ながら、コーリンはレース直前の親しい友人のアクシデントにショックを受け、精神的に厳しい状況でレースを途中で断念せざるを得ませんでした。次週サンマリノGPはバレンティーノのホームグランプリ、さらに熱い走りをしてくれると思います。チャンピオンシップも佳境を迎えることになりますが、我々も全力でバックアップしていきます。引き続き応援ください」