ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.08 7月18日 ドイツ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦ドイツGP
■開催日:2010年7月16日(金)初日結果
■開催地:ドイツ/ザクセンリンク(3.671km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:36度 ■路面温度:55度
REPORT
ロッシ復帰、B・スピースがフリー走行4番手
第8戦ドイツGPのフリープラクティス初日、フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソはフロントのグリップ不足に悩んで6位。一方、6週間ぶりの復帰となったV・ロッシは7位。その差は0.02秒。
ロレンソはハイスピードコースで3連勝を挙げてきたが、ツイスティーなザクセンリンクでフロントのグリップ感がつかめず、低速コーナーでタイムが伸びなかった。明日までにデータを詳しく分析し、自らのライディングスタイルを合わせることでこの問題に対処しようとしている。そして公式予選では劇的なポジションアップを狙う。
一方、予定よりも早く復帰を果たしたロッシ。一日目の今日は無理をせず久しぶりのM1の感触を確かめるものと思われていたが、まるでこれまでの欠場などなかったかのように初めから順調に走行。セッションのほとんどの時間帯で4位をキープした。最後にいくつか順位を下げたが、走行内容とタイムには満足できたようだ。D・ペドロサとの差は0.723秒だった。走行終了後、患部に氷を当てる処置を行ったが、予想していたほどの痛みはなかった。明日はまたさらに良くなることが期待される。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのB・スピースとC・エドワーズはそれぞれ4位と13位。スピースは今回もまた、初めて走るコースを超短時間で攻略するという才能を見せ、1分23秒189のタイムで4位を獲得。MotoGPルーキーのスピースにとって、今シーズンは8つのコースが初対面。ザクセンリンクは、そのなかの6番目に当たる。初日の今日は、セッションのほとんどでリアにハードタイヤを装着し、タイトでツイスティーなコースを覚えることに時間を費やした。終盤になって柔らかめのタイヤに履き替えると、途端にペースが上がり、残り5分でベストタイムを記録。N・ヘイデンには届かず4位となった。
一方のエドワーズは、M1のセッティングを劇的に変更。荷重をよりリアにかけるようにして、自らもライディングスタイルとポジションを変えてコーナリング性能向上を目指した。その効果は上々で、すぐに調子をつかむと一時は3位まで浮上。最終的には13位まで後退したが、1分23秒440のタイムは、4位のスピースから0.3秒以内の差。エドワーズはこの変更に満足しており、明日もう一日走れば、さらにそのポテンシャルを引き出せるものと自信を
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'22.521 |
2 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'22.795 |
3 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'22.983 |
4 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'23.189 |
5 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'23.204 |
6 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'23.224 |
7 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'23.244 |
8 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'23.260 |
9 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'23.290 |
10 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'23.400 |
11 | M・カリオ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'23.422 |
12 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'23.430 |
13 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'23.440 |
14 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'23.589 |
15 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | 1'23.599 |
16 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'24.020 |
17 | A・デ・アンジェリス | Interwetten Honda MotoGP | Honda | 1'24.101 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(フリー走行6番手/1分23秒224/30周)
「今日はあまりうまくいかなかった。マシンのフィーリングもあまり良くなかったんだ。好きなコースではないし、このところ僕が勝ってきたコースとは違うタイプなので、自分のライディングスタイルを、いくらか変えていかなければならないだろう。序盤はまぁまぁ速かったのに、中盤から終盤にかけてタイムを上げていくことができなかった。その一方で他のライダーたちは、どんどん前へ行ってしまったんだ。これから課題の作業に取り組み、日曜日までに競争力あるマシンに仕上げることが目標だ」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「あまりいいスタートとは言えない。ホルヘはフィーリングをつかみきれず、とくにコーナリングは去年と比べてもうまくできていない。これからデータを比較して、違いを探していかなければならない。ほんのわずかな違いだけれど、それがこのコースでは常に問題になるんだ。ここはとても短いコースだからね。何とかフロントのフィーリングを取り戻して、とくにたくさんある低速コーナーでのスピードを上げていきたい」
V・ロッシ選手談(フリー走行7番手/1分23秒244/29周)
「とても満足だよ。というのも、この間のテストの時よりもずっと、マシンの上で機敏に動けるようになったんだ。フィーリングはとてもいいよ!それにこのコースも僕にとっては味方になってくれているんだ。左コーナーが多いからね!自信を持って乗れていて、肩の調子もとても良くてまったく問題ないよ。連続周回もできたしタイムも速かったから、すべては順調。あとは明日の朝までに脚がどうなるか、ということ。腫れたり、何か他の問題が出たりしないかを見ないとね」
D・ブリビオ、チーム監督談
「またしてもバレンティーノはみんなを驚かせた!4回もレースを欠場し、未だ完璧な状態ではないというのに非常に素晴らしい走りを見せてくれた。我々から見たら、これまで欠場していたことが、まるで嘘のよう。その間にサスペンションをテストしたりしてベスト・セッティングを探していたんじゃないかと思うほどだ。体力的なコンディションも悪くはない。右コーナーは少しきつそうだったけれど、左コーナーはまったく問題ない。いずれにしても我々が予想していたよりはずっといい状態だ。チームとしては本当にうれしいこと。また明日以降、どこまでやれるか見守っていきたい」
B・スピース選手談(フリー走行4番手/1分23秒189/34周)
「第1セッションでここまで上がることができて、とてもうれしいよ。僕自身もこのコースをすぐに覚えることができたしね。初日でここまで来ることができれば、しっかりとして基盤ができたことになるから、あとはそこに付け加えていけばいい。このコースはとてもタイトでツイスティー。そして左コーナーがたくさんある。でも僕はここが好きだよ。だって高低差があって楽しいんだ。まるでダートトラック・マシンで走っているみたいで、そこにニッキーも見えたりするから...。明日もし天気が悪くなれば、今日、コースをしっかり攻略できたことが重要になってくる。しかもタイムも出たから良かったよ。
ほとんどずっとハードコンパウンドのタイヤを使っていて、これは決勝のためのものではなくてコースを覚えるためのものなんだけれど、終盤になってソフトコンパウンドを履いたら一気に速くなったんだ。それでも課題はいくつかあって、とくに高速右のダウンヒル・セクションの前の左コーナーはもう少し改善が必要。また、決勝で使うタイヤについてはソフトタイヤでほぼ決めている。ハードタイヤでもタイムは出るだろうけど、あとはコンディションを見ないとね。今日は希望通りのいいスタートがきれた」
C・エドワーズ選手談フリー走行13番手/1分23秒440/31周)
「このコースの性質上、いつもタイムが接近するんだ。今回も1秒も離れていないのに、ポジションは13位まで落ちてしまった。ベンと比べてもコンマ3秒くらいの差だけれど、順位は9つも離れてしまうんだ...。今日はセッティングを完全に変更して、荷重がリアにより多くかかるようになった。僕のライディングスタイルは典型的なフロント乗りなんだけれど、それが今シーズンは、まったくうまくいっていなかったんだ。だから何かを変えなければならない時期に来ていた。
そこでまずフロントを信じてリアに取り組むことにした。身体のポジションも、より後方へ動かして、たくさんの荷重をリアに移動した。そしてそれが、今のところとても好調なんだ。ラップタイムも楽に上がってきた。ほとんどの時間帯でソフトタイヤを履いていて、最後に情報収集のために少しだけハードタイヤに替えたらファステスト・タイムが出たんだけれど、決勝ではソフトを使うつもり。ハードもソフトもパフォーマンスにはあまり違いがなくて、ファステスト・タイムが出たのは、新しいセッティングに慣れてとても走りやすくなっていたときだった。でもソフトタイヤならもっと速く走れていたと思うよ」