ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.02 5月2日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第2戦スペインGP
■開催日:2010年4月30日(金)フリー走行1
■開催地:スペイン/ヘレスサーキット(4.423km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:28度 ■路面温度:42度
REPORT
ロレンソがフリー走行2番手
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソは、手の骨折が完治してベスト・コンディションで出場。ホームレースとなるヘレスのプラクティス初日では2番手を獲得した。一方、チームメイトのV・ロッシは怪我がまだ治らない状態だが、予想よりは調子が良く、上位から大きく離されることなく5番手につけた。
ロレンソはこのホームレースをいつもエンジョイしており、過去4年間は、250ccクラスで2回、ヤマハに加入してから2回と、毎年ポールポジションを獲得してきた。オフシーズン中に怪我をして以来、今回は初めて万全の状態で走ることができるようになり、初日から本来の力強い走りが復活して本人も満足。そのベストタイムは昨年のラップレコードにあと僅かと迫るもので、トップのC・ストーナーとは0.144秒差。チームは、マシンに関する課題に取り組むことで、明日の公式予選ではさらに調子を上げていけるものと期待している。
モトクロスの練習中に肩を傷めたロッシは、どこまで積極的に攻めていけるのか心配されていたが、走ってみると状態はそれほどひどくないことがわかり、本人もチームも一安心。痛み止めの注射もせずに25ラップを走りきり、タイムでもストーナーから0.628秒差に留まっている。明日以降、セッティング作業が進み、リアグリップが向上してくれば、さらにトップに近づいていくことができるだろう。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズとB・スピースは、それぞれ7位と11位だった。エドワーズは決勝を想定してのセッティングに専念。前後サスペンションを硬めに設定して1分40秒913までタイムを上げた。トップ6との差はコンマ2秒以下で、明日までにギア比を変更して加速が向上すれば、さらに上位に近づいていくことができるだろう。
チームメイトのスピースは今回も、モトGP1年目のライダーとは思えないような走りを披露。初めこそ手間取ったものの、マシンとコースの状況を素早く会得して調子を上げていった。今年、スピースにとって初めとなるコースは7つあるが、ヘレスもそのひとつ。前回のカタールで5位獲得と大健闘を見せたスピースは、ここヘレスもあっという間に攻略した。走行開始から10ラップ目で早くも7位。最終的には11位まで後退したものの、トップ5に1秒と離されることなく1分41秒200のベストタイムで1日目の走行を終了した。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'39.731 |
2 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'39.875 |
3 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'40.148 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'40.200 |
5 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'40.359 |
6 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'40.716 |
7 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'40.913 |
8 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | 1'41.034 |
9 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'41.093 |
10 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'41.190 |
11 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'41.200 |
12 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'41.277 |
13 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'41.293 |
14 | M・カリオ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'41.297 |
15 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'41.533 |
16 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'41.742 |
17 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | 1'41.837 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(フリー走行2番手/1分39秒875/30周)
「今日の結果には大満足。すべてがうまくいって、手の痛みもまったく感じなかった。去年ここでポールポジションを獲得したときと同じように好調に走れているよ。でも去年は決勝で失敗しているから、今回は同じ事にならないようにしなければ!このコースではいつも気分良く走ることができて、ペースもとてもいい。これからさらにセッティングを煮詰めていけば、明日以降はもっと良くなってくるだろう。パーフェクトなマシンなどあり得ないだろうけれど、僕のマシンは間違いなくパーフェクトにとても近いところまでいっている。あとはほんの少しトップスピードの伸びさえ出てくればね...。明日はさらにペースを上げ、コンスタントに39秒台が出せるようにすることが目標。今回は大いに期待している」
V・ロッシ選手談(フリー走行5番手/1分40秒359/25周)
「肩が少し痛くて、とくにハード・ブレーキングの場所ではちょっと厳しい感じ。でもそれよりも、こうしてちゃんと走れたことを評価したいんだ。もちろん、この怪我のせいで難しい状況になっていることは間違いないんだけれど、今日は痛み止めもうたずに25ラップ走り、周回を重ねていっても痛みがひどくなっていくことがなかった。怪我の状態をしっかり把握したかったから、今日は痛み止めを打たなかったんだけれど、明日以降は、状況を見て対処していくつもり。マシンに関しては、今日は2通りのセッティングを試し、明日以降はそのどちらかに絞っていくことになる。課題はリアのグリップで、今はこのことのほうが怪我よりも問題になってしまっている。これが解決したら、もっと上を目指していけるだろう」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「ホルヘはこのコースが大好きだ。今日も走り出すとすぐにペースをつかみ、そのことがよくわかった。マシンも初めから好調だったので、我々チームとしても調整だけに専念することができたし、ホルヘのほうも自信を持って走ることができたようだった。さらに追求するとしたらリアグリップだが、初日としては十分にいい状態と言っていい。明日はあとコンマ2、3秒を詰めていき、予選で好位置を確保できるように頑張りたい」
D・ブリビオ、チーム監督談
「一番良かったのは、バレンティーノが、100%の状態ではないなかで最後までしっかりと走れたことだ。今日はマシンのセッティングのことと、彼の怪我のこと、ふたつのことを考えながら進めていかなければならなかったわけだが、1日を走り終えてわかったことは、その両方とも思っていたよりもいい状態にあるということだ。セッティングに関しては、今日はふたつの方法を試してみたので、これからどちらかに決めて、明日さらにペースを上げていけるようにしたい」
C・エドワーズ選手談(フリー走行7番手/1分40秒913/26周)
「今日は短時間にたくさんの作業をこなしたけれど、ひどい状況でもなく、素晴らしいというわけでもなかった。タイト・コーナーの立ち上がりで少しもたついてしまうが、ギア比を変更することでもう少し良くなるはずだ。マシンの限界を追求するまでには至っていなくて、サスペンションの硬めのセッティングに慣れるには、もう少し時間も必要となりそうだ。何人かのライダーについていってみたが、その度にコーナー立ち上がりで置いていかれてしまう。マシンのベースは既にかなりいいところまできているけれど、ギア比を変更すれば必ずもっと良くなるはずなんだ。でも初日としては悪くない状態。それにチームのみんながいつものように、これから僕のマシンをどんどん向上させてくれるだろう。そして決勝には必ず間に合わせてくれるよ」
B・スピース選手談(フリー走行11番手/1分41秒200/28周)
「今日はスーパー・ハッピー! 順位は11位だし、トップからは1秒離されているけれど、初めてのコースを1時間走っただけでここまで来ることができたのだから十分に素晴らしいと思うよ。たぶん、これ以上のことはそうそうできないだろうね。上位を目指すためには1秒足りないだけだし、そもそも今日はタイムを懸命に追求したというわけじゃない。また誰かに引っ張ってもらうということもなかった。ただ自分でコースを勉強し、その結果でタイムもついてきたし、さらにマシンを煮詰めていくこともできると確信した。
とくにコース終盤の高速右のセクションではタイムを詰められるはずだと思う。あそこは特に難しいという訳ではないけれど、タイムを上げるには、いいリズムをつかまなければならない。僕はここの流れるようなコースレイアウトが気に入ったけれど、こういうコースでは、ひとつのコーナーで上手くいかない場合、そこ後3つめくらいのコーナーまで大変なことになってしまう。でも今日走ってみて、しっかり手応えをつかむことができたので、明日はよりリラックスして臨むことができそうだ。すべてはヤマハと、モンスター・テック3チームのおかげだよ」