ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.01 4月11日 カタール
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第1戦カタールGP
■開催日:2010年4月9日(金)フリー走行1
■開催地:カタール/ロサイル・サーキット(5.380km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:26度 ■路面温度:28度
REPORT
フィアット・ヤマハ・チーム2番手、3番手
昨シーズンの最終戦から約5ヶ月。モトGPの2010シーズンがついに、カタールはロサイル・サーキットで幕を開けた。そのフリープラクティス初日、フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソとV・ロッシはそれぞれ2位と3位を獲得。ふたりの差はわずか0.002秒で、昨シーズン来のチームメイト同士の戦いが今シーズンも続きそうな予感だ。ロレンソはセッション終了直前で白線に乗って転倒したが、幸い怪我はなかった。トップはC・ストーナー。
昨シーズン、ランキング2位のロレンソは、オフシーズン中に負った手の怪我がまだ完治していないにもかかわらず、セッションを通じて絶好調をキープ。走行中はグローブの内側にプロテクションを入れることもなく、気分よく、しかも自信を持ってプラクティスに臨むことができた。ほとんどの時間帯で3位をキープしていたロレンソだが、終盤になってさらに調子を上げるとロッシを1000分の2秒上回って2位に浮上。しかしその後の第14コーナーで転倒してしまった。幸い怪我はなく、明日のさらなるステップアップに自信を見せている。
一方のロッシは、前回のテスト走行が好調だっただけに、本人にとっては不本意な走りとなってしまった。砂の浮いたコースに十分なグリップ感が得られなかったことがおもな原因で、チームは今晩、セッティングを見直して問題点を改善したいとしている。明日はストーナーとの差を縮めたいところ。
スピースとエドワーズは、カタールで2010年MotoGPへの挑戦を開始
モンスター・ヤマハ・テック3チームのB・スピースとC・エドワーズは、それぞれ6位と12位。モトGPデビューとなったスピース。ここロサイル・サーキットでの夜間走行は先月のテストに続いてわずか2回目だが、セッション序盤から力強い走りを見せてラップタイムも順調に上げてきた。そして安定したリズムと速さを兼ね備え、一時はストーナー、ロッシに続く3番手を狙ったが6位となった。
昨年はスーパーバイクで両レース優勝を果たしたスピース。今日の走行では、22ラップの決勝を想定してセッションのほとんどの時間帯で硬めのコンパウンドのリアタイヤを装着。そして21ラップ目でベストタイムの1分56秒818をマークした。
一方、同チームで3シーズン目を迎えたエドワーズは、1分57秒167で12位。フロントエンドのフィーリング向上を目標に、チームクルーと連係しながら作業を行い、一時は6位まで上げていた。昨年はここで4位を獲得したエドワーズ。明日は荷重配分の変更を行う予定で、公式予選でのポジションアップに自信を見せている。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'55.500 |
2 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'56.026 |
3 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'56.028 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'56.698 |
5 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'56.793 |
6 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'56.818 |
7 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'56.998 |
8 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'57.031 |
9 | M・カリオ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'57.059 |
10 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | 1'57.105 |
11 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'57.133 |
12 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'57.167 |
13 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'57.363 |
14 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'57.535 |
15 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'57.605 |
16 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'58.035 |
17 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | 1'58.082 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(フリー走行2番手/1分56秒026/20周)
「手のほうも順調だったし、今日の走りには満足している。手にプロテクションをつけずに走ったのは今日が初めてだったんだけれど、まったく問題なかったから安心したよ。気分よく乗れているし、親指の痛みもなかったから、テストのときよりずっと良くなっているね。マシンに関してはもう少し課題も残っているけれど、スタートとしては十分に良かったと思う。終盤では激しくプッシュし過ぎてミスをし、白線に乗ってしまった。転倒してしまったのは残念だけど、レースをしていれば起り得ること。怪我をしなかったのでラッキーだったよ。明日もこの調子で予定通りに作業を進め、さらに前進したい」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「転倒を除けば、シーズン初めての公式走行は非常に満足のいくものだった。ホルヘはあのとき、順調にラップタイムを上げてきていたが、残念ながら白線に乗ってしまい転倒した。でもこのようなことは、他のどのライダーにも起り得ることで、そのなかでも怪我をしなかったことが幸運だったと思っている。ホルヘはオフシーズン中の怪我でテストを何日か欠席したが、そのことを考えれば今日は素晴らしい出来だと言っていいだろう。すでに十分に上位で戦えるレベルまで来ているのだから。マシンは好調。スピードもある。あとは細かいところを少しずつ修正していくだけで良さそうだ。いいスタートが切れたと思っている」
V・ロッシ選手談(フリー走行3番手/1分56秒028/23周)
「正直なところ、もっと速く走れると思っていたんだ。ラップタイムはそんなに悪くなかったんだけれど、本当ならもっと縮められたはず。今日は暖かかったし湿度がそれほど高くなかったから、テストのときよりもコンディションは良くなっていた。それなのにグリップが不十分で、何度もスライドしてしまったんだ。だから明日までに、何としてもこの部分を改善しなければならない。ストーナーはこのコースでいつも速い。彼に少しでも追いつくためには、サスペンションのセッティングを変えていく必要がありそうだね。マシンのスライドがおさまれば、もっとタイムは上がってくるはずだから」
D・ブリビオ、チーム監督談
「今日はブリヂストン・タイヤの新しいものを試したり、マシン・バランスの調整を行ったが、セッティングについてはまだまだ改善が必要だ。現時点ではタイヤのポテンシャルを使い切れてないため、これが原因でタイムが上がってこないのだ。トップから大きく離されているわけではないが、本来はもっといい走りができるはず。だからさらに前進するために、明日もチーム全員でベストを尽くして頑張っていく」
B・スピース選手談(フリー走行6番手/1分56秒818/22周)
「僕にとってはモトGPで初めてのレースだから、クレイジーなことは一切したくなかったんだ。第1セッションの目標はトップテンに入ること。前回は転倒してしまったから、ここでそのいやな記憶を消してしまいたいと思っていた。その結果、目標を達成して6位に入ることができたのだから今はとてもハッピーな気持ち。走りは終始スムースで、とくにラップタイムを上げようと頑張ったわけではなかった。ほとんどずっと硬めのコンパウンドを履いていて、その21ラップ目でベストタイムが出たのはとても良かったと思う。走るたびにタイムが上がってきていて、スピードもある。あとはソフト・コンパウンドのタイヤを試して、公式予選までにそのフルポテンシャルを引き出せるようにしていきたい。また、新しいハードタイヤで、あと1秒は上げられると思っているので不安はないよ」
C・エドワーズ選手談(フリー走行12番手/1分57秒167/22周)
「先月のテストは納得のいかないまま終わってしまい、いくつか課題を残してしまった。というのも今年のマシンはジオメトリーが異なっていて、そのためにフィーリングが変わってしまったからなんだ。新しいマシンに慣れようと頑張ってきたんだけれど、いくつか変更が必要だし、少しでも昨年のセッティングに近づけたいという気持ちもあった。今日の走行でも、依然としてフィーリングは完璧というわけにはいかない。フロントでマシンをプッシュしてしまっているような感覚で、スロットルを開けるまでマシンが曲がってくれないんだ。このマシンは推進力がなければ走ってくれない。本来のアドバンテージを十分に使い切れていない状態なんだ。明日はフロントの重量を少し落としてみたいと思っている。それできっと良くなってくるはずなんだ。12位という結果はもちろん不本意。もう少しの変更で1秒は速くなると思っているからね。今はいくつものコーナーでマシンの推進力が思うように出し切れない。でも明日以降、必ず改善できると信じているよ」