ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.08 7月14日 ドイツ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦ドイツGP
■開催日:2013年7月12日(金)初日総合結果
■開催地:ドイツ/ザクセンリンク(3.671km)
■コースコンディション(フリー走行2):ドライ
■気温:21度 ■路面温度:37度
REPORT
ロレンソがフリープラクティスで転倒し、決勝出場を断念
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソは、フリープラクティス第2セッションでハイスピードから転倒し、明日以降の走行を取りやめることになった。前回のアッセンTTで鎖骨を骨折して治療中のロレンソだが、午前中に行われた第1セッションでは最速タイムをマークしていた。
第2セッションも好調な走りを見せていたロレンソ。2ラップ目には1分22秒047を記録してトップに立った。しかし、それからまもなく激しいハイサイドを起こし、怪我をしている肩を地面に打ち付けてしまった。すぐにメディカル・センターに運ばれレントゲン検査を受けると、2週間前の手術で入れたばかりのプレートにダメージがあることが判明。このため、今大会の出場を取りやめることを決断した。今晩中に母国スペインのバルセロナに戻り、手術を受ける予定。
一方、アッセンの優勝で自信を深めたチームメイトのV・ロッシは、第1セッション開始早々からペースを上げて、ロレンソから0.194秒差の3位。第2セッションは気温が上がったこともあり、チームは様々なセッティングやタイヤ・チョイスをテスト。この結果、ロッシはトップから0.2秒差の総合4位でフリープラクティス初日を終えた。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・クラッチローとB・スミスは、それぞれ6位、12位とあまりふるわなかった。とくに左手首を負傷しているスミスは、タイトでツイスティ、多くの左コーナーを持つコースに苦労している。スミスは先月のムジェロで負傷し、未だ100%の力が戻っていない状態。そのなかで身体の左側に負荷をかけて限界を確かめながら、ここザクセンリンクのコースに慣れることに専念した。天候は曇り、気温も低かった午前中の第1セッションでは、徐々にペースを上げて1分23秒040を記録。10位にはわずかに届かなかったものの、コンマ1秒差で11位につけた。気温が上がった午後はタイムが伸びず、総合12位で初日の走行を終えた。
一方のクラッチローも、2回の転倒があり厳しい展開。第1セッションでは走行開始直後の第1コーナーで激しく転倒。このときはまだダメージが少なかったが、第2セッションでは、超高速左の下り、しかも出口の見えない第11コーナー進入で4速走行中に転倒してしまった。幸い、歩いて戻ることができ、その後の検査の結果、心配された左腕の怪我にダメージがなかったことがわかった。手と腕に擦り傷や切り傷ができているが、明日の走行に問題はない。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'22.030 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha FactoryRacing | Yamaha | 1'22.047 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'22.221 |
4 | V・ロッシ | Yamaha FactoryRacing | Yamaha | 1'22.241 |
5 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 1'22.251 |
6 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'22.469 |
7 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | 1'22.572 |
8 | A・エスパルガロ | Power Electronics Aspar | ART | 1'22.641 |
9 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 1'22.850 |
10 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 1'22.882 |
11 | A・イアンノーネ | Energy T.I. Pramac Racing Team | Ducati | 1'23.008 |
12 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'23.040 |
13 | R・ド・ピュニエ | Power Electronics Aspar | ART | 1'23.131 |
14 | M・ピロ | Ducati Test Team | Ducati | 1'23.491 |
15 | Y・エルナンデス | Paul Bird Motorsport | ART | 1'23.524 |
16 | H・バルベラ | Avintia Blusens | FTR | 1'23.627 |
17 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'23.636 |
18 | D・ペトルッチ | Came IodaRacing Project | Ioda-Suter | 1'23.866 |
19 | C・エドワーズ | NGM Mobile Forward Racing | FTR Kawasaki | 1'23.911 |
20 | C・コルティ | NGM Mobile Forward Racing | FTR Kawasaki | 1'24.078 |
21 | 青山博一 | Avintia Blusens | FTR | 1'24.647 |
22 | B・スターリング | GO&FUN Honda Gresini | FTR-Honda | 1'24.798 |
23 | L・ペセック | Came IodaRacing Project | Ioda-Suter | 1'25.568 |
24 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | ART | 1'26.195 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談
「バルセロナへ戻ることに決めた。この間の手術で入れたばかりのプレートが、運の悪いことに曲がってしまったので、今は、その再手術のことだけを考えたいと思うんだ。一日も早く復帰できるよう治療に専念するよ」
V・ロッシ選手談(初日4番手/1分22秒241)
「調子はいいよ。ペースもラップタイムも順調で、トップとの差も大きくない。でも第2セッションでは、フロントにハードコンパウンドのタイヤを履いたり、セッティングをいろいろと変えたりと様々なものを試して苦労したところもあったんだ。どうやら、気温が高くなると問題が出てくるみたい。とくに周回を重ねたあとは、限界を追求するのが難しくなってくる。トップについて行くためには、もっとペースを上げられるようにセッティングを煮詰めていかなければならないだろう。でも大きく離されているわけじゃないし、5、6台が接近している状態なので、明日も楽しみだ」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「アッセンに続き、今回も残念なことになってしまった。午前中はトップに立っていたのに、午後は、2周目か3周目でハイスピード走行中に転倒してしまった。そしてまたも左肩を打ち、プレートが曲がってしまったのだ。これは相当な痛さだと思うので、今後の治療法についてじっくりと検討して判断していかなければならない」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「アッセンではあれほど頑張っていただけに、このようなことになり非常に残念だ。運の悪いことに、今日の転倒で肩の怪我をさらに複雑にしてしまったため、バルセロナへ戻って再手術を受けることになった。彼がここを離れるのはとても残念だが、チームとして全面的にサポートし、少しでも早く戦いに戻ってきてくれることを期待している。身体的には可能なことなのだ。一方、バレンティーノは前回のアッセン同様の、素晴らしい走りを見せてくれた。気温が上がったときのベスト・セッティングを追求するため、午後のセッションではいくつか問題に取り組むことになったが、手ごたえを感じており自信も持っている。決勝ではトップ争いの重要な役割を担うことになるだろう」
E・カセレス医師談
「検査の結果、プレートが真ん中で曲がってしまっていることがわかった。ネジは持ちこたえてくれたが、プレートがわずかにカーブした状態なので、接骨のためにもう一度、手術が必要だ」
B・スミス選手談(初日12番手/1分23秒040)
「悪くなかったんだ。ザクセンリンクは体力的に厳しいコースで、とくに身体の左側への負担が大きい。でもそれがあまり気にならなかったんだ。イギリスに戻って手首の治療を受けてきたが、その医師たちのおかげでかなり状態が良くなっている。まだ100%ではないけれど、アッセンのときよりはずっと良くなっていて、違和感も痛みも和らいだ。10位以内に入れなかったことは残念だけれど、今日はまだラップタイムを追求するところまではいかなかったので、明日こそは順位を上げていきたいと思っている。マシンについては、セッティングの方向性がはっきりとわかっているので、あとはモンスター・ヤマハ・テック3チームのメカニックたちが、きっと最良の方法を見つけてくれるだろう。僕自身も自信はある。明日が楽しみだ」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム、チームマネジャー談
「カルにとっては非常に厳しい展開になってしまったが、2回も大転倒をしながら深刻な怪我をしないで済んだことは幸いだった。骨折はなかったが、2回目の転倒でコース上を滑って行ったときに右手のグローブのなかに小さな石がたくさん入ってしまったため、メディカル・センターでそれを取り除いて傷をきれいにしてもらった。また前腕も摩擦でやけどしたような状態で、深刻ではないものの、やはり痛みはひどいようだ。今は休んでいるが、明日にはまた走れるようになると確信している。彼は精神的な強さを持った、真のファイターだ。だからすぐに立ち直ってモンスター・ヤマハ・テック3チームのために、また素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるに違いない」