ロードレース世界選手権 MotoGP（モトGP）

RACE DATA

■大会名称：MotoGP第18戦バレンシアGP
■開催日：2011年11月5日（土）予選結果
■開催地：スペイン／リカルド･トルモサーキット（4.005 km）
■コースコンディション：ドライ
■気温：17度　■路面温度：16度
■PP：C・スト―ナー（1分31秒861／ホンダ）

REPORT

スピースが予選グリッド3位を獲得

ヤマハ・ファクトリー・レーシングのB･スピースが予選グリッド3位を獲得。変わりやすい天候のもとで周回を重ねながら絶好のタイミングを待ち、消耗したタイヤでファステスト・ラップを記録した。一方、初めて走るバレンシアに早く慣れたい中須賀克行だが、ウイーク2日目の今日も難しいコンディションと格闘。予選セッション終盤でリアタイヤを履き換え、いよいよタイムアタックというところで雨が降り出したため、タイムを更新することができず15位にとどまった。

モンスター・ヤマハ・テック3チームのＣ・クラッチローは11位。上空には灰色の雲が広がっており、時折、雨が落ちてくるものの、コースはほぼドライのまま。そのなかでクラッチローは1分34秒329を記録してグリッド3列目獲得を狙ったが、あとコンマ2秒届かなかった。明日の決勝では、2011年度ルーキー・オブ・ザ・イヤーを目指してＫ・アブラハムとの戦いに臨む。アブラハムは予選10位とひとつ前にいるが、クラッチローは、モンスター・ヤマハ・テック3チームにとって2年連続となるこの賞の獲得に自信を見せている。

一方、怪我で欠場中のＣ・エドワーズに代わって出場するＪ・ヘイズは、カーボンブレーキの感触やブリヂストンのスリックタイヤを初めて試し、YZR-M1のポテンシャルを初体験。マシンとコースの両方を同時に学びながら1分36秒042を記録して16位につけた。

COMMENT

B･スピース選手談（予選3位/1分33秒057/22周）

「今日は、おそらくライダー全員がいやな思いをしていたと思うよ。コースのいたるところに小雨が降っていて、どこまで攻めていけるのかわからないから、すごく神経質になってしまうんだ。素晴らしいマシンを用意してくれたヤマハにはお礼を言わなければならない。このような難しいコンディションでもマシンがよく走ってくれているので、あとは明日、天気が良くなってくれることを祈るだけだ。今晩はよく休んで、明日はシーズン最後のレースを好成績で終えられるように頑張りたい」

中須賀克行選手談（予選15位/1分35秒999/25周）

「今日もコンディションが変わって、僕にとってはとても難しかったけれど、コースのことは、幾らか分ってきたと思う。予選では新品タイヤを履いて感触が良かったが、細かい雨が降り出したので、どこまで攻めていけるのか分らなくなった。だからタイムを更新することができなかった。明日はヤマハのためにベストを尽くす。その経験が、テストライダーとしての僕の将来にも役立ってくれるだろう」

Ｗ・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談

「中須賀にとっては、難しいコンディションのもとでコースを覚えなければならず、かなり大変なチャレンジになってしまった。昨日は完全なウエット、今日はずっと雨粒が残った状態。同じコンディションでセッションを走りきれたことがなく、これが彼の仕事を複雑にしてしまったのだ。その中でも、ここまでの進歩にはとても満足している。明日も厳しいレースになるだろうが、チームみんなで彼を支えていく」

Ｍ・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談

「ベンは午後の予選のなかで本当の実力を証明してくれた。彼を信頼していたので、少しも驚いてはいない。天候のことは心配したが、こんなに難しいコンディションのもとでもベンは素晴らしい仕事をしてくれた。このところいろいろな問題に直面し大変な状況にあったが、ここでフロントロウを獲得するとは、彼は本当にタフなライダーだ。中須賀にとっては初めてのコースでこのようなコンディションになってしまったことは運が悪かった。バレンシアは、シンプルで簡単そうに見えるが、実はそうではない。でも彼はすでに何をすべきかを理解しているので、明日はいい戦いを見せてくれると確信している」

Ｃ・クラッチロー選手談（予選11位/1分34秒329/25周）

「今日も大変だったよ。なんとか10位以内に入りたいと思っていたけどね。ドライでの走行時間が少ししかなかったから、セッティングがなかなか見つからなくて苦労した。とくに問題だったのは、ブレーキングとコーナリングだけれど、これはこのところずっと続いている課題。これからデータを分析し、明日までにマシンのフィーリングをもう少し改善する。決勝ではきっと力強い走りができると信じている。アブラハムとはいいバトルができるだろう。今回はタイムが近くてグリッドも隣同士になったので、ルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得をめぐってエキサイティングなバトルになるはず。モンスター・ヤマハ・テック3チームでは昨年、ベンがこの賞を獲っているので、今年は僕が、チームのために何としても手に入れたいんだ」

Ｊ・ヘイズ選手談(予選16位/1分36秒042/25周)

「ドライでヤマハYZR-M1に乗った今、言えることは、信じられないくらいに素晴らしいマシンだということ。僕がアメリカで乗っているスーパーバイクと比べたら、パワーと加速がまったく違う。カーボンブレーキも印象的だし、シャシーの動きも想像とはまったく違っていた。このマシンを乗りこなすのは非常に難しいことで、理解するためにはもっともっと時間が必要だ。予選はウエット・タイヤを履いてスタートしたのにコースはほとんどドライ。そのうえ途中で3度、大粒の雨に降られることになったんだ。このようなコンディションでブリヂストン・タイヤがどのように働くのかよくわからなかったし、無理をして転倒したりすればマシンとコースを学ぶための貴重な時間を無駄にしてしまうので、必要以上にプッシュすることはやめた。

チームの一員としての仕事という面では満足しているけれど、レーサーとしては誰だって常に上を目指しているもの。出来れば上位グループにもっと近づきたかった。でもウエット2回、ドライ1回、危ないコンディション1回と、天候には全く恵まれなかった。それでも決勝はとても楽しみにしている。800㏄マシン最後のレースに出場できるなんて本当にうれしいよ」