ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.18 11月6日 バレンシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第18戦バレンシアGP
■開催日:2011年11月4日(金)初日総合結果
■開催地:スペイン/リカルド・トルモサーキット(4.005 km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:16度 ■路面温度:17度
REPORT
シーズン最終戦のバレンシアGPは、難しいコース・コンディションのもとでスタート。午前中の第1セッションは、ところどころ濡れているものの徐々に乾いていく状況。そして午後からの第2セッションは完全なウエットとなった。そのなかでヤマハ・ファクトリー・レーシングのB・スピースは、第1セッションでトップから0.7秒差で6位。第2セッションは第1コーナー進入のブレーキングで白線に乗るミスで転倒。再スタートを試みたが身体の痛みもあり、途中で走行を切り上げて14位で終了した。
一方、J・ロレンソの代わりに出場している中須賀克行は、バレンシアのコースを覚えるために時間を最大限に利用して走りこんだ。そして周回を重ねるごとに徐々に手ごたえをつかみ、第1セッションの最後尾から第2セッションでは11位まで順位を上げた。
モンスター・ヤマハ・テック3チームからはC・エドワーズに代わってJ・ヘイズが出場。チームメイトのC・クラッチローとともに、ウイーク初日を順調にスタートした。
早朝に降った激しい雨が残ってコースはウエット・コンディション。そのなかでクラッチローは、第1セッションで1分46秒581を記録してトップから1秒遅れの10位。第2セッションはスタート前に再び雨が降ったため、さらに難しいコンディションとなったが、これに素早く対応して一時はトップに浮上。午前中よりもコース上の水の量が多くなっていたためタイム更新はならなかったが、ウエットセッティングの改良が功を奏して、1分49秒350の記録で5位を獲得した。
一方、アメリカのスーパーバイク選手権で2度のタイトルを獲得しているヘイズにとっては、このタイトでツイスティ-なバレンシアのコースも、ヤマハのプロトタイプYZR-M1も初めての挑戦。第1セッションでは10位のクラッチローから1.5秒離されたが、第2セッションになると、ブリヂストン製ウエット・タイヤやYZR-M1の繊細な電子制御システムにも慣れて周回数を増やし、1分50秒509を記録して10位につけた。これはL・カピロッシ、H・バルベラ、青山博一、T・エリアスらを上回るタイム。
クラッチローとヘイズは、10月23日のマレーシアGPで亡くなったM・シモンチェリを悼み、マシンのフロント部に"Sic58"のステッカーを貼って走行している。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Repsol Honda Team | Honda | 1'45.513 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'45.736 |
3 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | 1'45.828 |
4 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | 1'46.073 |
5 | L・カピロッシ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'46.108 |
6 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'46.259 |
7 | R・ド・ピュニエ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'46.371 |
8 | T・エリアス | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'46.393 |
9 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'46.402 |
10 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'46.581 |
11 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'46.922 |
12 | H・バルベラ | Mapfre Aspar Team MotoGP | Ducati | 1'46.967 |
13 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Ducati | 1'47.079 |
14 | 青山博一 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'47.581 |
15 | J・ヘイズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'48.037 |
16 | 中須賀克行 | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'48.382 |
COMMENT
B・スピース選手談(初日総合6番手/1分46秒259/26周)
「ちょっと落ち込んでいるよ。でも転倒のあとは誰だってそうなるんだ。ラインに乗ってはらみ、水たまりに入ってフロントが滑ってしまった。マシンのフィーリングが良くなってきて、スピードも徐々に上がってきていたところだったんだけれど。今は悔しい気持ちでいっぱいだけれど、明日に期待をかけて頑張るよ。第2セッションの初めにセッティングを変更したんだけれど、それがあまり良くなかったので、また元に戻した。明日もこの方向で進めていく予定」
中須賀克行選手談(初日総合16番手/1分48秒382/37周)
「このコースは初めてで、とくにこのようなコンディションの中では難しかった。でも1日を走り終えてコースレイアウトを覚えることができたので、今はだいぶ走りやすくなっている。ウエットだと転倒の可能性も高くなるので、明日は晴れてくれるといいんだけれど。そして日曜日にはできるだけ上を目指したい。それが僕の目標」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「バレンシアで雨の初日...。コースがとても滑りやすくなるので、とくに初めてここを走る中須賀については心配だった。でも彼はコース・コンディションをすぐに理解し、ひとつひとつ丁寧に対応して最終的にはとてもいい走りができるようになった。コースを覚え、少しずつペースを上げていく作業は、雨によって少し遅れてしまったが、我々としては彼のパフォーマンスを評価し、マシンのセッティングにも満足している。明日の天気がどうなるかにもよるが、彼にはさらに伸びる余裕が残っていると確信している。ベンのほうは、このようなコンディションで白線に乗ってしまったのは残念だった。でも幸いひどい怪我にならなかったので、明日はいつも通り順調に走れるだろう」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「ベンは不運にも転倒し、肩を地面に打ち付けてしまった。かなり痛みがあるようなので、明日以降の走りにも影響があるかもしれないが、何とか痛みをこらえて少しでも上を目指してくれると信じている。中須賀は初めてのコースでよく頑張った。日曜日までさらに走りこみ、コースに慣れてくれば、きっといいところまで行けるだろう」
C・クラッチロー選手談(初日総合10番手/1分46秒581/34周)
「ウイークの初日としては順調。午後のセッションの終盤頃にはかなりペースも上がってきたので3位以内を目指して頑張っていたんだけれど、最終ラップで何度かミスをしてしまった。それでも5位に入れたし、フルウエットのコンディションでも気持ちよく走ることができたので、とても良かったと思っているよ。雨でグリップはほとんど効いていなかったけれど、何とかうまく走ることができたからね。路面はとてもスリッピーで、こういうときはミスをおかしやすいので注意が必要。
でもマシンは、第2セッションのフルウエットでもとてもよく走ってくれたんだ。とは言え、ドライも走っておきたいから、明日は晴れてほしいな。まったくドライを走らないまま決勝なんてことは、誰も望まないからね。もしも明日も雨なら、僕らはさらに一歩前進し、また速くなるよ!」
J・ヘイズ選手談(初日総合15番手/1分48秒037/44周)
「初めてのモトGPの第1日目は難しいコンディションになってしまい、実は何度かヒヤっとする瞬間があったんだ。最初にコースに入るときは、人生でこんなにナーバスになったことはないという感じだったよ。それでも第1セッションは、まずまずのタイムで走ることができたと思う。第2セッションは完全なウエットになってしまったので、かなり怖い思いをすることになったけれどね。モトGPマシンのフルポテンシャルはまだ経験できていないけれど、非常に素晴らしいマシンであることは間違いないし、モンスター・ヤマハ・テック3チームも僕のために懸命に頑張ってくれている。
僕にできることは、このマシンに乗ること、そして少しでも前へ進むことだけ。今のところはマシンをセッティングすることまではできていなくて、ただマシンを知ることに専念している。明日もきっと同じことを続けることになるだろう。できればドライで走って、カーボン・ブレーキに慣れていきたい。もし明日も雨になってしまったら、決勝のなかでドライの走り方を学びながら、カーボン・ブレーキの調整もしていかなければならなくなってしまうからね。そんなことになったら、僕にとっては最悪のシナリオだよ。でも今日はとてもいい経験ができたし、楽しんで走ることができた。それを可能にしてくれたヤマハ、テック3、モンスターのすべてのスタッフに感謝している」