ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.09 7月17日 ドイツ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第9戦ドイツGP
■開催日:2011年7月15日(金)初日結果
■開催地:ドイツ/ザクセンリンク(3.671km)
■コースコンディション:ドライ
■気温: 22度
■路面温度: 38度
REPORT
ドイツGPのフリープラクティスは、ツイスティーなザクセンリンクの第11コーナーで4台が転倒するアクシデントで始まった。ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソとB・スピースはこの混乱を避け、走行を続けることができた。
午前中のセッションでロレンソは、序盤からペースを上げて中盤には一時2位に浮上。その後も3位以内をキープして順調のうちに終了した。午後になると気温の上昇とともにスピードもさらに上がりトップを目指したが、わずかに届かず2位となった。その差は0.095秒。一方のスピースはザクセンリンクでのセッティングをつかみきれず、午前、午後ともにペースを上げられないまま初日を終了した。タイムではコンマ5秒以上更新したものの確かなフィーリングをつかむには至っておらず、明日のフリープラクティス3回目でさらに大きな前進が期待されている。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズとC・クラッチローは、それぞれ11位と14位。午前中の第1セッションでは10位と13位につけており、午後はコンディションが良くなったこともあってタイムを更新したが、順位ではひとつずつ下げることとなってしまった。
エドワーズはおもにリアグリップ向上を目指してセットアップに取り組みながら、1分23秒431を記録。順位は11位にとどまったが、タイムでは8位までわずかコンマ5秒差。明日に備えてセッティング変更を行い、さらにペースを上げていこうというところ。
一方のクラッチロー。午前中は路面温度が21度に留まる難しいコンディションのなかで淡々と周回を重ねながら、世界でも2番目に短いこのコースを覚えていった。そのなかでもフロントエンドのフィーリング向上を目指して様々なセッティングを試し、タイトでツイスティーなこのコースに対処するためのコーナリング性能を追求。
午後は気温が15度も上昇し、風もいくらかおさまったためラップタイムをコンマ4秒更新。しかし残り15分で転倒があり、それ以上のアタックができず1分23秒760でセッションを終了した。順位は14位に留まったが、10位とはコンマ5秒以下の差。明日はさらに走行経験を重ねることでポジションアップを目指す。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'22.225 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'22.320 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'22.432 |
4 | C・スト―ナー | Repsol Honda Team | Honda | 1'22.542 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'22.654 |
6 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | 1'22.882 |
7 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'22.894 |
8 | R・ド・ピュニエ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'23.037 |
9 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'23.261 |
10 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Ducati | 1'23.352 |
11 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'23.431 |
12 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | 1'23.533 |
13 | H・バルベラ | Mapfre Aspar Team MotoGP | Ducati | 1'23.625 |
14 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'23.760 |
15 | 青山博一 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'23.906 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(初日総合 2番手/1分22秒320/45周)
「ラップタイムを更新することができたので、とても満足しているよ。去年よりも全体に速くなっているし、明日はさらに一歩前進したいと思っている。マシンに変更を加えたことでフィーリングが格段に良くなっていて、速いし、力があるんだ!低速コーナーは難しいけど、高速コーナーではタイムを縮めることができて、とくに第3、第4コーナーは非常にいいよ。明日は気温がもっと上がってほしい。そして予選ではフロントロウを狙いたい」
B・スピース選手談(初日総合7番手/1分22秒894/42周)
「最高の走りというわけにはいかなかったよ。風邪をひいてしまって頭がぼんやりしているので、100%の力で走ることができないんだ。それに加えて午後は路面温度が上がり、コンディションが大きく変化してセッティングが難しかった。今晩はよく眠って、明日までに体調を回復したい」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「午前中に比べ、午後はとても好調だったと思う。路面温度が高くなったことで、とくにタイヤのセッティングがやりやすくなったからだ。ホルヘは非常に安定していたし、我々も安定性とコーナリング性能を向上させることができたので満足している。今日はずっとハードコンパウンドのタイヤを使用したので、明日はどこまで前進できるか楽しみにしている」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「ベンはあまりいいところがなかった。セッティングが完璧でなく、午前と午後のコンディションが違っていたために思うような作業ができなかった。タイムはいくらか更新できたので、このあとはデータをチェックしてさらに一歩前進できるよう準備を整えたい。ホルヘは両セッションとも非常に順調だった。自信を持って走っていて、このコースでのセッティングを素早く見つけることができたようだ」
C・エドワーズ選手談(初日総合11番手/1分23秒431/41周)
「金曜日はもっとうまく走れるはずなんだけれど...。なぜかはわからないけれど、このコースに慣れることができなかったんだ。2003年に初めて走った時にもひどい暑さに見舞われて苦労したし、その後もいつもあまりいいところがない。どうも僕らの関係はあまり良くないようだ。セッティングをつかむために、いつもマシンをいじりすぎてしまうようなんだ。
午前中のセッションでは、フロントタイヤの右側がなかなか暖まらなかった。転倒のリスクをかけてまでハードに攻める気持ちになれなかったせいかもしれない。バレンティーノやダニのクラッシュを見ているので、フロントにこのような感触があるなら僕にも同じことが起こりうると思ったんだ。寒くて風が強くて、理想的なコンディションからはほど遠かったからね。
午後はずっと前後ともにハードコンパウンドを使用して、マシンの調子は良くなったけれども依然としてリアのトラクションは不十分だった。まるでアスファルトの上でスケートをしているみたいな感覚だったんだ。でも明日に向けていくつかのアイディアを持っているし、このままいけば上位との差を縮めていけるはずなんだ」
C・クラッチロー選手談(初日総合14番手/1分23秒760/43周)
「タイムシートを見ればあまりいいところがないけれど、実際はそれ以上にずっと順調なので不安はないよ。上位との差も大きくないし、とくにセッション終盤は、クラッシュの後、かなり使ったリアタイヤを履いていても安定して走ることができた。ただ、コースを覚えようと必死になっているときの転倒は本当に悔しい。時間を無駄にしてしまうからね。あのラップはゆっくりとスタートして、そのあと前方にストーナーが見えてきたので彼のラインを追っていこうと思ったんだ。その矢先に第9コーナーではらんでしまった。高速でグリーンに飛び出したあと、見たこともないほど大きなくぼみに突っ込んでしまってどうにも持ちこたえられなくなった。
シルバーストーンで骨折した肩が心配だったんだけれど、どうやら問題はなかったようなので安心したよ。このコースはタイトでツイスティー。全長が短いといっても、楽に攻略できるようなところではないんだ。今日はフロントエンドのフィーリング向上を目指して、ある程度の成果があったけれど、誰だってもっと上を追求したくなる。いつもなら6位から8位くらいに入っているので14位は不本意だけど、もう少し状態が良くなればポジションも上がってくるはずだ」