ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.08 7月3日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦イタリアGP
■開催日:2011年7月1日(金)初日フリー走行1
■開催地:イタリア/ムジェロ(5.245km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:23度 ■路面温度:31度
REPORT
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソとB・スピースは、イタリアGPのフリー・プラクティスを順調にスタート。アスファルトが新しく張り替えられたばかりのムジェロのコースでともに序盤からペースを上げ、互いに順位を入れ替えながら4位以内をキープした。最終的にはロレンソがトップから0.264秒差の4位。スピースはすぐ後ろの5位で、トップとの差は0.377秒。
今シーズンは天候に左右されることが多いが、今回も例外ではなかった。午後になると激しい雨が振り出してコンディションは一変。これによってロレンソは走行を取り止め、スピースは最後の2分間だけコースに入り、スタート練習を行った。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズとC・クラッチローは、それぞれ6位と11位。午前中は好天に恵まれたが、午後は雨に見舞われ、スリックでは難しいがレイン・タイヤを履くほどでもない微妙なコンディションとなってしまった。そこでふたりはセッションのほとんどをピットで過ごし、残り5分でコースインして4ラップだけ走行した。エドワーズは午前中のセッションで1分49秒810を記録し、ノン・ファクトリーのトップ。新しい路面のグリップレベルが向上していることを賞賛し、明日もう一度、ドライ・コンディションで走ることができれば、公式予選ではグリッド2列目以内を目指していけると考えている。
一方、世界有数のテクニカル・コースとして知られるムジェロを短時間で攻略したいクラッチローにとって、この雨は大きな妨げとなった。午前中に1分50秒683を記録し、午後はフロントのフィーリングを改善してさらにタイムを上げたいところだったが、雨によって計画は中止になってしまった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'48.987 |
2 | C・スト―ナー | Repsol Honda Team | Honda | 1'49.027 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'49.088 |
4 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'49.251 |
5 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'49.364 |
6 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'49.810 |
7 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'50.104 |
8 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | 1'50.203 |
9 | 青山博一 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'50.629 |
10 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'50.658 |
11 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'50.683 |
12 | R・ド・ピュニエ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'50.729 |
13 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | 1'50.780 |
14 | H・バルベラ | Mapfre Aspar Team MotoGP | Ducati | 1'51.153 |
15 | T・エリアス | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'51.868 |
16 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Ducati | 1'51.876 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(初日総合4番手/1分49秒251/27周)
「午後はコースに完璧な状態じゃなかったから、走行を取り止めた。ムジェロは好きなコースだから自信があるし、新しい路面も気持ちよく走れるから午前中のセッションはすべてが順調。チーム全員が、ここまで素晴らしい仕事をしているよ。僕らは今、シーズンで最も調子が上がっていて、最もトップ争いに近づいていると思っているんだ。それでもここで勝つのは簡単じゃない。でも必ずできるんだ!こんなことを言うのはまだ早くもかもしれないけれど、僕らは確実に進化しているよ」
B・スピース選手談(初日総合5番手/1分49秒364/28周)
「午後は、またいつものような天気になってしまった。雨が降ってきたからリスクをおかしたくなかった。このようなコンディションの下ではマシンや僕自身のリスクをおかしたくないから、最後にスタート練習だけすることにしたんだ。でも午前中のセッションは順調だったよ。マシンもとても良く走ってくれた。タイヤのコンビネーションをいくつか試して、マシン自体はこれからもっとよくなってくるはず。5位以内でのバトル、さらには表彰台を目指せるだけのペースが出ているので、それが今回の目標になる」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「午後は路面コンディションが良くなかったので走らせなかった。テストしたいことはいくつかあったが、そのためにも良いコンディションでないとだめだったのだ。だから今日はタイヤとエンジンの走行距離をセーブし、ライダーにもこのようなコンディションで無理をさせずに済んだ。午前中のセッションは順調だった。ホルヘはライディング・ポジション、フィーリング、コーナリング、ブレーキングのすべてに満足している。2通りのセッティングを試して一方が明らかによかったので、これをさらに煮詰めていこうと午後に期待していたのだが...明日に持ち越しということになった」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「フリー・プラクティス初日を順調にスタートすることができた。ふたりともトップとの差はほんのわずかだ。これからさらにセッティングを煮詰めて、彼らが走りやすいマシンにしていくことができるだろう。1日目としては、とてもうまくできた」
C・エドワーズ選手談(初日総合6位/1分49秒810/21周)
「午前中は絶好調。新しい路面が非常に素晴らしかったよ。グリップ・レベルが上がり、これまでマシンを悩ませた路面のでこぼこもすっかりきれいになった。以前の路面でのスプリングレートはわかっていたけれど、トラクションが良くなっている分、このままのセッティングでは柔らかすぎてコーナー途中でマシンが座り込んだようになってしまう。だから明日は硬めに変更してみようと考えているんだ。唯一、困ったことは、僕の肋骨のほう。いまだに痛みが残っているからね。アッセンのあとだいぶ良くなって、くしゃみをする時も涙を出さずに済むようになったと思っていたんだけれど、今日はまた元に戻ってしまったような感じ。午後は雨が降ってしまったのでほとんど走らず、テレビにとってもファンにとっても残念だったけれど、僕のほうは少しでも休むことができたから正直、助かったよ」
C・クラッチロー選手談(初日総合11位/ 1分50秒683/21周)
「今シーズンは、たくさんのコースを初めて走ってきたけれど、このコースは間違いなく、一番難しい。そのなかでの11位は決して悪くないと思っているし、もう少し時間があれば10位以内に入れていただろう。レイアウト自体が非常にテクニカルで、その上、起伏が激しくブラインドコーナーも多いので、ハイペースでいくのは難しい。シルバーストーンで骨折した鎖骨はもうほとんどよくなってきているんだけれど、コースのほうが体力面にも厳しいんだ。それだけに午後がほとんど走れなかったことは残念。コースを覚えて少しでもタイムを上げていこうとすれば、周回を重ねることが唯一の方法だからね。1セッションを無駄にしたことで、明日以降がさらに厳しくなったわけだけれど、僕としてはとにかくベストを尽くして、少しでも上のポジションを目指すだけ。今日はフロントのフィーリングがぼんやりした感じだったので、明日はそれを改良していきたい」