ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.06 6月12日 イギリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第6戦イギリスGP
■開催日:2011年6月10日(金)初日総合結果
■開催地:イギリス/シルバーストーン(5.902km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:13度 ■路面温度:21度
REPORT
ロレンソは初日総合3番手、エドワーズ復帰
フリープラクティス初日、ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソとB・スピースは、イギリス特有の天候に悩まされた。午前中は好天に恵まれたドライ・コンディション。しかし午後のセッションは雨でウエットとなり、さらに最後の10分で再び太陽が顔を出すと、ところどころ乾き始めるという変わりやすいコンディション。最後の数分は各ライダーのタイムも上がっていった。こうしたなかでロレンソとスピースは、ウエットとドライ、両方のベース・セッティングを完了。明日はこれをさらに煮詰めるためにドライ・コンディションを望んでいる。ロレンソは自らの昨年のタイムも届かなかったこともあり満足できない様子。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・クラッチローはホームコースで大健闘した。天候に翻弄されて予測のつかないコンディションを攻略し、両セッションで6位以内を獲得した。午前中は気温が低くドライ。クラッチローはスタート早々から、速く安定したリズムで順調に走行。2分05秒007のタイムで6位につけた。午後はさらにペースを上げようというところだったが、雨に見舞われてウエット・コンディション。YZR-M1でウエットの経験は少ないが、そのなかでもスキルを存分に発揮して4位を獲得。クラッチローの前のいるのはC・ストーナー、M・シモンチェリ、N・ヘイデンの3人だけ。タイムは2分18秒109だった。
一方、 1週間前のカタルニアで右鎖骨を骨折したC・エドワーズは、様子を見ながら慎重な走り。午前中のドライ・コンディションでは身体への負担が大きく難しい状況だったが、そのなかで右肩の状態を確かめながら安定したペースをキープして走行。少しずつ自信を取り戻していった。午後からのレイン・コンディションを誰よりも歓迎したのがエドワーズ。超高速でテクニカルなシルバーストーンを攻めるには、ウエットのほうが体力的にかなり楽になるからだ。結果的に両セッションで16位に終わったものの、ドライ、ウエット両方で自信をつけており決勝はポイント獲得を目標に戦う。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Repsol Honda Team | Honda | 2'03.748 |
2 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 2'04.407 |
3 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 2'04.756 |
4 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | 2'04.778 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 2'04.910 |
6 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 2'05.007 |
7 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 2'05.130 |
8 | H・バルベラ | Mapfre Aspar Team MotoGP | Ducati | 2'06.158 |
9 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 2'06.274 |
10 | R・ド・ピュニエ | Pramac Racing Team | Ducati | 2'06.573 |
11 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Ducati | 2'06.774 |
12 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | 2'07.075 |
13 | 青山博一 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 2'07.459 |
14 | T・エリアス | LCR Honda MotoGP | Honda | 2'07.616 |
15 | L・カピロッシ | Pramac Racing Team | Ducati | 2'08.225 |
16 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 2'09.310 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(初日総合3番手/2分04秒756/30周)
「今日の走りには納得していないよ。午前中はドライだったから去年と同等のペースを目指していたんだけれど、結果は何と1秒遅れ。午後もドライで走りたかったのに雨が降ってきてしまい、仕方なくウエットを走ることになった。レイン・タイヤで多くの周回を重ねていったので、他のライダーたちがタイヤを履き替えたあとは、どんどん抜かれてしまったんだ。それでもウエットのセッティングは順調に進んでいると思う。あとは僕自身のコンディションも整えて、明日はフロントロウを狙っていくよ」
B・スピース選手談(初日総合7番手/2分05秒130/30周)
「両方のセッションで順調に走ることができ、タイムも良かったので、とても充実したプラクティスになった。これまでは、ウエット・コンディションではマシンのフィーリングがあまり良くなかったんだけれど、今日はそれほど必死にプッシュしなくても上位に近づくことができた。ドライでもう少しテストしたいところが残っているけれど、今日は時点でコンスタントにハイペースをキープすることができたので良かったと思う。明日はさらにタイムを上げていきたい。そして決勝でいいところを走れるように、少なくとも2列目までに入りたいんだ」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「第1セッションは悪くなかった。大きな問題もなく非常に良かったと思っている。そしてホルヘのコメントから、リアのグリップを向上させるためのヒントを得た。しかし午後のセッションは半分ウエット、半分ドライの難しいコンディションになってしまった。ホルヘはそれでもしっかり走りきってリズムをつかみ、最終的には好感触を得ることができたようだ。マシンには満足している」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「天候が変わりやすかったために、決勝に向けてのドライ用のセッティングを詰めきれないまま終わってしまった。しかしトップから大きく離されてしまっているわけではなく、ベンはドライにもウエットにも非常に満足しているようだ。天気予報によれば明日は晴れそうなので、今日はできなかったことを試して最終調整を行う予定。ふたりとも準備はできているので、明日は予選で好ポジションを狙っていけるだろう」
C・クラッチロー選手談(初日総合6位/2分05秒007/30周)
「午前中のセッションは6位だったが、満足はしないしていないんだ。安定性の面で少し心配なところがあって、それさえなければ午前中も4位に入れていたはずだからね。課題がいくつかあったので、それを解決するには午後も晴れて欲しかった。それでも少なくともレインを経験できたわけだから、決勝日が雨なら、今日のことも役に立つだろうね。でも決勝はやっぱり晴れて欲しい。そのほうが自分の力をみなさんにお見せできると思うから。
それにしても午後の天候は最悪。ある部分は水浸しなのに、ある部分は急激に乾いていったんだ。だからこのコーナーはウエットなのに次のコーナーはドライだったりして、いつどこでプッシュできるかは判断が難しかったよ。ブリヂストンのレイン・タイヤは、路面が乾き始めてからもしっかり走ってくれたけれど、逆にドライからウエットへと変わる場合は、タイヤが熱を持っているから、そんなにうまくはいかないだろうね。イギリスのファンのサポートは本当の嬉しかった。僕ももっと頑張って、明日はフロントロウを狙いたい」
C・エドワーズ選手談(初日総合16位/2分09秒310/25周)
「今日はただ、先週の転倒から復活して自信を取り戻すための走行。だから必要以上のことは何もしなかったけれど、それでも確かに肩が少し痛かったよ。とくに右コーナーのブレーキング・ゾーンが大変なんだけれど、運の悪いことにこのコースは右コーナーがとても多い。でも自分で想像していたよりは、肩の状態が良くて、ドライでもウエットでも、かなりうまく走ることができたと思うよ。今はもう、日曜日に雨が降ったとしても文句はない。ウエットなら肩への負担がずっと小さくなるので、むしろ歓迎するよ。あとは今後の展開を見守るだけ」