ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.05 6月5日 カタルニア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第5戦カタルニアGP
■開催日:2011年6月5日(日)決勝
■開催地:スペイン/カタルニア(4.727km)
■周回数25周(118.175 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:20度 ■路面温度:25度
■PP:M・シモンチェリ(1分42秒413/ホンダ)
■FL:C・スト―ナー(1分43秒084/ホンダ)
REPORT
ロレンソとスピース、揃って表彰台
ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソとB・スピースが、それぞれ2位と3位を獲得して揃って表彰台に上った。ディフェンディング・チャンピオンのロレンソは好スタートを切ってホールショット。スピースはV・ロッシを抑えて3番手に上がり、第1コーナーに進入した。オープニングラップの最後のストレートでC・ストーナーがトップに上がると、ロレンソはそのテールにつけ、そのままチェッカーまで2位をキープ。今季4度目の表彰台を獲得した。13周目にはホワイト・フラッグが提示されて雨の降り出しが伝えられたが、小雨にとどまったため、タイヤ交換を行うライダーはいなかった。
一方、ウイーク初日からコンスタントに速さをキープしてきたスピース。スタート後の第1コーナーで3位につけ、そのままの順位でチェッカー。4位のA・ドビツィオーゾに約1秒の差をつけて、チーム加入後、初めての表彰台を獲得した。
ふたりはこのあと、第6戦の舞台となるシルバーストーンへ向かう。ロレンソはランキングトップをキープしており、2位のストーナーとの差は7ポイント。スピースは今日の活躍によって一気に5つランキングを上げ、7位となった。6位のN・ヘイデンまであと11ポイント。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・クラッチローが7位獲得の大健闘。グリッド2列目からスタートしたクラッチローは、序盤からハイペースをキープしてN・ヘイデンを追う展開。そして10周目にはついにこれをとらえ、さらに引き離して順調にゴールを目指していった。レース中盤には雨が降り出し心配されたが、大きな影響はなく、そのまま7位をキープしてチェッカーを受けた。この活躍により、シリーズポイントを30に伸ばしてランキングではトップ10入り。次回シルバーストーンはホームGPとなるため、この勢いをそのままにさらなる活躍が期待される。
一方、チームメイトのC・エドワーズは金曜日のフリープラクティス第2セッションで転倒し鎖骨を骨折。チタニウム・プレートと13本のねじを入れる手術を終え、早くもサーキットに戻ってきた。肩の動きはほぼ完璧なところまで回復しており、モトGPデビュー以来、続いてきた決勝出場の記録を途切らせないためにも本人は出走を希望していたが、メディカルチェックで出走不可能と診断されて断念した。来週のシルバーストーンは出場を予定している。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Repsol Honda Team | Honda | 43'19.779 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 2.403 |
3 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 4.291 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 5.255 |
5 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | 7.371 |
6 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 11.831 |
7 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 26.483 |
8 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | 33.243 |
9 | L・カピロッシ | Pramac Racing Team | Ducati | 43.092 |
10 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Ducati | 43.113 |
11 | H・バルベラ | Mapfre Aspar Team MotoGP | Ducati | 44.224 |
12 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 45.239 |
13 | T・エリアス | LCR Honda MotoGP | Honda | 58.268 |
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha | 98 |
2 | C・スト―ナー | Honda | 91 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 63 |
4 | D・ペドロサ | Honda | 61 |
5 | V・ロッシ | Ducati | 58 |
6 | N・ヘイデン | Ducati | 47 |
7 | B・スピース | Yamaha | 36 |
10 | C・クラッチロー | Yamaha | 30 |
13 | C・エドワーズ | Yamaha | 21 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 120 |
2 | Yamaha | 98 |
3 | Ducati | 63 |
4 | Suzuki | 17 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(2位)
「全力を尽くしたよ!結果には満足している。スタートでケイシーの前に出ることができたんだけれど、その時点ですでに、すぐに抜き返してくることはわかっていた。だから抜かれたあとは、できるだけ長くついていこうと思って、彼のリアタイヤを懸命に追っていったんだ。終盤になって雨が降ってきてしまって、集中力をキープするのが大変だったけれど、何とか持ちこたえて2位を獲得できた。ランキングではまだトップをキープしているので、次のシルバーストーンの展開を見守ろう」
B・スピース選手談(3位)
「ひたすらプッシュ、プッシュ!そうするうちに少しずつホルヘに近づいていくことができた。彼に追いつきパスする必要はなかったけれど、後ろから来るアンドレアを遠ざけておきたかったんだ。マシンは絶好調で、とても気分良く乗れていたので、あとはどうしても好成績につなげたかった。それで最初の数ラップを走ったところで表彰台の可能性を確信できたので、あとはひたすら全力で攻めたんだ。今日はタイヤの選択も当たった。課題をすべて達成することができたから十分に満足しているよ。素晴らしいマシンを用意してくれたチームに感謝。次のシルバーストーンもこの調子で頑張りたい」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「激しいバトルなどはなかったが、2位と3位を獲得できたことは非常にうれしい。フリープラクティスから難しい状況があったが、それを克服してトップとの差を詰めることができたと思う。まだ解決しなければならない問題も残っているし、これからもっと前進しなければならない段階だが、方向性が間違っていないことを確認することができた。ホルヘが母国のファンの前で表彰台に上れたことは、本当に良かったと思う。またベンも、シーズン序盤は苦しい展開が続いたが、ここでついに初表彰台を獲得することができた」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「初日から順調にスタートし、日ごとに良くなっていった。その結果として、ふたりが表彰台に上ることができたので、チームにとっては大成功と言っていいだろう。チームスタッフの努力のおかげでマシンは大きく進化し、トップとの差も縮まってきている。次のシルバーストーンもきっとうまくいくと確信している。ヤマハは昨年も好レースを展開しているので不安はない」
C・クラッチロー選手談(7位)
「モトGPでのベストリザルト。もちろんとても嬉しいよ。でも出来ることなら、もっと激しいバトルの末に勝ち取りたかった。ニッキーをパスした後は、ずっとひとりだったから、今日はほとんど自分の集中力との戦い。一気に追いついて素早く抜くことができたけれど、その後リアタイヤのグリップが落ちて苦労したんだ。さらに雨が降りだした。ホワイト・フラッグを見たときには、まるで台風でも来たかのような感じがしたけれど、実際は終盤の3つのコーナーに少し降っただけ。もしフラッグ・トゥ・フラッグになれば上位グループとバトルするチャンスも巡ってくるかもしれないと思って期待したが、雨がそれ以上に強くなることはなかった。
最後までニッキーを抑えきることができたのは良かったけれど、トップのケイシーとの差は26秒もあった。でもそれも、僕にとっては初めて走るコースだということを思えば、決して悪くない結果かもしれないね。もしもスタートで遅れていなければ20秒差くらいでゴールできたかもしれない。そうだとしたら、去年のデータに従えば6位に入れていたはずなんだ。今の僕のモトGPにおけるポジションは、だいたい6位から8位というところ。でもノン・ファクトリーのトップに立てたことは自信になるよ。このマシンに僕ほどハードに乗れるライダーはいないと思っている。それだけに次のシルバーストーンがとても楽しみ。母国のファンが応援してくれるのは最高の気分だからね」
C・エドワーズ選手談
「走らせてもらえなかったことは、やはりちょっと残念。決勝出場の記録を途切らせないことが一生の目標というわけではないけれど、少なくともこの記録を誇りに思っていたからね。医師の判断はもちろん理解しているけれど、実際、僕の肩はとても調子がいいんだ。それに、僕だって完走しようと思っていたわけじゃない。とにかくスタートして、何周か走ったらピットに戻るつもりだったんだ。だって、せっかくサーキットまで来ているのに、ただ記録を途切らせるだけなんて意味がないじゃない...でも、僕は大人だから腹を立てたりはしないよ。これから少し休んで、シルバーストーンでの復帰の準備をする。来週は必ず出場できるのだから、それを今から楽しみにしている。レースに出られなかったことなど思い出さないし、テレビでも見たくない。今はとにかくモンスター・ヤマハ・テック3チームのみんなと、また一緒に仕事をすることだけを願っている」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック3チーム・チームマネジャー談
「カルの7位は見事。我々が考えていたなかの最高の成績だ。彼の前の6人はすべてがファクトリー・ライダーなのだからね。もしもスタートがもっとうまくいっていたら、シモンチェリとバトルできたかもしれない。またファクトリーマシンに乗るニッキーを追い詰め、パスして、さらに楽々と引き離したことは、彼にとって大きな収穫だったと思う。このような活躍を見ると彼がルーキーであることを忘れてしまいがちだが、ここで今季最高の成績を獲得し、来週は絶好のタイミングでホームレースを迎えることになった。コーリンも来週こそはレースに復帰できるだろう。今日もどうしても出場したかった彼の気持ちが、私にはよく理解できる。37歳の彼がここまでに積み上げてきたキャリア、決意、責任は本当に素晴らしい。しかし手術の翌日ということを考えれば、彼としても医者の判断を尊重しないわけにはいかなかったのだ。シルバーストーンでは、さらに強くなっているだろう。そしてコーリンとカルが揃って、モンスター・ヤマハ・テック3チームのためにベストを尽くす姿が見られるだろう」
辻 幸一、MS開発部 モトGPグループリーダー談
「今週末は初日から変わりやすい天候に悩まされ、必ずしも順調にマシンのセットアップが進んだとは言えない状況でした。それでもレースはロレンソ選手が2位、ベン選手が3位とヤマハファクトリーチームの両ライダーがダブル表彰台を獲得しました。地元レースで大きなプレッシャーがかかっていたロレンソ選手、今年からファクトリーライダーという重責を担っているベン選手の両者が結果を残してくれた事は今後に繋がると確信します。またテック3チームのカル選手もルーキーとは思えない見事な走りで価値のある7位に入る事が出来ました。次のレースは来週、イギリスのシルバーストーンサーキットで開催されます。昨年、両ライダーは表彰台を獲得しているとともに、カル選手の地元でもあります。今回のレースの成果を踏まえ、表彰台の真ん中に立つべく一同気合を入れて臨みます。引続き皆さまのご声援をお願いいたします」