ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.01 3月20日 カタール
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第1戦カタールGP
■開催日:2011年3月20日(日)決勝
■開催地:カタール/ロサイル・サーキット(5.380km)
■周回数22周(118.36km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:19度 ■路面温度:20度
■PP:C・スト―ナー(1分54秒137/ホンダ)
■FL:C・スト―ナー(1分55秒366)
REPORT
J・ロレンソが2位表彰台!
カタールで行われた開幕戦、ヤマハ・ファクトリー・レーシングのJ・ロレンソは2位表彰台を獲得。チームメイトのB・スピースは6位。モンスター・ヤマハ・テック3のC・エドワーズとC・クラッチローは、それぞれ8位、11位だった。
ロレンソは好スタートからレースをリードしたあと徐々に順位を下げ、ストーナー(ホンダ)、D・ペドロサ(ホンダ)に続く3番手へ。そのまま順位をキープして周回を重ね、残り8ラップでついにペドロサをとらえて2位浮上。一度は抜き返されたものの、再びとらえて2位に上がると、21周目と22周目には1分55秒8を記録するペースアップを見せて一気に突き放した。さらにトップのストーナーとの差を3.440 秒まで縮めて2位を獲得した。
チームメイトのスピースは、スタート後の第1コーナーで集団に飲み込まれて8位まで後退。その後はすばやくH・バルベラ(ドゥカティ)との差を縮めて、これをパス。さらに3ラップ後には、その前を行くV・ロッシ(ドゥカティ)に照準を合わせ、6位浮上を目指した。数ラップ走った時点でロッシとの差はコンマ1、2秒ほど。その後のスタート&フィニッシュ・ラインのストレートでしかけ、ついにロッシをパスすることに成功したが、続く第1コーナーではらんで再びロッシを先行させてしまう。スピースはあきらめずに立て直し、再び同じ場所でトライ。今度は第1コーナーをしっかり回り切ってロッシを振り切った。そしてロレンソ同様、ペースを上げ、18ラップ目には1分55秒812を記録する絶好調。6位でチェッカーを受けた時点でロッシを5.96秒引き離していた。
モンスター・ヤマハ・テック3チームは、シーズンを好スタート。C・エドワーズとC・クラッチローは、それぞれ8位と11位を獲得した。エドワーズはグリッド10位から絶好のスタート。そして6位争いのグループに加わっていくかに見えたが、第2コーナーでわずかにラインを外して後退してしまう。これでチームメイトのクラッチローの後ろの10位となった。その後、すぐに9位に上がり、さらに昨年のチームメイトのスピースを追って行く展開。最初の5ラップは、すぐ後ろにつけて様子をうかがいながら、1分56秒台をコンスタントにキープ。 9ラップ目にはバルベラをパスして8位に上がったが、ここまでに時間をかけすぎてしまったためにスピースを捉えることはできなかった。
一方のクラッチローは、グリッド上でロッシやエドワーズの前に並んで初めてのモトGPに臨んだ。1週間前の左手小指の怪我の影響があったにもかかわらず見事な走りを見せ、22ラップのほとんどで10位以内をキープ。そしてN・ヘイデン(ドゥカティ)、青山博一(ホンダ)、バルベラによる9位グループのすぐ後ろにつけていた。しかし序盤のエドワーズ同様、バルベラをパスするのに手間取り、その間にヘイデンと青山に差を広げられてしまった。クラッチローは最終ラップでバルベラをパスして11位を獲得した。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Repsol Honda Team | Honda | 42'38.569 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 3.440 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 5.051 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 5.942 |
5 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 7.358 |
6 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 10.468 |
7 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | 16.431 |
8 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 26.293 |
9 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | 27.416 |
10 | 青山博一 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 28.920 |
11 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 34.539 |
12 | H・バルベラ | Mapfre Aspar Team MotoGP | Ducati | 34.829 |
13 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Ducati | 37.957 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Honda | 25 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha | 20 |
3 | D・ペドロサ | Honda | 16 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 13 |
5 | M・シモンチェリ | Honda | 11 |
6 | B・スピース | Yamaha | 10 |
8 | C・エドワーズ | Yamaha | 8 |
11 | C・クラッチロー | Yamaha | 5 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 25 |
2 | Yamaha | 20 |
3 | Ducati | 9 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(2位)
「今日の表彰台は、優勝よりもうれしい!今はそんな気分なんだ。僕自身も十分にやりきったし、チームも最後まであきらめずに、僕のためにできる限りの最高のマシンを作ってくれたからね。僕は自分の力をすべて走りに投入。スタートからゴールまでの毎ラップ、限界ぎりぎりまで攻めきった。転倒しそうになったこともあったけど、何とか我慢して2位を獲得することができた。精一杯やったよ」
B・スピース選手談(6位)
「1年の最初のレースが終わった。最も理想的なものにはならなくて、第1コーナーをうまくまわれずに、そのまま数ラップはバルベラとロッシの後ろに抑え込まれてしまったんだ。あのふたりが互いに競り合っていたので、その間にトップから離されてしまった。このことを除けば、いいレースができたと思う。バレンティーノの走りは素晴らしくてパスするのが大変だったけれど、何とか前に出てからはペースを上げることができたし、マシンのフィーリングもとても良かったので順調に走ることができた。うまくいかなかったのはレースの前半だけ。スタートで遅れてしまったのが残念だ。2週間後にまたレースができるので楽しみ。初戦は5位以内に入ることができなかったけれど、いくつかのポイントを獲得できたのでハッピーだよ」
W・ズィーレンベルグ、チーム・マネジャー談
「見事な成績だ。ホルヘの2位獲得はとてもうれしかった。ベンのほうはスタートで遅れてしまい、バレンティーノをパスするまでに長い時間がかかってしまった。ホルヘは非常に士気が高く、その気持ちをそのまま戦いに注ぎ込んだ。そして序盤はしばらくトップをキープしたのだ。厳しいシーズンになると思うが、ホルヘは上位を走ってくれると信じている。彼を誇りに思う。素晴らしいレースだった」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「私にとっての初めてのモトGPは、とても良い形でスタートできた。ホルヘはその実力を証明した。ウォームアップを見たときに、トップから大きく離されているのではないということが分ったが、ホルヘは本当に頑張ってプッシュし続け、ついには表彰台を獲得することができた。ベンのほうはスタートが上手くいかず、バルベラとロッシをパスまでに時間がかかってしまった。やっと前に出たときにはコースが空いていたこともあり、ラップタイムも上がって4番手となるベストラップも記録できた。ふたりの走りに満足している。自信を持って次のヘレスに向かうことができる」
C・エドワーズ選手談(8位)
「できることは全てやったよ。自分の走りに満足している。モンスター・ヤマハ・テック3チームはいつも、僕のために素晴らしいマシンを用意してくれる。上位のライダーたちのハイスピードを考えれば、8位の結果はとても良かったと思う。予選結果から見ても、まったく思っていた通りの成績だと言えるだろう。スタートはとても上手くいったが、6位以内を目指すとするなら多少のリスクはおかさなければならないと分かっていた。
それで第1コーナーでアウト側に回り込んで、2、3人をパスしてポジションを上げたんだ。でも危ない場面もあって、危うくベンと接触しそうになった。あれは、あまり良いやり方ではなかったと思っているよ。序盤は、バレンティーノとも何とかバトルできるかとも考えたが、たとえ完璧な状態でないとしても彼はやはり素晴らしい走りをする。8位という結果に満足することができないけれど、貴重なポイントを獲得できた。自信を持って次のヘレスに臨める」
C・クラッチロー選手談(11位)
「とてもハッピーな気持ち。でも正直に言うなら、予選が好調だっただけにトップ10を目指したかったんだ。バルベラを抜くのが大変で、ニッキーや青山のグループについていくことができなかった。何とかパスして彼らを追って行こうとしても、また抜き返されてしまうんだ。だからしばらく先に行かせることにした。彼らのペースが少しずつ落ちてきていることもわかっていたしね。でもマシンがとても速かった。だからパスできてもポジションをキープすることができないと思った。
それでもトップ10争いに加われたことは嬉しかったし、この経験がこれからのモトGPでの戦いに役に立つと思う。今日はどうしても、最後までしっかり走り切りたかったが、その目標は達成できた。次からのレースは、初めてのコースとなるので、さらに厳しいものになるだろう。でもモンスター・ヤマハ・テック3チームのためにベストを尽くすよ」
H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「コーリンは好スタートを切ることができたので、ベンやバレンティーノとのバトルで最初の数ラップはとても面白い展開になった。最終結果を見ても、彼はノン・ファクトリーのトップで、非常に大きな仕事を達成したことになる。上位7台は明らかに速かったが、コーリンも持てる力をすべて出し切って頑張ったのだ。またカルの走りにも私は満足している。初めてのモトGPで、しかも怪我している状況でどこまでできるかは未知数だったが、青山やヘイデンとバトルすることができた。またバルベラとの戦いも素晴らしかった。経験が豊富な相手を最後にパスできたことは自信につながるだろう。次からのヘレスまでには指の怪我もかなり良くなるだろう。彼は素早くコースを覚えていい走りを見せてくれるに違いない。期待したい」
辻 幸一、MS開発部 モトGPグループリーダー談
「2011年シーズン開幕のレースをロレンソが2位表彰台で飾ることができて非常に満足しております。今年からファクトリーライダーとなったスピースはロッシを交わしての6位。サテライトのエドワーズ、クラッチローの両ライダーも完走を果たし、次に繋がる結果を残してくれました。変わりやすい環境の中、ロレンソは初日のフリー走行から日ごとにバイクのセッティングを進め、レースまでに上手く合わせることができました。ナイトセッションということもあり、スタッフも速く走らせるためのデータ分析を夜が白み始めるまで行い疲労も限界の状態でした。次節は4月3日、スペインのヘレスサーキットとなります。皆様のご声援をよろしくお願いいたします。
このたび 東北地方太平洋沖地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。われわれも微力ながらモトGPの車両に“がんばろう日本/WITH YOU JAPAN”のステッカーを貼ることで皆様に希望と勇気を与えることができればと思います」