ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.12 9月5日 サンマリノ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第12戦サンマリノGP
■開催日:2010年9月5日(日)決勝結果
■開催地:イタリア/ミサノサーキット(4.226km)
■周回数:28周(118.328km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:27度 ■路面温度:39度
■PP:D・ペドロサ(1分33秒948/ホンダ)
■FL:D・ペドロサ(1分34秒340)
REPORT
ロレンソ、ロッシが2・3位表彰台
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソとV・ロッシは、それぞれ2位と3位。モンスター・ヤマハ・テック3チームのB・スピースが6位、C・エドワーズは7位でゴールした。優勝はD・ペドロサ(ホンダ)で今季4勝目となった。
しかしこの日、モト2クラスのレース中に富沢祥也が不帰の人となり、サーキットは悲しみに包まれた。富沢選手のご家族、ご友人、そしてチームに深い哀悼の意を伝え、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
予選2番手のロレンソはスタートで3番手につけるがまもなくC・ストーナー(ドゥカティ)をパスして1周目を終える。ポールから好スタートをきりトップを行くペドロサを追うが、なかなか差は詰らず少しずつリードを許す。ペドロサはその後も首位単独走行で、中盤には5秒近くのリードをとりそのまま逃げきった。ロレンソは懸命に追うがペドロサに追いつくことは出来ず単独2位でゴール。開幕以来の連続表彰台獲得記録を更新し、ランキング首位をキープした。
予選4位、2列目発進のロッシは、ペドロサ、ロレンソ、ストーナーにつづく4番手につけて様子を見る展開。10周目にストーナーを一瞬パスするが、直ぐ抜き返されて順位はそのまま。しかし、次の周にストーナーをパスして3番手に上がる。このとき、先行のロレンソとの差は既に約2秒ほどで、追いあげを試みる。ところが、今度は後方からA・ドビツィオーゾ(ホンダ)追い上げてきて、一時はコンマ2秒差まで接近。しかし、終盤ロッシはラスト3周のところでベストタイムを記録、ドビツィオーゾを振りきって単独3位をキープ、そのままゴールした。
スピースはオープニングラップのタイトな第2コーナーで4つポジションを下げて10位まで後退。しかしその後、見事な追い上げを見せ、6ラップ目にはM・メランドリとR・ド・ピュニエの2台をパスして7位に上がった。その前方を走っていたのがチームメイトのエドワーズ。スピースは少しずつその差を縮めていくと、12ラップ目でパスして6位に上がり、そのまま順位をキープしてチェッカーを受けた。6位以内は今季8回目。ランキングでは3位争いの候補のひとりとしてのポジションを確保している。一方のエドワーズは好スタートから5位に浮上。しかしフロントエンドの違和感もあってハイペースをキープできず、7位まで下げてゴールした。ランキングでは10位に上がり、9位のメランドリとの差は1ポイント。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 44'22.059 |
2 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | +1.900 |
3 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | +3.183 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | +6.454 |
5 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | +18.479 |
6 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +28.385 |
7 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +34.934 |
8 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | +38.157 |
9 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | +40.943 |
10 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +42.377 |
11 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | +45.906 |
12 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | +46.394 |
13 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | +50.481 |
14 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +1'23.143 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha | 271 |
2 | D・ペドロサ | Honda | 208 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 139 |
4 | V・ロッシ | Yamaha | 130 |
5 | C・ストーナー | Ducati | 130 |
6 | B・スピース | Yamaha | 120 |
10 | C・エドワーズ | Yamaha | 66 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 280 |
2 | Honda | 245 |
3 | Ducati | 170 |
4 | Suzuki | 64 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(2位)
「こんな悲しい日には、言葉が出てこないよ...。スタートはうまくいったんだけれど、ペドロサについて行くことができなかった。2位は悪くない。速さが足りなかったことは確かなんだけれど、チャンピオンシップを考えれば大切な2位。そしてこれが僕らの目標だった。M1はもっと良くなってくれるだろうけれど、目標はいつも表彰台なのだからこれでいいんだ。祥也のことは、本当に残念。だっていいやつだったし、ライダーとしても力を持っていたからね。とても悲しくて、僕がどれほど悲しんでいるかを彼の家族や友達に伝えたい。それ以外何もない」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「ホルヘにとっては悔しいレースだっただろう。彼はチャンピオンシップのことを考えてリスクをおかすわけにはいかなかったのだ。今日のペドロサは確かに非常に好調で、とらえることができなかった。だから我々チームとしては、次のレースで彼と互角に戦えるようにするために必死で頑張っていくしかない。ホルヘはいつもどおり冷静で、できるだけ多くのポイントを獲るためにクレバーなレースをした。そしてしかも、目標である表彰台をしっかりと確保したのだ。富沢選手のことは本当に残念だ。彼は才能にあふれていて、いつか必ずモトGPにやって来ることになったはずのライダーだった。このスポーツでは常に起こり得ることだが、今日はそのことを、我々全員に改めて思い出させることになった」
V・ロッシ選手談(3位)
「僕らにとってはとてもいい結果になったよ。表彰台に上れたというだけじゃなくて、そこまでの過程が良かったんだ。レース終盤で速さを発揮できたということから、どれだけ進歩したかがわかるんだ。最後までプッシュし続けることができたということだからね。その意味で、今回はいい仕事ができたと思う。でも、今日のように悲しいことが起こると、すべてがゼロになってしまう。そして成績などどうでもよくなってしまうんだ。祥也は素晴らしいライダーだったし、それ以上に人間としてとても温かみがあった。それに面白くて、いつも笑っていて、みんなを楽しませるようなことばかり話していた。まだ若く、未来があっただけに、みんながとても悲しんでいる」
D・ブリビオ、チーム監督談
「非常に悲しい一日になった。誰もがトミのことを、そしてその友人、家族、チームのことを考えている。彼はとてもいい男だったよ。レースのほうは、バレンティーノが終盤でペースを上げて、非常に速くしかも安定して走ることができた。チームとしてもいい仕事ができて、マシンがよく走ってくれたのでバレンティーノも気分良くレースができたようだ。このことは次の戦いに自信をつなげてくれる。ペース自体はトップとほとんど変わらないところまできたし、体調もどんどん良くなっている。この調子で彼のベストの状態まで戻ってくれることを期待している。今回はマシンにとってもライダーにとっても、優勝争いに復帰するための重要な一歩となった」
B・スピース選手談(6位)
「第2コーナーでシャッフルされてしまったあとは厳しい戦いになった。フロントのフィーリングに少し違和感があったんだけれど、それでもペースは良かったから追い上げていった。でも6位まで上がった頃には、前は10秒くらい離れてしまっていたんだ。ここでつまらないミスをするわけにはいかないから無理するつもりはなかったけれど、ラップタイムを見れば、ケイシーと互角に戦うだけの速さがあったことは間違いない。でも目標にしていた6位を達成できたのだから満足しているよ。ペースは5位になれるだけのものがあったけど、結果的に上がれなかったということなんだ。富沢祥也選手の事故はとても残念なことだった。僕の心は彼の家族や友達とともにあるよ」
C・エドワーズ選手談(7位)
「いいレースができた。今日の7位で、ランキングも10位に復帰できたしね。スタートがうまくいって、第1コーナーの混乱を避けることができた。そのあとはシモンセリとバトルになったんだけれど、ウイーク中ずっと抱えていた問題が出てしまって、ブレーキングでフロントが思い通りに動いてくれなかったのは残念。アグレッシブに攻め続けてラップタイムもかなり良かったんだけれど、正直なところ、それが思ったほど結果につながらなかった。もっと上へ行けたはずなんだ。ベンに抜かれたあと、毎ラップ少しずつ差が広がっていった。僕も懸命について行こうとしたけれど、結局おいて行かれてしまって7位に終わったということ。でも、悲しい知らせのあとではレース結果の意味も薄れてしまう。この辛いとき、僕のこころは、彼の家族と友達のところへ行っているよ」
H・ポンシャラル、チーム監督談
「まずはじめにテック3ヤマハの全員を代表して、富沢祥也選手のご家族と友人たちに心からお悔やみの気持ちを伝えたい。彼はライダーとしてもひとりの人間としても素晴らしく、彼がいなくなったことでレースに携わるすべての人が寂しい思いをすることになるだろう。レースのほうを振り返れば、ベンはオープニングラップで遅れてしまったことが最後まで影響した。パスが難しいこのコースで懸命に頑張って、何とか6位まで挽回したが、ケイシーまでたどり着くのは不可能だった。1周目のことさえなければ、ベンはケイシーといいバトルを展開していたに違いない。それだけに残念で仕方がないのだ。でも今回もまた6位以内、そしてノンファクトリーのトップに立っている。コーリンのほうもこのところ大きく前進し、彼のベストの状態に戻ってきているので満足している」
MS開発部 MotoGPグループリーダー 中島雅彦談
「決勝前に行われた"モト2"のレースで、富沢祥也選手が転倒負傷し、搬送先の病院で逝去されました。信じられず、唐突さと無念に耐えきれない思いです。富沢選手の他界を悼み、心よりご冥福をお祈りしたいと思います。
ミサノサーキットはトリッキーなコースで、相反する課題を抱えマシンセットアップには苦慮しました。今回はペドロサ選手が1歩リードしている中、ハイペースでタフなレースとなりましたが、ホルヘは無理をせず確実に2位を確保、バレンティーノも3位に続き、フィアット・ヤマハ・チームの2人が揃って表彰台に上がってくれたことが何よりです。トップ争いが出来る状態に戻りつつあるバレンティーノを地元のファンも喜んでくれたと思います。モンスター・ヤマハ・テック3チームのベンは好調を維持していますが、残念ながらスタートを失敗、今回の6位は悪くないと思います。コーリンも調子が上がってきており、次に繋がる結果でした。次戦は全く新しいコースでのレースとなりますが、可能な限り準備をして臨みたいと思います」