ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.10 8月15日 チェコ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第10戦チェコGP
■開催日:2010年8月14日(土)予選結果
■開催地:チェコ共和国/ブルノ(5.403km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度 ■路面温度:38度
■PP:D・ペドロサ(1分56秒508/ホンダ)
REPORT
スピースとロレンソ、フロントロウ獲得
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソとV・ロッシは、それぞれ3位と5位。ふたりはいずれも終盤のタイムアタックで転倒したが、幸い怪我はなかった。
昨晩の嵐でコースコンディションが変化したことも影響し、ロレンソはフロントエンドのセッティングにいくらか違和感を持ち、コースの後半でタイムが伸びない状況が続いていた。それでもセッションのほとんどで好位置をキープし、終盤では2位につけて最後のタイムアタックを開始。そして今季10度目のフロントロウを目指して、さらにタイムを上げていこうという時、第11コーナーでミスをおかして転倒、グラベルまで飛ばされた。ロレンソはすぐに立ち上がり、幸いけがはなかった。予選順位ではひとつ下げて3位。2位はモンスター・ヤマハ・テック3チームのB・スピース、ポールポジションはD・ペドロサとなった。
一方、怪我の復帰から3戦目を迎えたロッシ。M1のセッティングも感触は良く、順調にタイムを伸ばして、今回こそフロントロウ獲得を目指していた。そしてセッション終盤、最初のタイムアタックでポールポジションに迫る勢いを見せたが、その第13コーナーでフロントを滑らせて転倒。幸いけがはなく、脚や肩へのダメージもなかった。グリッド2列目に留まったことを本人は残念に思っているが、決勝ではまた力強い走りを見せようと意気込んでいる。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのB・スピースは予選2位。モトGPで初めてのフロントロウを獲得した。スピースはマシンのセッティングも順調で、セッション開始から15分ほどで6位に浮上。後半を迎えるころには4位に上がり、さらに前を目指してハイペースで走行を続けた。そしてポールポジションも視野に入れながら全力で攻めるなかで1分57秒166を記録して2位に浮上。このときトップのペドロサとの差はわずかに0.005秒だった。残り16分、スピースはリアタイヤにソフトコンパウンドを履いて1分57秒170に上げ、ついにはペドロサを抜いてトップに立った。そして残り5分ではさらにタイムを更新して1分56秒846としたが、その後ペドロサが最後のアタックで1分56秒508に縮めたため逆転された。明日の決勝はフロントロウから、今季2回目となる表彰台を目指す。
一方、チームメイトのC・エドワーズは、フロント・ジオメトリーのセッティング変更によってコーナリング性能が向上しており、セッション序盤は1分58秒台前半で3位につけていた。しかし終盤のタイムアタックでソフトコンパウンドのリアタイヤを有効に活用しきれず、1分57秒222で7位に留まった。セカンドロウ獲得はならなかったが、その差はわずか0.105秒。決勝では6位以内を狙っていく。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'56.508 |
2 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'56.846 |
3 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'56.865 |
4 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'56.868 |
5 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'57.059 |
6 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'57.117 |
7 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'57.222 |
8 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'57.635 |
9 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | 1'57.960 |
10 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'57.981 |
11 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'58.089 |
12 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'58.169 |
13 | M・カリオ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'58.182 |
14 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'58.430 |
15 | A・デ・アンジェリス | Interwetten Honda MotoGP | Honda | 1'58.522 |
16 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'58.700 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(予選3位/1分56秒865/20周)
「今回の予選はあまり良くなかったね。いくつかモディファイして臨んでいたんだけれど、その効果が見られなくて、逆にフロントに違和感があったんだ。そのせいか、あまり速く走れなかったから、何とか取り戻そうとリスクをおかしていたんだと思う。結局それがミスにつながってしまい、マシンが空中に飛び上がった!幸い怪我はなくて、すぐに立ち上がることができたんだけれど、エンジンのほうが心配。無事であることを心から願っているよ。このようなことになったが、フロントロウは確保することができた。いつもトップというわけにはいかないさ!明日は厳しい戦いなるだろうけれど、セッティングを見直して少しでも良い方向へ進めていきたい。それができれば、あとは僕が頑張るだけ」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「もっとうまくやれたはずだけれど、でもそれほど悪くもなかったんだ。このコースは雨が降るといつも変わってしまうので、それに合わせて少し調整が必要になる。初めの頃は問題なく走れているように見えたし、スピードも出ていたが、ホルヘ自身は昨日との違いを感じていた。フロント・グリップが少し落ちているということだったので調整してみたが、完璧までは至らなかったようだ。転倒はアンラッキーだった。何が原因かははっきりわかっていないが、とにかくフロントが切れ込んだ。怪我がなかったので我々も心配はしていない。あとは彼が自信を持って臨めるよう、しっかり準備するだけ」
V・ロッシ選手談(予選5位/1分57秒059/23周)
「僕は大丈夫。脚と肩の怪我にも影響はなかった。このことが一番大切なんだ。あの時は懸命に攻めていて、ベストラップを狙っていたんだけれど、急にフロントが流れてしまった。つまり、グリップがまだ足りないということだと思うんだ。2位、あるいはポールポジションも不可能じゃないと思っていたところだったから、本当に悔しかったよ!でもあのミス以外はすべて順調。マシンの感触もとても良くて、楽しんで走ることができていたからね。明日もいい戦いができると思う。あとはフロントのフィーリングをもうちょっと良くしたいので、明朝のウォームアップが重要になる。それから天気もね!」
D・ブリビオ、チーム監督談
「転倒するまでは、とても順調だったんだ!速さも十分にあったし、タイムをさらに伸ばしていこうという矢先だっただけに残念だ。そして結果は5位...。でも我々はいつもどおりにしっかり仕事をしており、セッティングもかなりいい状態にある。バレンティーノも怪我はなかったので、明日の決勝を楽しみにしている」
B・スピース選手談(予選2位/1分56秒846/24周)
「目標は2列目だったんだ。フロントロウは無理だと思っていたから、今は本当にうれしいよ。ウイーク初日から、いろいろ変更を行ってきたけれど、それがどれもうまくいってマシンがどんどん良くなってきた。こんなことは、なかなかないよね。ペースもとても速かったから、少しずつ自信が持てるようになって、2本目のソフトタイヤを履いた時には、ついにトップに立つことができた。でもその時は、みんなはもっと上げてくるに違いないと思っていたんだ。終盤になってリーダーボードを見ると、まだ僕がトップにいて、これはもしかしたら行けるのかもしれない、と考え始めた。
でもそのあとペドロサが更新。最後のコンマ3秒が僕には足りなかったというわけだ。でも僕のタイムだってかなりいい。ポールポジションはもちろん素晴らしいけれど、今の僕はフロントロウの真ん中に立てたことで十分にうれしいし、チームも喜んでくれている。明日は頑張って好スタートを決めて、最初の6周から7周でトップについて行くことができれば、いいレースになるだろう。僕はよく序盤でつまづいてしまうけれど、ここのコースでは初めからリズムをつかむことができたから、決勝もそうなればいいな。初表彰台はすでに実現した。そして今回は初フロントロウも完了。今は達成感に満ちているよ」
C・エドワーズ選手談(予選7位/1分57秒222/24 周)
「このところのなかではベスト・ポジション。それに1本目のソフトタイヤを履いた時に3位まで上がれたことも、とても良かったと思う。でも残念ながら、その後の2本を有効に使いきれなかったんだ。フロントタイヤのほうが消耗してしまっていて、その分ハードに攻めていかなければならない。ブリヂストンのフロントはとても素晴らしいから、大きな落ち込みはないんだけれど、やはりそうでない時と比べれば、マシンがしっかりバランスしているという感じが少なくなってくるんだ。
それで切り返しが難しくなり、思いきり攻めていくことができなくなってしまった。でも、フロントとリアのグリップが同じ状態ならば、非常に競争力の高いマシンであることは間違いない。マシン自体、そして新しいフロントのセッティングには満足している。自信を持って気持ちよく乗ることができるし、フロント荷重が増えたことでコーナリングもやりやすくなっているからね。ここにきてようやくシャシーが良く働いてくれるようになって、僕もうまく乗れるようになったんだ。だから明日は、このコースで初めての6位以内を目指したい。これまでは相性が悪かったんだけれど、今回はその中でもベスト・リザルトを実現できそうだ。ベンのフロントロウ獲得を祝福するよ。走りもとても素晴らしい。これはモンスター・ヤマハ・テック3チームにとっても、とてもうれしいことだよ」