ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.04 6月6日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第4戦イタリアGP
■開催日:2010年6月4日(金)フリー走行1
■開催地:イタリア/ムジェロ(5.245km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:30度 ■路面温度:50度
REPORT
ヤマハ勢、好タイムで順調な発進
フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシが、フリープラクティス初日にファステストタイムを記録。肩の痛みも忘れて絶好調の走りを見せた。チームメイトのJ・ロレンソは、ロッシから0.369秒差で2位。ふたりは圧倒的な強さをアピールしている。
ロッシは、大好きなコースのひとつと明言するここムジェロで、これまでに合計9回の優勝。今回もセッションのほとんどでトップをキープして順調な仕上がりを見せた。1ヵ月以上も前に負った右肩の痛みが長引いており、その影響はあったものの、マシンのベースセッティングがこれをカバーした恰好。非常に気分良く乗れていて、明日以降もこの調子をキープしていきたいとしている。
一方、前回、前々回と2連勝を果たしてランキングトップに立っているロレンソも、ロッシ同様に絶好調。終始、安定した速さをキープして2位を獲得した。明日はさらなるポテンシャル・アップを目指して、いくつかのセッティング変更を試す予定。
モンスター・ヤマハ・テック3のC・エドワーズとB・スピースも好調ぶりを見せ、それぞれ4位、6位につけた。エドワーズは開幕以来、厳しい状況が続いていたが、今回はマシン・セッティングを変更して、すぐさまその成果が現れた。昨シーズンのイタリアGPで6位を獲得したときと同じセッティングに戻すと、これまで抱えていたフロントエンドの不安感が払拭されて自信も取り戻したようだ。プラクティス・セッションの中盤まで6位をキープ。その後、一時は3位まで浮上したが、終盤でL・カピロッシに逆転され、ヤマハの1-2-3達成はならなかった。
スピースは、GPサーキットのなかでも最も難しく、体力的にも厳しいこのコースで、またもコース攻略能力の高さを発揮。エドワーズからコンマ2秒差の6位を獲得した。前回のルマンでのプラクティス中に左足首靭帯を傷めており、その影響がまだ残っているが、ハードブレーキング、高速コーナー、激しいアップダウンの箇所にも果敢に挑んで素早く克服した。明日もセットアップ作業を続けてさらに前進し、決勝では上位を狙っていく。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'49.751 |
2 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 1'50.120 |
3 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'50.359 |
4 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'50.772 |
5 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'50.773 |
6 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'51.004 |
7 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'51.128 |
8 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'51.255 |
9 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'51.387 |
10 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | 1'51.582 |
11 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'51.605 |
12 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'51.717 |
13 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'51.782 |
14 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'52.202 |
15 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | 1'52.399 |
16 | M・カリオ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'52.418 |
17 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'55.257 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(フリー走行1番手/1分49秒751/26周)
「ムジェロに戻ってきて最高にうれしい!しかもプラクティス初日はとても順調だったよ。いろいろなセッティングを試し、ブリヂストン・タイヤについてもソフトからハードまでテストしながら、ラップタイムもとても速かったんだ。実は肩がまだちょっと痛いんだけれど、このコースは影響が少ないほうで、前回のルマンほど苦労しないですみそうだ。このあとフィーリングがどうなっていくかまだわからないけれど、1日目としてとても順調。自信を持つことができたよ。大切なのは常に100%の力を出し切ること。そしてしっかりとセッティングを煮詰めていって、日曜日の決勝で最高の走りができるように準備していくことだと思う」
D・ブリビオ、チーム監督談
「非常に良い仕事ができた。昨日、みんなで長い時間をかけて話し合い、今日のための作戦を練った。そして今日はそれに沿ってたくさんのセッティングを試し、重要なデータを収集することができた。バレンティーノは1日目ですでに十分に速く、トップに立っている。つまり決勝に向けての基盤ができ上がったということなのだ。肩の痛みはまだ残っているようだが、これは前から予測していたこと。我々チームがしっかりとマシンを仕上げることで、怪我の影響を埋め合わせることができると信じている。そうすれば彼がいつもどおりの走りをしてくれるはずなのだ。初日はとても好調。明日もこの調子でいきたい」
J・ロレンソ選手談(フリー走行2番手/1分50秒120/27周)
「今日は非常に順調。満足しているよ。このコースはくるくると方向が変わってコースを理解するまでに時間がかかるので、初めから速く走ることは難しいんだけれど、今回は何周か走ったら、もう調子がつかめてタイムも上がってきたんだ。これからはマシンのほうをいくつか変更しながら仕上げていく段階だ。明日はフロントロウ獲得を目指して頑張る。そのためにも、もう少しセッティング変更が必要になると思っている。天気が良くて気温がとても高いんだけれど、体調はいいので問題ない。準備はできているよ」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「リラックスした気分で臨めている。ホルヘはラップタイムも良く、プラクティス初日を終えた今は自信をつかむこともできた。これからさらに調子を上げていくためのアイディアもすでにあって、とくにコーナーきり返しのところでのパフォーマンスを向上させていきたいと考えている。セッティングはまだ完璧ではないものの順調に進んでおり、2位という結果には満足している。ここではもちろんバレンティーノが非常に強いが、我々もここまで十分に良い仕事ができていると思う」
C・エドワーズ選手談(フリー走行4番手/1分50秒772/21周)
「今までの3戦がかなり苦労させられただけに、今日はとてもハッピーな気分。今シーズンはこれまで、何をやってもうまくいかないという感じだったので、今回はマシン・セッティングを根本から変えてみたんだ。去年はここムジェロでベストリザルトを獲得したので、そのときとまったく同じセッティングに戻したというわけ。今までずっと、フロント荷重をキープするのが難しかったのでライディング・ポジションを前方に移動。するとフィーリングがとても自然な感じになって、マシンが僕の思い通りに動いてくれるようになったんだ。
マシンは、僕が思ったことをそのまま実行してくれる。コーナリングもスムーズになって、タイヤのサイドを使っている時間が少なくなった。コーナーに入ると素早く向きを変えてくれる。立ち上がりではらむこともなくなったので、マシンをねじふせる必要もなくなったんだ。このことではテック3のみんなに、そしてヤマハに大声で感謝の気持ちを伝えたい。僕のマシンが戻ってきた。今は自信を持って乗れるようになったよ」
B・スピース選手談(フリー走行6番手/1分51秒004/25周)
「ここを攻略するのは本当に難しいね。でもそれだけ面白いコースでもある。なかでもかなりの難関コーナーがいくつかあって、これはある程度時間をかけなければ、リズムをつかめるようにはならないだろう。でもここまで成績があまり上がらなかったから、ここのようにテクニカルで難しいコースを走るのは僕にとっていいことだと思う。走ってみた感触はまずまず、と思っていたけれど、まさか6位まで上がっているとは思っていなかったから驚いたよ。自分では10位かそれ以下だと思っていたからね。
足首の怪我はもう大分いいけれど、ストレートで脚をしっかりしめようとしたときには少しやりにくい感じがあった。幸い大きな怪我ではなかったけれど、やっぱり完治までは数週間が必要のようだ。痛みは感じなくてもペースが思うように上がらないということなんだ。初めてのコースを走るときはいつもそうだけれど、自分のライディングとマシンのパフォーマンスとが十分に発揮されるまでには時間がかかるもの。だからこれから今日のデータを分析して明日につなげていきたい。でもこんなに難しいコースで、初日に6位に入れたのだから悪くない。自信も持てるようになったよ」