ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.04 6月6日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第4戦イタリアGP
■開催日:2010年6月6日(日)決勝
■開催地:イタリア/ムジェロ(5.245km)
■観客:76,814人
■周回数:23周(120.635km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:32度 ■路面温度:54度
■PP:D・ペドロサ(1分48秒819/ホンダ)
■FL:D・ペドロサ(1分49秒531)
REPORT
J・ロレンソ2位表彰台、ランキング首位をキープ!
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソが2位を獲得。ここまで優勝2回、2位2回という見事な成績で、ランキングトップをキープしている。表彰式には"VR46"と書かれた黄色のTシャツを着て現れ、怪我で欠場を余儀なくされたチームメイトのV・ロッシに敬意を表した。
ロレンソは好スタートを切ってD・ペドロサ(ホンダ)に続いていったが、前日までのようなハイペースをキープすることができず徐々に水をあけられる展開。そして3周目にはA・ドビジオーゾ(ホンダ)に追いつかれて3位に後退した。しかしその3ラップ後には再び抜き返し、その後は2台のバトルが続く。ロレンソは力を振り絞り、レース終盤になってようやくドビツィオーゾを引き離しにかかったが、その頃にはトップのペドロサは数秒先を走っており、もはや追いつくことは不可能だった。ロレンソは今回の2位獲得によってシリーズポイントを90に伸ばしてランキングトップをキープ。ランキング2位のペドロサとの差を25ポイントに拡大した。ロッシはランキング3位。
ロッシは14年前のマレーシアGPでグランプリ・デビューし、これまでに230回の決勝出場回数を誇る。今回は初めての欠場だった。フローレンスにある病院で手術を受け、現在は回復に向かっている。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのB・スピースは7位獲得と健闘した。3列目から好スタートを切って4番手にジャンプアップしたあと、混戦のなかで7位まで後退。6周目にはR・ド・ピュニエ(ホンダ)をパスして一時6位に浮上したが再び抜き返され、その後はC・ストーナー(ドゥカティ)、M・メランドリ(ホンダ)、ド・ピュニエによる4位グループを追っていく展開となった。スピースは懸命の挽回を図るも、なかなか差を詰めることができず、そのまま7位でチェッカーを受けた。シリーズポイントでは、第4戦を終えた時点で合計20ポイント。ランキング10位に返り咲いた。
一方、チームメイトのC・エドワーズは13位。原因不明の身体疲労に悩まされ、厳しい展開を強いられた。午前中のウォームアップセッションで疲れを訴えていたエドワーズは、午後の決勝でも体調がすぐれず、スタートからまもなくで11位まで後退。その後も本来の実力を出し切れないまま、さらに順位を下げ、13位でレースを終了した。厳しい状況のなかでも貴重なポイントをゲット。開幕以来、ポイント獲得の記録は続いている。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 42'28.066 |
2 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | +4.014 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | +6.196 |
4 | C・スト―ナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | +25.703 |
5 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +25.735 |
6 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | +25.965 |
7 | B・スピース | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +28.806 |
8 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | +40.172 |
9 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +41.394 |
10 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | +42.107 |
11 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | +43.095 |
12 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | +43.363 |
13 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +1'14.393 |
14 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | +1'24.389 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha | 90 |
2 | D・ペドロサ | Honda | 65 |
3 | V・ロッシ | Yamaha | 61 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 58 |
5 | N・ヘイデン | Ducati | 39 |
6 | R・ド・ピュニエ | Honda | 36 |
10 | B・スピース | Yamaha | 20 |
12 | C・エドワーズ | Yamaha | 19 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 95 |
2 | Honda | 77 |
3 | Ducati | 52 |
4 | Suzuki | 19 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(2位)
「今日はなぜか昨日のようなペースが出なくて、2位がやっとだった。でもこのような状況での2位は十分にうれしいよ。いずれにしても今日のペドロサは完璧で、信じられないくらいの速さだったから、僕が昨日の調子をキープしていたとしても勝てたかどうかは分からないね。それにここまでの4戦、つまり最大獲得可能ポイント100の中の90ポイントを獲得してランキングトップをキープしているのだから、これ以上は望めないよ。あとは僕自身がライディング・スタイルを見直して、また同時にヤマハがもう少しパワーを引き出してくれれば、さらに先に進むことができるはず。
今後の数週間に期待しているんだ。バレンティーノがいないレースは、とても奇妙な感じ。イタリアのファンが彼をあんなにも大切にして、誇りに思っているのを見て感動したよ。彼に捧げるために優勝したかったけれど、残念ながらそれはかなわなかった。今の僕にできることは早く良くなってくれるように祈ることだけ」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「今回はバレンティーノが怪我で欠場という残念な事態になってしまった。そんななかでの今日の結果は、チームにとってはとてもうれしいものだった。ホルヘはここまでに優勝2回、2位2回と好調をキープしており、シリーズポイントも90まで伸ばすことができた。今シーズンはとても順調に進んでいると言っていいだろう。今日はしかし、少し問題もあったようだ。昨日と同じペースが、なぜ出なかったのか、これから原因を分析してみなければならないが、彼自身はとても良く乗れていたし、十分にいいレースだったのだから、あまり心配はいらないだろう。25ポイントのリードは素晴らしい。しかし、なぜそうなったのかは誰もがわかっている...そう、バレンティーノがいなかったからだ。だからうれしい一方で悲しい状況なのだ。皆が彼の回復を待ち望んでいる」
B・スピース選手談(7位)
「目標は10位以内だったから、7位なら十分過ぎるくらい。とくに前の2レースがひどかっただけに、今回はポイントもたくさんもらえて良かったよ。スタートがすごくうまくいって、そのあとも全力を出し切って、しかもほとんどミスもせずに走ることができた。でも、やっぱり前のグループには追いつくことができなかったので、それはちょっと悔しいんだ。ド・ピュニエ、メランドリ、ストーナーの後ろまでは何とか行けるんだけれど、どうしてもパスすることができない。だから少しでも長く近くにいられるように頑張っていたんだ。そうすれば何かが起こるかもしれないからね。
でも結局、彼らは皆、最後までしっかり走り切った。僕としては3台のグループが徐々にばらけていくのを期待していたんだけれど...。そうすれば遅れてきたマシンを1台1台、捉えてやろうと考えていたんだ。結局、そんなことにはならなかったんだけれど、全体的にはとてもいいレースだったし、今回の戦いを通して自信と経験を得ることができた。だから今は次のシルバーストーンが楽しみ。あそこは他のライダーたちもあまり経験がないから、僕にとって不利にはならないからね」
C・エドワーズ選手談(13位)
「悔しさでいっぱい。とにかく奇妙なんだ。昨日まではずっと元気だったんだからね。マシンも去年のセッティングに戻したらとても感触が良くて、今日はきっといいレースになると思っていたのに...。スタートのときから気分が悪くて、どうすることもできなかった。でもマシンは素晴らしかったよ。コーナリングもブレーキングもスムーズで、トラクションも十分。ただ、僕の身体が言うことを聞いてくれなくて、マシンの好調を生かすことができなかったんだ。走り始めてすぐに疲労を感じて、きり返しが思うようにできなかった。
このコースは高速で向きを換えるコーナーがたくさんあって、そこがタイムを詰めるための重要な場所だから、これができなければレースは難しくなってしまうんだ。考えてみれば、今回はプラクティス中から腕上がりの症状が少し出ていて、それを抑えるために注射も打っていた。こんなことは今まで一度もなかったんだけれど...。でも体調不良は、そのせいだけじゃないと思う。モンスター・ヤマハ・テック3のみんなに謝らなければならない。それから僕の身体に何が起きているのかをちゃんと把握しなければならないね。次のシルバーストーンには、万全の状態で臨みたい」
H・ポンシャラル、チーム監督談
「モンスター・ヤマハ・テック3チームのなかで明暗がはっきり分かれてしまった。予選を終えた時点で非常に期待していただけに残念なことだ。ベンのほうは素晴らしい仕事をしてくれた。彼は自分の力をすべて出し切って戦い、その決意を示すためにも最後まであきらめなかった。でもストレートで何らかの不具合があったのだろう。そのせいでどうしても4位争いのグループに食い込んでいくことができなかった。結果は出なかったとしても、彼にとっては大きな自信になったことだろう。そして十分に上位を目指せるだけの実力があることを証明したと思う。
その一方で、コーリンのことは非常に残念だった。本調子でないことは明らかだったのだ。予選で5位を獲得してポテンシャルをアピールしたばかりなのに、今日はそれを出し切れずに終わってしまった。彼はどんな状況でも決してあきらめようとはしない。そしていつも前に進むことばかりを考えているのだ。シルバーストーンでの新たなチャレンジを楽しみにしている」
中島雅彦、MS開発部 MotoGPグループリーダー談
「今回のレースはそれぞれのポジションで厳しい結果となりましたが、ホルヘが確実に2位を確保してくれたことは良かったと思います。コーリンは体調不良のため、完走するのがやっとの状態でしたが、全ライダーともハンドリングが課題となりました。やるべきことは明確になっているので、次戦に向けてしっかり改善していきたいと思います。バレンティーノの戦線離脱はヤマハとチームにとって辛い出来事であり、精神的にも少なからず影響があったことは否めませんが、ファンのみなさんにとっても大きな衝撃だったと思います。我々としては一刻も早い彼の回復と万全な体調でレースに戻ってきてくれることを祈るのみです。次戦からの3連戦、その後の2連戦と新しいコース、難しいコースが控えています。前戦及び昨年のレビューを元に充分な準備をして臨みたいと思いますので、応援よろしくお願いします」