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全日本モトクロス選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。

Rd.09 10月31-11月1日 宮城

RACE DATA

■大会名称:D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2026 第9戦 第64回 MFJ-GP モトクロス大会
■開催日:2026年10月31日-11月1日(土・日)
■会場:宮城県・スポーツランドSUGO
■レース時間:IA1(25分+1周)×2ヒート
■レース時間:IA2(25分+1周)×2ヒート
■観客数:10/31:1,400人、11/1:2,800人

REPORT

IA1ヒート1
師弟対決の末に、大城、中島、ジェイが2-3-4位フィニッシュ

D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2026最終戦/第64回MFJ-GPの舞台は、今年もスポーツランドSUGOインターナショナルモトクロスコース。レースが開催される週末は好天に恵まれたが、前日までの降雨によって適度な湿り気を帯びた路面にはワダチが発生し、ライン取りや加減速のテクニックが求められる要素がライダーの行く手に立ちはだかった。

注目のIA1タイトル争いは、#2 ジェイ・ウィルソン(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/YZ450FM)が、大倉由揮(ホンダ)に対し17ポイントリードを保持し、この最終ラウンドに臨んでいた。ジェイは昨年、ほぼ同じようなシチュエーションで転倒リタイアを喫し、3連覇を目前にして王座を大倉に明け渡した。今大会のミッションは、その大倉から#1を奪い返し、リベンジを果たすことだった。

IA1ヒート1(25分+1周)のホールショットは、MXGPの世界チャンピオン、ジェフリー・ハーリングス(ホンダ)だった。2番手につけたジェイは、大倉を従えてリーダーを追走。トップスリーの背後には、横山遥希(カワサキ)を挟み、オーストラリア選手権を終えてIA1にデビューした、#215 中島漱也(Yamaha BLUCRU Racing/YZ450F)が控えていた。

ジェイは背後に大倉の存在を認めつつも、マイペースで2番手走行を続けた。スタートから10分を経過する頃から、大倉が接近して因縁の対決が再燃。しかし7周目に入ったところで大倉が単独転倒を喫し、3番手には横山をパスした中島が浮上する。レース中盤に差しかかると、スタート9番手から挽回してきた#3 大城魁之輔(YAMAHA FACTORY RACING TEAM/YZ450FM)が、5番手のポジションに到達。9周目には大城が横山を攻略した。

レース終盤になると、ハーリングスの独走マージンは1分近くに広がったが、セカンドグループではジェイ、中島、大城による三つ巴の師弟バトルがはじまる。10周目には中島がジェイを抜いて2番手。その翌周から大城がジェイと中島を立て続けにかわしたことで、2位争いは沈静化した。

トップでゴールしたハーリングスの後方で、大城、中島、ジェイが続々とチェッカーを受け、2-3-4位フィニッシュを飾った。

IA1ヒート2
ジェイがIA1で3度目のチャンピオンシップ制覇

ヒート2では、ホールショットの大塚豪太(ホンダ)をパスしたハーリングスがリードし、その後に中島が続いた。このヒートでは好スタートを決めた大城が、4番手でオープニングラップのコントロールラインを通過した。

ジェイのスタートは8番手だった。このヒートではジェイの目の前に大倉がいる状況だったが、無理な仕掛けは回避する作戦で周回を重ねた。やがてレースはハーリングスが独走状態となったが、6周目から内田篤基(カワサキ)をかわした大城が中島に迫り、ヒート1同様の接近戦がはじまる。15分すぎにデッドヒートが収まると、ハーリングス、大城、中島というポディウムのオーダーが確定した。

終盤ペースを緩めたジェイは、6位でフィニッシュ。チェッカーを受けた瞬間、2年ぶり3度目となるIA1チャンピオンに輝いたジェイは、ポディウムではなくパルクフェルメに向かう動線で待つ家族のもとにマシンを走らせた。

IA2ヒート1
渡辺陵がホームコースSUGOで躍動! 2位フィニッシュ

IA2ヒート1(25分+1周)では、鴨田翔(カワサキ)がホールショットを奪ったが、前戦でチャンピオンに確定した柳瀬大河(ホンダ)が、オープニングラップをリードした。森優介(ホンダ)、福村鎌(スズキ)を挟んで、5番手に#48 渡辺陵(BLUCRU Team Pitin with M:F/YZ250F)。SUGOをホームコースとする渡辺は、初勝利を目指して前走車のルーストを追った。

まず福村をかわすと、渡辺は3台によるバトルに加わり、森と鴨田を仕留めて2番手に浮上。すでに独走態勢を築いていた柳瀬には届かなかったが、後続を振り切った渡辺は2位でフィニッシュした。前戦で総合4位(5-5-5)に入って注目された、#100 住友睦巳(YSP浜松 BOSS RACING/YZ250F)は、スタートの出遅れから8位まで挽回してチェッカーを受けた。

IA2ヒート2
総合2位(2-3)の渡辺陵がランキング3位獲得

IA2ヒート2のホールショットは、外間大詩(ホンダ)が獲得した。だが、オープニングラップのヨーロピアンセクションで鴨田、ルンバルンバで柳瀬に先行を許す。渡辺は3番手で1周目を消化した後、翌周2番手に浮上した。

レース中盤になると、スタート8番手から追い上げてきた横澤拓夢(カワサキ)が、3番手までポジションアップ。トップスリーは縦に広がり各々単独走行だったが、終盤に入ると渡辺の背後に横澤が接近。渡辺はラスト2周で連続ジャンプに失敗した後、最終ラップに転倒を喫し、横澤に先行を許す。こうしてヒート2も柳瀬が独走で優勝し、横澤が2位、渡辺が3位のポディウムに登壇。地元SUGOで総合2位(2-3)に入った渡辺は、シリーズランキング3位を得た。住友は総合9位(8-8)となり、ランキング6位で2026年を締め括った。

IA1 RESULT Heat.1

IA1 RESULT Heat.2

IA1 RIDERS RANKING

IA2 RESULT Heat.1

IA2 RESULT Heat.2

IA2 RIDERS RANKING

COMMENT

YAMAHA FACTORY RACING TEAM
大城魁之輔選手(IA1:2位/2位:総合2位)

「リザルトとしては2位/2位だったので、実質ピンピンと言ってくれる人もいました。まあ世界チャンピオンは全然見えなかったので、どれほど速かったのかわかりませんが、自分としてはライディングもマシンセッティングも含め、今シーズンの中では良かった方だったし、最終戦でまとめられたことがうれしいです。
ヒート1はスタートに失敗して出遅れましたけれど、焦ったり硬くなったりせず、冷静に乗れたことが結果につながりました。両ヒートとも漱也が相手のバトルになりましたが、義理の弟なので負けるわけにはいかないし、一緒に走るのは久しぶりだったので楽しかったです。
ジェイさんとは僕がヤマハにスイッチしてから3年目、ファクトリーのチームメイトとしては今年1年間ですが、いろいろなことを教わりました。ライディングはもちろんのこと、チャンピオンになるための取り組みとか、普段の生活についてもお手本でした。教え子としてはジェイさんに勝つことが恩返しだと思いますが、タイトル奪回がかかった最終戦というシチュエーションだったのでどうでしょうか。とにかくチームメイトとしてはこれが最後のレースだったので、ジェイさんとヤマハのチャンピオンで締め括れたのは何よりでした」

ジェイ・ウィルソン選手(IA1:4位/6位:総合4位)

「なるべく平静を装っていたつもりですが、コースに出ると去年のSUGOがフラッシュバックしました。コース内の杭で傷めた左手首の状態は、粉砕骨折、靱帯損傷、脱臼を含む深刻なものでした。通常なら手術後5~6ヶ月かかるものなのに、3ヶ月半でレースに復帰。トレーニング不足のままシーズンに突入したことが、長い苦悩の始まりでした。
今日のヒート1では、スタートは良かったのに、走りがディフェンシブになりました。さらに大倉選手に背後をマークされたので、新しいラインを使うことができませんでした。意識しすぎたせいか身体が硬くなったし、本来のライディングを見失ってしまったのです。ヒート2は、逆のシチュエーション。大倉選手に抜かれたけれど、何も反撃する必要はありませんでした。ポイントリードがあったので、ひたすら完走を目指せばよかったからです。今日はハーリングスの日だったけれど、ウィルソンの年を締め括る日でもあったと言えるでしょう。
ライディングについてはどう評価されるかわかりませんが、少なくとも任務を遂行できたという点ではよかったと思います。それが一番のプライオリティだったので。ハーリングスの後に、魁之輔と漱也が続いてポディアムに立ったので、コーチとして感慨深いものがあります。『教え子に負けた』とは言いたくないので、せめて『立派に育ってくれてうれしい』ぐらいの表現で許して下さい。
チームスタッフ、スポンサーとファンの皆さん、そして妻のミスティと娘のポピーの励ましがなかったら、この大願は成就できませんでした。どうもありがとうございます。ヤマハ・ファクトリー・レーシングの一員として最後の挨拶は、いつもの『またねー!』で締め括ることにしましょう」

豊田剛士監督

「今年はジェイ選手のケガと大城選手の海外トレーニングという要素があり、オフシーズンを有効に活用できなかったことから、車両のセットアップとしては後手後手に回った年でした。エンジンと車体の両面がありますが、特にサスペンションのセッティングでは開幕当初から試行錯誤の繰り返しでした。
一例を挙げますと、KYBさんから新しいアイテムの提案があれば、それを織り込みながらライダー2人のリクエストに応えていくわけですが、ジェイ選手の場合は手首の回復に思った以上に時間がかかりました。特にハードな路面の角が尖ったギャップなどでは、左手がハンドルグリップから外れてしまうことがあったほどです。本来であればもっと速く走れるのに、それが思い通りに行かないことで、相当フラストレーションが貯まっていたようです。それでも仕様をまとめることができたのは、キャリアのなせる業だと思います。
シーズン前半は雨が多く、様々なコンディションでマシンを評価してきただけに、要求自体がブレたこともありました。最終的にライダーが納得するようなセットアップが固まったのは、第7戦名阪から第8戦川越にかけて... その仕様を大きく変えず、最終戦に臨みました。
大城選手は中島選手のスポット参戦に刺激を受けた面もあり、今シーズンのベストレースと言えるリザルト(2位/2位)を残しました。ジェイ選手は、プレッシャーを感じる中で決勝日の朝にセッティングを少し変えましたが、違う方向に行ってしまったので元に戻しました。最終的にチャンピオンシップを奪回できたのは、ライダーのみならずコンビを組んできた内山メカの技術の賜物です。
ジェイ選手とファクトリーチームとの関係にピリオドが打たれることは、シーズン中に決定していました。それでもモチベーションを失わず、目標に向かって邁進するジェイ選手の一途さには頭が下がりました。ライダーがチームやスポンサーに対して謝意を表すように、我々もジェイ選手に同じ言葉を送りたいと思います」

Yamaha BLUCRU Racing
中島 漱也選手(IA1:3位/3位:総合3位)

「IA1のデビュー戦だったので少々不安がありましたが、結果的には両ヒート表彰台で終われたので、ホッとした気持ちが半分。あとは250から450への乗り換えがスムーズにできたのは、自分のスキルが上がったからだという実感もあります。自信につながりますね。本来であれば、450初レースのオーストラリアMXGPでもっと結果を出したかったんですが、脳しんとうでドクターストップになったので(予選レース13位/決勝レース1転倒リタイア)あまり覚えていません。
450にスイッチした印象は、やっぱり我慢しなきゃいけない乗り物だということ。250はどれだけ開けてどこまで攻められるかというマシンなのですが、450はパワー的にも車重的にも挙動が大きいので、些細なミスがタイムロスにつながる。乗り方としては攻めすぎないことが大事。あとは身体が負けないように、体重を5~6kg増やしました。1日5食にしたり、フルーツをひたすら食べたり...。希望としてはまだしばらく250に乗りたいので、普通の食生活に戻します」

BLU CRU Team Pitin with M:F
渡辺陵選手(IA2:2位/3位:総合2位)

「地元大会ということもあって、勝つ気満々でやってきたのですが、柳瀬選手とのレベルの差を痛感しました。ヒート1は前半のうちに2番手に上がって、自分のできることはやり尽くしたんですが、トップには届きませんでした。ヒート2も2番手でそのまま行けそうだったんですが、ラスト2周のルンバルンバで2-2-1が飛べなくて横澤選手に追い付かれ、それが焦りを招いて最終ラップのS字で転倒してしまいました。
今年はリザルトに浮き沈みがありながら、自分でも成長を感じる部分があったので、せめて最終戦は勝ちたかったのですが、2位/3位で表彰台に立ったことをポジティブに受け止めようと思います。課題はスタート。FIセッティングなどは欲しい特性が出ているし、練習では上手く決まっているんですが、本番のスタートで失敗するのは硬くなりすぎなのかもしれませんね。もう少し研究してみます」

YSP浜松 BOSS RACING
川上真花選手(LMX:2位)

「練習走行からタイムが出せなかったり、ルンバルンバが飛べなかったりして、不安を抱えながら決勝に臨みました。こういう荒れたコンディションでは川井選手の経験値が高く、自分にはその辺が足りていないんだなと思い知らされたレースでした。決勝ではルンバルンバの2個だけ飛んでみましたが、アウトに行くロスなどを含めると、あまり差を詰められず一緒だったのかな。まあ、いつもの自分ならジャンプが苦手なので飛ばなかったんですが、そこは気持ちを入れて飛んでみたことが自分にとってプラスになったと思います。
得意なのはコーナーのワダチですが、レディースがスタートするお昼頃には結構硬くなっていて、クラッチを合わせていく必要がありました。ヤマケンの帰って来る方のジャンプは、85だとちょっと厳しい距離があって飛べず、150は飛べるので排気量の差を感じる部分でした。中日本選手権ではNAに125で出ていて、順当ならIBに昇格できるはずなので、来年の全日本ではIBオープンとレディースにダブルエントリーしたいと思っています」

TEAM KOH-Z
本田七海選手(LMX:3位)

「表彰台には立てましたが、川井選手と川上選手に大差を付けられた3位だったので、正直に言って悔しかったです。以前は互角にレースできていて、優勝経験もありました。ところが憧れのアメリカで、ロレッタリン(AMA Amateur National Motocross Championship)やWMX(Women's Motocross Championship)に出場するようになると、向こうで使うYZ250Fと全日本用YZ85LWの乗り換えに苦労して、どっち付かずになってしまいました。私の悪いところです。

WMXはAMAプロモトクロスとの併催ですが、得意なコースはユナディラです。去年は総合7位(7-7)、今年も総合7位(7-9)でしたが、開け開けで競り合えるレイアウトが自分に向いているし、そういったバトルを通じてレベルアップできた気がします。去年の全日本ではIBにエントリーして、YZ250Fで出場しました。開幕戦HSRでは総合17位(17-13)になったのですが、第2戦SUGOではクラッシュして肩甲骨を折ってしまったので、チャレンジはそこで一区切りとなりました」

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