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スーパーバイク世界選手権

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。

Rd.01 2月29日-3月1日 オーストラリア

RACE DATA

■大会名称:スーパーバイク世界選手権第1戦オーストラリア大会
■開催地:オーストラリア/フィリップアイランド(1周:4.445km)

レース1
■開催日:2020年2月29日(土)
■周回数:22周(97.790km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:20度
■路面温度:33度
■PP:T・サイクス(BMW/1分29秒230)
■FL:J・レイ(Kawasaki/1分30秒501)

スーパーポール・スプリントレース
■開催日:2020年3月1日(日)
■周回数:10周(44.450km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度
■路面温度:23度
■PP:T・サイクス(BMW/1分29秒230)
■FL:S・レディング(Ducati/1分30秒684)

レース2
■開催日:2020年3月1日(日)
■周回数:22周(97.790km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:31度
■路面温度:41度
■PP:T・サイクス(BMW/1分29秒230)
■FL:S・レディング(Ducati/1分31秒793)

REPORT

Pata Yamaha WorldSBK Official Teamに今季から新加入のトプラック・ラズガットリオグルが、2020シーズン開幕戦のレース1で優勝。マイケル・ファン・デル・マークも表彰台争いを展開し、0.096秒差の僅差で4位となっています。日曜日のスーパーポールレースでラズガットリオグルが2位獲得。チームメイトのM・ファン・デル・マークはスーパーポール、レース2ともに表彰台争いに加わりましたが、最終的にそれぞれ5位と4位で終えています。

1日目:ヤマハデビュー戦でラズガットリオグルが優勝の快挙

Pata Yamaha WorldSBK Official Teamに今季から新加入のトプラック・ラズガットリオグルが、2020シーズン開幕戦のレース1で優勝を果たしました。チームメイトのマイケル・ファン・デル・マークも表彰台争いを展開し、0.096秒差の僅差で4位となっています。

全長4.445kmのフィリップアイランドを舞台に行われた開幕戦は、フロンローを獲得していたJ・レイがオープニングラップで転倒する波瀾の展開。このあとPata Yamaha WorldSBK Official Teamのラズガットリオグルとファン・デル・マークは、22ラップにわたって激しいトップ争いを繰り広げました。

ふたりは2020年型YZF-R1に施された多くの改良点を評価しており、それを証明するように、予選でそろってセカンドローを獲得すると、決勝でも7台が激しく競り合うトップグループを走り続けました。

長くトップをキープしたT・サイクスが順位を下げ、代わってS・レディングが3ラップにわたってリードしたあと、ラズガットリオグルがトップに浮上。さらに19ラップから20ラップにかけてはファン・デル・マークがラズガットリオグルを抑えて勝利を目指しました。

ラズガットリオグルは最後の2ラップで再びトップに返り咲き、そのままいけばPata Yamaha WorldSBK Official Teamの1-2フィニッシュ達成かと思われましたが、最終ラップでパスを試みたA・ローズにファン・デル・マークが押し出される格好となり、さらにはレッディングにも先行を許して4位に後退してしまいました。

最終的にトップ4台はわずか0.137秒差のなかでチェッカーフラッグを受けています。ラズガットリオグルは2位のローズに対し、WorldSBK史上最小の0.007秒差での優勝。オーストラリアでのヤマハの勝利は、2009年のベン・スピース以来のことです。

2日目:Pata Yamaha、日曜日も優勝争いを展開

前日のレース1でR1初勝利をあげたPata Yamaha WorldSBK Official TeamのT・ラズガットリオグルが、日曜日のスーパーポールレースで2位獲得。チームメイトのM・ファン・デル・マークはスーパーポールレース、レース2ともに表彰台争いに加わりましたが、最終的にそれぞれ5位と4位で終えています。

前日に続く2連勝を目指したラズガットリオグルは、10ラップで競われたスーパーポールレースでJ・レイと激しい優勝争いを展開。最終ラップの最終コーナーで抜かれたあとの数百メートルで反応しきれず、写真判定を経て2位となりました。トップとの差は0.067秒と記録されています。午後から行われた第2レースでも好調ぶりを見せていましたが、燃料系のトラブルがあり、20ラップ目を走行中にリタイアとなりました。

一方、レース1では僅差で表彰台を逃したファン・デル・マークは、マシンバランスを十分に調整できずスーパーポールレースで5位。レース2では、ときに9台まで拡大した3位争いに加わって激しいパスやブレーキング合戦を繰り広げましたが、最終ラップでS・レディングに抜かれて4位となり、またも表彰台には手が届きませんでした。しかし勝者との差はわずかであり、今回の3レース分の差の合計が3秒にも満たないものであったことは、フィリップアイランドのコースが可能にした熾烈な接近戦を物語っています。

スーパーポールレースまでポイント争いでトップに立っていたラズガットリオグルは、レース2でのノーポイントによりランキング3位に後退。ファン・デル・マークは5位につけています。

GRT Yamaha WorldSBK Junior Teamのルーキー、ガーロフとカリカスロが大健闘

GRT Yamaha WorldSBK Junior Teamのルーキー、F・カリカスロとG・ガーロフが、初めて臨んだスーパーポールで、それぞれグリッド4列目と6列目を獲得しました。

午前中に行われたフリープラクティスでセッティングが改善され、自信を持って臨んだふたり。カリカスロは序盤から素早くペースを上げたものの、予選タイヤを使用した経験がなかったため思うようにラップタイムを短縮することができませんでした。一方のガーロフは、タイム更新中にレッドフラッグが振られるアンラッキー。またカリカスロと同様、予選用スペシャルタイヤを十分に活用できないままセッションを終えています。

決勝ではガーロフがスタートから果敢に攻めて7位に浮上し、トップ6と同様のペースをキープ。終盤になってタイヤを消耗するとポジションを下げましたが、WorldSBK初めてのレースで大健闘を見せました。一方のカリカスロはリスクをおかさず慎重なスタート。直後にレイの転倒に巻き込まれた影響でエアバッグが作動するなど困難もありましたが、グリッド順と同じ12位でチェッカーを受け、ふたりそろって初めてのチャンピオンシップポイントを獲得しています。

WSBK RESULT Race.1

WSBK RESULT Superpole Race

WSBK RESULT Race.2

RIDERS RANKING WSBK

CONSTRUCTORS RANKING WSBK

COMMENT

Race 1

Pata Yamaha WorldSBK Official Team
T・ラズガットリオグル選手談(1位)

「フリープラクティス第3セッションでマシンのフィーリングが格段に良くなっていました。とくに旋回性とリアグリップが向上していたのです。そのとき自分自身に"準備OK"のサインを出したのですが、レース直前になると大きなプレッシャーが襲ってきました。何しろオフィシャルライダーとしてR1でレースに臨むのはこれが初めてだったのです。序盤から好位置につけるのが重要だということはわかっていましたし、そのあとはタイヤをセーブするためにレースのコンディションに集中しなければなりませんでした。それでも終盤になるとスライドが激しくなり、最終ラップでは、スロットルを開けるとスピンしてしまって前へ進んでくれません。とても不安な気持ちになり、危うい場面もあったのですが、最終的には、こうしてR1で優勝を果たすことができました! 明日もリアタイヤのセッティングを重視してベストを尽くします。10ラップのスーパーポールレースは問題ないと思いますが、周回数の多い第2レースのほうではタイヤがとても重要になります」

M・ファン・デル・マーク選手談(4位)

「勝利を目指していましたし、それが可能だと信じていました。ペースが非常に良く、最後まで継続できると思っていましたが、前には出ずに、少し後ろでタイヤをセーブする作戦でした。計画は順調で、しかもいくつかのエリアではライバルたちよりハイペースで気持ちよく乗れていたのですが、終盤でドライブグリップが減少し、とくに最後のふたつのコーナーではマシンが思うように前へ進んでくれませんでした。その結果、表彰台を逃してしまったことが非常に残念です。明日までにそのわずかな後れを改善し、表彰台に上りたいと思います。ともに新型R1の強さを証明してくれたトプラック(ラズガットリオグル)の優勝を祝福します」

P・デニング、チーム代表談

「何というシーズンのスタートでしょう! トプラックはR1での初レースで類まれな才能を明らかにしました。ここフィリップアイランドではこれまではあまり良い成績がなく、テストでもタイヤの耐久性に悩まされていましたが、今日の彼は、予選、決勝ともに我々の期待を越えた見事な走りを見せてくれました。彼自身にとって、また我々と組んでのヤマハ・キャリアにおいても夢のようなスタートと言え、今日はチームのみんなでこの勝利を喜びたいと思います。しかし、私たちはしっかりと地に足をつけていかなければなりません。フィリップアイランドでは、どんなことも起こり得るのです。ジョナサン・レイがミスをし、トップ4台がコンマ1秒差という僅差ですから、少しのことですべてが変わってしまう可能性があるのです。マイケル(ファン・デル・マーク)については、表彰台を逃してしまったことを残念に思います。彼もチームも決勝に向けて最高の準備を整えていましたし、ミスもひとつはありませんでした。非常にクレバーな戦いぶりを見せてくれましたが、わずか0.096秒差で表彰台には届きませんでした。明日も優勝を目指して戦ってくれると期待しています」

GRT Yamaha WorldSBK Junior Team
F・カリカスロ選手談(12位)

「面白いレースでした。本当のスーパーバイクレースがどんなものか、とても興味があったのですが、終わってみると、これまで経験してきたものとはかなり違っていました。外から見ていたものとの様々な違いを、今日のレースが教えてくれました。レイとの軽い接触は結果的に問題がなかったし、私もおそらく同じことをしたでしょう。でもそのあとにエアバッグが作動してしまい、そのまま走り続けなければならなくなったことがその後の展開に影響しました。明日は最初の2~3ラップでもう少しハードにプッシュし、そのあともラップごとにペースを上げていこうと考えています。サイクスやデイビスのグループについて行くことが目標です」

G・ガーロフ選手談(14位)

「今日のレースのなかに、評価できるところがたくさんあったと思っています。何より最後まで走り切り、貴重なデータを収集することができました。スタートは決して良くありませんでしたが、第1コーナーに入るころには何台かパスして7位に上がりました。これには自分でもとても満足しています。そのあとはトップグループから少しずつ離され、何とか縮めようとしたのですが、その間にタイヤを使い過ぎてしまいました。どうやら序盤で頑張り過ぎたと思います。もっとゆっくり行って、終盤までタイヤを持たせなければなりません。それができていたら、もっと安定していたし、順位も上がっていたでしょう。このことを心に留め、明日に臨みます。そうすれば今日とはかなり違った戦い方ができると思います。スーパーポールレースではタイヤの耐久性を心配する必要はありませんが、レース2では別の作戦を用意しています。やるべきことはわかっていますし、自信もあります。明日が楽しみです」

Race 2

Pata Yamaha WorldSBK Official Team
M・ファン・デル・マーク選手談(4位)

「午前中のスーパーポールレースでは、昨日まで好調だったマシンのフィーリングがつかめなくなっていて大いに苦戦。昨日はすべてが順調だっただけに悔しくて仕方がありませんでした。それでもレース2はセッティングの問題を解決して臨み、絶好のスタートで始まりました。その後も作戦通りに進めることができ、トップに出ずにペースを抑え、タイヤに負担をかけないように慎重に走りました。そのまま残り2ラップまでは何も問題がなかったのですが、周りのライダーたちがプッシュし始めたのに合わせて私も勝負をかけようとしたら、十分なグリップが残っていなかったことがわかったのです。その結果またしても表彰台を逃してしまいましたが、開幕戦でここまで速く走れたことには満足しています」

T・ラズガットリオグル選手談(DNF)

「素晴らしいシーズンのスタートです。フィリップアイランドでは過去2年、まったくいいところがありませんでしたが、今年はR1で優勝することができたのです。今日のスーパーポールレースも悪くはなくて、実際のところはとても好調だったのですが、終盤はスピンが激し過ぎて、最終ラップの最終コーナーでジョニー(レイ)に抜かれてしまいました。レース2は長いレースでしたが、終盤まで我慢して残り4ラップでロリス・バズをパス。そのまま表彰台に向かって走っていきましたが、戦いは突然に終わってしまいました。でも総合的にはとても素晴らしいレースウイークで、レース2はただアンラッキーだっただけだと思っています。もし問題がなかったとしても勝てなかったかもしれません。でも次もまた必ず、あの戦いのなかにいたいと思います」

P・デニング、チーム代表談

「昨日はトプラック(ラズガットリオグル)が優勝し、マイケル(ファン・デル・マーク)もトップに僅差で迫りました。今日もその再現を目指しましたが、これほど実力伯仲の戦いになれば、事態はまったく別の方向へも進むことがわかりました。残念ながらマイケルは、スーパーポールレースでセッティングを詰め切れず苦戦。トプラックは昨日のレース1に続いて見事なパフォーマンスを披露し、2勝目にあとわずかというところまで迫っていましたが、ゴールライン上、ほんの僅差で敗れてしまいました。 レース2ではマイケルのマシンが格段に改善されていましたが、最後のプッシュのタイミングでは、前の3人よりも多くタイヤを消耗してしまったようです。表彰台に届かなかったことは残念ではありますが、彼の頑張りによってランキングで好位置につけることができ、うれしく思っています。またトプラックのマシンに問題が出てしまったことについては、彼とヤマハに謝らなければなりません。起こってはいけないことで、チームとして残念でなりません。しかしそれを除けば、このレースウイークはとても順調でした。第1レースで優勝し、ウイークを通じて上位をキープし、R1が新しいシーズンに向けて大きく一歩前進したことに満足しています。競争力の高いマシンと才能あふれるふたりのライダーに恵まれ、今後の展開がとても楽しみです」

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