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鈴鹿8耐 最終テスト、中須賀が2分6秒台
それぞれが成果と課題を持ち本番へ

7月13日(水)と14日(木)の両日、鈴鹿サーキットで“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8耐に向けたバイクメーカーおよびタイヤメーカーの合同テストが行われ、「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」の中須賀克行とアレックス・ローズ、「YART Yamaha Official EWC Team」の藤田拓哉と野左根航汰、「GMT94 Yamaha Official EWC Team」のデビッド・チェカとニッコロ・カネパが出走した。

6月29日・30日のヤマハ専有テストでは、ポル・エスパルガロを加えた「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」の3人が、今年の鈴鹿8耐用YZF-R1をテスト。今回、エスパルガロはMotoGP参戦のためにテストを欠席したが、中須賀とローズの2人が精力的にマシンを走らせた。
そのマシンに関して、中須賀によれば「全日本JSB1000を戦うYZF-R1の延長線上にある」とのことで、吉川和多留監督は「パーツのひとつひとつの信頼性を向上させていて、全体の精度を高めている」と語る。
午前9時から始まった60分間の走行1回目は、あいにくの雨でコースはウエットとなり、中須賀、ローズとも鈴鹿サーキットのウエット路面を確認するライディングに徹する。続く午前11時から60分間の走行2回目もウエットコンディションとなったが、午後2時から走行3回目は、コースがウエットからドライとなり、2人は一気にペースを上げていく。そして中須賀が2分07秒947をマークして、この日の総合トップに立つと、ローズもまた2分08秒749を記録して総合3番手となった。

一方、このテスト直前のブリティッシュスーパーバイクで怪我をして来日を取りやめたブロック・パークスだが、チームメイトの藤田と野左根がマシンテストを繰り返す。7月4日〜6日の公開合同テストでは、パークスが予選用タイヤながら2分08秒台を記録しており、藤田と野左根にとっては、この08秒台がターゲットタイムとなる。だが、初めて履くピレリタイヤに2人は苦戦。走行1回目と2回目がウエットとなり、ドライ路面で少しでも長い時間を走り込みたいと望む2人にとっては、これが逆風となってしまった。
走行3回目がドライコンディションとなったが、藤田と野左根は2分11秒台でこの日のテストを終了。2人とも、思うようにタイムが上がらずに厳しい表情を見せた。

世界耐久選手権第2戦ポルトガルのポルティマオ12時間で優勝してランキング5位にジャンプアップした「GMT94 Yamaha Official EWC Team」は、今回のテストが本番に向け最初で最後のテストである。しかし、ルーカス・マヒアスが来日できず、マシンはチェカとカネパによりセットアップが進められた。しかし、チームとして1年ぶりの鈴鹿サーキットでの走り出しが雨となってしまい、ドライセッションとなった走行3回目で2人は2分12秒台を記録して、この日のテストを終えた。

翌14日のタイヤメーカーテストは、午前9時から90分間、午後2時から90分間の2本が予定。そしてこの日は、時間帯によって雨雲がサーキットを覆うものの、走行時間帯に悪影響を及ぼすような雨は降らずに総じてドライコンディションでのテストとなった。

ここで中須賀とローズは、ドライ路面を待ちわびたようにラップタイムを上げていく。ウエット路面でのテストも重要だが、「ドライ路面でのマシンセッティングができていれば、ウエット路面に対応させることはそれほど難しいわけではない」(吉川監督)という理由からだ。そして走行1回目では、ローズが2分07秒594をマークして、このセッションのトップタイム。中須賀は2分07秒796を記録して2番手となった。
続く走行2回目は、中須賀が2分06秒960をマークし、これが2日間総合の最速ラップとなり、ローズも2分07秒343までタイムを縮めて総合2番手。この日のテストは天候に恵まれたため、タイムアタックを含めたロングランを敢行。そうした中でのこの06秒台、07秒台であり、マシン、ライダー、チームともに順調な仕上がりを思わせるものとなった。なお、この日の総合3番手の最速ラップが2分08秒377だったことから、どれだけ2人のタイムが速かったかが分かる。

このタイヤメーカーテストはブリヂストンとダンロップが主催で、ピレリタイヤを履く「YART Yamaha Official EWC Team」は、別枠のスポーツ走行に出走。しかし、ここには600ccマシンも混走しており、1000ccのEWCマシンにとってはなかなかクリアラップが取れない状況だ。そして藤田、野左根ともに思うようにペースを上げることはできず、さらに最終走行枠では突然の豪雨となりテストは終了。2人とも、課題を残したままレースウイークを迎えることになった。

また、タイヤメーカーテストに出走したGMT94-YAMAHAのチェカとカネパだが、2分10秒台と11秒台を記録してテストを終了。鈴鹿サーキットは、世界的にも特異と言える5.821kmと全長が長く、様々なコーナーが配されていることから難攻不落のコースとして知られる。しかし、だからこそライダーやチームにとっては攻略し甲斐のあるサーキットでもあるのだが、鈴鹿サーキットを初めて走るカネパは走行毎に着実にタイムを上げており、チームとしても手応えを掴むテストとなった。

YAMAHA FACTORY RACING TEAM

中須賀克行選手談

「今回のテストには、レースの都合でポルが参加できなかったけれど、去年も一緒に戦って優勝しているし、彼に関しては何も心配することはありません。今回、アレックスがチームに加わってくれたけれど、彼もまた速いライダー。昨年の鈴鹿8耐ではライバルとして戦い、そのときの彼の走りを見て、速くて安定したライダーだという印象があり、今回一緒にテストして、速さに磨きがかかった感じでした。今年は連覇という大きな使命がありますが、今年もまたすばらしいライダーがそろったし、マシンも新型化から2年目を迎えてデータはそろっているし、ポテンシャルも信頼性も高まっています。そしてチーム力も、突発的なアクシデントやトラブルにも素早く対応できるほどに高い。3人のライダーと、そしてチーム一丸となって連覇に立ち向い、目標を達成します」

アレックス・ローズ選手談

「マシンに対するフィーリングがとてもいいので、モチベーションがものすごく高まっているし、走っていてとても楽しいんだ。今回のテストの最終セッションで、中須賀さんのタイムを上回ることはできなかったけれど、僕にとってはトップタイムをマークするのがターゲットではなくて、いかに速いペースで、しかもコンスタントに周回できるかが今回のテーマだった。だから、これが達成できてとても満足しているんだ。でも、最後のセッションでは、ニュータイヤを装着してコースインしたのだけれど遅いバイクに引っかかってしまったんだ。あれがなければ中須賀さんのタイムにもっと近づいたかもしれないね。でも、本当にこのチームはベストだよ。中須賀さん、ポルはとてもすばらしいライダーだし、チームもすばらしい。しかもマシンのフィーリングもとてもいい。それがわかったので、このテストは完ぺきだった。あとはレースウイークで、とにかく集中して走ることを心がけるよ」

吉川和多留監督談

「天候が不安定な日もありましたが、メインのテストはしっかりとこなすことができました。去年、優勝できましたが、その後に様々なデータを見直したところ、納得できない部分も出てきていたので、今年はそこを重点的に修正してマシンを仕上げてきました。パーツひとつひとつの精度と信頼性も上げて、細かいところを見直すことにより全体をレベルアップしています。今年、新加入のアレックス選手ですが、初めての鈴鹿8耐テストの前に怪我をしたと聞いていて、それを心配していましたが、今回のテストではまったく心配ないことがわかり、さらにラップタイムもいいレベルにまで上がっているので安心しました。おそらくこの3人のライダーならば、好きに走っていいと言えば、2分06秒台や05秒台にタイムを入れてくるでしょう。でも、耐久レースなのでその辺の気持ちをチームサイドでうまくコントロールしていきます。とは言っても、3人ともそれぞれの役割を把握しているので、そうした心配もないでしょう。ヤマハのファクトリーチームとして、連覇はもちろんですが、レコード周回数を目指して、決勝レース直前までもっともっとチーム力を上げていきます」

YART Yamaha Official EWC Team

藤田拓哉選手談

「初日の走行で2分11秒台を記録して、これがベストタイムですが、タイヤが消耗しはじめたところで出たタイムなので、少しずつですがいい方向に行っていると思います。ただ、もっともっとドライ路面でピレリタイヤをテストしたかった。今回のテストには、ブロック選手は怪我で参加しませんでしたが、連絡をとって、ピレリタイヤの乗り方を教えてもらっています。でも、まだまだ乗りこなすまでには至っていません。ただ、テストを通して転倒しなかったのが良かったと思います。個人戦ではないので、マシンを壊したらみんなに迷惑をかけてしまいますから。あとはレースウイークに入ってからの作業になりますが、ブロック選手、野左根選手と最終的にマシンを合わせて、チーム一丸でがんばります」

野左根航汰選手談

「今回のテストの2日目は、スポーツ走行枠でのテストになりましたが、最終セッションにニュータイヤを履いてコースインしてタイムを出そうとしたら、マシントラブルが起きてしまいました。7月4日から3日間のテストでもそうでしたが、なかなかタイヤに対応できなくて、今回のテストでもいろいろとトライをしましたが、まだその特性を生かすことができずにいます。どうしてもコーナーの立ち上がりでスピードを乗せられない、これが大きな課題です。テストは今回が最後なので、次に走るのはレースウイークになりますが、何とかうまく走れる方法を見つけて、決勝に臨みます」

マンディ・カインツ監督談

「藤田、野左根とも、よくがんばっているけれど、もう少しタイヤに馴れる必要があるようだ。今回、ブロックが怪我でテストに参加していないが、これでテストが遅れたということはない。今回のテストのメインは、若い2人の調整がメインだったし、少しずつだけれどタイヤを理解し始めている。だから、日曜日の決勝では、最高のパフォーマンスを発揮してくれることを信じている。ブロックの怪我に関しては、まだ鈴鹿8耐本番までには時間があるし、何も心配はしていない。チームとしての目標は、トップ10フィニッシュだ。2人の若いライダーには、この耐久レースに出場することで、多くのことを学んでほしいと思っている。そしてそれができれば、近い将来、様々なカテゴリーのレースで表彰台に立つチャンスが巡ってくるだろう。中須賀が去年の鈴鹿8耐で表彰台の中央に立ち、彼は現在様々なレースで活躍しているけれど、彼だってここに到達するまでには多くのレースで様々なことを学んでいたのだからね」

GMT94 Yamaha Official EWC Team

デビット・チェカ選手談

「今回は本番に向け、制御、エンジンなどのセッティングを試した。レースで使うエンジン仕様も決めた。制御もこのテストで導きだしたものを使う予定。でもタイヤは決定することができなかった。それでもレースウイークにタイヤのセレクトだけに集中できるのはいいことなんだ。そのタイヤに関しては、昨日まで欧州仕様を使っていたが、今日から日本仕様のものを使うこととなり、そのおかげで2秒タイムを上げることができた。でも、まだ去年よりタイムは遅く、その理由を突き止めるためにみんなで努力したが、最後まで解決できなかったね。チームメイトのニッコロはとても速く、スーパーバイクではローズと同等のタイムで走れているのにまだタイムが出せていないのは、初めての鈴鹿ではあること以上に、マシンが完全でないことが原因だと思う。もちろん、自分のパフォーマンスにも満足していない。決勝に向けては、タイムを1秒以上、削る必要があると考えている。僕たちは、世界耐久選手権のチャンピオンになることが目標なので、一つでも上の順位が必要だし、表彰台に登るためにきているからね。でも今のままでは5・6位に入るのがやっと。開幕戦でのノーポントもあり何としてもここで巻き返しを図る必要がある。簡単ではないことは十分にわかっているけど、チーム全員でがんばるよ」

ニッコロ・カネパ選手談

「いろんなサーキットを走ったが、鈴鹿はベストの一つ。高速、低速、シケインなど… いろいろなコーナーがあって難しいけど、とても美しいと感じたね。そして、僕は小さい頃から8耐を見てきたけど、ここで走るのが夢だった。その夢をようやく叶えることもできてうれしいよ。今回は、初めてのサーキットながら、いろいろと覚えることができたのも本番に向け大きな収穫となった。でも、課題もある。タイヤのフィーリングをあげることだ。まだ苦労していてライバルに遅れをとっている。4日前にアレックスとラグナで同じタイムを出していたのに、4秒も遅れているからね。それでも心配はしていない。タイムは出ていないけれど、それが全てではなく、耐久はサプライズも簡単に起こりうるからね。チームメイトの2人も速いし、耐久で最も大事な要素であるチームワークと、安定したタイムを刻めることにも優れている。決勝ではチャンピオンシップのためにも、ヤマハのためにも表彰台に立ちたいね」

クリストフ・グィオ監督談

「まずは、マヒアスが参加できなくなって本当に残念。でも、心配はしていない。彼はFIM Superstock 1000に出場し、初のサーキットだったにもかかわらず優勝しているからね。また、テストもまずまずだった。ヤマハのエンジニアのサポートのおかげで、電子制御の細かなセッティングでき、初日からは大きな進歩を果たしたけれど、まだ十分ではないんだ。なぜなら燃費とタイヤに課題が残っているからね。でもタイヤについては、自信を持っていて、特に鈴鹿のために、日本仕様のフロントを試したがとても良かった。あとはタイムを追求していかねばならない。レースウイークはもうすぐそこまでやってきている。鈴鹿で上位に入るのは非常に困難なのはわかっているけど、優勝できないなんてことはないんだ。これからどこに向かうべきかをチーム全員が共有しているし、ライダーもマシンも速いしね。とにかく我々のチャンピオンシップにとっても、ヤマハにとっても重要なレース。良い結果を残せるよう最善を尽くすよ」