MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.10 8月5日 チェコ
RACE DATA
■大会名称:第10戦チェコGP
■開催日:2018年8月5日(日)決勝
■開催地:ブルノ/チェコ(5.403km)
■天候:ドライ/気温41℃
■PP:A・ドビツィオーゾ(1分54秒689/ドゥカティ)
■FL:M・ビニャーレス(1分57秒052/ヤマハ)
REPORT
ロッシが貴重なチャンピオンシップ・ポイントをゲット
Movistar Yamaha MotoGPのV・ロッシが激しいバトルの末に4位を獲得。チームメイトのM・ビニャーレスは1ラップ目に転倒し、今季初めてのリタイアとなった。
終盤が厳しい戦いになると予想していたMovistar Yamaha MotoGPのV・ロッシは、レース前半で猛チャージをかけて何度かトップを奪取。最終的にはそのポジションを手放すこととなったが、4位でチェッカーを受けて貴重なチャンピオンシップ・ポイントを手中にした。チームメイトのM・ビニャーレスはオープニング・ラップの不運な転倒のあと、幸い、大きなけがはなかったものの再スタートはかなわなかった。
ロッシはグリッド2番手の位置からホールショット。序盤の数ラップはA・ドビツィオーゾと抜きつ抜かれつの接近戦を展開し、その後方にM・マルケスとJ・ロレンソが続いた。ロッシはおもに2番手につけていたが、慎重にタイミングを見極めて残り14ラップで前へ出ると、身体を伏せて一気に加速した。
その後3ラップにわたってトップをキープしたロッシだが、追いついてきた集団に飲み込まれて5番手まで後退してしまう。レース後半の厳しい状況のなかで懸命にトップグループについて行き、最終ラップの最終シケインでC・クラッチローをパス。4位でチェッカーを受け、貴重なポイントを獲得した。トップとの差は2.902秒だった。
一方のビニャーレスは残念な結果。フロントにミディアム・コンパウンド、リアにソフト・コンパウンドというコンビネーションで序盤の戦いにかけていたが、グリッド12番手からスタート後、大勢が先を争うなかでS・ブラドル、B・スミスと絡んで転倒した。幸い大きなけがはなく、次回、オーストラリアGPでのリベンジにかける。
4位を獲得したロッシはグランプリで最高となる6,000ポイント獲得を達成。チャンピオンシップでは2位をキープしており、トップを49ポイント差で追っている。ビニャーレスはランキング4位に後退したが、2位のロッシに23ポイント差、3位のドビツィオーゾにわずか4ポイント差と激しい戦いが続く。ヤマハはコンストラクターズ・ポイントでトップから43ポイント離されてランキング3位。Movistar Yamaha MotoGPはチーム・ランキングでトップをキープしており、2位との差は3ポイント。
明日の月曜日にはブルノ・サーキットでIRTA主催のオフィシャル・テストに参加する。
ザルコとシャーリン、チェコGPでストロング・パフォーマンス
Monster Yamaha Tech3のJ・ザルコはグリッド3列目から好スタート。スターティング・ポジションを維持して序盤からペースを上げ、そのままコンスタントに21ラップを走り切って7位を獲得した。2018シーズン第10戦を終えてランキング7位。依然、トップ3まで浮上する可能性を残している。
ザルコのチームメイトのH・シャーリンは、オープニング・ラップで早くも数台をパス。ルーキー勢の最大のライバル、F・モルビデリとのバトルに全力を注いだが、終盤は作戦を切り替えて14位でゴール。貴重な2ポイントを獲得してルーキー・オブ・ザ・イヤーへのアドバンテージを守った。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(4位)
「終わってみれば、私にとってはとてもいいレースだったと思います。好スタートを決め、序盤からペースを上げてトップグループに加わることができました。ただドビツィオーゾ、マルケス、ロレンソと戦うには力が十分ではありませんでした。表彰台に上りたかったので、そのチャンスを逃したことは残念です。終盤はカル(クラッチロー)といいバトルができました。そして最終シケインでパスし、順位をひとつ上げることができたのです。でも、やはり表彰台には届きませんでした」
M・ビニャーレス選手談(DNF)
「地面に投げ出されたあと、何とかマシンを起こして再スタートしようとしましたが、そのときはすでに遅かったのです。誰がミスをしたのかわかりません。でも大きな怪我がなかったことは幸いでした。今週はずっと厳しい状況が続いていました。今朝のウォームアップ・セッションで新しいセッティングを試し、フィーリングがとても良かったので決勝に向けてモチベーションが上がっていました。気持ちを集中して仕事に取り組んでいたつもりですが、この転倒はやはり、グリッド12番手からスタートしたことの結果なのだろうと思います。だからマシン・セッティングの時点で慎重に方向性を見極めていくことが重要なのです。明日のテストが楽しみです」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「チームにとって今週は楽な戦いではありませんでした。そしてその最終日も本当にいろいろなことが起こりました。バレンティーノはフロントロウからスタートしてトップグループで戦い、全力を出し切って、考え得るなかで最高の順位を獲得しました。一方、ビニャーレスはオープニング・ラップで転倒リタイアと、非常に残念な結果になってしまいました。グリッド4列目からスタートすれば、このようなアクシデントも起こるということです。その結果としてランキングも4位に後退。今朝のウォームアップ・セッションでは好感触を得ていて、リアにソフト・コンパウンドを選択する決定もしていただけに残念なことになりました。明日はまたここで、いくつかテストを行います」
Monster Yamaha Tech3
J・ザルコ選手談(7位)
「予選と同様の7位。悪くない結果だと思います。レース序盤でもっとパスしたかったのですが、ライバルたちも非常に速く、彼らと同等の走りをすることはできませんでした。彼らについて行こうとすると激しくスライドしてしまうので、少しペースを落とさなければならなかったのです。後半戦は少し状況が良くなって、上位グループとの差を詰めていかれるようになりました。そのまま終盤までしっかりマシンをコントロールしていたのですが、ダニロ・ペトルッチをパスするだけの十分な強さを発揮できないまま終わってしまいました。完走できたことは良かったと思っています。昨日からマシンのフィーリングが戻ってきていましたし、決勝では表彰台も視野に入れることができました。まだ何かが足りなかったわけですが、ここから先は長い休みもなくレースが続くので、この間に解決策を見つけることができると確信しています。前進するための絶好のチャンスになるでしょう」
H・シャーリン選手談(14位)
「レース序盤はマシンのフィーリングがとても良くて、バウティスタにかなり近づくことができました。でも中盤以降は、コーナー出口でマシンが神経質な動きをするようになってしまったのです。なぜそんなことになったのかわからないまま、難しい状況のなかでも懸命にマシンをコントロールしようとするうちに、私はすっかり体力を消耗してしまいました。明日はここでテストを行うことになっているので、体調を回復して臨み、解決策を見つけたいと思っています。今日また2ポイントを獲得し、モルビデリとの戦いは続いています。来週もいいレースができるよう頑張ります」
H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「何という素晴らしいレースでしょう! 数日間の休みをとって、わざわざチェコまでレースを見に来た観客たちは、決してその旅を後悔することはないでしょう。今日はMoto3、Moto2、MotoGPとすべてのクラスで素晴らしい戦いが繰り広げられました。とくにMotoGPがこのような展開になるとするなら、他のどんなスポーツやショーも比較の対象にはならないと思います。スタート前に雷鳴が聞こえてきたので、レースが昨年の再現になるのではないかとグリッド上の全員が不安を感じていました。昨年よりは心の準備もできていましたが、幸いにも最後までドライ・コンディションが保たれ、フラッグ・トゥ・フラッグも避けることができました。ヨハンは、リアにソフト・タイヤを履いた数少ないライダーのひとりでした。彼はその判断に自信を持っていて、私のほうは少し懐疑的。レース前半は非常に好調でトップグループのすぐ後ろにつけていましたが、そのあと2~3ラップにわたってペースが落ちてしまい、やはりギャンブルが外れたのだと考えました。ところがそのあと、ソフト・タイヤを選んだ彼とバウティスタが3ラップ連続でファステスト・タイムを記録したのです。これを見て、わたしたちもようやくタイヤ・チョイスに自信を持てるようになりました。前のライダーをとらえられれば良かったのですが、残念ながらそこまで近づくことはできませんでした。総合的に彼は非常に力強く、素晴らしいレースをしたと思います。残り3ラップの時点でトップまで3.5秒差につけ、その3ラップをしっかり走り切ってチェッカー。7位は大喜びするような結果ではありませんが、トップ・ライダーたちについて行き、集団に入って走れたことは、わたしたちが考え得る最高のレースだったのです。ふたつのファクトリーが表彰台に上り、驚くほどの強さを発揮しています。彼らがハード・ワークを続けていることは間違いありませんが、進化がなければ前へ進むことはできません。ヨハンはチームとともに最高の仕事をしました。足りない何かを補うためにタイヤ・チョイスでギャンブルを仕掛けたわけですが、本来、このようなサーキットではマシンが非常に重要になるので、実際にはわたしたちにできることは多くはないのです。わたしたちはライバルたちに少しだけ劣っていました。非常に悔しいことですが、これが今の状況です。同様のことを数年にわたって続けてきて、わたしたちはこれから先も常にベストを尽くしていくつもりです。ヨハンはファイターですから、彼がトップで戦えるようなマシンを用意することが私たちの使命なのです。ハフィシュのほうもビッグ・バトルを展開しました。ルーキー・オブ・ザ・イヤーのライバル、フランコ・モルビデリとの戦いでは、ハフィシュのほうがほとんどの時間帯で前をキープ。フランコに抜かれたあともテールについていきましたが、結局、最後まで抜き返すことはできませんでした。シリーズポイントでは依然としてルーキー勢トップに立っていますが、その差は1ポイント縮まりました。このようなことから今回もまた多くを学んだはずなので、次のオーストリアが楽しみです」