MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.06 6月3日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第6戦イタリアGP
■開催日:2018年6月3日(日)決勝結果
■開催地:ムジェロ/イタリア(5.245km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:29度 ■路面温度:51度
■PP:V・ロッシ(1分46秒208/ヤマハ)
■FL:D・ペトルッチ(1分48秒001/ドゥカティ)
REPORT
ロッシがイタリアGPで3位獲得!
ムジェロ・サーキットはスタート前から黄色い煙に覆われていた。Movistar Yamaha MotoGPのV・ロッシは終始ファンの目をくぎ付けにし、熾烈な3位争いを制してランキング2位に浮上した。チームメイトのM・ビニャーレスは序盤でペースが上がらず苦戦したが、後半で挽回して8位となった。
ロッシはポールポジションから好スタートを切り、J・ロレンソに続く2番手で第1コーナーへ。M・マルケスが3ラップ目にロッシをパスしたが、その2ラップ後には転倒して後退した。これで再びトップを追う展開となったが、後続も激しいプッシュを開始。16ラップ目にロッシがコーナーではらむ間にA・ドビツィオーゾとA・イアンノーネが先行し、背後にはD・ペトルッチとA・リンスが迫って来た。
バトルのなかで一旦は5番手へ後退したが、リンスの追撃を抑えながらイアンノーネとペトルッチをパス。残り9ラップではリンスに先行を許すも、後ろにつけてチャンスを窺い、17ラップ目と18ラップ目に続けてトライして3位を奪い返した。終盤にはイアンノーネが再び激しく迫り第1コーナーで仕掛けてきたが、ロッシはしっかりとラインを抑えて3位でチェッカー。この結果、グランプリ・ライダーとして初めて通算獲得ポイントが5,000ポイントを超えた(合計5,005ポイント)。
一方のビニャーレスはグリッド3番手からやや出遅れ、集団に飲み込まれる格好で第1コーナーへ。ハード・コンパウンドのタイヤが暖まるまでに時間がかかったこともあり、なかなかペースが上がらず11番手まで下げて1ラップ目を終了した。その後、徐々にリズムをつかむとJ・ザルコを追ってゆき、9ラップ目に自己ベストを記録したあと10ラップ目でザルコをパス。
ここからは単独走行となり、4秒ほど離れた前のライダーを追ってゆく。1分48秒台をキープしながら周回を重ねるごとに自信をつけ、ついには3位集団まで近づいた。さらにポジションを上げたいところだったが、すでにタイヤを消耗していたためアタックならず。トップから11.060秒差の8位でチェッカーを受けた。
3位獲得のロッシはシリーズポイントを合計72に伸ばしてランキング2位に浮上。ビニャーレスは5ポイント差の3位で続いている。ヤマハはコンストラクターズ・ランキングで2位をキープし、トップを22ポイント差で追う。Movistar Yamaha MotoGPはチーム・ランキングでトップに返り咲き、2位に15ポイント差をつけている。
次回は2週間後の6月15日~17日、ビニャーレスのホームレースとなるスペインGPがカタルニア・サーキットで開催される。
Monster Yamaha Tech3のふたりは貴重なポイント・ゲット
Monster Yamaha Tech3のJ・ザルコはトップ10を目指してスタート。すぐさま第2グループに入ってバトルを展開し、貴重な6ポイントを獲得した。チームメイトのH・シャーリンは、今回もトップ・ルーキーを目標に非常に力強い走り。最終ラップではさらに1台をパスして12位を獲得。これで4ポイントを手中にし、ランキングではライバルのF・モルビデリと並びルーキー勢トップタイに返り咲いた。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(3位)
「非常に厳しいレースでした。フロントにハード・コンパウンドを選択していたため、十分なグリップが得られないことはわかっていました。そのなかでミスをしないように心がけ、それだけでも難しいことだったのですが、同時に表彰台争いのグループから離されないようにしなければなりませんでした。彼らはソフト・コンパウンドを履いていたので、終盤になれば私のほうが有利になるのではないかという望みも持っていました。そして実際にその通りになったのです。イアンノーネがあきらめずに追って来たので、最後の最後まで気を抜くことはできませんでしたが、最終的にはこうして目標としてきた表彰台を獲得することができました。ムジェロでこのような結果を出すことができて、とってもハッピーです!」
M・ビニャーレス選手談(8位)
「昨日のフリープラクティス第4セッションまではとても好調だったのですが、今朝のウォームアップ・セッションからマシンのフィーリングが変わってしまいました。とくに序盤はほとんどすべてのコーナーでフロントが安定しない状態で、なかなかペースが上がりませんでした。10ラップ後にはそれも解消されてラップタイムでは上位と同等まで上がって来ていたのですが、すでにタイヤを消耗していたため表彰台争いに追いつくことはできませんでした。でも、そのような状態でも、いつもと同じように最後までベストを尽くしました」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「今日はタイヤ・チョイスが非常に重要な役割を果たしました。私たちはタイヤ剥離を避けるためにハード・コンパウンドを選択したのですが、これがライダーに最大のグリップを提供するものでないことはわかっていました。そして実際、前半は非常に厳しい戦いになってしまいました。しかしバレンティーノはそのなかでもしっかりとタイヤをコントロールし、同時に表彰台圏内をキープし続けたのです。これによって、彼のハード・タイヤがライバルたちに優るようになったとき、3位を奪い返すことができました。 マーベリックのほうはスタートで出遅れ、グリップ不足もあり順位を下げてしまいました。ハード・タイヤが機能し始めるとコンスタントに1分48秒台をキープし、前のグループとの差を詰めていきました。しかし彼らに仕掛けるにはすでに遅かったのです。チームとしてはパーフェクトとはいきませんでしたが、ライダーおよびコンストラクターのランキングで前との差を詰め、またチーム・ランキングでトップを奪い返すことができたことに満足しています。次もまた、しっかりプレッシャーをかけていけるよう頑張ります」
Monster Yamaha Tech3
J・ザルコ選手談(10位)
「ムジェロはすべてにおいて難しい戦いとなりました。とくに土曜日以降は非常に苦しい状態で、決勝でも良いフィーリングをまったく得られないまま終わってしまいました。そのなかでも、できるだけ多くのポイントを持ち帰るろうと最後まで走り切ったのですが、パーフェクトの状態からはほど遠く、すべてのコーナーで苦戦させられ本当にがっかりです。今回のような厳しい状況は非常に稀なこと。今日のことは早く忘れて、また笑顔を取り戻せる日が来るよう期待しています。次回のバルセロナはテストで好調だった場所なので、いつもの好調を取り戻したいと思っています」
H・シャーリン選手談(12位)
「とても暑い一日で、タフな戦いでした。チームに感謝します。Moto2の決勝のあとは、路面の状況が昨日のフリープラクティスのときと変わってしまいました。そのためレース序盤はなかなかグリップが得られなかったのです。そのなかでも懸命にプッシュしていたのですが、ストレートでパスするのはとても無理だとわかりました。ストレートで遅れ、コーナーとブレーキングで取り返す状況が続きました。そしてモルビデリに近づき前へ出るために、すっかりエネルギーを使い果たしてしまった感じです。終盤で何とかラバットを抜きたいと思い、決して楽ではありませんでしたが、最終コーナーで成し遂げることができました。このあともトレーニングに励み、次のレースに向けてパワーを蓄えてきたいと思っています」
H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「何というレースでしょう! 彼らは本当に素晴らしいショーを見せてくれました。でも同時に、私たちMonster Yamaha Tech3にとっては厳しい戦いとなりました。昨日までの状況を見ても、苦しい展開は十分に予想できたことで、実際にそのようになったわけです。ヨハンは、今日の彼にできることをすべてやってくれたと思っています。貴重なチャンピオンシップ・ポイントを持ち帰り、ランキング2位にわずか8ポイント差というポジションをキープしているのですから、これからどんなことだって可能です。ル・マンの失敗のあとですから、ここで少しでもポイントを獲得することが重要でした。でもその一方で、本来いるべきトップ5の戦いに絡めなかったことはとても残念です。カタルニア・テストは非常に順調だったので、大きな希望を持って次に臨みたいと思っています。 今シーズンはレースのたびに状況が大きく変化することに驚いています。シーズン序盤はまったく活躍していなかったロレンソが、ここでは優勝を果たしたのですから。このように戦いの行方は依然として非常にオープンで、まったく予想がつきません。だから私たちにも、トップ5への復活のチャンスがあると信じています。 一方のハフィスは今回も見事な戦いぶりでした。ウイークを通じて速さを維持し、決してあきらめませんでした。懸命に身体を伏せ、ついには12位まで上がって来たのです。そしてベスト・ルーキーに返り咲き、ランキングでもルーキー勢トップに立ちました。ドゥカティとのスピード差を知っているだけに、ラバトをパスしたときはとくに印象的でした。彼はその頭と心を使って本当に素晴らしい走りをしたのです。彼と、そのチーム・メンバー全員を祝福します。映像にはなかなか映らない位置ですが、全員で懸命に仕事に取り組み、前進し、ハフィスは少しずつ強いMotoGPライダーへと成長しています。次回が待ちきれない気持ちです!」